141: 銑鉄 :2021/02/23(火) 01:07:43 HOST:p653019-ipngn200501kanazawa.ishikawa.ocn.ne.jp
99-103
ひゅうが氏乙です。
ちょっと妄想した”海神の雷世界”における日本海軍の魚雷開発史です。
色々な意味で、人の褌でなんとやらなので、ご不満に思われたら削除致します。
日本海軍は二種類の画期的な魚雷、酸素魚雷と噴進魚雷の開発に成功した。
だが、二種類の開発した事自体を批判する向きも存在した。
曰く「水上艦用魚雷魚雷という先の見えた兵器に二種の平行開発という過剰なリソースを割いた」である。
この批判自体は後知恵であると無視されたが、なぜ二種類の開発を行ったかという疑問は残った。
これが解消されたのは後年の情報公開により開発過程があきらかになってからあった。
二種類の魚雷はそれぞれ全く別の開発目標を持って開発されたものであった。
最初に開発された酸素魚雷の目標は簡単なものであった。
魚雷の動力源である気室に詰められた気体を空気から純酸素に変更する事で性能向上を図ったのである。
その開発は3段階に分かれて計画されていた。
〇第一段階 純酸素での起動を目的とする
〇第二段階 純酸素により向上した性能を射程延長(速度据え置き)に割く
〇第三段階 純酸素により向上した性能を速度向上(射程据え置き)に割く
開発は第二段階まで順調に推移した。同等のサイズ、重量で倍の射程の魚雷の開発に成功したのである。
しかし、最終の第三段階(目標速度70ノット)は難航した。射程と速度はバーターの関係であり、
射程を短くすれば速度向上は(純酸素による駆動という難問に比べれば)簡単であると見込まれていたが
振動問題が発生し、解決の目途も立たない状態に陥ったのである。
142: 銑鉄 :2021/02/23(火) 01:08:39 HOST:p653019-ipngn200501kanazawa.ishikawa.ocn.ne.jp
後から開発が始まった画期的な高速を誇る噴進魚雷は上記の高速酸素魚雷の開発難航から開発が始まった”訳ではなかった”
開発の切欠は潜水艦隊から出た「製造コストの安価な魚雷の開発は出来ないか?」という要望であった。
この時期、潜水艦隊は潜水艦の戦術研究を行っており、どの様に運用するにしても潜水艦の主兵装は魚雷である事は間違いなく、
そうであるがゆえに、魚雷一発の単価が問題になったのである。その当時、開発中の酸素魚雷は高性能であるが、従来の魚雷より
構造が複雑な分単価も上がる事も確実視されていた。
その為、潜水艦隊は多少の性能低下には目をつぶるので、より安価な魚雷開発の要望を出したのである。
その要望を受けた技術本部が最初に試作した物は電気魚雷であった。酸素魚雷で一番高価な部品である気室を使用せずに済むので
安価にはなったが、銅を大量に使用する電気モーターを使用するので、まだまだ高価であり貴重な銅資源を使い捨てる事から
さらなる開発が要望された。
さらなる開発が要望されたが、開発は困難を極めた。解決の切欠はある技術部員が言った
「これ以上の価格低減はスクリューを使う限り、無理だ。スクリュー使わずに魚雷を疾らせろとでもいうのか」という叫びであった。
その叫びを聞いた別の部員が「その手があったか!!」とばかりにでっち上げたのが噴進魚雷案であった。
簡単に言って、従来の魚雷の機関部を取っ払って、その部分に巨大なロケット花火を据え付けた噴進魚雷の開発案は技術本部上層部から
困惑を持って迎えられた。しかし技術的な不備はなく、何より高価な気室も機関部も無い事から確実に安価になると見込まれた事から試作許可が出た。
143: 銑鉄 :2021/02/23(火) 01:09:22 HOST:p653019-ipngn200501kanazawa.ishikawa.ocn.ne.jp
完成した試作噴進魚雷をテストした所、射程こそ短く、盛大な泡を出す為、航跡が丸わかりであったが、70ノットを超える速度を達成し、
かつ安価に製造できる見込みでたった。射程が短い点は潜水艦用魚雷としては問題でなく、何より安価である事から正式採用が急がれ、
完成度向上の為に、さらなる開発が進められた。
そしてデメリットこそあるが、酸素魚雷が達成できていない70ノットを達成した事から難航している高速酸素魚雷の開発は半ば放棄され
潜水艦用に開発された噴進魚雷を水上艦用に転用する事が決定した。
(それに反発した酸素魚雷開発陣が作り上げたのが、射程を短くした分のリソースを威力向上にあてTOPEX800キロと達成した大威力魚雷である)
水上艦転用に伴い、予算・技術者共に大幅に増加され別部署(大口径砲部門)で判明していたスーパーキャビデーション現象の適用も行われた結果
200ノットという速度を達成した。
だが、射程はあまり伸びず5000メートル以内であり、日本海軍水雷関係者は
射程と隠密性と威力の酸素魚雷 か 速度の噴進魚雷 か長きにわたって議論を重ねる事となる。
(ちなみに、潜水艦隊は全く悩まずに噴進魚雷の全面採用を決定した)
144: 銑鉄 :2021/02/23(火) 01:15:11 HOST:p653019-ipngn200501kanazawa.ishikawa.ocn.ne.jp
以上になります。
しかし、以前にどなたか投稿されていましたが、200ノット魚雷が完成したならば、海軍軍備に大きな影響が出そうです。
すくなくとも、対潜戦術の向上に大きな努力が払われそうです。何せ射程内に踏み込まれたら絶対命中な魚雷でしょうから。
その影響の大きさから「水中のパンボラボックス」とか言われてそうです。
(ちなみにジェット艦載機が「空のパンボラボックス」)
最終更新:2021年02月23日 20:30