678: 加賀 :2020/12/20(日) 14:57:08 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
「橋本はよくやってくれたよ」
「沖縄で連合軍艦隊を壊滅か……」
「だがやり過ぎてしまった……」
「強硬派は?」
「蜂起寸前ですが……今頃は閻魔の下でしょうな」
「それと海軍は……沖縄沖で消滅したよ」
「五艦隊と残存艦艇はいますけどね」
「それでも大掛かりな艦隊運用は出来ないし実質の消滅だよ」
「それで講和交渉は……?」
「連合国の主張は無条件降伏だとさ」
「あれだけ壊滅しておいてですか?」
「だが
アメリカとは和平停戦は出来る」
「……まさか……」
「そのまさかだよ」
「何なんだこの被害は!?」
4月27日、ルーズベルトはそう発した直後に心臓発作が再発し意識不明で昏倒。そのまま29日には帰らぬ人となった。副大統領のウォレスはルーズベルトが死去してから数時間後には新大統領として就任し最初にした事は海軍作戦部長のキング元帥のクビを承認するサインだった。
4月29日にキングは海軍を追われ作戦部長にはウィリアム・リーヒ元帥が再度就任し作戦会議にてリーヒはウォレスに日米和平を主張した。
「プレジデント、我々は太平洋で血を流し過ぎました」
「それは分かる」
「次なる敵はソ連です。奴等はドイツとの戦いで失った全てを手に入れるためにヨーロッパを極東を支配するでしょう。そのために味方は必要です」
「……イギリスとフランスでは駄目かね?」
「ヨーロッパでなら必要です。ですが太平洋は日本、彼等の協力が必要となります」
「彼等は我々と和平をすると思うかな?」
「日本は日露、シベリアで血を流しました。ロシアを、ソ連を相手にです。ソ連の南下を防ぐなら彼等も我々と協力するでしょう」
「……分かった。日本はスイスに窓口を作っていた。こうなる事を予想していたのだろう、直ちに作業に移ろう」
斯くしてアメリカは動いた。時は少し戻り4月27日、皇居にて古賀は陛下に上奏の時、ただ一言述べた。
「陛下、我が連合艦隊は本日を以て消滅しました」
古賀は沖縄沖海戦の結果報告書を陛下に提出、それらを全て読んだ陛下は涙ながらに頷いたのである。一方、スイスでもアレン・ダレスと重光葵(吉田や下村も同行)が密かに和平交渉に動いていた。
「こ、これは……」
「全ては事実です」
679: 加賀 :2020/12/20(日) 14:58:39 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
驚愕するダレスに下村がズイッと身を乗り出す。ダレスが持つ報告書の内容とは「米国のマンハッタン計画に関する基本情報及びソ連がそれを完成させるまでの時期推定」が記載されていた。しかも米国内に存在していた「レッドセル」、ソ連の協力者や情報提供者の名簿とその行動内容がその中には含まれているのである。
「……確認のための調査をしても?」
「構いません。ですが今はまず沖縄での現時点での戦闘停止です」
「うむ。プレジデントもそれについては承諾している。では5月1日で?」
「構いません」
斯くして5月1日を以て日米は戦闘を停止する停戦協定が受諾。(調印式は戦艦『コロラド』で実施された)アメリカは直ちに調査を開始する。その間、米海軍も大鉈を振り回す事を始めた。
沖縄沖海戦で米海軍は戦艦(新式及び旧式)を全て喪失し残ったのは大破しても尚沖縄に居座る『コロラド』のみである。空母については正規空母7隻が残ってはいるが五航艦の攻撃で2隻が大破してハワイへ帰還途中だった。
本来であればウルシー泊地を使用するはずだがウルシー泊地は『剣号作戦』の攻撃でほぼ使用不能でありまた潜水艦隊により通商破壊作戦が活発を増しておりそのためハワイへの直接帰還だったのだ。
一応、残存連合軍艦隊と金武湾で勢力を維持しているが連合軍艦隊も第五艦隊との戦闘でプライドはほぼ消滅しているので口の悪い水兵等からは「ジョンブルは弾除けすらなれんのか。まだ海の戦争に慣れてないフランスやブランクがあるイタリアのが根性あるじゃないか」と罵倒すらしていた。
それはさておき、キングが更迭されたのを皮切りに多くの海軍の高級官僚が更迭され表舞台から叩き出された。哀れだったのは臨時で機動部隊を率いていたミッチャーである。
本来であれば機動部隊を率いていたマケインが責任を負うのだがマケインが心臓発作で死去した事で臨時指揮官にのしあがったミッチャーに白羽の矢が建ってしまったのだ。更にキング派と対立していた太平洋艦隊司令長官タワーズ大将も更迭された事で米太平洋艦隊は一時的な人事不省に陥るのであるがそれでも腹の虫が治まらないのは米陸軍と政界である。
米陸軍はフィリピンに続き沖縄でも戦力を壊滅させられバックナー中将をも戦死させられているのだ。政界は政界でダレスからもたらされた紙爆弾(後にジュネーブ爆弾とも言われる)により親ソ親中で固まっていた政界グループが一掃される羽目になり和平派が浸透する事となる。
そして5月5日、再び開催された和平交渉でアメリカは『無条件降伏』から『条件付き降伏』に変更し日本への進駐を求め日本もそれを受け入れる形で『日本は連合国ではなくアメリカに降伏をする』事になったのである。
その報にイギリスのチャーチル達は激怒するも大統領のウォレスにしてみれば「ほぼ太平洋で何も役に立っていないイギリス軍がしゃしゃり出たら日本の進駐計画が遅くなるだろう」と鼻で笑うのである。
実際、沖縄沖海戦後にイギリス軍はビルマにて反撃をしていたが直前でインパール作戦を中止していた陸軍第15軍は防衛に転じており転生者等の活躍でビルマに攻め込む英軍の輸送機を第五飛行師団が積極的に撃墜したりと逆飢餓状態にさせたりしていた。
そのためビルマ方面はやや日本側が優勢だったりするのだ。そして日本も日本で内地の戦力を密かに北方や満州に派遣していた。新たなる脅威に備えるためにである。
そして5月15日にワシントンにて条件付き降伏を宣言したワシントン宣言が発せられた事で日本も条件付き降伏を承諾するのだがそこに待ったをかけたのが陸軍強硬派だった。
「海軍は消滅したが我が陸軍は消滅していない!! 本土決戦にて米軍を叩きのめしてやるのが唯一無二の選択だ!!」
5月20日、陸軍強硬派は後に『5・20事件』と言われるクーデターを決行、強硬派は近衛師団司令部を占拠するに至る。しかし強硬派に出来たのはそこまでだった。
強硬派は直ちにラジオ放送をして戦争継続を主張しようとしたが近衛師団司令部に仕掛けられて時限爆弾により司令部ごと破壊され瓦礫に押し潰されたのである。
「馬鹿どもが。地獄の鬼達と戦争ごっこをしていろ」
海軍省で近衛師団司令部爆破の報を聞いた栗田中将はそう呟くのであった。クーデターを鎮圧した日本はワシントン宣言を受諾、斯くして6月1日に日米はワシントンにて『ワシントン講和条約』が締結され日米の戦争は終わりを告げたのであるがそうは問屋が下ろさない国がいたのである。
680: 加賀 :2020/12/20(日) 15:05:55 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
- さらばキング、仕方ないよね
- リーヒ、再登板
- 日米和平
- 陸軍強硬派のクーデター
- でも爆破される(長門損傷してるからね
次回は杉山さん最期の活躍
今回は朝鮮戦争はせずに大戦終結で終わりたいと思います。あまり風呂敷を拡げると収集が付かないと思うので……。
だがしかし!だがしかし!一つ忘れているだろう、そう戦艦『信濃』√だ!
『信濃』のために、今度こそ、『信濃』を戦艦として活躍させるために!
『信濃』√、やりますよ大いに!!(なお、『瑞鶴』は修羅になる模様)
現在、『信濃』√のキャスティング及びプロローグを構想中です
最終更新:2020年12月31日 13:01