365: 635 :2020/12/21(月) 23:17:58 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島? ネタ サセボ異界紀行二冊目



エスの弟も落ち着きを取り戻し自分らが平行宇宙から来たことを伝えると悲しそうな顔をしながらも納得していた。
この世界では三人で出掛けている時に"あの事故"は起きたそうだ。
エスは自らが犠牲になりながらも弟達を助けたそうだ。
しかし、弟達は兄を犠牲にした自分達が許せなく、トラウマになっているという。


「僕が同じ状況でも同じことをしただろう。こっちの僕も助けたことを後悔はしていない筈だよ。
 どうしても自分が許せないなら僕の分まで幸せになりなさい。それが僕が一番望んでいることだろうからね。」


エスの言葉に弟はまた涙を流しそうになったが瞳を腕で拭った。
平行宇宙の兄とはいえ兄の前でこれ以上醜態を晒したくないのだろう。

そんな私達を他所にファーダコンゴウ達はウンウンと電波を発していた。
荒唐無稽的な意味ではなく実際に電波を発していた。
どうもこの世界の戦艦リシュリューの艦魂と交信しているらしい。
しかしまさかの暗号を使用したモールス信号とは…。
戦艦であるリシュリューしか知らない情報を暗号キーとしアナログだから逆に気づかれづらいとはファーダリシュリューの弁である。

通信内容を聞いて頭を抱えた。
どうにもFFR国民を落ち着かせ対日戦を回避して欲しいとのこと。
この世界の戦艦リシュリューは我々が来たことでその気になれば姿を現せる可能性があるようだが姿を見せれば国民全員が喜びのあまり死んでしまうという。
確かにそれでは本末転倒である、しかしFFRや大日本帝国とどうやって接触したものか。
どちらか一方とのみ先に接触するのは避けたいものだ。
特にFFRはファーダリシュリュー確保に躍起になっている以上うかつに接触すればファーダリシュリューが拘束される可能性があり。
また、大日本帝国もFFRとの関係悪化は望まずファーダリシュリューが引き渡されることを否定出来ない。


「ん?私の艦内(なか)の医療用PVMCGリアクターとハイクァーンが起動してるデース?」


そんな中ファーダコンゴウが呟くと我々の近くにイゼイラ人フリュの身体がワイヤーフレームで構成されていくCGのように仮想造成されていく。
その身に纏っているのは何故か神崎島のとある社の巫女服である。黒い布で瞳を隠し一部で濡鴉とか呼ばれている。
白い肌に神崎島に生息する南国の鳥の様な色の頭髪、そして造成が完了するとその人物瞳を開く。


「どっこらしょっと。ふーむ、ようやく繋がりましたか。」


あ、ファーダナヨクァラグヤ。
ふとエスの弟を見るとがファーダナヨクァラグヤことファーダナヨを震える指で指し信じられないものを見たような顔をしている。


「創造主ナヨクァラグヤ!?」


どうもエスの弟の反応を見るにこちらの世界ではまだファーダナヨクァラグヤは再誕していないようだ。

366: 635 :2020/12/21(月) 23:18:51 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

「どうも七面倒臭いことになってるようですね…。」


巫女服を纏ったファーダナヨは神妙な面持ちだ。
どうも向こうでファーダアキグモに誘われイベントで着用する衣装の着付け途中だったらしい。
しかし何故それを選んだのか?え?ファーダアキグモの勧め?

ファーダナヨの説明によれば我々がこの世界に迷い込んで反応が消失したためにあちらでは騒ぎになったらしい。
しかしファーダコンゴウ達の搭載する艦艇クラス用の量子通信が維持されている為に生存しているのは確実視されたそうだ。
そこで量子通信が繋がりハイクァーン、ゼルクォートさえあれば自身の写し身を遠隔地に造成可能なファーダナヨが現状の確認に来たそうだ。
その横でエスの弟はエスに矢継ぎ早に質問を浴びせていた。


「兄さんどういうことか説明して!!何故ナヨクァラグヤ様がここに!?ていうか知り合いなの!?」

「落ち着け、これで驚いているようではこの先やっていけないぞ?」


弟はどうも自分の理解の限界を超えかなりの混乱状態にあるようだ。
ファーダナヨの再誕はその経緯さえ知っていればそれ程驚く程のことではない。
そして自身を限りなく本人に近い他人と言っているがファーダコンゴウ達に言わせれば、
トーラルシステムの中に映し取られ閉じ込められた本人の魂の一部であろうと言う事だ。
ニホンでは明治期に写真機は魂を抜く道具と言われ、古代には鏡は魂を映し取り取り込むという話もあるからあながち外れていないのではないかと思う。


「この公園とか金剛潜んでるじゃね?」

「先輩、なんかこの公園に入りたくないんですけど…。」

「…自分もだ。でもだからこそいるかもしれないぞ。」


話し声が公園の入口から聞こえる。
エスは咄嗟に弟の口を塞ぎ、ファーダコンゴウ達も物陰に身を隠す。
木陰からちらりと伺えばニホン人とオランダ人の若者の混成集団のようだ。


「(皆の者、即刻ここから離脱しますよ。)」


小声で話すファーダナヨの声に全員が頷く。
場の流れからかエスの弟も頷くが君はあちら側でなはいのか?
その時エスの弟が枝を踏んで音を出してしまう。


「誰かいる…?」


見つかった!ニホン人デルンの言葉に周囲にいた人物がライトをこちらへと向け恐る恐る向かってくる。
すぐさま我々はM型コマンドローダーを造成する。
エスの弟もコマンドローダーを造成…ってエスよいつの間にデータ渡したのだ?


「(妾が一時的に意識を引きます!すぐさま探知偽装を行いなさい!)」

「(しかし!)」

「(最悪妾は造成を解けば追うことは出来ません!)」

「(ナヨの言う通りネー。さっさとするヨー。)」

「(いやむしろ混乱を助長するだけじゃあ…。)」


物陰からファーダナヨクが踊り出て若者の前に姿を現す。
混乱する若者達、それはそうだろう暗がりの公園にいきなり巫女が姿現したのだから。


「もし?妾に何か御用でしょうか?」

「「「 !? 」」」


しかもイゼイラ人特有の和音の様な声で日本語を掛けてきたから尚更だ。
警戒していたニホン人達だがイゼイラ人の声を聞いて安心したようだ。

367: 635 :2020/12/21(月) 23:19:49 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

「いえこちらにとある人を探してましてこちらにいないかと来た次第です。」

「そうですか…。」


若者達が探しているのは多分ファーダコンゴウ達だろう。
ファーダナヨが若者達の気を引いている間に我々は探知偽装を展開する。


「(あれってどう見ても濡鴉ノ巫女なんだけど。)」

「(なんでイゼイラ人が濡鴉ノ巫女のコスプレしてんだよ!?)」


何やらニホン人デルンとオランダ人フリュがボソボソと話している。
そこへ一人のニホン人フリュがおずおずと声を上げる。


「あのすいません。イゼイラ人の方と話すの初めてで一緒に記念写真撮ってもらって良いですか?」

「構いませぬよ。」


ファーダナヨは快く願いを受ける。

あ"っ"!?

これが齎す混乱に考えが至った時には既に遅く瞳を隠しをしていた黒い覆いを取ったファーダナヨは若者達と共に記念撮影をしていた。
撮影を終えた若者はファーダナヨにお礼を言った。


「ありがとうございました。」

「いえいえ。」

「そういえば何で人気のない夜の公園なんかに?」

「まあ妾も用事がありましてね…。妾はこの後も用事がありますのでここに残ります。」

「(妾?)あ!お名前お伺いしても?」

「故あって本名は名乗れませんのでナヨと。」

「そうですか。ありがとうございましたナヨさん。自分たちはこれで失礼します。」


若者達は離れていきファーダナヨは直様探知偽装を行う。
私はファーダナヨに詰め寄る。


「ファーダナヨ!何故素顔さらして撮影に応じてしまったのですか!?」

「え!?シャシンぐらい構わないでしょう?向こうでも良く俗世の者とキネン撮影していたのですから。」

「そうではありませんこちらではファーダナヨ、いえ創造主ナヨクァラグヤは未だ再誕していないのですよ!?
 どれだけのイゼイラに混乱が広がるか…いや、ティエルクマスカ全体が大混乱に陥ります!」


この場にいる全員があー…という顔になる。
特にエスの弟は自分も大混乱だったのだから尚更だ。
そしてファーダコンゴウ達はこれでナヨもこっちで神様入ネーと嬉しそうである。ご自分達もその扱いになってるし。
そうこうしていると先程の若者達が大急ぎで戻ってきた。

368: 635 :2020/12/21(月) 23:20:45 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

「ナヨさんもういないぞ!!」

「ツブヤイターに上げたらそれナヨクァラグヤ帝じゃね?てコメントあったから画像見直したらどう見ても本人だったよなあ。」

「まさかかぐや姫も降臨してきた?」。

「金剛が降臨している以上ありえなくないがアレはイゼイラの神様なんだがなあ。」

「それ言ったらリシュリューもいるだろう?」

「あ、親父から電話、もしもし…え…〇〇さんじゃないですか…マジ?」

「どうした?」

「…親父の知り合いのイゼイラ人だったんだが…さっきのナヨさんとの写真見て俺に連絡取りたかったらしい。」

「何故に?」

「画像ヤルバーンで調べたら骨格が完全にナヨ様本人で大混乱になってるって…。」

「マジ?」

「マジもマジ。それでティ連議長とイゼイラ議長とヤルバーン司令が柏木大臣通して二藤部総理に緊急会談申し込んだとか。」

「二藤部総理、お腹大丈夫かな?」

「今度はティ連から日本が神に賄賂贈ったと言われるのか…。」

「そういえばさっきのナヨ様の服装…濡鴉ノ巫女だったよな…。」

「まさか…?」

「まさかあの世と繋り始めてるとかwww。」

「………。」

「………。」

「おい皆笑えよ、笑えよ!?」




「ああ、妾はなんということを…。」

「「「……。」」」

orzとなっているファーダナヨ。
我々のせいでこっちの地球世界だけでなく銀河間規模で大混乱を広げている状況に我々は頭が痛くなった。
あ、通信が、これはファーダムツ?


『あ、金剛!通信繋がって良かったわ。多分ハワイ沖だと思うんだけどとっさに艦体出しちゃった…。』

「ここ並行宇宙デース。チョット聞くけど、その艦体見られてないデースよね?」

『日の丸着けた見たこともない艦載機に見つかったけど一瞬だけよ?すぐに探知偽装かけたから。』


ネットワークに接続した時の情報だとこの世界のファーダムツはハワイで艦生を終えたらしい。
まさか引っ張られたのか?


「陸奥!直ぐに最大戦速でそこ離れてコッチ(佐世保)に向かうデース!」

『ちょっと!?どうしたの!?』

「つべこべ言わず、斥力推進と空間振動波エンジンも使うデース!今度は連合艦隊が血眼になる番デース!」

「ファーダムツ、分かりやすく言うとファーダナヨを前にしたイゼイラ人みたいな状態です。」

『あっ(察し)。』

369: 635 :2020/12/21(月) 23:21:46 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

以下IFネタ(多分続かない)



ファーダムツとの通信を終えると今度はファーダリシュリューが深刻そうな顔をしていた。


「…コンゴウ大変なことになったわ。」

「これ以上大変なのは勘弁なのデース。」

「今こっちに来ちゃったフランス艦娘と通信繋がったんだけど…。」

「誰デース?オセアンとかやめて欲しいデース。」

「そのオセアンよ…。」

「オフゥ…。」


ファーダオセアンはクールベ級戦艦の一隻で現在島で練習戦艦の任に着いている艦娘である。
ファーダコンゴウは項垂れるがファーダリシュリューそれを無視して言葉を続ける。


「ふぅ…C'est comme ca(ままならないものね)。更に悪い情報あるけど聞く?.」

「うー、聞きたくないけど聞かなくちゃデース…。」

「オセアンがこっちで出た場所が問題なのよ。」

「まさか…。」

「エスト=デ=パリ、私達の世界で言う上海の沖合150キロ。しかも艦体をバッチリ見られたみたいよ。FFRの船に。」


うわぁ…こっちも引っ張られたかあ…。

370: 635 :2020/12/21(月) 23:23:52 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2020年12月25日 13:27