818: 635 :2021/02/07(日) 11:07:57 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです二十四
対州要塞姫を止めるために博多沖に集結しつつある稼働可能な神崎島鎮守府海軍と海上自衛隊。
しかしその内情はいつもと違い寒いものであった。
神崎島の主力艦の大半が七星の陣の構築や神降ろし、その他の為にその多くが駆り出され、
戦艦で戦闘可能なのは
アメリカ艦と航空戦艦山城のみという有様であった。
「柏木君、儂に再び聯合艦隊司令長官を務めよとは偉うなったもんじゃな。」
「すみません…東郷元帥…少しでも可能性上げるには自分にはこれしか浮かばなくて…」
「すまん、すまん、からかい過ぎた。この戦(ゆっさ)いけんかすっには儂が司令長官務めんなならんこっは分かっちょっ…。」
空母大鳳の航空甲板で柏木は東郷平八郎と会話をしていた。
東郷はこの度編成される神崎島鎮守府・日本連合艦隊、単に聯合艦隊とも呼称される部隊の指揮官を任されていた。
これは少ない艦艇をふじ型、やしま型等の海自艦娘と通常型護衛艦で補う為の苦肉の策であった。
ふじ型及びやしま型は対深海棲艦の経験がなく、通常型護衛艦ではそもそも本来ならば戦闘にならないからだ。
欧米では対馬沖海戦とも呼ばれる日本海海戦、その勝利の立役者となった東郷平八郎、
神としても祀られるその霊威を以て八百万の加護を艦艇に与え決戦の地である対馬まで戦闘可能とするのが狙いだ。
即ち日本海海戦の呪術的歴史再現。
そしてこれに術式を含めた一連の作戦は日本を良く知る米軍士官の提案により零落した神でもある対州要塞姫、
それを天(神)の一つへと戻し、天(世界)の始まりを呼び出すという呪術的な意味で天の一(いち、或いははじめ)、
即ち『Heaven's One』と名付けられた。
「出来れば乗り込んたぁ三笠と同じビッカース社バロー造船所製ん金剛にして貰おごたった所だが…。」
「金剛は術式の要の一柱、祓戸大神の一柱にして天照大神の荒御魂であらせられる瀬織津媛を降ろせる唯一の存在です。すみませんが…。」
済まなそうな柏木に唯の愚痴だ気にしないでいい言うと東郷は懐かしい対馬に近い日本海の海を見渡す。
そこには『友軍』が次々と集結しつつあった。
アメリカ合衆国海軍の象徴、戦艦『エイブラハム・リンカーン』とフォード級原子力空母『エンタープライズ』
ロイヤルネイビー(イギリス海軍)東洋艦隊旗艦戦艦『クイーン・ヴィクトリア』及び空母『プリンス・オブ・ウェールズ』
ロシア太平洋艦隊 ボロジノ級打撃巡洋艦『ボロジノ』『イズメイル』『キンブルン』『ナヴァリン』
他にも直に動けた幾つかの国の艦艇集まりつつあった。
アメリカは
アメリカ自由主義義勇艦隊、イギリスは英日同盟義勇艦隊、ロシアはソビエト援日義勇艦隊。
全て書類上も各国国軍ではない義勇艦隊だ。
日本の指揮下、否八百万の加護の下へと入る為だ。
819: 635 :2021/02/07(日) 11:10:17 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「艦長、ソビエト援日義勇艦隊艦隊より入電!『同志オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ、我らは日本のティ連共産主義を守る為に自発的に参戦する!共産主義万歳!』」
「ハハハ!!わが祖国も随分とシャレが分かるようになったものだ!!」
戦艦オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ、単にロシア帝国時代のガングートの名で呼ばれることが多い彼女は声を上げ笑った。
ロシアがソビエトを名乗った理由それは此度行われるのが"日本海海戦"の歴史的再現だからだろう。
ロシアは日本に負けているがソビエトは日本に勝っているそんな理由だろう。
それならばこちらも応えなくてはならない。
「通信員、同志ソビエト援日義勇艦隊に通信!『同志の参戦心強く思うが唯一つ訂正させて頂く、本艦は日本海海戦戦勝国の戦艦『石見』である!』。」
「じゃっどん柏木君も思い切ったことすっねえ。三笠が輸入艦やったとはいえ特措法で海外艦を一時的に改名させ、しかも御国ににも別の名を名乗らせっとは…。」
「ハハ、大変でしたよ馬鹿共を破防法と外患誘致罪適用で大人しくさせ、緊急事態ということでマリヘイル議長やティ連議会の協力でゴリ押しすることになりましたが。」
「現実ん分からん者はいつん時代もおっもんじゃ…。」
現在佐世保に集結しつつある海自は現在『日本国海上自衛隊』ではない。
特措法により自衛隊と海外艦娘は一時的にその名前と所属を変えた。
先程戦艦オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤが名乗った戦艦『石見』が良い例だろう。
全ては日本海海戦の歴史的再現という呪術的儀式を行うため、それは日本国とて例外ではない。
例えばやしま型試験艦のはつせは戦艦『初瀬』と改名、ふじ型護衛艦も戦艦『富士』となっている。
海上自衛隊、否日本海軍を含む艦隊は『聯合艦隊』、
聯合艦隊司令長官東郷平八郎が座乗するはアイオワ級戦艦一番艦アイオワ、現『戦艦三笠』、
そして日本は…
「こん名前を御国が再び名乗っ日が来っとはな。」
『大日本帝国』
その国の名が再び歴史の表舞台へと出ることとなる。
「歴史とはホントに因果なもんですね…。」
柏木は呟く。
斯くして『大日本帝国』は『聯合艦隊』に対し『Operation Heaven's One』の準備を発令、
『Operations Heaven's One』
その日本名…その名こそは…
820: 635 :2021/02/07(日) 11:14:38 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「旗艦『三笠』より入電!『皇国ノ興廃コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ!』!!」
大鳳を始め日本の艦艇に旗が掲げられる。
そして義勇艦隊も日本と同じ旗を掲げる。
「我らこそ最後」を示す『Z』、太陽の国の神々の加護を受けていることを示す『旭日旗』、そして
かつて大和のマストにあった旗が全艦に掲げられる。
「非は理に、理は法に、法は権に、権は天に劣する。旗がその名の通り使われる日が来るとはね…しかも自分がその当事者とはなあ…。」
柏木はボヤく。
日ノ本の軍艦(いくさぶね)に非理法権天が再び翻る。
「マサトサン。」
「ああ。通信員、通信繋いでくれ。『ああマイクテスト、マイクテスト』…。」
柏木はマイクを取る。
『みんな聞こえるか?今回の作戦を立案した柏木だ。まずはこの作戦に参加してくれたことに感謝したいと思う。』
空母の甲板で作業する人員は作業を止める。
『正直この作戦は賭けだ。』
『対州要塞姫を止められたとしても神代に戻るのは止まらないかもしれない。』
機関室では作業を続けながら聞く。
『そして上手く行っても神様が生贄を求めるかもしれない。』
『そうでなくても人間の時代に神様の力を借りることが良いことなのかも今はまだ分からない。』
『それでも可能性があるのなら俺達はやらなくちゃならない。』
測距儀の調整をする者は通信をBGMに作業を進める。
『この作戦が正しいかどうか、多分その判断が分かるのは俺達の子供や孫の世代かその先になってしまうと思う。』
『だからこそ俺たちはこの世界を繋がなくちゃならない。子や孫達がその判断が出来るように。』
東郷は目を瞑り柏木の言葉を聞く。
『滅び、それはどの種族でも星でもいつかは訪れること。』
『でもその滅びに抗うことは全ての種族に許された権利だ。』
フェルはかつての絶滅寸前となった自分達を思い出す。
821: 635 :2021/02/07(日) 11:15:42 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
『そのため自分は自分の出来る全てをするつもりだ。』
『そして皆にも自分の出来る全てして欲しい。』
二藤部は総理官邸で、サイヴァルはイゼイラタワーの執務室で、マリヘイルはティ連本部で柏木の言葉に耳を傾ける。
柏木は息を吸い込み心を落ち着かせる。
『我が水雷戦隊、空母機動部隊及びその熟練艦載機、そして水上打撃部隊は未だ健在である。
これは亡国の乾坤一擲を賭す特攻にも、戦勝国による残敵への殲滅戦にも非ず。本作戦は世界の命運を賭けた『救出作戦』である!!』
全員が柏木の言葉を待つ。
『全艦抜錨!特務大佐を預かる軍人として、一人の大人、一人の父親として、諸君らの健闘に期待する!!』
「「「「「Sir, yes, sir!!」」」」」
かつての敵も味方も関係なく菊水の御旗の下、彼女達は錨を上げる。
救うただそれだけのために…。
『Operations Heaven's One』
日本名『天一号作戦』
発動
822: 635 :2021/02/07(日) 11:17:11 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2021年02月08日 15:46