980: 194 :2021/01/05(火) 22:40:30 HOST:ai126215166020.78.access-internet.ne.jp
短編ネタ 現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件 番外編その37 竹島沖にて生まれし者 その1
※グロテスクな表現等が含まれます。苦手な人は、ご注意下さい。
それは、後世にて「竹島沖の悲劇」と呼ばれる事となる、キムチ共がやらかした蛮行が発生してしまったその日にまで遡る。
疎開する子供達を乗せた大型フェリー「第一竹島丸」は、二隻の駆逐艦「たかなみ」「まきなみ」の護衛の下、鳥取県境港市へと向かっていた。
超大陸化の結果一般人が居住する様になった竹島と鳥取県の境港市の間には、フェリーによる定期便が運航されており、彼等はその便に乗り合わせていた。
既に一度、竹島近海が戦場になったという事も有り、念の為にと国防海軍が二隻の駆逐艦を護衛に寄こしており、普段とは違う物々しい雰囲気となっていたが、子供達は怖がる事も無く、
寧ろ本物の軍艦を前に、タラップにて歓声を上げていた程だった。だが・・・・・。
突如二隻の駆逐艦が増速すると共に、レーザーCIWSを稼働させて迎撃戦闘を始めたのだ。少しして、ミサイルが爆発する轟音が響き渡る。
その様子に子供達は動揺し、一部では泣き出す子供も出始めている。パニック寸前な状態だ。
その中の一人、疎開する小学三年生の一人「牧川 真奈美」(まきかわ まなみ)は内心怖い思いがこみ上げて切るのを必死に抑えながら、泣き出した下級生の子を懸命にあやしていた。
真奈美「大丈夫。海軍の人達が、私達を守ってくれるから」
友達達と共に、そう言って下級生の子達を安心させようとする真奈美。その時、もう一発のハープーンが推進器を破壊されながらもこちらに向かって滑空してくるのがはっきりと見えた。
どこか、映画のワンシーンを見る様な感じで、言葉を発する事すら出来ずに見つめる真奈美。次の瞬間、爆発と轟音・爆風と衝撃で真奈美は意識を失った。
どれ位時が経ったのだろう?・・・身を切り裂く様な激しい痛みと共に、真奈美は奇跡的に意識を取り戻した。
真奈美「・・・まだ、生きてる・・・?」
グラグラする頭でそんな事を思いながら、首を横に向ける真奈美。その視界に飛び込んできたのは・・・・・
ついさっきまで、自分と共に下級生の子達を懸命にあやしていた、友達の頭だった。首から下は・・・・・どこにも見当たらない。
真奈美「ヒッ!!!」
思わず悲鳴を上げる真奈美。他に首を向けると、同級生や下級生「だった」物が辺り一帯に散らばっている。
まさに地獄絵図。その恐ろしい光景に、思わず逃げ出そうとする真奈美。だが、体が言う事を聞かない。
真奈美「・・・・・え!?」
その段階になって、漸く自分の体を見る。腰から下が綺麗に無くなっており、内臓が飛び出ていた。
その有様を見て、急激に体温が下がっていくのを自覚する真奈美。失血性ショックで、彼女の命の灯は急速に消え去ろうとしていた。
嫌だ・・・イヤダ・・・死にたくない・・・・・シニタクナイ・・・・・
何故?・・・ナゼ、ワタシタチガコンナメニ・・・・・?ナニモ、ワルイコトナンテシテイナイノニ・・・・・
お父さん・・・お母さん・・・お姉ちゃん・・・モウイチド、アイタイノニ・・・・・・・
シニタクナイ・・・・・シニタクナイ・・・・・シニタクナイ・・・・・
981: 194 :2021/01/05(火) 22:41:00 HOST:ai126215166020.78.access-internet.ne.jp
薄れゆく意識の中、本能のままに願う真奈美。
彼女の眼の光が無くなり、今まさに命の灯が消えようとしたその時、何処かから声が聞こえて来た。
???「力が欲しいのかい?」
真奈美「・・・・・え!?」
気が付くと、真奈美は何もない白い空間に居た。無くなった筈の下半身は、何事も無かったかのように綺麗に戻っている。
訳も分からず、混乱する真奈美。すると、先程聞こえて来た声がまた響き渡って来た。
???「はじめまして、真奈美ちゃん」
真奈美「・・・誰?どこに居るの?」
???「私は、日本の神に連なる者。死者達を安寧の地へと、いざなう者。名前は無い」
真奈美「・・・・・死神さん?」
???「・・・・・そういう、マイナスイメージの有る者では無いのだがね?」
真奈美「あっ、えっと・・・ごめんなさい」
???「・・・まぁいい。とにかく、私は君の魂をここに呼んだ訳だ。それを分かって欲しい」
真奈美「は、はい・・・・・。そ、それより皆は?下級生の子達は?」
???「・・・残念ながら」
真奈美「そんな・・・・・」
分かってはいたものの、改めて突き付けられた悲しい現実に、思わず涙する真奈美。
???「・・・この子達の魂は、責任をもって安寧の地へと導く。それは信じて欲しい」
真奈美「・・・・・はい」
???「さて、君を呼んだのは他でもない。この後の君の行く道を問いたいのだ」
真奈美「・・・行く道?」
???「・・・簡単には信じて貰えないだろうが、君の魂に特別な資質が有るのだよ」
真奈美「資質?」
???「とても興味深い資質を持っていたのでね。調べさせて貰った結果、ある適性が有る事が分かったんだ」
真奈美「・・・何なんですか、その適正って?」
???「神崎島や艦娘、深海棲艦の事は知ってるかな?」
真奈美「は、はい。ニュースやネットとかでよく見るので」
???「ズバリ言おう。君には、深海棲艦としての高い適性が有るのだ」
真奈美「・・・・・は、はい?」
982: 194 :2021/01/05(火) 22:41:31 HOST:ai126215166020.78.access-internet.ne.jp
余りにも突拍子の無い言葉に、思わず面食らう真奈美。
それはそうだ。いきなり人ならざる者の適性が有ると聞かされて、「はい。そうですか」と素直に返せる人間はいない。
真奈美「え、えーと・・・・・そこは『艦娘の適性がある』とかじゃ無いんですか?」
???「残念ながら、艦娘に空きが無いのだよ。更に言うと、その方向の適性は壊滅的なまでに無いのだよ」
真奈美「(´・ω・`)」
???「とまぁ、何故こんな事を聞くかというと、普通の魂なら無条件で安寧の地へと導くのだが・・・何かしらの適性持ちの場合は、どうするのかを確認しているのだよ」
真奈美「そうなんですか?」
???「勿論、適性が有るからと言って強制はしない。最後は、本人の意思が大事だからね」
真奈美「成程」
???「それにだ・・・。今回の場合は、デメリットも大きいからね」
真奈美「デメリット?」
???「そう。今回の場合は、当然ながら人ならざる者と化す。その結果、安寧の地に入る事が出来なくなる上に、輪廻転生も出来なくなる。何より、死ぬ事が出来なくなる」
真奈美「安寧の地や輪廻転生はともかく、死ぬ事が出来ないというのがデメリット?」
死の恐怖を実感した彼女からしたら、それがデメリットに思えないのだろう。
そこに潜むデメリットを、かの者は分かりやすく説明する。
???「よく考えて欲しい。周りの親しい人達が老いて死んでいく中、自分自身は姿が変わる事も無く一人取り残されていく。その孤独に、君は耐えられるかい?」
真奈美「・・・・・」
大好きなお父さんやお母さん、お姉ちゃんが死んでいく中、姿も変わらずに独りぼっち。
その事を想像して、思わず身震いする真奈美。
???「・・・少しは理解出来た様だね。更に言うと、家族と再会出来る可能性は限りなく低いし、一緒に暮らすのはまず不可能だ。何せ、人ならざる者となってしまうのだから」
真奈美「・・・・・」
???「とはいえ、決まりでも有るから一応知らせている訳だ。さて、それ等を踏まえて真奈美ちゃんに聞きたい。この後、どうするかを」
真奈美「・・・どうするかを?」
???「一つは、このまま他の友達達と共に安寧の地に行くか。もう一つは・・・深海棲艦と化して、力を得て君達をこの様な目に合わせた連中に復讐するか」
真奈美「・・・・・」
???「・・・あくまで個人的な意見だが、このまま何も聞かなかった事として安寧の地へと向かって欲しいとは思う。もう一つの道は、まごう事無き修羅の道だ」
???「救いが齎される可能性は限りなく低く、間違い無くその両手は血に塗れる。一般的な良識を持つ私としては、そういう悲しい道へと進んで欲しくない」
真奈美「・・・・・」
???「だが、最後はやはり本人の意思が大事なのだ。こればかりは、私は勿論神であっても絶対に侵す事の出来ない領域だ。さて・・・・・君はどちらの道を行くのかな?」
真奈美「・・・・・私は」
983: 194 :2021/01/05(火) 22:42:12 HOST:ai126215166020.78.access-internet.ne.jp
彼女の脳裏に浮かぶ光景。それは、ミサイルの直撃後に見たあの凄惨な地獄絵図。
仲の良かった友達が、必死に宥めていた下級生の子達が、自分達が慕っていた先生が、バラバラの状態で息絶えているあの悪夢その物の光景を。
真奈美は・・・・・それを許す事が出来なかった。
何もしていない自分達を惨たらしく虐殺した奴等を、真奈美は絶対に許したくはなかった。
束の間の葛藤の末に、彼女は決断した。
真奈美「・・・・・私は、私達をあんな目に遭わせた連中を許せない。許したくない!!」
???「・・・・・」
真奈美「プロ野球選手になるんだといって毎日練習に励んでた子も、先生と同じ教師になるんだって瞳を輝かせながら語っていた子も、私達の事をいつも心配していた先生も、皆死んだ!!」
真奈美「皆があんな酷い形で死んだのに!!そんな酷い事を平然と行った奴等を、私は許したくなんてない!!」
真奈美「私は・・・・・・・例え自分がどうなろうと、皆の無念を少しでも晴らしたい!!その為なら!!深海棲艦だろうが何だろうが、なってみせる!!そして、皆の無念を晴らす!!」
???「・・・・・・・そうか」
どこか悲しそうに呟くかの者。だが、真奈美の決意は覆りそうも無かった。
???「分かった、君の望みを叶えよう。ただし、これだけは忘れないで欲しい。どうか、無差別の復讐だけは絶対にしない様にな」
真奈美「無差別の復讐?」
???「そうだ。その様な事をすれば、君達を殺した連中と同じ所にまで墜ちてしまう。そうなったら最後、未来永劫誰からも救済されないばかりか、畜生以下の存在へとなって果てるだろう」
真奈美「・・・今一つ、よく分からない」
???「いずれ分かる等と悠長な事は言わない。今ここで誓って欲しい。関係の無い人達を殺める事は、絶対にしないと」
真奈美「・・・私が望むのは、私達を殺した連中とその仲間への復讐。何の関係の無い人達まで殺める事は、絶対にしないと誓います!!」
???「よく決意してくれた。では、君の魂を現世へと戻す事にしよう。君の運命に、少しでも安寧の有らん事を」
その声を最後に、真奈美の意識は再び遠くなっていった。
そして、再びあの場所に戻った真奈美。
彼女の周りに散らばる死体が何かの力で引き寄せられ、真奈美の体へと融合していく。
肌は雪を連想する真っ白な色へと変貌し、瞳は血の様な紅さへと変わっていく・・・。
人から深海棲艦へと変貌した彼女は、フェリー沈没のどさくさに紛れて深い海の底へと消えていった。
この後、かの半島南部日本海沿いの町で凄惨な変死事件が頻発する事となる。
言うまでも無いだろう。それは、深海棲艦と化した真奈美・・・・・いや、深海竹島棲姫の仕業だった事が知れ渡るのは、戦争が終結して三年程経った日の事であった。
984: 194 :2021/01/05(火) 22:42:43 HOST:ai126215166020.78.access-internet.ne.jp
以上です。と言う訳で、深海竹島棲姫の誕生秘話でした。
何とも暗い話となってしまいましたが、誕生の経緯を考えるとやむを得ない状態でした。
そして名無しなかの者ですが、特に細かい設定は無かったり(ヲイ)。近似値で言うなら・・・・・黄泉津大神辺りが近いのかな?(あまり詳しい訳ではないので、違うかもしれませんが)
なお、真奈美改め深海竹島棲姫の方もまだ設定が固まって無かったり(汗)。その辺りも今後書けていけたらと思います。
なおやらかす現場が日本海側限定なのは、単純に彼女の力の源が竹島近海で死んだ日本人達(李承晩ラインとかいう妄言で殺された漁師とかも含む)という関係上、力を及ぼせる範囲が
日本海沿岸までと限られているからです。その辺は、やはり子供故という事で。
次回ですが・・・・・なかなかにスプラッタな有様と化します(滝汗)。耐性が無い方はご注意を。後で文句を言われても、対応とかは出来ませんので。
この様な作品ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
wiki掲載は、自由です。
23: 194 :2021/01/06(水) 18:31:12 HOST:ai126215166020.78.access-internet.ne.jp
ナンバリングを間違えてたので、修正要請をorz
- 誤 短編ネタ 現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件 番外編その36 竹島沖にて生まれし者 その1
↓
- 正 短編ネタ 現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件 番外編その37 竹島沖にて生まれし者 その1
wiki掲載時に、修正をお願いします。
最終更新:2021年01月09日 18:46