926: 635 :2021/01/05(火) 17:15:50 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその十六.五
艦娘に助けられた少女の日記
1日目
私達姉妹はお父さんお母さんと離れ離れになってしまった。
人間とは思えないくらい綺麗な人に助けれて何とかロッテルダムに着いた私達は船でオランダを脱出しイギリスへと渡った。
私達を助けてくれた人、シャルンホルストさんは船の中で簡素だけど温かいスープと焼立ててのパンをみんなにくれた。
お腹が減っていた妹はもっと欲しいとせがんだ。
私もお腹いっぱい食べたかったけど私は我慢しなさい言ったら私のお腹はグーとなった。
シャルンホルストさんはクスクス笑いながらお腹いっぱいになるまでお代わりしていいですよと言ってくれた。
妹はおいしいおいしいと何度もお代わりをした。
お腹いっぱい食べた焼き立てのパンは少ししょっぱかった。
2日目
船で一晩過ごしイギリスに着いた私達は宿舎に入れられ順番にお医者様の検査を受けた。
今まで食事も衛生環境も良くなかったから病気になっていないか調べてくれるらしい。
血液や体内の検査もしたが注射や医療器具を使わず機械で光を当てられただけだった。
ニホンに来た異星人の技術でこれで本当に健康かどうか分かるらしい。
すごいなあ。
3日目
私達ヨーロッパを脱出した人達を住まわせる場所に船で移動させると係の人から通達があった。
今後ドイツに近いイギリスは戦争の危険があり、土地も少ないので私達を住まわせられないらしい。
何処の国に行くのかは教えて貰えなかった。
私達は言ってみれば難民だ。
難民、その言葉で浮かぶのはシリアとか中東の難民キャンプだ。
あんな劣悪な環境な場所に行くことはないと思いたい…。
4日目
私達はイギリスの港で再びオランダを脱出した時の船に乗り込んだ。
助けてくれたシャルンホルストさんの姿が船の乗員の中に見えたので私も妹も安心した。
驚いたことにシャルンホルストはこの船の船長であるそうだ。
しかし船員達は皆シャルンホルストさんを軍艦のように艦長と呼ぶ。
どういうことだろう?
5日目
イギリスを出港して1日が過ぎた。
ヨーロッパから遠ざかり西を目指しているのを見るとアメリカ大陸に向かっているのだろうか?
確かに
アメリカなら土地には困らないだろう。
でもアメリカって危険な場所も多いと聞くけど大丈夫かなあ?
6日目
船は大きな嵐に遭遇した。
今まで生きてきた中で一度も経験したことないくらいの嵐だ。
でも船が大きく揺れても船の中は穏やかな海を進む時と変わらない。
シャルンホルストさんが説明してくれたけど重力制御とシールド技術というので船と船内を嵐から守っているらしい。
7日目
今日も嵐が続いていたけど途中でいきなり嵐が途切れた。
船内放送でデッキに出ても良いというアナウンスが流れた。
妹とデッキに出ると穏やかな風が吹き、暖かな太陽が降り注いでいた。
船の周りを見渡すと雲が壁のように船の周りを囲んでいた。
多分あの雲が抜けて来た嵐でここは台風の目のような場所なのだろう。
大きな声で妹に呼ばれ一緒に甲板から船の下を下ろすと遠くに海面が見えた。
呆然としていると影が私達を覆い見上げれば大地が空に浮かんでいた。
927: 635 :2021/01/05(火) 17:17:38 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
客船シャルンホルスト内に客船娘シャルンホルストの声でアナウンスが流れる。
『Aufmerksamkeit bitte(アテンションプリーズ)。本船、客船シャルンホルストは現在高度200メートルを航行中。
これよりさらに高度を上げますので皆様甲板より身を乗り出さないようお願いします。』
避難民達は皆呆然としている。
理解出来ていないという感じだ。
『上昇します。上昇まで5秒、4秒、3、2、1、上昇開始。上昇。』
シャルンホルストはただ淡々と状況を読み上げる。
『高度1000メートル…。』
アナウンスから流れるシャルンホルストの声が現在の高度だろう数字を読み上げる。
現在甲板から下を見下せば凄まじい勢いで遠ざかる海面が見えただろう。
『高度2500…高度3000…高度3500…。』
一際厚い雲に船は突入する。
しばし雲の中を進むと急に雲が途切れた。
空に浮かぶ大地、故郷を追われた人々にとって神の御業とも言える存在が目に入る。
シャルンホルストは人々の未来を思い、ただ一言願いをそっと呟いた。
『ハレルヤ(皆様に幸福のあらんことを)。』
928: 635 :2021/01/05(火) 17:20:57 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
空に大地が浮かんでいた。
船内に流れたいたBGMはいつの間にかAmazing Graceへと代わり人々は自然と歌い出した。
人々が賛美歌を歌う中、豊かな自然の広がる大地、その上を船は浮かびながら進んでいく。
緑が大地を多い、幾つもの川が流れ美しい光景を作り上げる。
草原ではライオンが狩りをし、バイソンが群れを作り大地を駆けていた。
白い鳥達が人々を出迎えるかのように船を掠めて飛び去る。
そんな自然豊かな空の大地を過ぎるとまた別の大地が人々の目を出迎える。
かつての帝政ローマやギリシャの神殿を思わせる様な荘厳な建物が立ち並び人々が見たこともない多くの飛行機械が飛び交う。
『皆様長旅大変お疲れ様でした。本船は間もなく旅の最終目的地である【浮遊大陸中央管理都市アトランティス】へと到着致します。
お手元のお荷物等お忘れものがないかしっかりご確認下さい。』
シャルンホルストは一呼吸置き空に浮かぶ大地の名を人々に告げる。
『ようこそ【浮遊大陸アトランティス】へ。』
8日目
私達ヨーロッパを脱出した人達はシャルンホルストさんに導かれてようやく安住の地に辿り着いた。
豊かな自然があって住む場所にも食べるものにも困らない場所。
どの国の人でも差別されなくて肌の色で自分達は被害者だったと威張る人も女性らしくなんてダメって言う人もいない場所。
それからお父さんもお母さんも助けられてここに連れてきてもらっていた。
妹と一緒に二人に抱きついてたくさん泣いた。
二人もシャルンホルストさんの仲間に助けられたそうだ。
そうそう忘れちゃいけないことがあった。
『アトランティス』
それが空に浮かぶ私達の新しい故郷の名前だ。
929: 635 :2021/01/05(火) 17:27:06 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
浮遊大陸アトランティス
アトランティスは北大西洋到達不能極点に存在する神崎島が用意した浮遊大陸である。
場所が大西洋だったので安易に名前は大西洋に存在したとされる架空の大陸から取られた。
元々は神崎島近海にて島の時空の歪みを利用した時間加速を用いたテラフォーミング用動植物育成実験及び管理用の浮遊大陸である。
ドイツによるヨーロッパ侵攻に際してヨーロッパ戦線の後方基地と避難民の受け入れ先として転用が決定、現在の位置へ移動。
浮遊大陸の存在は探知偽装により感知不可能であり、基地型深海棲艦の発生させる嵐と空間障壁により外部からの侵入を防いでいる。
実験用浮遊大陸は人の手が入る前ののヨーロッパの自然を再現しティ連のバイオテクノロジーを用いて復元されたヨーロッパライオン等の絶滅種、
ヨーロッパバイソン等の絶滅危惧種が数多く生息している。
テラフォーミング後に現実世界換算で1000年以上の時間が経過し独自の生態系を構築している。
アトランティスを構成する浮遊大陸内では最大サイズで北海道と同程度の面積を持つ。
管理用浮遊大陸には浮遊大陸管理及び動植物研究施設を有する都市が存在。
後に避難民受け入れの為に大改修の際にちょび髭な建築家と深海提督に似た容姿の建築家のコンペが行われ後者が勝利、
21世紀のフォロ・ロマーノやギリシャ神殿群とでも形容すべき荘厳な都市と化した。
その大地の管理体制はイゼイラ等ティエルクマスカ諸国を手本に旧満州国官僚と旧ドイツ国家社会主義ドイツ労働者党の官僚が総力を結集し構築をした。
如何なる差別も偏見も許さず、人々が飢えることもなく努力すれば努力しただけ報われる社会、故に避難民達はこの大地をこう呼ぶ『Outer Eden』と。
930: 635 :2021/01/05(火) 17:30:54 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
避難民「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!国を追われたと思ったら天国に招かれた。頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと素晴らしいいものの片鱗を味わったぜ…。」
最終更新:2021年01月09日 18:33