883: 加賀 :2021/01/14(木) 23:08:37 HOST:softbank126159251078.bbtec.net
「敵機直上ォォォォォォォ!! 急降下ァァァァァァァ!!」
「ッ!?」
見張り員の報告に山口は思わず艦橋から出て双眼鏡を上空に向ける。上空では零戦隊の包囲網を抜けたSBD20数機が一斉に急降下をしようとしていた。
「馬鹿な……」
山口の見てる前で20数機のSBD隊は急降下を開始、狙ったのは艦隊から離れていた『飛龍』ではなく『赤城』『蒼龍』『翔鶴』だった。その周囲を対空・対潜ち強化され護衛巡洋艦に改装された『五十鈴』『長良』等が必死に対空砲火を撃ち上げていたがそれを嘲笑うかのようにSBD隊は急降下を続け最適位置で腹に抱えた1000ポンド爆弾を切り離した。
ヒュゥーッと風切り音が鳴り響く、その音は第一航空艦隊の全乗員に聞こえたかのように思える。
一発目、至近で水柱、二発目、これも至近で水柱。そして三発目は『赤城』の中部飛行甲板に突き刺さった。1000ポンド爆弾は待機していた九九式艦爆を叩き割り、一瞬の間を置いてその力を解放した。
刹那、地響きかと思う程であり飛行甲板にいたパイロットや整備員達、艦橋にいた要員達は吹き飛ぶ中部エレベーターを目撃する。中部エレベーターがあった箇所から炎が顔を出す。その炎は断続的に爆発していく。格納庫の床に転がっていた250キロ爆弾や航空魚雷が次々と誘爆したのである。
『赤城』は瞬く間に猛火に包まれた。その光景は『蒼龍』と『翔鶴』も同様だった。『蒼龍』は三発の1000ポンド爆弾を食らった。『翔鶴』は五発の1000ポンド爆弾をまともに食らい、しかも一発は艦橋を破壊し5月に着任したばかりの艦長有馬大佐以下艦橋にいた全員が瞬く間に戦死した。
残ったのは上空が厚い雲に覆われた海上にいた『加賀』と7機のSBDに襲われながらも全弾回避した『瑞鶴』に山口少将が乗艦する『飛龍』だけだった。
(瞬く間に……三隻がやられたか……)
だがそれでもと山口は直ぐに決断し艦橋に戻り発した。
「八戦隊旗艦『利根』に発光信号。『飛龍』の二航戦司令部は健在なり。残存空母と共に全航空機を以て敵艦隊を撃滅する」
そして山口は無電を発信させた。
『我、航空戦ノ指揮ヲ取ル』
「刺し違えてでも一隻は沈める……このままじゃあ帝国海軍は末代まで舐められるぞ!!」
『はいッ!!』
斯くして山口は残存空母を率いてスプルーアンスの機動部隊に決戦を挑むのである。
884: 加賀 :2021/01/14(木) 23:09:48 HOST:softbank126159251078.bbtec.net
先程の御詫びとして『信濃』√のミッドウェー海戦の三空母被弾場面をお送りします。
『翔鶴』の状況が一番ひでぇや……
最終更新:2021年01月19日 20:47