670: 加賀 :2020/12/20(日) 12:25:29 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp



0125、ローリングス大将は辛くも生存をし旗艦を『クイーン・エリザベス』に変えた。だが『クイーン・エリザベス』も『長門』からの砲撃で被弾炎上をしている有り様だった。

「全艦隊撤退だ!!」

 ローリングス大将は遂に撤退を決断をするが米残存艦隊も0056の時点で撤退を開始していた。

「ジョンブルのアホどもに付き合ってられるか」

 重傷のオルデンドルフ中将はそう怨めしそうに言いながら撤退を指令。まだ生きていた『コロラド』を筆頭に艦艇はゆっくりと機動部隊と合流するために離脱していた。その動きに橋本は敢えて見逃していた。

「『コロラド』は調印式の時に必要だからな」
「まぁアメちゃんも戦艦無いのはあれですからね……」

 そのため、橋本は残った全艦を以て連合軍艦隊との砲撃を続行させたのだ。ローリングス大将が下した決断は遅かったに等しいものであり撤退しようとしていた『クイーン・エリザベス』の左舷に三本の水柱が噴き上げる。

「水雷戦隊は突撃したか?」
「いえ、まだの筈ですが……」

 答えは海中だった。

「トロペト、戦艦に命中!!」
「ざまぁみやがれライミー!!」

 ペナン基地から出撃したUボートのウルフパックが慶良間諸島沖に到着したのである。彼等は友軍である日本艦隊を助けるために一連射だけではあるが魚雷を発射して離脱、本来の目的である輸送船団攻撃に向かうのである。なお、輸送船団は壊滅していたので壊滅から全滅に変更させ同じく逃げようとしていたミッチャー機動部隊に魚雷を叩き込んで離脱するのである。
 だがこの雷撃で連合軍艦隊が乱れたのは間違いなかった。橋本は即座に決断する。

「全艦突撃する!! 今生で見られない日本海軍最後の突撃だ!! 命を惜しむな、全てを叩き込めェ!!」
「全艦突撃ィ!!」

 橋本艦隊は二水戦を先頭に突撃を開始する。この突撃時に『霞』『綾波』が轟沈するも『綾波』は酸素魚雷を『ラミリーズ』に叩き込んで撃沈に導く。早川少将の旗艦『島風』は大破しながらも最期は駆逐艦『ジャーヴィス』に突っ込んで串刺しにしたまま二隻は波間に消えた。二隻を救助しようとした『電』は『クイーン・エリザベス』の砲撃で爆沈する。

「『長門』はイタリア戦艦に当たれ。『伊勢』『日向』は『クイーン・エリザベス』に当たる」

 『伊勢』も被弾炎上していたが未だ三基の砲は生きていた。ならばやる事は一つである。

「食い破れ!!」

 逃走していた『クイーン・エリザベス』に追い縋ろうと航行する二隻。『クイーン・エリザベス』は逃げようとするが更に追い縋ってきたのがいた。四水戦の『矢矧』第三十一駆逐隊『長波』『朝霜』『清霜』、第三十二駆逐隊『藤波』『浜波』の六隻である。
 『クイーン・エリザベス』はまだ残っていた二基の砲で『朝霜』『浜波』を吹き飛ばす。だが『矢矧』『長波』『清霜』『藤波』は距離1800まで接近し酸素魚雷を発射し五本を命中させる。

「閣下、脱出を!?」
「おのれェ!!」

 ローリングス大将は参謀らと共に脱出しようとしたが『清霜』が放った12.7サンチ砲弾に吹き飛ばされた。その御返しとばかりに『矢矧』『清霜』は至近距離で38サンチ砲弾が命中し爆沈するのである。
 『クイーン・エリザベス』はそれでもなお浮いていたが『伊勢』『日向』の35.6サンチ砲弾9発が命中し漸く大傾斜をして波間に消えたのであった。
 イタリア艦隊も脱出しようとしたが『長門』五戦隊の『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』、八戦隊『利根』『筑摩』十六戦隊『鬼怒』二水戦『雪風』等が待ち構えていた。

671: 加賀 :2020/12/20(日) 12:27:05 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
「思う存分撃ちまくれェ!!」

 『長門』艦橋で杉野艦長が吼える。『鬼怒』の探照灯照射で浮かび上がる『リットリオ』は被弾炎上していたが沈む気配はなかった。『リットリオ』も負けじと砲弾を『鬼怒』に叩き込んで轟沈させる。だがその隙に五戦隊以下が突撃した。『リットリオ』は炎上するも『筑摩』を行動停止させ『那智』を大破させた。
 『ヴィットリオ・ヴェネト』は『愛宕』『秋雲』『樽』を轟沈させたがその代償は距離1200で発射された24本の酸素魚雷だった。

「回避ィ!?」
「駄目です、間に合いません!!」

 『リットリオ』の右舷に三本、『ヴィットリオ・ヴェネト』には四本が命中。それでも二隻は浮いていたが『リットリオ』は『長門』の41サンチ砲弾六発、『ヴィットリオ・ヴェネト』は『伊勢』『日向』の35.6サンチ砲弾11発を受けて漸く波間に没するのである。
 0324、全ての戦闘は終わったのであった。

「宜野湾に帰ろう。まだやる事は残っている」

 橋本の言葉に松田は無言で頷く。艦隊は0936までには宜野湾に到着、再度艦砲射撃をして陸軍の支援を行うのである。
 4月25日、橋本中将はまだ動ける残存艦艇を集めて沖縄から離れた。既に作戦目的は果たされた、宜野湾への擱坐が出来なかったのが悔やむところであったがそれには橋本も目を瞑った。
 航空部隊を補充したミッチャーは離脱していく第五艦隊を攻撃しようとするが九州から飛来する五航艦の対処により結果として逃がしてしまうのである。
 『大和』以下、突入・座礁した艦艇は米攻撃隊に完全に破壊されるまで絶えず砲撃支援をするのであった。

「海軍の期待に応えるぞ!! 我々のために全てをかけた者達のために突撃ィ!!」

 更に第32軍の精鋭とも言える第二師団・第四師団・第九師団・戦車第一師団が一斉に反撃を開始し戦線を膠着させる事に成功するのであった。




沖縄沖海戦
内地帰還艦艇(後に離礁及び降伏後の作業にて離礁を含む)

戦艦
『長門』『伊勢』『日向』『金剛』『榛名』
空母
『瑞鶴』『銀鶴』『葛城』『笠置』『阿蘇』『生駒』『隼鷹』
甲巡
『青葉』『高雄』『摩耶』『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』『利根』『鈴谷』
乙巡
『五十鈴』『酒匂』
駆逐艦
『雪風』『長波』『谷風』『浜風』『磯風』『浦風』『涼月』『冬月』『吹雪』『白雪』『叢雲』『響』『潮』『夏月』『春月』『宵月』『花月』『清霜』『初霜』『梨』『黒潮』『櫻』

672: 加賀 :2020/12/20(日) 12:32:15 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
  • モンスーン戦隊、只今見参(フタエノキワーミー)
  • 連合軍艦隊壊滅
  • 第32軍、反撃開始



終わりを迎えた沖縄沖海戦、その被害報告にルーはトドメを刺されちょび髭は満面の笑みを浮かべながら炎の中に消える……そしてほくそ笑むのはシベリアの大地

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最終更新:2020年12月31日 13:00