787: 635 :2021/01/02(土) 16:57:04 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその十六
後に御大等によりパットン超戦車軍団の通称を与えられることになる機甲部隊、
同じくロッテルダム要塞と呼ばれることになる防御陣地群によりロッテルダム市街戦の勝敗は決した。
ロッテルダムに残るはドイツによりナチズムのテロリストとして見捨てられた憂国騎士団の残存部隊だけであった。
それらに対して神崎島は避難民の収容完了まで容赦ない掃討戦を行った。
「ひいい!た、助けっ!?」
「自分達が行った所業を他所に命乞いとは些か都合が良すぎるのでは?それに命乞いにも作法というものがあるでしょう…。」
冷たい美貌から放たれるのはセメントという言葉より遥かに辛辣な言葉、それだけ怒りを覚えているのだ。
残党が散らばり過ぎたために避難民の護衛を除き、掃討戦には神崎島より避難民への世話の為に派遣された提督付侍女中隊や
日本での演劇上演を急遽中止し緊急招集された花組と呼ばれる陸軍ロボットスーツ特殊部隊すら投入された。
侍女服の下に薄手繊維型のロボットスーツを纏い個人用シールドを装備した侍女が手にしたブレードを振るう度に鮮血が中を舞う。
しかしシールドにより侍女服が血に染まることはない。
侍女の目に路地に潜んでいた歩兵戦闘車が目に入る。
「歩兵戦闘車…CV9035ですか。オランダの国籍マークの上にペンキで鉄十字塗っただけとは些か困窮し過ぎでは?では真宮寺様お願いします。」
『彼ら使える物は全て使うのでしょう。鹿角さんどいて下さい。』
CV9035歩兵戦闘車が出てきて兵士達は勝った気になり、美女である侍女に仕返ししようと下卑た顔をする。
しかし侍女の後ろより桜色の大型ロボットスーツが姿を現すと顔色を変えた。
顔に当たる部分のモノアイが光り獲物を捉える。
15式重機動甲冑『王武』と名付けられたそのロボットスーツは片腕のM61ガトリング砲がカラカラと回転させ始め、
兵士たちを瞬時に物言わぬ肉塊に変えた。
歩兵戦闘車は肩の重ロボットスーツ用液体装薬式88mm高速砲の放つタンタル製APFSDSにより直に燃えないゴミと化す。
最早ロボットスーツというより小型戦車と言って良い火力である。
ミンチに成らずに済み逃げようとする者もいたが他の侍女の持つ12.7mm口径弾を使用する16式小銃により撃ち抜かれた。
同様の光景はロッテルダム各地で見られた。
ドイツ兵達が何処に逃げようとも上空のヴェルメやロボットスーツのセンサーにより逃げ切ることなど出来はしない。
建物に逃げ込めば10式戦車や王武により榴弾が打ち込まれ、下水や地下室に逃げ込めばサーモバリックグレネードが放り込まれる。
助かったのは早々に武器を捨て白旗を上げた者達ぐらいだ。
それらもドイツ軍に引き渡すので明日の日の目を見ることはないだろうが。
「さて私で最後ですか…」
夕日に染まるロッテルダムの港で最後の避難民を乗せる為に最後まで残っていた春日丸が呟く。
この任務を終えれば客船春日丸としての仕事は終わり航空母艦大鷹へと再度改装され空母としての日々を送ることになる。
人々を運ぶ客船としての穏やかな日々が続かぬことに一抹の寂しさを感じるがそれも日本に軍靴の足音が近づいているためだ。
「はぁはぁ待って下さい!!」
若い女性が息を切らせ春日丸の停泊する埠頭へと駆け込んでくる。
その手に何人もの幼い子供を連れて。
春日丸は女性を安心させるように話しかけた。
788: 635 :2021/01/02(土) 16:59:15 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「大丈夫、貴女方の乗船が終わるまで出発はしませんから。」
そして子供達は貴女の子かと問えば涙を浮かべながら首を振った。
女性、まだ10代も前半の少女はまだハイスクールの学生ですらなく、
着の身着のまま故郷を焼け出されて家族とも離れ離れになりながら噂を頼りに命からがらこのロッテルダムも来たそうだ。
その途中何人もの人々から幼い子供を託されて。
その少女を春日丸は優しく抱きしめる。
人の暖かさに少女は安心して涙を流し何度も子供達を見捨てようとしたと泣きながら謝罪する。
少女に春日丸はそれは凄いことだと言う。
キョトンとする少女に言う戦場で自分以外の為に力を割ける者は軍人ですら多くはないと。
「何度も見捨てようとしながら子供達の手を決して離さなかった貴女を私は尊敬します。」
少女は春日丸に抱き着きまた泣き始めた。
最後の乗客である少女と子供達を乗せ終えるとタラップが上げられる。
そのタラップを名残惜しそうに見つめる避難民達。
「出港!」
春日丸の号令と共に汽笛が鳴り響きオランダを出る最後の船がロッテルダムの港より離れ始める。
多くの人々が甲板に出て離れ行く欧州の大地を涙を流しながら見つめる。
故郷を焼かれた男、家族と離れ離れになった少女、祖国を守れなかった兵士。
皆遠く離れ行く故郷を最後に瞼に焼き付けていた。
去り行く欧州の大地に別れを告げるように汽笛が夕焼けの空に再度鳴り響く。
そして船は寄る辺なき人々を乗せ大きなうねりが生まれつつある北海の海を渡ってゆく。
789: 635 :2021/01/02(土) 17:00:15 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
短い…(´・ω・`)
最終更新:2021年01月04日 15:39