769: 635 :2021/01/01(金) 21:55:03 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島 ネタ 託す言の葉、返す言の葉


まだ平成の御代のある年の歌会始の儀、
前年のティエルクマスカ銀河連合へ加盟と神崎島の帰属を記念し連合各国関係者や
ティ連で育ち始めた歌人と神崎島の歌人達も招かれいつになく盛大に開かれることとなった。
また両政府関係者も招かれティ連からはマリヘイル・ティラ・ズーサ連合議長、サイヴァル・ダァント・シーズイゼイラ星間共和国議長、
ヴェルデオ・バウルーサ・ヴェマヤルバーン州知事が招かれ、
神崎島からは神崎博之提督と妻を代表し戦艦と空母から神崎大和と神崎赤城が招かれた。

そして注目すべきは神崎島の歌人達だろう。
大正、昭和の歌人達はもとより結核で倒れた明治の歌人までいたのだから。
そして此度のお題は「天」である。


順番が回りフェルの番が来た。
緊張しているようだがそんなこと関係なく歌が詠まれていく。


天津宙(あまつそら)
始祖の旅路を
辿りては
我が出会うは
華麗なる人


カレーと華麗を掛けてるのかと柏木は思った。
そして始祖ナヨクァラグヤの旅路を辿いその果に出会った日本人が華麗であると感じたのだろうと。
柏木はなんとなくこそばゆく感じる。
そして次は柏木の番だ。


百年の
海と千歳の
天を超え
我ら集いて
日のもと歌う


フェルは自分達ティエルクマスカと神崎島を歌ったのだと感じた。
百年の海(実際はそこまでいってないが)を超えて帰ってきた艦娘と千年の宇宙を超えてやって来た自分達が同じニホン、
エルバイラの前で歌を詠み上げる。
なんて素敵なことだろうとフェルは思った。


粛々と歌会始の儀が進行していく中、異例ではあるが陛下自らが歌を詠み上げられることとなり会場はざわついた。
それも題を外れた詠み人知らずの歌をである。

770: 635 :2021/01/01(金) 21:56:51 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


永久(とこしえ)の
重浪(しきなみ)越えし
常世君(とこよきみ)
鳥船(とりふね)乗りて
八洲(やしま)守らん


妣國(ははくに)に
在りし我が身が
託せしは
滄海原(あおうなばら)を
君が治めし


会場が静まり返る。
ティエルクマスカの面々を始め会場の多くの者は頭に疑問符を浮かべる。
しかし幾人かの者は察した。
そして今度はそれらに対する返歌を大和と赤城が粛々と歌い上げる。


菊薫る
日差す水面の
眞鐵(まがね)の子
城となりては
八洲守らん


天下去り
一と集いし
大洋(わたつみ)の
龍(たつ)は滄海(あおうみ)
永久(とわ)に治めん


歌会始の儀が終わり帰宅した自宅でフェルは柏木に質問する。


「マサトサン、エルバイラとヤマトサン達が詠んだ歌は何なんデショウ?」


さて説明しても良いがどうしたものかと柏木は悩む。
恐らくあれは名も出すことも許されぬ方々の歌だろう。
自分の推測を話すのは簡単だ。
しかしそれで良いのだろうか?


「フェル、自分で考えてみな。」

「何でデスカ?マサトサン。」


フェルがブスーと頬を膨らませる。
それに苦笑いをしながら柏木は言う。
詠んだ人の気持ちになって考えるのも歌の醍醐味、それもまた発達過程の一端だと。


「ヒントぐらい下サイヨ…。」

「フェルあの歌はね。生まれても会うことを許されなかった家族に
心苦しくも全てを託さざるを得なかい方々の歌と託された方の返歌なんだよ…。」


これ以上は自分で考えてと柏木は悲しげに笑った。

771: 635 :2021/01/01(金) 22:03:29 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
以下ざっくりとした解説

永久(とこしえ)の
重浪(しきなみ)越えし
常世君(とこよきみ)
鳥船(とりふね)乗りて
八洲(やしま)守らん


私が好んだ永遠に続く常世からの重なり続ける波を超えて帰ってきた常世の貴方、
どうか貴方が乗せられた空を飛ぶという鳥船に乗って日本を守って下さい


妣國(ははくに)に
在りし我が身が
託せしは
滄海原(あおうなばら)を
君が治めし


母のいる根の国いる私が貴方に託すのは私が治めろと言われた青い海をどうか貴方が治めて欲しいということです


上の歌への返歌

菊薫る
日差す水面の
眞鐵(まがね)の子
城となりては
八洲守らん

菊水作戦を超え、菊の薫りがして日が差す日本の水面にいる眞鐵を纏う私の子が城となって日本を守るでしょう


下の歌への返歌

天下去り
一と集いし
大洋(わたつみ)の
龍(たつ)は滄海(あおうみ)
永久(とわ)に治めん


天一号作戦の後、現世を去って再び一つの旗の下に集った大洋の龍達が青い海を永遠に治めていくでしょう

776: 635 :2021/01/01(金) 22:59:16 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
細かい解説が必要ならば上げましょう。

初めが永久の重波~から始まる歌は天照大神が詠んだ歌になります。
天照大神が現在の伊勢神宮の地に鎮まる際に巫女である倭姫に伊勢の国は常世からのいくつもの波が帰ってくる国で良い所だからここに鎮まるとおっしゃいました。
そこから天照大神は常世からの波を好んだということにしています。
そして鳥船はまたの名を天鳥船神はこの歌では空を飛ぶ船、即ち航海神である恵比寿神たる蛭子神の力の及ぶ宇宙船でありますが、
またの名を鳥之石楠船神といい日本書紀では伊邪那岐命と伊邪那美命が蛭子神を乗せて流した船とされています。

そして次の妣國に在りし我が身が~は素戔嗚命が詠んだ歌になります。
素戔嗚命は最初に伊邪那岐命から滄海原、海を治めるように言われましたが母に会いたいと泣き叫び役目を放棄してしまいました。
その後素戔嗚命は奇稲田姫との結婚を経て大国主命等国津神の始祖となりますが後に妣國、
即ち母である伊邪那美命のいる根の国である死者の国の神となります。
それ故に海を治める最高位の神は不在のままです。
綿津見神の存在や月夜見命が治めているという話もありますがここでは除外します。

そしてそれぞれの歌は天照大神は日本を守ることを素戔嗚命は自分の放棄しした海を治めることを蛭子神に願うという歌でもあります。
現在現世に干渉可能で最も高位の神は天津神、国津神とも言い難い存在ですが
神産みはおろか国産みより古く神代七代最後の二神の最初の子にして最後の独神の可能性もある蛭子神しかいません。
会ったこともない長子である蛭子神に託すしかないのです。
それに蛭子神は海の宮(なか)の長でもあり天照大神の直系である建礼門院の子を受け入れ、
二柱の子孫たる子らを妖精として常世に受け入れてくれたのですから。

またこれらの歌は蛭子神へ託すが主旨でありますが、自らの子孫でもある英霊たる妖精達にもこれらを託しています。


これらの歌への返歌である二つの歌は蛭子神による歌になります。
歌には

『菊』薫る日差す『水』面の

『天』下去り『一』と集いし

のように大日本帝国最後の反攻作戦である菊水と天一号の文字を使ってその後の時代についての話しであることを示し
それらを超え現世へ戻ってきた存在即ち艦娘と妖精達自身が自分に頼まずとも必ずやこの国を守り海を治めると二柱に伝えているという内容です。

また歌の一部に軍艦行進曲の歌詞を引用しています。

眞鐵の子→眞鐵のその艦
城となりては→浮かべる城
大洋の龍は→煙は大洋の龍かととばかり

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最終更新:2021年01月04日 15:37