596: 加賀 :2021/02/07(日) 08:34:13 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「兵器は開発開発、又開発か」
「杉山さんが目覚ましたし陸さんの方も大丈夫でしょう」
「東條さんは林さんかな」
「まぁまだ少しの時はありますから」
「大変です、橋本君が憲兵に捕まりました!? 罪名はスパイ容疑だそうです!!」
『何ィィィ!?』
1931年1月、史実では22日に霞ヶ関離宮が払下げになるが今回は払下げとはならなかった。何せネルソンがいるのだ、直ちに再結成した
夢幻会は宮内省にいた同志に働きかけ霞ヶ関離宮は当分の間は皇室関係者(表向き)の御用邸となるのである。本来であれば此処まで纏まる事は難しい事だったがこれを纏めたのは何と伏見宮だった。
だが伏見宮にはあの世界の宮様は憑依していなかった。というのも東郷からの紹介で宮様は夢幻会と接触をして事情を聞かされていたからである。無論、宮様も当初はそのような事(憑依や艦娘等)は信じていなかったが海上でネルソンが艤装を展開し主砲を発射してからは信じ、夢幻会を支援する事にしたのである。ちなみに東郷と宮様共々『ネルソンファンクラブ』の第一号、第二号会員だったりする。
そして同年9月18日、満州の奉天近郊の柳条湖付近にて南満州鉄道の線路が爆破された。関東軍は中国軍による犯行と発表し板垣参謀は関東軍司令官代行として全体を指揮、独断で奉天駐留の第二師団歩兵第29連隊等に出動命令を発令し戦闘態勢に移行、更に北大営と奉天城への攻撃命令を発したのである。
なお、戦闘経過については史実とほぼ同じだった。ほぼというのは半島から越境した林朝鮮軍司令官を罷免したくらいだった。というのも海軍側(宮様)からの苦言だった。
「支那軍が先にしたかどうかは現場判断で任せる。しかし、決められた軍令を破ってまで戦闘を行うのは畜生の極みである」
海軍側からの申し入れに当初は陸軍も無視しようとしたが陸軍次官だった杉山らは「受け入れるべき」として林の更迭が決定された。また杉山も海軍に詫びとして陸軍次官の職を辞任した。この行動で陸軍内で杉山の評価を上げる事になった。
1932年1月28日、上海にて日中軍の軍事衝突である第一次上海事変が勃発する。
この事変も史実と同様であったが歩兵第七連隊第二大隊長の空閑少佐(憑依者)は負傷しながらも撤退に成功し捕虜のタブーの習慣化は免れたのである。
3月1日、満州国が建国宣言をした。5月15日には五・一五事件が発生し犬養首相が暗殺される。
「しかし軍の将校が一国の最高責任者を暗殺するなど……何処の国もやる事は同じだな」
「まぁそれはな……」
東京にある珈琲店で橋本とネルソンは珈琲ブレイクをしていた。ちなみに本日はネルソンの買い物に橋本が付き合っていたからであり両者とも多くの荷物を持っていた。
「しかし、こんなに荷物はいるか?」
「愚問だなアドミラルハシモト。世の女性の買い物は多いのだよ」
何故かドや顔で決めるネルソン(擬音があれば余ォォォォォォ)だがそれでも橋本に時折見せる顔は女の顔をしていた。橋本は気付いていなかったがそれが何なのかはネルソンのみ知るしかない。
「むっ」
「どうした?」
「花を摘んでくる。何せ三杯の紅茶を飲んでいるからな」
(そらそうだ)
笑いながらトイレに向かうネルソンに橋本はそう思う。そしてネルソンがトイレに入って直ぐ、橋本が座っていたテーブルは数人の者に囲まれた。右腕には憲兵と記載された者達であった。
597: 加賀 :2021/02/07(日) 08:35:01 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「憲兵隊です。ご同行を願う」
「何? いきなり何だ? 罪状でもあるというのか?」
「敷いて言うなればスパイ容疑ですな。ほら立て、行くぞ」
「お、おい……」
橋本は抱えられるように憲兵隊に連れ去られた。それをトイレから戻ってきたネルソン。ネルソンの目には無理矢理車に乗せられる橋本が外にいた。
「アドミラルハシモト!?」
ネルソンは外に走ったが車は直ぐに走り去ったのである。いきなりの出来事にネルソンは唖然としていたが直ぐに我に返ると自宅である霞ヶ関離宮に向けて走り出したのである。
「何!? 橋本君が憲兵隊に捕まっただと!?」
霞ヶ関離宮に戻って宮様に電話連絡したネルソン。宮様は驚きつつもネルソンに大人しく待っておくように告げる。
「ネルソン殿、我々にお任せを」
電話を切った宮様は直ぐに陸軍大臣である荒木大将に電話をかけた。
「憲兵隊に捕らわれた橋本中佐を即刻釈放せよ!!」
開口一番に告げられた言葉に荒木は驚きつつも宮様に対応する。
『宮様、いきなりそう言われましても……橋本中佐とやらはスパイ容疑でありましょう?』
「そうではない!! 良いかよく聞け。橋本中佐は去る某国の貴族の娘を特命で護衛している者だ。貴様らがしているのは日本の国益を損なわせる物であり日本を滅びの道へ向かわせる事だ!! 即刻釈放しろ!! これは命令だ!!」
『は、はい!!』
本来であれば軍が違うので従わないのが普通かもしれないが相手は皇族であり陛下にも言える立場である。自身は元より陸軍や憲兵隊にも影響が激しいと荒木は直ぐに判断をして橋本の釈放に同意したのである。なお、橋本のは誤認逮捕という形になった。
「ハシモト!!」
「おわっ……」
三日後、憲兵隊の詰所から橋本は釈放されたがその顔は両頬とも腫れていた。誤認だと言う数時間の間でも橋本は暴行等されていたのだ。それでも本格的な尋問に入る前に釈放が出来たのである。
「ハシモト……ハシモト……」
「……大丈夫……大丈夫だネルソン」
(口の中が甘いなぁ……)
迎えに来た松田はそう思うのであった。
「全く……憲兵隊には困ったものだな」
「どうやらロンドン軍縮の件も絡んでいたみたいです」
「それとあの後、ネルソン殿の変化もあったみたいです」
「藁人形はまだあるかな?」
「ご安心を。人数分用意しています」
「プァーフェクトだウォルター」
「感謝の極み」
釈放後、ネルソンは橋本に寄り添うのが多くなった。橋本曰くまだそこまでは至ってないとの事だが松田や近藤達は時間の問題だろうと踏んでいた。
それはさておき同年11月8日、米大統領選挙で民主党のルーズベルトがフーヴァーを破り当選した。
「あの悪魔が当選したか」
「早く死んでくれませんかねぇ……」
「口が悪いぞ松田。直ぐに死んでくれ」
「橋本さんのが口悪いですよ……」
翌年1933年2月、七試艦上戦闘機として堀越技師はかつて自分が手掛けた九試単座戦闘機ーー九六式艦上戦闘機を開発して完成させた。
598: 加賀 :2021/02/07(日) 08:35:44 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「この時代でこれが作れた……感無量だ……」
史実ではHe70の初飛行で遅れて3年でリベットを採用していたがHe70の情報を予め掴んでいたという設定で遅れる事一年でリベットを全面採用させていた。また発動機についても中島飛行機でも憑依者(小山悌等)がいたので発破をかけてもらって寿五型等の発動機生産が可能となっていたのである。また、この頃の夢幻会には倉崎の翁や川西、太田稔、菊原静男、土井武夫等が合流したので航空業界もより一層の進化が遂げられる事になる。
また、海軍でも最新兵器の開発が完了し配備されていた。三年式12サンチ高角砲の後継高角砲として八九式12.7サンチ高角砲が開発され各艦艇に配備されつつあった。
しかし、歴史を知る橋本や近藤達にとってこの高角砲は現時点では役に立たないのは承知しており直ぐに改良型、後継砲の開発が急務となっていた。
なお、この開発等があったおかげで開戦時の対空兵器は大いに海軍を助けるのであった。
「えっ!? まだポスルしてないんですか?」
「してないって……相手はネルソンだぞ?」
水光社で非番だった橋本と松田はダベっていた。
「いやでも……普通、ああなったらポスルでしょ? ネルソンの何が不満なんです?」
「いやだから……確かにネルソンはボディーナイスだと思うぞ」
「なら……彼処でフラグは建ってたのに……」
「ないない(ヾノ・ω・`)。荷物持ちの俺にそんなフラグは無いよ。それに彼女にとって俺は沈められた要因なんだから憎たらしいさ」
(この人は……)
笑う橋本に松田は頭を抱える。朴念仁ではないがネルソンが橋本に対して初っ端の行動が悪かった。
「……じゃあビルジはどうしてるんで?」
「気合いで捩じ伏せてる」
「……魔法使いになりますよ……」
そう言う松田であるが松田自身も嫁は何故かまだいなかった。
「橋本さんの事だから絶対にポスルしてヌカロクくらいしてると思ったのに……」
「どんだけ俺は猿なんだよ……」
(こりゃあ苦労するだろうなネルソン……)
密かに溜め息を吐く松田だった。なお、松田から聞いたネルソンは頭を抱えた。
「ヌゥワァァァァァァァ!? それは計算していなかった……いや待て、だがまだチャンスはある!!」
「クリーピングでもするんで?」
「それはちょっと恥ずかしい!!」
(おいおい……)
何故か顔を赤らめるネルソンだった。
599: 加賀 :2021/02/07(日) 08:36:40 HOST:p3009167-ipngn200201osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
昨日のを一つに纏めてみました。掲載は此方のでお願いします
最終更新:2021年02月08日 16:04