879: 635 :2021/01/19(火) 16:39:50 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行五冊目
私、そしてファーダコンゴウとリシュリューを乗せたFFR軍用車両がファーダ柏木の仮宿を離れ一路サセボ港の戦艦リシュリューの元へと向かっていた。
運転するのはケラージョルジュだ。日本でも使用可能な免許をもっているらしい。
ちなみに私は助手席、ファーダコンゴウ達が後部座席だ。
何故我々が戦艦リシュリューへ向かっているか。
それは戦艦リシュリューからの緊急連絡が理由だ。
発:戦艦リシュリュー
宛:艦娘リシュリュー
FFRは我々の通信を把握、暗号化された通信内容を解析のため本国とサセボ鎮守府へ送付せり。
またこの件について私が怒りを覚えていると誤認、
我が艦長が私に対し自身の独断と懺悔し『vin』の準備を始めた、至急対応を求む。
私はこの程度のことで『vin』を使用し彼がオセアンの下へと転属することを望まない。
FFR関係者初接触の後に戦艦リシュリューより至急電があった。
FFRが良くモールス信号に気づいたと感心する反面、神崎島の我々は『ワイン』とはなんのことだと疑問顔であった。
対して顔を青くしたのがファーダ柏木達であった。
特にケラージョルジュの表情は真っ青であり倒れかけた所をファーダリシュリューに支えられた。
「も、申し訳ありません。我らが指揮官…。」
「私は貴方達のリシュリューじゃないんだけど…その様子だを『vin』が何か知っているのね?」
「はい…恐らくは『転属チケット』のことでしょう…。」
ケラージョルジュ曰く現世の指揮官たるリシュリューの下を離れ、幽世の指揮官たるオセアンの下へと転属するためのもの。
早い話が自裁用の薬物だそうだ。
ファーダリシュリュー達の通信を独断で他の者の所へ送付したことで戦艦リシュリューが激怒すると思っているらしい。
いや通信内容が我々が平行宇宙から来ただの、第三次世界大戦止めてくれだの、降臨したらFFR国民に死者が出るだの、
と漏れても我々にとっては問題ないことしかないのだが…こちら側については知らん。
それで自裁しようとしているのは戦艦リシュリューは悲しむだろう。
親の心子知らずとはこのことか、どちらにしても止めなければならない。
そして深々と土下座するケラージョルジュ。
「お願いです、Notre Commandant!どうか艦長の転属を止め、FFR国民の心に安寧を齎すためその姿を国民に顕わして下さい!
その姿を顕わすことで世界に混乱を齎すことを避けたいお気持ちは重々承知しています。
ですがFFR全国民は貴方が目の前で去られたことで我らが指揮官に見捨てられたのではないかと不安を抱いております。」
「立ちなさいMonsieurジョルジュ、説明してくれるわね…。」
「はい…。」
この世界に降り立ち、戦艦リシュリューの前で我々は混乱を避けるために離脱したがFFRの者は愕然としたそうだ。
我らが指揮官が何故自分達から逃げるのかと、自分達は女神リシュリューの失望を買うようなことをしたのではないかと。
実際は隔意もなにもないのだが人による受け取り方の違いというのは難しい。
そんな訳で現在のFFRは親に見捨てられた子供の心境であるとケラ―ジョルジュは言う。
「先に行っておくわねMonsieur。戦艦リシュリューが自分から貴方達の元を離れることはない、彼女はそう言っています。」
「本当ですか!?」
ファーダリシュリューの言葉を両手を握り祈り跪いて聞くケラー。
形だけ見れば神の託宣を聞く男性といった感じであるが…、
実際はマンションの一室でエプロンを着た女性の言葉を跪いて聞く軍人というなんとも凄まじい絵面であった。
「みんな聞いて私はこの世界のリシュリューの名代として戦艦リシュリューを訪れます。」
全員の前でファーダリシュリューは宣言した。
その言葉に喜ぶケラージョルジュ、しかしとファーダ柏木は言う。
「FFRはそれで良いだろうけどこっち(日本)やティ連はどーすんだ?」
「日本は私、陸奥が行くわ。金剛は説明のためにリシュリューに同行して?」
「オッケーネ。」
「どうせならば同時に訪れ混乱を最短で終わらせましょう。ティ連にはヒメカを連れて妾が行きましょう。平行宇宙の証拠となるでしょうし。」
880: 635 :2021/01/19(火) 16:41:05 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
ファーダ柏木の問にファーダコンゴウやナヨが答える。
そこへケラー白木が提案する。
「柏木、どうせなら全部に接触したあと日ティ仏で共同首脳会議しようぜ。認識のすり合わせが必要だろ?
ジョルジュさんそこら辺の調整お願いしても大丈夫か?」
「Notre Commandantの最優先命令もある。可能な限り全力を尽くそう。」
「うし!じゃあ始めるか!」
おっと戦艦リシュリューを訪れるなら一芝居のため協力をお願いしないと…。
「ファーダ柏木にケラージョルジュ、FFRの車両、出来れば最高級車か軍用車両用意出来ますか?」
「すまない、車両はここにはない。柏木は?」
「あん?FFRの軍用車両ならどうにかなるが?」
「「「(何故に?)」」」
「アア、マサトサンのイケナイコレクションデータのことデスネ。確か各国の軍用車両の造成データもあったハズ。」
「柏木!?」
「ジョルジュ落ち着けって!?」
最新兵器のデータが抜かれたと思ったのだろうか?
「ファーダ、出来れば装甲戦闘車両ではなく軍で一般的な人員輸送車両でお願いします。」
「何でだ?行くなら最新型の装甲車とかの方が見栄えが「柏木!?いつデータ取った!?」」
「FFRの車両でFFRの軍人に先導され艦娘リシュリューが戦艦リシュリューへ向かうことが大事なのです。
厳しい武装など必要ありません。むしろ邪魔です、我らは戦争に行くのではないのですから。」
そんな訳でで我々はファーダリシュリューがハイクァーンで造成したFFR各軍で一般的な人員輸送用車両に乗っている。
ナンバーはヤルバーンで使用されている造成車両用ナンバーをフリンゼ権限で持ってきて使用している。
私は神崎島鎮守府海軍の正装、ケラ―ジョルジュはファーダに造成した頂いたFFR海軍の正装を身に纏う。
ファーダコンゴウとファーダリシュリューは勿論常在戦場の心構え、艦娘の装甲服である。
「このような粗野な車両で申し訳ありませんNotre Commandant。
柏木も我が国のそれこそ大統領専用車のデータを持っていれば良いのに…。」
「構わないわMonsieur。FFRの車両で行くという事実が大事なのよ。それに質実剛健、機能美に溢れ悪くないじゃない。」
「悪くないヨ。島で使ってる車両と比べても遜色ないデース。」
「お褒め預かり恐縮です。この車両に携わる者も軍もそのお言葉を聞けばそのままオセアンの指揮下に入ってしまうでしょう。」
日本で言えば天にも昇る気持ちという意味のFFRの言い回しなのだろう。
このような所でも世界の違いを感じて面白い。
そして戦艦リシュリューの停泊する埠頭へと続く道、混乱を避けるため日本政府により急いで作られたフェンスとゲートが見えてきた。
ゲートとフェンス周辺には多くの人だかりがある。
恐らくは艦娘が見られるかもと集まっているのだろう。
ゲートの守衛のFFR軍人、恐らくは臨時陸戦隊とサセボ鎮守府より派遣されった日本海軍の陸戦隊と思しき軍人がやってくる。
日本人が窓を叩きケラーは窓を開ける。
881: 635 :2021/01/19(火) 16:41:36 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「所属と名前、目的をお願いします。」
「戦艦リシュリュー乗員、FFR海軍大尉のジョルジュ・ド・ジェゴフだ。
大日本帝国ティ連担当大臣柏木真人大臣と同行中、艦長及びFFR本国に報告すべき事態が発生したので戻ってきた。」
「隣のイゼイラ人は?」
「それも報告すべきことだ。このことは日本の柏木大臣もフェルフェリア副大臣も承知している。」
訝しげ視線を向ける日本人にどうもと会釈をする。
スモークが掛けられた助手席側の後部座席を無遠慮に覗こうとするFFR軍人、一瞬ケラーが激怒仕掛ける。
しかし涼やかな声がそれを静止する。
「Monsieur、窓を少し開けて頂戴。」
「Oui!」
ケラージョルジュが開いた窓を覗き込み固まるFFR軍人、その目には女神が如き微笑を浮かべるファーダリシュリューが映る、
反対側からは日本人が覗き込みにこやかな笑顔で手を振るファーダコンゴウを見て固まった。
ファーダリシュリューは涼やかに言う。
「通っても良いかしら?Monsieur?」
「は、はい!どうぞNotre Commandant!おい日本人、お通してもいいな!?」
「あ、ああ。」
「開門!開門!我らが指揮官がいらっしゃった!FFRの旗の下へ帰ってきて下さったぞ!!」
大声でファーダリシュリューが帰還したと喜びの声を上げるFFR軍人。
その声に周囲は大騒ぎとなり車両を覗き込もうとするがFFR軍人の声を聞き出てきたFFRと日本の陸戦隊により阻止される。
そんな混乱を後眼に我々は戦艦リシュリューの元へと進む。
882: 635 :2021/01/19(火) 16:43:11 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
FFRの視点
一台のFFR標準軍用車両が戦艦リシュリューの停泊する埠頭をそのまま進む。
そして戦艦リシュリューのタラップの目の前に堂々と横付けしフランス連邦共和国海軍正装を纏う士官が降りてくる。
それを見ていた甲板や埠頭で作業や警備に当たる軍人達はFFR軍人としてあるまじき行為と憤る。
我らが指揮官の前に堂々と車を横付けするとは何事かと、だがそれも正装を着た士官が車両の助手席側の後部ドアを開けるまでだ。
開けられたドアより白と黒、所謂ダズル迷彩の舵を模した靴、
同じダズル迷彩の白地に黒のラインが入ったニーソックスの履く羚羊のような脚が姿を現す。
座席より立ち上がるその人物は肩を出した白黒のダズル迷彩チューブトップワンピースを着、
首元には赤ラインにダズル迷彩の長いロングマフラー、そして頭には少々大きめな水平帽Bachiを被る。
左腕に巻いた自由・平等・博愛を示す三色のバンダナ、その色は彼女が守るべき理想である。
プラチナブロンドの長髪を腰まで伸ばし、
その瞳は冷たい金眼であるがその中には確かな暖かさが見える瀟洒にして玲瓏な美女。
それは彼らフランス連邦共和国国民が切望する存在、もう戻らないかと諦めかけた人物。
軍人達が呆然とする中に正装を着た士官が列強の一員たるフランス連邦共和国海軍軍人の模範の如く"彼女"を先導する。
正装纏う士官に先導され"彼女"があるべき場所へとタラップを登る。
後に続く者の姿は目に入っていない。
その都合の良すぎる状況を軍人達はみな夢ではないかと疑った。
しかし、その艶やかな唇から天上の歌の如きFrancais(フランス語)が紡がれる。
「通して貰えるかしら?」
「へ?」
「御命令だ。扉を開けろ。」
「う、Oui!!」
戦艦リシュリュー内部への扉を守る守衛は鯱張って敬礼をしながら水密扉を開ける。
そして埠頭や甲板にいる軍人達を"彼女"は見渡し、
「皆さんご苦労さま。」
その一言を残し"彼女"は戦艦リシュリューの中へと消えて行く。
「夢じゃないよな…。」
「俺は確かに声を聞いたぞ…。」
「私たちにご苦労さまと声を掛けて下さったわ…。」
その後野太い声や黄色い声の混じった歓声が爆発、誰かが国歌を歌い出し、
それが自然と全員に広まり、戦艦リシュリューの甲板にはフランス連邦共和国国歌の合唱が木霊した。
883: 635 :2021/01/19(火) 16:44:23 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
戦艦リシュリューの中を正装の士官に先導され"彼女"が行く。
"彼女"はすれ違う軍人達一人一人に丁寧に敬礼をしすれ違う。
軍人達はまず皆目を疑い、遅れ慌てて敬礼を返す。
この艦に"彼女"があらせられるその意味を認識出来ぬ不心得者などいない。
「!?」
普通の60代に見える軍人、この艦の機関長は通路から出ると倒れ込んだ。
"彼女"を突然直視してしまったからだ。
「機関長大丈夫か!?」
「大丈夫かしら?」
「だ、大丈夫です!?ああ!?私などの手を握ると油で汚れてしまいます!!」
機関長は敬愛すべき"彼女"に起こされ恐縮しついで自身の手の油と汚れまみれの荒れた手で"彼女"の肌が汚れるのを心配する。
「貴方のこの手はこの艦の心臓を長年守り続けた働き者の手、この艦はそんな乗組員の手が大好きよ。」
手を取りながら言われた"彼女"の言葉に泣き出す機関長。
機関長を起こすと士官に先導され"彼女"はその場を後にする。
その場にいた軍人達は"彼女"が見えなくなっても敬礼を続けていた。
戦艦リシュリューの艦橋に一人でいた艦長は困惑していた。
他の者は甲板や艦橋の外に出て光学機器で彼女を探していた。
外から響き渡る国歌斉唱、それはいつのまにか艦内中に広がっている。
賛美歌の如く歌われる国歌、艦長はその意味を直に理解する。
「艦長はここにいるのかしら?」
「ここで間違いないかと…。」
後ろから急に声が聞こえビクリとする。
一人は大日本帝国の柏木真人ティ連担当大臣の連絡役の士官の声だ。
もう一人は…。
「貴方が戦艦リシュリューの艦長ね?」
恐る恐る後ろを向く艦長。
そして艦長は国歌が賛美歌の如く歌われた理由を理解し涙を流す。
ああ、『我らが指揮官』は我らを見捨ててなどいなかったのだ。
「はい、その通りです。Notre Commandant(我らが指揮官)、戦艦リシュリュー…!!」
「自己紹介がまだだったわね。私が艦娘リシュリューよ。」
884: 635 :2021/01/19(火) 16:45:11 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ!
885: 635 :2021/01/19(火) 16:58:40 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以前艦娘の誕生花について調べたことがあります、誕生花は複数ありますが。
リシュリューの誕生花は胡蝶蘭、シンビジューム、マーガレット、ナズナ
リシュリューに似合うのは胡蝶蘭ですが花言葉的にはシンビジュームが似合いますな。
そしてFFRのリシュリューにはナズナの花言葉が似合う。
胡蝶蘭:幸福が飛んでくる、純粋な愛
シンビジューム:飾らない心、素朴、高貴な美人、華やかな恋
マーガレット:恋占い、真実の愛、信頼
ナズナ:あなたに私のすべてを捧げます
最終更新:2021年01月19日 19:38