384: 635 :2021/01/12(火) 17:46:24 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその十八



黎明の海に八一の旗を掲げた船が沈みゆく。
和弓を持ち銀の髪を海風に流す女性が冷たい瞳でそれを見つめていた。
周囲には同様に沈む船や黒煙を上げる船があり。ある船は白旗を上げ武装解除されていた。


「翔鶴姉、そっちは終わった?」

「ええ瑞鶴終わったわ。」


女性、翔鶴は瑞鶴の問に答えた。
遠くには大和や榛名、伊勢達に加えホーネットやコロラド等米艦娘の姿も見える。
しかしながら最近では珍しく全員が軍艦の身体を出していない。


轟音


その音に翔鶴が空を見上げれば航空自衛隊のF-15とF-2と翔鶴達の艦載機が暁の空舞っていた。
しかし艦載機を急いで装備し出撃した関係でF/A-18やらティ連技術マシマシなF-3とかヤル研のVFな救世主やらMSZ、
ティ連のフォーラやらヴァズラー(オリジナル)やらズイウーンやらと節操がない。
見上げたまま翔鶴は呟く。


「因果なものね…。」

「翔鶴姉?」

「一航戦も二航戦の先輩方もいない中で敵の侵攻から守るため、
私達が大和さんや矢矧さん達だけじゃなくて榛名さんや伊勢さん、高雄さん達と一緒に『ここ』にいるなんて…。」


それも十分な艦載機の補充や基地航空隊の支援を受けた上でと付け加える。



戦艦大和を旗艦とする翔鶴達第一遊撃部第一航空戦隊、彼女たちは沖縄にいた。




韓国による対馬侵攻直後、第三国を通じた複数の外交ルートで中華人民共和国の一部より接触があった。
そしてある情報が齎された。


『人民解放軍海軍、沖縄へ侵攻の可能性大』


この大変な時にと切れる日本政府と神崎島鎮守府であった。
しかしその情報を齎した人物を知り少しは冷静さを取り戻した。
軍部による政権掌握により行方不明になっていた張徳懐前国家主席、その人であった。
最早バーサーカーと化している独韓と違い交渉出来る相手がまだいるというのは大きかった。

向こうも向こうで何とか生き残っていた穏健派の努力で瀬戸際外交程度になんとか抑えていたが、
独韓の暴走で日本陣営と激突確定で穏健派が顔を青くしてどうにか張前国家主席を救出した。

報を受け対馬への対応に追われ動けない海上自衛隊に代わり動ける艦娘達が南西諸島へ緊急展開をした。
そして人民解放軍を迎え撃ったのであるが人民解放軍を待っていたのは一方的な戦闘であった。


艦艇ではなく艦娘としての姿のみで戦闘を行った翔鶴達。
水上を30ノット以上で高速航行する人サイズの軍用艦艇、しかも最低でも1万トン級駆逐艦相当の防御力を有し、
さらにシールドや探知偽装した艦娘を撃沈する術などある筈もなく総て撃沈若しくは無効化された。
そして現在作戦は終了した。

撃沈した艦艇はともかく無効化した艦艇の乗員については海上保安庁に任せて今後は補給後に対馬へ向かう予定だったのだが…。



「嫌あああああアアアアア"ア"ア"ア"ッ―――――――――っ!!?」



悲鳴が響き渡った。

385: 635 :2021/01/12(火) 17:48:22 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

時間は少々戻り場面は九州の陸上自衛隊司令部に移る。

合衆国海兵隊と共に対馬へ上陸した陸上自衛隊は戦局を有利に進めていた。
各地から報告が続々上がるがどれも日本側が有利であるという報告しか存在しない。
これでは弱い者いじめでしかない、負けることなど決してないだろう。
だからこそ自衛官達は怒りを感じていた。

日本という国家の体制と自衛隊という防衛組織の有り様に。
今回の出撃すら政治屋がゴネて時間が掛かったのだ。
結局出撃出来たのはあの虐殺が発覚してからだ。


日本が専守防衛でなければ領海に入った時点で韓国を排除出来た。

日本があのアホな市民団体や政治家に好き勝手やらせてなければ陸自は動けた。

政府に自衛隊を即動かせればあの虐殺を防げた。


たらればなど今更な話しであるが…。


本土で指揮を取る司令官の手からは握りしめ過ぎたのか赤いものが滴り落ちる。
そうしていると海自からの通信が入る。


「海自より入電!対馬の制海権を奪還!」

「本当か!?」


良いニュースに司令部が湧く。


「後もう少しだ!!みんな気張れ!!」

「「「了解!!」」」


司令のが員を叱咤激励する。
だが…。


「!?なんだ海自との通信が不良!?」

「どうした?」

「いえ…突然電波状態が悪くなったのか通信が繋がりにくくなっています。」

「…何があった?」

「将補、もしや電波妨害もしくはEMP攻撃では?」


司令官の脳裏に不安が過る。
そして今度は偵察を終え奪還した対馬南部へ帰還中の部隊から通信が入る。
慌てた通信員は司令部に音声を流すスイッチを押してしまった。


『こちら第七偵察小隊!!ちくしょう!韓国のやつら核を使いやがった!!』

「え…あ…え?核?」

『核兵器だ!核兵器!広島や長崎に落とされたのと同じ原子爆弾だ!!』


全員が唖然となるが司令官はいち早く動揺から復帰した。


「対馬へ展開中の全部隊に通達!対NBC戦用意!」

「え?は、はい全部隊対NBC戦用意!繰り返す対NBC戦用意!」


司令部がにわかに忙しくなった。
司令官はモニターに映る対馬を睨んだ。

386: 635 :2021/01/12(火) 17:49:04 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

通信を終えた偵察部隊の自衛官達は空を睨む。
空には禍々しい灰色のキノコ雲が浮かぶ。
その手に装着したPVMCGが大量の放射線を検知していた。


「お願いだ!行かせてくれ!!」

「待て!あそこは核が使われたんだぞ!?」


同行していた海兵隊員が悲鳴を上げる。


「あそこには対馬空港には空軍にいる弟がいるんだ!!」




日本本土に残り、金剛と共に対馬奪還へ出撃した戦艦陸奥は奪還された厳原港の沖合にいた。
これより避難民を乗せた民間船舶と海自、海保の船を本土まで護衛するためだ。

艦橋にいた陸奥はハッとして厳原港の方を向き防御シールドの展開を命じる。


「シールド制御室!全てのシールド最大展開し他の船舶を防御!本艦のシールドも回して!!」

『しかし!?』

「ああ、もう!制御こちらに回して!!シールド最大展開!!」


艦内全ての制御を奪い自身でシールドを民間船や海保の船を守るように展開する。
自身の艦娘としての加護も全て他の船舶を守ることに回した。
その刹那、強烈な爆風と熱波、そして『あしきもの』が陸奥を襲う。


「!?あああぁぁぁぁあああああアアアアア"ア"ア"ア"ッ―――――――――っ!!?」




「嫌あああああアアアアア"ア"ア"ア"ッ―――――――――っ!!?」


突如として空気を切り裂き沖縄の海に響き渡る悲鳴


「What's!?どうしたのサラ!?」

「サラ!?」


その悲鳴の主はサラトガであった。
イントレピッドやホーネットが焦ったように声を掛ける。
抱えていた航空甲板型の艤装を落とし、喉が裂けんばかりに絶叫する。
アイオワや大和周囲の艦娘達も何事かとサラトガの元へと来る。


サラトガに流れ込む悲鳴、悲嘆、憎悪、憤怒、呪詛。
溶け、朽ちる身体、壊れ、堕ちていく魂、
焼けた大地、灰色の空。
絶望の火がキエナイ


絶叫するサラトガに何も出来ずオロオロする他の艦娘達。
他の者にはその時間が長く感じられる程絶叫し続けるサラトガ。
そして絶叫が止むと身体を崩し海面に倒れ込んだ。
しかし海面に叩きつけられる直前アイオワが間一髪抱き止める。


「サラトガさん!」

「サラ一体どうしたの!?」


「ああ…大和さん、アイオワ…。」


心配そうに覗き込む大和とアイオワを虚ろな目で見つめるサラトガ。


「核が…核がツシマで使われました…。」


「「「「「 !? 」」」」」


「それも…クロスロードはおろか…ヒロシマのリトルボーイや…ナガサキのファットマンなんて比較にならない程…禍々…しい…………。」


「サラ!?サラ!?」

387: 635 :2021/01/12(火) 17:52:22 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp



「あああぁぁぁぁあああああアアアアア"ア"ア"ア"ッ―――――――――っ!!?」


核爆発より他の者達を守る陸奥を侵すあしきもの、呪詛と流れ込むソレの記憶、
人同士を殺し合わせその血を持って蠱毒と成す。
その蠱毒に呪物を浸し、プルトニウムの中に埋め込まれる呪物。

呪詛は陸奥の身体中に回り、陸奥の周囲の人や船も侵さんとするも。


「ア"ア"ア"ア"ッ――!うぐぅっ!!私の…長門型の…装甲は!…伊達じゃないのよっ!!!」


今では人々の信仰を集めるまでになった艦娘の、
かつて南洋に生み出された人工の太陽にさえ耐えた長門型の装甲の加護は周囲の船と陸奥に乗る人々を守りきった。


「か、艦長!?肌が!!」


しかしその代償、
焼け焦げた艦娘の装甲服、そしてそこかしこが深海棲艦の様に黒ずんでいる。
そして陸奥の玉の様だった肌は焼け爛れていた。
顔も深海海月姫の様に半分爛れている。


「大丈夫…よ。これくらい…高速修復剤ですぐ治るわ…。」


そんなことどうでも良いと言うように陸奥は対馬の、その先の朝鮮半島をに睨む。
子を奪われた鬼子母神の如く、烈火の如き憤怒の表情をする。


「貴様ら…この国の人間を、日本人を呪詛の材料に使ったなぁあああっ!!?」



対馬で二発使用された核兵器の正体、
それは独国や韓国に残った、或いは第三国で拉致した日本人千人を犠牲とした対艦娘用呪詛兵器であった。

千人を殺し合わせ、最後まで生き残った者に九九九人の日本人の呪詛に染まった肉を食わせ、血を飲ませる。
最後には殺しその血を蠱毒と成し、呪物とするモノを蠱毒に浸し呪物とする。
そして呪物は核兵器のプルトニウムに埋め込まれた。

呪具を埋め込んだプルトニウムを法儀礼済み爆縮レンズでプルトニウムの圧縮と共に呪詛を収束、
再度の蠱毒化の上、法儀礼済み中性子反射体による呪詛の反射により再収束と再度の蠱毒化を繰り返し呪詛核爆発を引き起こす。
それが穢れた太陽の正体である。

そして使用された呪物、それは島根県安来市比婆山の墳墓や同松江市神納山、鳥取県日南町御墓山等
より盗掘された人骨と思われるモノ。

388: 635 :2021/01/12(火) 17:52:52 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2021年01月14日 23:40