718: ホワイトベアー :2021/02/07(日) 22:46:02 HOST:157-14-177-16.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日米枢軸ルート 外伝 タクール・ガー山頂の戦い1

西暦2008年 グリニッジ標準時11月17日午前1時20分 
アフガニスタン・イスラム首長国 パクティア州 シャヒコト峡谷 タクール・ガー山頂付近 

暗闇が支配する山岳の山頂付近。そこにはヘリコプターだったものとその付近で銃を持ち戦う何人もの戦闘員がおり、銃声と弾頭が織り成す光が暗闇の中で数多く輝いていた。

戦闘員の多くは山頂付近に築かれていた機関銃陣地とその付近に展開しており、ヘリコプターだったものの付近で戦う4人の少女達に容赦なく銃弾を撃ち込む。

少女達も負けじと陣地に向かって銃弾を撃ち込むが、遮蔽物に隠れる戦闘員達に有効打を与えられてはいなかった。


「まるで蜂の巣を叩いたような騒ぎね」

髪をサイドテールで纏めた少女、帝国海軍海兵隊特殊偵察部隊に属する自動人形《フォーファイブ》は岩にその身を隠し、手に持つ65式自動小銃5C型より相対するアルカイダ戦闘員に向け6.2ミリ小銃弾を放ちながらから軽口を叩く。

「軽口を叩く前に敵を叩きなさい。それに、それを言うなら蜂の巣をつついたでしょ」

水色のぱっつんロングストレートで左目の下に涙のようなタトゥーが特徴の少女、《エンハンスド》は呑気なこと言う《フォーファイブ》に突っ込みを入れながらヘリコプターにドアガンとして備えられていた三三式6連装機関銃で応射する。

「けど、確かにこの騒ぎはつついたってレベルじゃないね。だから45姉の言葉もあながち間違えたじゃないかも?」

「確かねぇ~」

明るめの茶髪をツインテールにし、右目にある傷跡が特徴の少女、《ナイン》はヘリコプターの残骸に身を隠しながら応戦しながらこのような悲惨な状況だと言うのに明るげに言い、それに青みがかった白色の髪が特徴の《イレブン》は相槌を打ちながら《フォーファイブ》と共にアルカイダの陣地や戦闘員に容赦のない機銃射撃を加えていく。


「バカな事を言ってるんじゃない!!。ちっ、ドアガンの弾が切れたわ。これ以上、ここに居ても蜂の巣になるかスクラップになるだけね。ナイン、ヘリコプターは放棄してフォーファイブとイレブンに合流するわよ」

「了解!!」

私はドアガンを放棄し、自らの護衛も兼ねて機内に残っていたナインにそう言うとドアガンの付近にアサルトタレットを設置。《ナイン》はタレット設置が終わるまで牽制射撃を加え、私の作業が終わるやいなや機外に向けてスモークグレネードを投擲。煙幕でアルカイダからの視線を遮り、それを合図に《ナイン》と共に《フォーファイブ》および《イレブン》のいる岩場まで走って向かう。

「あら、お早い合流ね。そんなに寂しかったの?」

合流するや否や《フォーファイブ》から軽い皮肉が撃ち込まれるが、今は彼女と皮肉の撃ち合いをする余裕はない。

「ドアガンの弾が切れたからよ。それよりこれからの作戦はあるの?」

「作戦? あるわよ」

「ならもったいぶらずに言いなさい!!」

こんな状況なのにいつものように飄々とした《フォーファイブ》に苛立ちが隠せず、つい怒鳴ってしまう。

「簡単よ。上空の八咫烏のおかげで司令部との通信が回復したの。あと15分でバグラム空軍基地から緊急発進(スクランブル)したフル爆装の猛鷲(※1)がCAS(※2)の為に到着するわ。これを使って奴らの対空機関砲を破壊。破壊を確認した5分以内にレンジャーを中心とした第12緊急展開部隊が搭乗する三ニ式(※3)4機が着陸するわ。故に20分間奴らの攻撃をさばき切る。それが私達の作戦よ」

「そのさばき切る方法を聞いているのよ!!それにCASを行うと言っても、奴らの坑道陣地との距離が近すぎる。生半可な空爆ではダメージは与えられないし、与えられる攻撃を行ったら私達まで巻き添えを食らうわよ。それに、そもそもうちにはJTAC(※4)はもういないじゃない!」

「・・・確か貴女はもともとFO(※5)として活動してたわよね」

「ええ、確かに軍に配備されてから3年ぐらいは第7陸戦師団付砲兵連隊のFOとして働いていたけどそれがなに?」

なぜいまさらそのような昔の事を?まさか!?

「ええ、そのまさかよ」

《フォーファイブ》は美しいがどこか胡散臭い、まるでいたずらを成功させた子供のような笑顔でそう言う。

719: ホワイトベアー :2021/02/07(日) 22:46:56 HOST:157-14-177-16.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
「正気?」

「正気も正気よ。別に何回も爆弾を降らせるわけじゃない。邪魔な対空機関砲を黙らせればいいだけ。私としては私達が生き残る確率がもっとも高い選択のつもりよ」

「わかったわ。やってやるわよ。それで、CASの件はそれでいいとして、どうやってあと15分も時間を稼ぐの?」

「ねえ、知ってる。大和魂があれば大抵何とかなるらしいわよ」

「・・・長い15分になりそうね」





西暦2007年9月11日、イスラム過激派による国際テロネットワーク、通称アルカイダは後に9.11同時多発テロ(※6)と呼ばれる大事件をおこした。


このテロではまずハイジャックした民間航空機による日米国防総省や日本首相官邸、日国会議事堂、日本警視庁本部やホワイトハウス、米連邦議事堂、フーヴァービルなど政治・軍事・治安維持の中枢施設への体当たり攻撃が行われ、両国の混乱のより治安維持が麻痺した瞬間をついて大阪、マンハッタンなど経済的に重要な都市への戦術核兵器による自爆テロが行われてしまう。


これを受けた大日本帝国政府およびアメリカ合衆国政府は直ちに国際連盟安全保障理事会を招集。テロの脅威に対して「あらゆる手段を用いてテロリストを殲滅する」とし、対テロ戦争を目的とした国際連盟軍の編成を認めた安保理決議第2389が採択され、世界大戦後に国連が結成されてから初めて国際連盟軍が正式に編成される。

当然、国際連盟軍の指揮系統は日本とアメリカが牛耳っていたが、少なくない数の欧州連合軍も国連軍に参加していた。その理由は明白で大阪・マンハッタンで使用された核兵器はもともと欧州連合が保有していたものであり、冷戦終結時のゴタゴタで紛失したものであったからだ。


国連軍はテロリスト撲滅を名分としてアルカイダの拠点とされ、同組織の同盟組織であるタリバーンが支配するアフガニスタンに侵攻した国際連盟軍は空挺部隊をもちいたバグラム空軍基地攻略作戦を実施、さら大日本帝国陸軍レンジャー旅団より抽出された1個大隊をカンダハル南西にある簡易飛行場の確保に派遣し、両飛行場を確保し、さらに海上には日米英独ソの5カ国の空母合わせて10隻が展開する事でアフガニスタン全土に圧倒的な空軍力を展開させられた。

圧倒的な空軍力による支援を受けた国連軍は現地の反政府軍と協力してアフガニスタンの首都カブールを攻略、さらにアフガニスタン北部では欧州連合軍を主力とする部隊が、南部からはオスマン帝国軍およびイラン帝国軍を主力とする部隊がタリバーン軍やアルカイダの戦闘部隊を殲滅しながらカブールに向かっており、国連軍によるアフガニスタンの"解放"は着実に進んでいた。

しかし、タリバーンおよびアルカイダの構成員、そして国連軍の戦いに巻き込まれた人々の多くはこの戦いを"聖戦"だと認識していたため、依然として高い士気を維持し、ガルディーズ地方の山岳部地域などにこもり抵抗を継続していた。

これを受けた国際連盟軍は同地のアルカイダ・タリバーン連合軍を空爆でキルゾーンまで追い立て、追い込まれたアルカイダ・タリバーン連合軍を地上部隊で一網打尽にすることを目的とした「正義の鉄槌」作戦を策定する。

だが、3000メートル級の山々が連なり、急峻な地形が支配するこの山岳部で効率的かつ有効的な空爆を長期間行うには高所に観測拠点を設ける必要があり、国連軍軍事参謀委員会および国連軍アフガニスタン総軍司令部はバクラム空軍基地に司令部をおき、ガルディーズ地方での作戦を統括するガルディーズ山岳機動部隊司令部に偵察拠点の確保を命令する。

これを受けたガルディーズ山岳機動部隊司令官本多 忠久中将は複数の偵察隊を山地に送り込み、偵察拠点兼通信中継拠点にふさわしい場所の捜索を開始させる。この偵察活動は約1周間ほど行われる事になり、最終的にタクール・ガー山頂がもっとも適しているされた。

これを受けた本多 忠久中将はガンシップを派遣し、赤外線センサーを用いて敵の数を調査させた。その結果、同地では生命反応は確認されず、敵勢力が存在しない事が判明する。

これを好機と見た本多 忠久中将は敵部隊が展開する前にタクル・ガー山頂を確保しようと大日本帝国海軍特殊偵察部隊第404分遣隊および第109分遣隊の派遣を決断。三二式回転翼輸送機、コールサイン《ノーマッド62》および《ノーマッド61》にてこの2部隊を送り込んだ。

720: ホワイトベアー :2021/02/07(日) 22:47:32 HOST:157-14-177-16.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
結論から言う本多中将の決断は裏目にでた。この時、アルカイダ・タリバーン連合軍は国連軍の狙いをある程度読んでおり、タクル・ガー山頂は要塞化されており総勢500名を超える兵力を同山脈に広く展開させていた。そこにヘリコプターと言う派手な手段を用いて向かったのだ。

当然、彼らはアルカイダ・タリバーン連合軍からの激しい歓迎を受けることになる。11月16日午後23時43分には404分遣隊が搭乗する《ノーマッド62》は着陸する寸前に周囲よりパンツァーシュレックⅣの集中攻撃を受け、後部ローターが破壊され、そこにMG 131Zの13mmが雨あられと撃ち込まれ、敵陣地の真正面に墜落してしまう。



西暦2008年 グリニッジ標準時11月16日午前0時20分 
アフガニスタン・イスラム首長国 パクティア州 シャヒコト峡谷 タクール・ガー山頂付近

墜落した《ノーマッド62》では404分遣隊のメンバーと2体のドアガンナー計6体の自動人は直ちに戦闘状態に入り、ドアガンや携行する65式自動小銃5C型でアルカイダ・タリバーン連合軍の戦闘員に対して反撃を行っていた。

なお、本来なら戦力として数えられるパイロットを行っていた自動人形は腕が破損し、とてもではないが戦える状態ではないため機内に待機させ、メデックによる応急修理を行わっせている。

しかし、墜落した場所が悪い。私達が墜落した場所はアルカイダの陣地からたった70メートルほどの距離であり、さらに付近には盾にできる遮蔽物など存在せず、ただ伏せて応射するしかなかい。

「何が敵は存在しないよ!?。空軍の目は節穴じゃない」

私こと《エンハンスド》はそう怒鳴りながら後部ランプの付近にてヘリコプターの装甲に身を隠しながら暗視スコープにはっきり写るアルカイダの戦闘員に銃撃を加えていく。

空軍の頭でっかちなバカ達のせいでこんな危険な状況に陥っているのだからいくら自動人形とは言っても彼らを罵倒する権利ぐらい与えられていいだろう。

「もしくはアルカイダからお金でも貰ってたのかもねぇ」

《フォーファイブ》はすでにヘリコプターより飛び降りており、一面の雪化粧が施された山頂にその身を伏せ、射撃を加えながらどこか余裕のある呑気な声でそう言う。しかし、その声の裏にはいつもは感じない苛立ちが僅かに含まれており、彼女もこの状況を生み出した空軍と司令部に怒りを抱えているのだろう。

「空軍の無能ぶりには後でクレームを入れるとして、ともかく今はこの状況をなんとかしなききゃね。さもなきゃ私達はみんな仲良くスクラップよ」

《フォーファイブ》が叫んでいるさなかにドアガンナーとして攻撃を行っていた自動人形に50口径13ミリ機関銃から放たれる高い威力の銃弾が直撃し、彼女の戦闘能力を奪ってしまう。これで私達はダイヤモンドより貴重な戦力を1つ失ってしまった。

「っ、ドアガンナー1被弾!!」

彼女の相棒であるドアガンナー2がそう叫ぶ。

「損傷は!!」

隊長として指揮を取っていた《フォーファイブ》が彼女の損傷を問う。すると意外なことに負傷したドアガンナー1から返答が帰ってきた。

「右腕および右足が全損、されど基部部分に損傷なし!」

この場では戦力として数えられないけれど、修理すればまた戦えるレベルの負傷で留まってくれてはいるみたいだ。彼女にとっても《フォーファイブ》にとってもこれは不幸中の幸いだろう。なにせ再誕システムを使わなくていいのだから。

「そう、ならせっかく助かった身体なんだからそこで隠れてなさい!!」

「45姉、囲まれてるよ。どうする?」

「私とイレブンがあそこの岩まで一気に前進するからナインとエンハンスドは援護をお願い。その後エンハンスドとナインはヘリコプターに残り負傷者とメデックの護衛を行える限り行う。私達の勝利条件は味方の救援到着まで戦線を維持すること。簡単な条件よ」




404分遣隊が山頂で激戦を繰り広げている中、退避した《ノーマッド61》より《ノーマッド62》の墜落と404分遣隊の孤立を知ったガルディーズ山岳機動部隊司令部では即座に孤立した404分遣隊と《ノーマッド62》の乗員を救出するべく、
自動人形《アトラス》を指揮官として第1レンジャー旅団所属の自動人形37体、CCT(※7)3体からなる第12緊急展開部隊を急ぎ編成し、《ノーマッド60》、《ノーマッド63》の2機のヘリコプターを使いタクル・ガーに送り込む。

第12緊急展開部隊はスクランブルしたため、任務の受領はタクール・ガーに向かう途中に行われることになる。

721: ホワイトベアー :2021/02/07(日) 22:49:11 HOST:157-14-177-16.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
※1 和製F-15Eとも言える五六式汎用戦闘機の略称。

※2 近接航空支援の略。某魔王の遺児であるイノシシを筆頭とした攻撃機や攻撃ヘリを用いて航空機による火力支援を行うこと

※3 和製ヌチークである三二式回転翼輸送機の略称

※4 統合末端攻撃統制官の略。近接攻撃の際に最前線で戦う部隊への誤爆を防ぎ、相手に効率的にダメージを与える事をその目的としている。

※5 前進観測班の略。砲兵版統合末端攻撃統制官とも言う役割で、おもに砲兵の射弾観測を行う

※6 イスラーム過激派テロリスト集団アルカイダによって行われた、大日本帝国およびアメリカ合衆国に対する軽10回の協調テロ攻撃である。主に警戒の厳しい政治的中枢にはハイジャックした民間航空機での体当たり攻撃を加え、政治・軍事が麻痺した一瞬に戦術核爆弾を起爆すると言うものであり、最終的な死者は1万を超える世界最大のテロとなった。

なお、使用された核兵器はソ連製およびドイツ製であり、人員はハワイ条約機構加盟国であるオスマン帝国、イギリス連邦加盟国であるパキスタン、エジプト人であったことから国際的な問題となってしまっている。

※7 戦闘航空管制員の略称。大日本帝国空軍に属する特殊部隊であり、戦闘航空管制や火力支援誘導はもちろん、攻撃拠点の確保や他の特殊部隊共同で戦うため、前線での殴り合いすら行える部隊。

722: ホワイトベアー :2021/02/07(日) 22:52:09 HOST:157-14-177-16.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。Wikiへの転載はOKです。

なお、この外伝は日米枢軸ルートであり得るかも知れいない未来であり、確実にこの事態がおきるかはわかりません。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2021年02月08日 15:31