439: 635 :2021/02/27(土) 22:23:39 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです二十八・甲
「マサトサン、タマモサンからマダ呪詛兵器、神サマを召喚する道具が対馬にあるって連絡が…。」
「ちい!召喚で獣型…そういうことかよ…。」
フェルの言葉に巨大な妖狐と化した対州要塞姫を見つめ吐き捨てる。
その姿を何処かで見たことがあると思った訳だ。
頭の角はビッグホーンの如く巨大化し捻じれた角に人面の獣というべき四足の姿。
角は稲荷神の豊穣神としての影響と思っていたが、
ソレは深海棲艦の海という属性に加え、太母の創造の神の属性を持つ姫だからこそ表面化した影響だったとは。。
事前の作戦で大和に降ろそうとしていた皇祖神ではソレを御すのは難しいだろう。
五行的に相手は水で皇祖神は火(日)、そして古き神の排除等の逸話もなく、相手の神格は主神より古きモノ。
日本には神殺し、創造神殺しの逸話を持つ神も存在するが、既にこの世になく、何処に存在しているのかも分からない。
結果的にであるが同格たる太母を復活させようとしているのは間違いないではなかった。
大鳳の飛行甲板の上で柏木達はただ淡々と儀式の準備をする。
儀式の準備をする柏木達、その姿を映像取り続け此度の一件を世界に流し続ける白木と護衛の大見は怒りを顕わにしていた。
『日本と神崎島の滅びは決定事項、神の怒りを受け入れて粛々と滅びるべきです。』
「クソババアが!!何が神の怒りだ、決定事項だ!?てめえらが起こした人災だろ!!」
「こいつら世界が大変なことに成りかけてるの分かっているのか…!」
ドイツは現代の宣伝省とも呼ばれるドイツ公共放送やSNSを通し言い放った。
日本滅びるべし、と
「キリスト教を名乗る者が異教の神の怒りを謳うのは偶像崇拝だろw
神様いない国だから神様を好き放題とはいい国だねえ。」
そんなドイツを鼻で笑う柏木、そんな映像も世界に流れドイツが激怒しているが柏木は気にしない。
絶望したりなどしない。
艦娘と妖精達、そしてこの作戦を完遂しようとする日本人達、そして何より大和の帰還を信じているからだ。
そしてそれはこの場の日本人も艦娘達も同じ、そのその誇りは二度と折れたりはしない。
艦載機と艦娘達が次々に出撃していく。
そして柏木の目の前にゼルモニターが造成される。
そこに映るのは…。
『柏木大臣!我々も参加させて頂こう!!』
「藤堂さん!?」
柏木が目を向けるとそこにいたのは海面スレスレに浮かぶ日本が誇る航宙護衛艦いや航宙軍艦、
宇宙空母『迦具夜』と重航宙護衛艦改め、機動巡洋艦『扶桑』だ。
『鎮守府の明石さんや秋津洲さんの協力も借りて何とか突貫作業でサルカスでの損傷のチェックと修復を終わらせて貰った。』
「だけどだったら東郷元帥達の方へ援軍を…。」
『そこは大丈夫だ。援軍は我々だけじゃない!』
「???」
『ファーダ柏木!ティ連の大恩を返しに来ましたぞ!』
「って、ヘストル将軍!?」
別のモニターが造成されそこに映るのはセタール星系方面軍司令ヘストル・シーク・テンダー大将。
此度はティ連議会全会一致によりティ連連合艦隊を率いて銀河を超えて援軍に駆けつけた。
『我々の艦はあの対州要塞姫相手では狙撃される恐れがありますがトーゴー元帥の戦われている相手ならば十分にお力になれるでしょう!』
そして、
『我々もいるぞ柏木大臣!』
「へ?中枢棲姫さん!?深海棲艦は影響を受けてしまうんじゃ?」
『そんなことを言ってられる状況ではないのは大臣の方が詳しいだろう?それに今は日本国民の祈りによる加護もある。十分に戦えるぞ。』
カグヤの後ろには多くの神崎島の深海棲艦の姿があった。
さらには世界を超えて来る者も。
440: 635 :2021/02/27(土) 22:24:44 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「お姉ちゃあああああん!!」
「エ!?ウヒャア!?」
いきなり抱きつかれて目を白黒させるフェル。
その抱きついてきた相手は…。
「メルちゃん!?」
「コンチワ!マサトのおっちゃん!!」
フェルの妹、ハイラ王国連合親衛使徒騎士団団長メルフェリア・ヤーマ・カセリアだった。
「柏木殿私も居りますぞ!」
「サスアさん!どうしてここに!?」
「我らは少数で大きな力とはなれないでしょうが大恩ある日本に協力するために参りました。」
柏木に声を掛けたのはメルフェリアの婚約者であり、ハイラの摂政でもあるサスア・ストアラ。
大恩に報いる為に援軍に来たと話す。
本当はフェルの両親も来たかったのだが国を空ける訳にもいかず自分達が騎兵部隊を率いて来たと話す。
サスアは海上戦だから出番はありませんがと笑う。
柏木とフェルは頼もしい援軍に目の奥が熱くなる。
そんな中メルは目敏く、柏木達両親と共に大鳳に乗り込んでいた姫迦を見つける。
この姫迦も儀式成功の鍵の一人、その姫迦をメルは抱き上げ姫迦は恥ずかしそう顔をする。。
「お、おおおお!この子が私の姪のヒメちゃんか!!」
「メルチャン、ヒメちゃんのこと頼みマス。」
「了解お姉ちゃん!!」
フェルは姫迦をメルに託した。
カグヤや空母ヲ級等から機動兵器が上がり、ふそうや戦艦タ級等が砲戦準備を始める。
「チイ!削ッテル傍カラ回復シテルトハ、ドンナクソゲーダ!!」
「しかも弾幕ゲーで一発でも被弾すればミスと来たもんだ!!」
多川とシエの駆る旭龍は他の機動兵器と共に対州要塞姫からの対空射撃を回避し続ける。
それは最早弾幕、それを尽く回避し時折お返しとばかりにデイルフィルド魚雷やプラズマボルテック砲を撃ち込む。
また艦娘や深海棲艦ふそう、カグヤも攻撃を加えていく。
五神の結界により加護の装甲は低下しその一発一発が確実にダーメジを与える。
しかしハイクァーンが原因か与えた損傷は直に修復されていく。
対して姫の攻撃はその全てが旭龍にとって一撃必殺。
大半が対艦火器やそれ以上のものすら存在する。
「クッ!俺達ですらこれなのに海上の艦娘達は大丈夫なのか…!!」
時間稼ぎ、それをどれ程稼げば良いのかも分からず焦りは増していく。
焦りはミスを生み多川達の旭龍が被弾する。
「クソ!推進機ニ被弾ダト!!」
「制御不能!?墜落するぞ!!」
441: 635 :2021/02/27(土) 22:25:31 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
海上の艦娘達は多川達以上に大変な状況に置かれている。
艦娘達の回避行動は二次元に限定される上に海を覆う夜海ノ海によりが艤装への負担が蓄積している。
そして艦娘達も徐々に中破が増え、大破する者も出てくるが撤退は出来ない。
「うぅぅ…艤装が大破しちゃった。」
ボロボロの艤装を背負い、血を流しながらも那珂は第四水雷戦隊を率い立っていた。
那珂率いる四水戦、修理が間に合わない儀式への参加等で全員が揃わず先の戦争末期の如く艦艇の型も無視して集められた。
那珂自身もなんとか修理が完了した艦娘の一人、姉二人は先の戦いでの損傷の修復が間に合わなかった。
しかしその闘志は本物だ。かつての末期の如く姉妹を欠き、絶望に突っ込んで行くしかなかったあの時とは訳が違う。
『対馬に降臨した神の裁きを受け入れなさい。』
「那珂ちゃんは、私達艦娘は絶対に路線変更しないんだからぁ!!」
ドイツの放送に対して那珂は吠える。
ボロボロの艤装を無理矢理再起動させ、修理が必要な程の状態の機関を酷使する。
跳躍、
斥力推進と空間振動機関も駆使し那珂は空を駆ける。
対州要塞姫の下へと。
「ハアアアアァァァァっ!!」
唯一撃、那珂の拳が巨大な対州要塞姫の頬を殴りつける。
加護、事象可変シールド、クラインフィールド、数多の守りに守られた姫に届かずとも絶望することなきその拳。
それは日本全て、いや絶望に抗い続ける者全ての想い。
対州要塞姫の瞳がギロリと動き那珂を見つめる。
しかその中に憎悪ではない光を見つけた。
絶望に抗い続ける小さな光達、対州要塞姫の意思と取り込まれた人々の魂を、
「待ってて!那珂ちゃん達が、私達が必ず止めるから!!」
那珂は叫ぶ。
しかし全ては姫の意思に反する。
対州要塞姫・壊ニの纏う死が那珂の艤装を侵食し完全に破壊、那珂の全身から血が吹き出す。
そして姫の尾が那珂に振るわれる。
「カハッ!?」
回避する間もなく尾が那珂の腹に叩きつけられ、吹き飛ばされる。
「那珂ちゃん!?」
この場にいる白木や大見人間たちが叩き落とされる那珂を見て悲鳴を上げる。
しかし那珂は吹き飛ばされ落下しているというのに笑う。先触れの時間は稼げたと。
那珂は叫ぶ。
442: 635 :2021/02/27(土) 22:26:12 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「伊勢さん!!五十鈴ちゃん!!」
「那珂、良く持ち堪えたわ!」
「ええ大丈夫、五十鈴は行けるわ!!」
大鳳の甲板上で、シャランと五十鈴が常世鈴、巫女鈴を鳴らす。
そして那珂は全ての者に届けとばかりに言う。
「刮目しなさい!これが我ら大和の民の切り札の先触れ!
穢を流す清流の名と慈み雨の名を冠する我ら艦娘の魂魄を触媒とし
皇祖が鎮まりし神の宮とその地を禊ぐ聖流の守り手にして巫女たる艦娘による我らが皇祖の荒御魂、
祓戸大神が一柱を宿す艦娘への神降ろし!」
伊勢が鏡を掲げると大鳳の甲板の上は神域と化し、
彼の御方に届けとばかりに清廉なる絹糸の衣を纏う伊勢が上奏(うたい)あげる。
「百歳、千歳を超え天津日嗣と我ら大和の民が守りし神の写し身、今一度お還しする時が来ました…。
天照る神よ!夜海覆いしこの地を遍く照らし、我らに光明の輝きを示し給え!!」
艦娘伊勢の持つ鏡が輝きを帯び、独りでに空に浮かび上がる。
那珂を始め川の名を冠する巡洋艦娘と雨の名を持つ駆逐艦娘から光をが飛び出ると輝きと一つとなる。
同時刻、伊勢の宮より一人の艦娘が光となり対馬へ向かった。
鏡と伊勢の宮より飛来した光が一つとなり、光は対州要塞姫を吹き飛ばし対馬の空に太陽が生まれる。
先の対馬に現れた人の手で生まれた呪われた忌々しき全てを焼き尽くす灼熱の権化ではない。
それは浮世を遍く照らし呪詛という暗雲を払い、生命を育む柔らかなお天道様。
この場にいる者は感じる、自分達の身近にあり続ける清き瀬音を、
そしてそれが穢を押し流して行くのを。
穢と呪詛が祓われ光は人型を取る。
茶色い髪を団子状に纏めながらも身体から発する陽光にたなびく長い髪。
胸元に輝く鏡、それは新たに常世神宮の正倉院より齎された神鏡の新たなる影となった新しき真経津鏡。
上代の貴人や巫女にも似た紅白の衣と比礼を纏い、太陽を意匠化した冠を冠る女性。
空で輝く太陽、それを見て安堵する那珂は目を閉じ衝撃に備える。
だが、那珂は海面に叩きつけられる直前に柔らかな何かに受け止められる。
目を開けば上代の巫女服を模した清廉な衣を纏うサイドテールをした女性の姿が目に入る。
「良く頑張りました那珂、後は一航戦の『私』と白山の『私』に任せなさい。」
「もっと早く来て下さいよぉ。加賀さん…菊理媛様…。」
443: 635 :2021/02/27(土) 22:26:59 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2021年02月28日 19:33