559: 霧の咆哮 :2020/12/30(水) 22:31:46 HOST:KD106181172203.au-net.ne.jp
〇日蘭世界IFネタ~ドナウ連邦の憂鬱~
~砲声の連鎖は鳴り止まない。東欧にて産声を上げし超巨大戦艦~

 FFRがその意地と執念と信仰の粋をキメながら実現した戦艦リシュリューの大改装。
 『美魔女化改装』とも『リシュリュー・ショック』とも呼ばれるこの事件に対し、ライバルのBCが同国が誇る戦艦プリンス・オブ・ウェールズを大改装させて対決に付き合うだけでなく、日蘭が新型戦艦である敷島型とDZPⅡ級の計画見積もりを上方修正したりと影響の大波が広がったわけだが、直接的な影響を受けた国が更に2つ存在した。
 イタリア王国及びドナウ連邦である。
 イタリアの活躍は過去の議論においても取沙汰された通りで、2000年代に日蘭他OCUの支援を受けながらベニート・ムッソリーニ級という、他の世界線でもイタリアが保有するには類を見ない大戦艦の建造・配備を成し遂げた。
 なお、泣きながら心労や軍事プランの大幅修正やらで苦しめられた上層部の苦労と、偉大な大戦艦の就役に無邪気に喜ぶ国民やかっこよくて強い戦艦が増えて嬉しい他国の戦艦マニアとの温度差は置いておく。

 今回焦点が当てられるのはドナウの方である。
 史実において原型となったオーストリア―ハンガリー帝国はWW1後は没落し、ドイツのおまけ扱いが他の仮想戦記でも非常に多く、史実現代においては観光・文化面ではともかく軍事的には東欧の中小国にまで落ちぶれていた。
 しかし、日蘭世界ではドイツやイタリア同様、WW1後は多大な援助を受けながら政治的、経済的に上手く再編し、弩級戦艦を保有・運用した経験やチェコスロバキア等高度な兵器を開発できる工業地帯を腐らせずに自国の発展に活かしていた。
 WW2でもフランス侵攻や北アフリカ戦線、ソ連逆侵攻といった陸上方面で地味ながらもしっかりと功績を残し、海軍も自前での巡洋艦や駆逐艦建造・配備だけでなく、足りない分は大量建造中のオランダから巡洋艦や駆逐艦を受け取り、日本からこちらもまた大量建造されていた護衛空母を1~3隻※1ほど受け取りながら運用し、通商防衛や陸軍支援等で立派に働いていたのだ。
 内政や陸軍重視で超弩級戦艦を運用する余裕もなく、払い下げとはいえトルコやペルシャといった復活の中東の盟主にして新たな超弩級戦艦ユーザーと比較されて影が薄いのもまた事実だったが・・・
 この点が国力的には実はOCUの中では意外と上位な一流国でも、戦艦カーニバルな日蘭世界においてドナウの影を薄くさせる後押しになってると思われる。曲がりなりにも空母部隊の配備もまた立派なステータスではあるのだが。
 実際戦後においてはWW2中に運用した経験を活かし自力で軽空母※2の建造を成し遂げ、配備させている。そして次は中型正規空母を将来的に調達しようと予定していた段階で、今回の事件が起きた。

 ドナウはこのリシュリュー・ショックにおいて領海が地中海越しに接しているリシュリューの相手だけでなく、BCすら日蘭本編の世界と異なり大戦艦を保有し、相手を想定するしかない事態を重く受け止めていた。
 なにせ、日蘭の大戦艦と戦える仮想敵国の戦艦が2隻に増えるのは2倍の数が必要になるのではなく、2乗の数が必要となるのだから。
 日蘭に相手を任せるのも勿論手だし、イタリアが既に戦艦建造に着手している速報もOCUの、隣国の同盟国として入手してはいたが、自国での備えを怠るのは適切な緊張感を維持してる国家情勢的にあり得ない所業であった。
 同盟国が堕ちたり多大な被害を受けたらその影響は自国にも及ぶのだから。
 また、自国に揺るぎが出たら一応BCにもFFRにも参加してないとはいえ、絶許認定して封じ込めているセルビアがまたナニカをやらかさない保証もないのだ。ドナウはセルビアを一切信用も信頼もしてないが故に、そんな隙を晒す気は毛頭なかった。

560: 霧の咆哮 :2020/12/30(水) 22:33:16 HOST:KD106181172203.au-net.ne.jp
 これでドナウに戦艦を配備する余裕がなければ諦めて、対艦ミサイル部隊の大量配備のような別の形で対策を目指しただろう。
 或いは本編世界のようにリシュリューのみならイタリア戦艦の援護用として、当初の予定通り中型正規空母を2隻配備し、他のドイツらの空母部隊共々航空隊も合わせた圧殺を狙うも良しであった。
 だが、国力的には一応余裕があり、またお隣のイタリアから共同建造の持ちかけも受けていた。
 噂を聞いている日蘭の新型戦艦のように、イタリア戦艦と準同型艦としての運用ならば建造や整備・維持コストの削減も出来る。航空派閥の反発も予測されるが、新規でいくらか大型化した軽空母1隻や基地航空隊の拡充で納得して貰う他ない。
 また、これは良い機会とする思惑もあった。

『イギリスやフランスが意地を持って大戦艦の存在を高らかに謡うなら良かろう、再起した我らの意地を見せてくれる!』

 軍艦・戦艦信仰が史実より根強いこの世界において仮にも元列強でOCU内部でもその席次は決して低くはないのに、超弩級戦艦を保有出来なかったステータスによる差や歴史は何気に上層部にも、国民にも少なからずコンプレックスになっていたからだ。
 お隣のドイツやイタリアの両方が空母だけでなく超弩級戦艦でも華々しい戦果を挙げ、残されたビスマルクやリットリオも記念艦としてもその威容を誇示し続けるのならば猶更。
 大戦艦への憧れ、コンプレックス解消に国益や国威も絡むともなれば、今後の予定変更や打ち合わせに頭痛を覚えながらも、自国で産声を上げる大戦艦の未来が現実味を帯びて迫る日々に、内心では子供のようなワクワク感を抱いてしまうのが漢の悲しい性分であった。
 絵面はむさいおっさん達ばかりであるが、ただの感情論だけではない、冷静な計算もしたうえで、オーストリアの、ドナウの戦艦を復活させる絶好の機会だと判断したのだからもう止まらない。
 かくしてドナウ連邦もこの戦艦カーニバルへの参加者として名乗り上げ、ベニート・ムッソリーニ級の完成から暫くした後、同等のサイズにして準同型の超巨大戦艦がかの国で産声を上げた。
 完成当初は技術的に不慣れな点もあって不具合も発生していたが、その度に改良・改修を重ね完成度を高め、やがて安定した運用が可能となった。

 なお、発端となった英仏としては正直ドナウ連邦がこの対決に付き合うのは想定外であった。
 長年対峙し続け、WW2でもリシュリューやPOWの同期であるビスマルクやリットリオ共々、直接バチバチやりあったのも有り、イタリアが乗るのはともかく他に大戦艦をお代わりするならドイツ位と思っていたのだ。
 そこら辺、陸軍や軽空母含んだ航空隊には一定の評価をしながら、どうしても脇役やサポート役のイメージがあちら側としても強かったのも理由である。
 故に、英仏もドナウも大戦艦ユーザーとして、自分らと正面から渡り合おうとするプレイヤー(列強)だと評価し、認識を改めた。
 彼らの目の色が変わったのも、OCUの他の諸国から畏敬の感情が増えたのもドナウ関係者は察しており、国威向上の目的通りとなって喜悦を覚えながら、だからこそ舵取り等で大コケでもしたら歴史に残る大恥となると兜の緒を引き締めた。

561: 霧の咆哮 :2020/12/30(水) 22:34:42 HOST:KD106181172203.au-net.ne.jp
 名実共にドナウが列強に高らかに返り咲いた象徴となる彼女は、艦名は折角の機会ということで国民から募集したら凄まじいほどの案が集まり、担当者達が頑張って良さげな候補を見繕い、厳選を重ねた末に『ドナウ・シンフォニー級(ドナウの交響曲の意味。略称ではDS級)』と名付けられた。
 戦艦どころか軍艦全体としても珍しい音楽関係の用語が使われてるので、後に世界で最も優雅な艦名の戦艦として有名になった。
 採用理由としてはドナウ・デア・グロッセのようなただの国名由来だけでなく、偉大なドナウの威光そのままを背負わせると、もしもの事態で沈んだ際の衝撃や抵抗感が増す問題を指摘されただけでなく、シンフォニーも混ぜることで音楽大国ドナウの歴史と文化を表現するのと、知的な響きが良く他の軍艦名の例的にもこの方向性が珍しいので新鮮さが出てたといった意見が挙げられたらしい。
 他の有力な案としては、かつてオーストリア海軍が保有していた弩級戦艦であるフィリブス・ウニティス(力を合わせて)や、その後継艦にして自国初の超弩級戦艦に名付けられる筈であったエルザッツ・モナルヒ。
 ドナウ・デア・ブラウ(青きドナウ)やドナウ・デア・グロッセ(大いなるドナウ)といった名も発表され、それらの内どれかが新型軽空母及び、その次世代の空母(2030年代に完成予定)の名前として採用された。
 次世代空母も軽空母のままか、中型正規空母になるかはまだ未定だが。

 後に『第二次大戦艦時代』や『大戦艦祭り(ビッグ・バトルシップ・カーニバル)』とも称された1連の軍拡を〆る最後の乙女がこうして大海原に進出した。
 彼女の完成以降、これまでのビッグ7からビッグ8やエイトシスターズ(8人の大戦艦姉妹な意味)、エイトスターズ(それぞれが国を代表する星であり、シスターズとも語呂を合わせている)とも呼ばれるようになったとかなんとか。

 小ネタ的なエピソードだが、DS級の案はウィーン在住のとある兄弟が2人で考えた物であり、ご家庭にはドナウ連邦海軍のトップからの採用おめでとうの祝辞とドナウ・シンフォニーの艦影が刻まれた特別な金属レリーフが贈呈され、子々孫々に渡って大事にされる家宝となったとか。
 また、兄弟の将来にも影響を与え努力を重ねた末に兄はDS級の搭乗員に、弟は軍楽隊として観艦式等で演奏を披露する立場にと立派に成長したという。

562: 霧の咆哮 :2020/12/30(水) 22:37:07 HOST:KD106181172203.au-net.ne.jp
※1
名付けられるなら1番艦はメーヴェ、2番艦はぺーリカーン、3番艦はユーピター。

※2
戦時中運用した和製カサブランカ級相当である大鷹型航空母艦を許可を得てコピーし、改良した艦艇。
空母部隊としての運用習熟は戦時中手に入れた護衛空母で済ませてはいても、こちらも自国での国産空母の建造経験を積む為の試験艦の側面も強かった。
50年代か60年代に就役し、その後90年代に退役予定。
後半はヘリ空母や練習艦としての役目も多かったと思われる。
艦名は就役数にもよるが1番艦はザルツブルク、2番艦はブダペスト。


以上。
ウィキ掲載はご自由に。

後書き
ドナウ連邦が新型戦艦を配備するパターンではどんな流れになるのか、その経緯をふわっとした文面だが何とかしてみた。
DS級はスペック的には準同型艦だけあり、既存のBM級を参照してもらいたい。
現代時にはドナウが中型正規空母を日蘭本編世界では2隻運用するとのことで、それならいきなり中型空母を自力で建造か購入するより前に軽空母や護衛空母で経験積んでるよなと思い、戦時中に日本から護衛空母購入してることにしたり、戦後に自力で軽空母の建造技術を得てることにした。もし、問題があったらごめん。
現代頃や次世代の方の空母の方の艦名は、自分でこれだ、と当て嵌まらなくて決められなかった。
映画とかの出演においては栄誉ある自国の大戦艦とはいえ、リシュリューやPOWほど熟成した信仰や熱意を受け続けたわけではないので、よほど酷い扱いにしない限りどんな扱いでもあくまで娯楽作品は娯楽作品と割り切られている。

563: 霧の咆哮 :2020/12/30(水) 22:37:54 HOST:KD106181172203.au-net.ne.jp
おまけで艦娘としてのこのIF世界のDSのイメージ。

  • 容姿は赤髪ツインテールのドリルヘアー(ガルパンのアンチョビと同じような髪型)で、民族の多様性を表したのか瞳も紫と蒼のオッドアイとで3色豊か。
「オーホッホッホ!」みたいな高笑いが似合うお嬢様みたいな顔立ちやドレス姿ベースで、実際相応にプライドも高いが食べ物の好みや趣味はお嬢様らしいのだけでなく、庶民的な物も好む。
これは一度没落しかけた影響を表しているが、ギャップがあって親しみ易さと人気を高めている。
但し音楽関係への、特にクラシックへの情熱と技量は自身の艦名に用いられてるだけありガチ。
  • スタイル的には所謂合法ロリ巨乳体系。
  • 手持ち武装では片刃がギガギザ状になった双剣を構えており、合体させて大鋏モードと大剣モードに移行できる。
その武器特性上、商品化するなら固定フィギュアよりアクションフィギュアの方が向く。
最初はこんな武器が彼女にしっくりくると直感的なイメージだったが、加えてお国柄的に多様な民族や文化を内包するドナウの象徴として、シンプルな手持ち武器よりは変化に富む可変武器=多様性の証みたいに繋がったため。
  • 準同型艦で血縁的には従姉妹と言えるムッソリーニを『お姉様』と慕っている。ムッソリーニ側は嫌ではないけどお姉様扱いはちょっと複雑そうであった。
  • 初期不良が出てた逸話からドジっ子属性もあるが、改装を重ねたら努力で克服したらしい健気さも見える。
  • 戦後世代故に艦隊これくしょんには多分、基本的に参加出来ないが、別の擬人化系ゲームでは戦後大戦艦組は揃ってるだろう。
その際、大戦艦組として最年少かつ排水量も1番小さい(基準排水量が2、3000トンほどムッソリーニより小さい)ゆえに皆の末妹として可愛がられている。
なお、当人としてはOCU陣営側はともかくリシュリューとPOWには対抗意識剥き出しなんだが、向こうからはでかいわんこが威嚇してるような、舐めてるわけではないが愛らしさも強い感じ。
  • 衣装グラバリエーションで着物を着たり髪型変えると印象がかなり変わる。水着のデザインは恥ずかしがりながらも結構大胆な物を選ぶタイプ。

自分で纏めて起きながらなんだが、POWもDSの個性も濃いなぁ・・・

564: 霧の咆哮 :2020/12/30(水) 22:39:31 HOST:KD106181172203.au-net.ne.jp
あ、投下の時は上げるんでした・・・(うっかり)

というわけで、DS級こと多分例を見ないだろう、ドナウ(オーストリア)最大の戦艦であるドナウ・シンフォニー級の誕生でした

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最終更新:2020年12月31日 13:52