279: 635 :2021/01/10(日) 09:43:31 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島? ネタ サセボ異界紀行四冊目


朝になったようで起きると布団で寝ていた。
誰かが寝室に放り込み布団で寝かせてくれたようだ。
昨日はファーダ柏木のヤケ酒に付き合って以降の記憶がない。
隣ではファーダがいびきかきながら眠っていた。
エスと弟は起きたのかもういない。


「ううう朝か…って誰!?」


ファーダ柏木が起きた。
起きた直後は驚いた顔するが意識が鮮明になると「ああ昨日の…」と思い出したようだ。
着ていた海軍の制服は上着は脱がされハンガーに掛けてあった。
スラックスはそのままだからしわくちゃだ。
制服を脱ぐとゼルクォートでズボンプレッサーとスチーマーを造成し上着とスラックスのシワを伸ばす。
ファーダは「そんな使い方もあるか…」と感心しているがこういった身の回りの生活用品の造成が基本である。
そうこうしていると淹れたてのコーヒーとパンの焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
ファーダはくんくんと匂い嗅ぐ。


「ん?なんかいい匂いが?」


別の服を造成し、ファーダ柏木と連れ立ってダイニングキッチンへ行くと香りがより一層強くなる。
香りの元のダイニングキッチンへと入るとエプロンを着てロングヘアを纏めたファーダリシュリューがいた。
オーブンからミトンを付けパンを取り出している所だ。
どうもクロワッサンを焼いていたようである。
ファーダコンゴウは我々の分と思しきイングリッシュ・ブレックファストを作っていた。

そしてフリンゼとファーダムツ、エスはコーヒーを飲み、
フリシアヒメカはクロワッサンに齧り付き、
エスの弟とファーダナヨはファーダコンゴウが淹れたであろう紅茶を飲んでいた。


「あら、ようやく起きたのね?Bonjour、もう食べ始めてるわよ。二人共cafeでいいかしら?」

「私は紅茶をオススメしマース。」

「…クロワッサン焼いてのは私よ?ここはcafeで行くべきでしょう、Rosbif(イギリス人)。」

「Non、Non。私はGF Flagship(連合艦隊旗艦)という血統書付の日本艦(IJN)デース。訂正を要求しマース!」


ファーダリシュリューとファーダコンゴウが火花散らす。
ファーダ柏木がハラハラしているがこの程度はじゃれ合いの範疇である。

280: 635 :2021/01/10(日) 09:44:21 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


「いただき『ピンポーン』…なんだよ全く…。はいはーいっと。」

『うーっす。柏木起きてるか?』

「あんだよ白木にオーちゃんか。」


食事を始めようとするとインターホンが鳴った。
ファーダ柏木が出るとケラー白木とケラー大見、所謂突撃ドゥス三羽烏が映る。
他にも何名かいるようだが。
すると今度は画面にFFR海軍の士官制服を着た人物が映る。


『私もいるぞカシワギ。』

「あんだよ白木、ジョルジュもいんのかよ?」

『あんだじゃねーぜ。今日も朝から俺ら専任チームで捜索や対策会議するって話しだったじゃねーか。』

「ああー…そうだったな。ちょっと待て確認取るから。」

『あんだよ。朝飯中だったか?そりゃ悪かった。』


ファーダ柏木は我々の元へ来ると小声でファーダリシュリュー達に話しかけた。


「(俺の個人的な友人で今は大使館付の武官扱いで連絡員やってんのも来たんですけど上げて大丈夫ですかね?)」

「(Monsieur問題ないわ。遅かれ早かれFFRとの接触は必要だったのだから。それとその人物は信用出来るの?)」

「(それは間違いなく。奴はリシュリューの乗員です。リシュリューの為ならば上へも口を噤むでしょう。)」

「(Es-tu fou(正気なの)?)」

「(というか何処でFFRの海軍士官と繋がり持ったデース?)」

「(それはおいおい…。)」


ファーダ柏木の発言にファーダリシュリューは戦慄していた。
そしてファーダ柏木はインターホンへと再び向かう。


「待たせたな、白木。」

『いやぜんぜん。で入って大丈夫か?』

「構わんぞ。だが腰抜かすなよ?」

『どういうこった?』


悪い笑みを浮かべたファーダ柏木は部屋へ入ることを許可する。
不審げな顔をしたケラー白木達はインターホンの画面から消えた。
ファーダリシュリューの口がラテン語の成句を紡ぐ。


「Alea iacta est…。」

「リシュリューサン、なんデスカそれ?」

「Rubiconを渡るって事デース。」

「???」


フリンゼの頭には疑問符が大量に浮かんでいた。

281: 635 :2021/01/10(日) 09:45:09 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

ダイニングキッチンに入ってくるとケラー白木達は固まりながら指でファーダリシュリュー達を指差しワナワナと震える。
最初に動いたのはファーダ柏木にジョルジュと呼ばれた士官だった。


「Notre Commandant(我らが指揮官)!?カシワギ!何故我らが女神(リシュリュー)がここにあらせられる!答えろ!!」

「ちょ!?ジョルジュ落ち着け!」


ジョルジュという士官がファーダに掴み掛かるりファーダを持ち上げた
ファーダは苦しそうに藻掻く。
そこへファーダリシュリューがつかつかと歩いていくとケラージョルジュの口にクロワッサンを突っ込みファーダ柏木を解放した。


「モガっ!?」

「貴方も戦艦リシュリューの乗員ならば落ち着きなさい。リシュリューの名を汚すことになるわよ?」


ケラージョルジュはクロワッサンを突っ込まれ目を白黒させたがファーダリシュリューの言葉にコクコクと頷いた。
しかししっかりクロワッサンは食べるのだな…。




「大体のことは分かった。しかし、平行世界とはな…。」


落ち着きを取り戻しファーダ柏木から説明を受けたケラージョルジュは腕を組みながら複雑な表情でファーダリシュリューを見つめる。
ファーダリシュリューはコーヒーを淹れながら話す。


「そうよ。私は平行世界の日本に帰属する神崎島の戦艦リシュリュー。残念だけど貴方達のリシュリュー(女神)ではないわ。」

「日本のリシュリュー…しかも結婚している…。しかし我らが指揮官が幸せであるのならば…。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び…。」

「ジョルジュー!?お前の所の女神じゃねえって言ってんだろ!?」


ファーダ柏木のツッコミが冴え、何やらケラージョルジュは変な方向へ進みつつあるようだ。
そこへファーダリシュリューがコーヒーを渡す。


「貴方、cafeでも飲んで落ち着きなさい。」

「おぉ、まさか我らが指揮官手ずからのcafeを賜る栄誉を頂けるとは…」

「フフ、FFRの人で私のcafeを飲むのは貴方が初めてよ?」


まるで国宝でも扱うかのようにコーヒーを受け取るケラージョルジュ。
一口飲むと息を吐いた。


「そちらの歴史も分かりました、Notre Commandant(我らが指揮官)。
しかし貴女を解体するとは向こう側のフランスは!!「はい、arretez(ストップ)」」

「あの時代向こう側のフランスは私を維持する余裕なんてなかったのよ?それに航空主兵論が幅を効かせてたものしょうがないわ。」


向こう側のフランスの戦艦リシュリューへの行いに激高するケラージョルジュの口をファーダは止めた。
そしてフランスを恨んでないと言う、但しリベラルが蔓延しているのは頂けないけどと付け加えた。


「やはり世界は違えど我らが指揮官だ、慈悲深い。そして危険思想の蔓延については完全に同意します。
こちらでそのような思想があればFFR、OCU問わず我々は即刻対処するでしょう。それよりも…。」

282: 635 :2021/01/10(日) 09:46:53 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

ケラージョルジュは再度息を吐き、再び声を荒げる。
今度はファーダリシュリューも止めはしない。


「真に唾棄はそのような思想を蔓延させているセクト(中華)の傀儡達だ!!
そして世界は違えど我らが女神たるリシュリューを処刑せよだと!?セクト共巫山戯るなよ!!!」


ハアハアと息を吐くケラージョルジュ、ファーダ柏木達もこれについては同意見のようだ。
ケラーが落ち着いたのを見計らいファーダリシュリューは声を掛ける。


「少し協力して貰えるかしら?Monsieurジョルジュ?」

「それはFFR、延いては我らが指揮官(戦艦リシュリュー)に害を成すことでしょうか?」


いいえ、とファーダリシュリューは首を振る。


「これはFFR、フランス連邦共和国総旗艦にして総指揮官たる戦艦リシュリューから、
神崎島鎮守府海軍連合艦隊の戦艦にして海軍中将たる私、艦娘リシュリューへの正式な依頼よ。
そして貴方にとっては正式な文章に残せないけどFFR総旗艦からの最優先命令になるわ。」

「貴女はリシュリュー(我らが指揮官)と話が出来るのですか!?」


ええと答えるファーダリシュリューにケラージョルジュは衝撃を受けた。
そしてファーダはFFR総旗艦からの命令を伝える。
その言葉にケラージョルジュは弾かれたように敬礼し答えた。


「『発:フランス連邦共和国総指揮官戦艦リシュリュー、宛ジョルジュ・ド・ジェゴフ、フランス連邦共和国海軍大尉。
艦娘リシュリューに協力しフランス連邦共和国と大日本帝国の戦争、延いては第三次世界大戦の勃発を阻止せよ。』――以上、復唱!!」

「Oui、Notre Commandant!復唱!『艦娘リシュリューに協力しフランス連邦共和国と大日本帝国の戦争、
延いては第三次世界大戦の勃発を阻止せよ。』!!」







とそこまでは格好良かったのだがケラージョルジュのお腹が鳴り総てが台無しになる。
クスクスと笑うファーダリシュリューと照れながら頭を掻くケラー。


「Monsieurは朝食はまだかしら?」

「お恥ずかしながら寝るまで貴女をずっと捜索していたので昨晩から何も食べていません…。」

「フフフ、もし良ければ私の焼いたクロワッサンが残っているけど?」

「!!!是非に!!ああ、我らがリシュリューよ感謝します!世界は違えど貴女の手料理を食べられるとは!!」


先程ケラーの口に突っ込まれたクロワッサンもファーダが焼いたものなのだが…。

283: 635 :2021/01/10(日) 09:48:13 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2021年01月14日 23:39