893: ROM専5年高崎線 :2021/02/23(火) 22:54:41 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
今までROM専でしたが、自分なりに良い文章が書けたと思うので投稿します。

■テキトーな日本大陸
1582年、転生者たちは恐怖していました。

当時、織田政権の支配地域は東国から畿内に及び、強敵である武田家を下したばかりでした。
もはや戦国時代の戦略的有利は織田政権にあり、少しばかりの合戦に負けようとも織田政権が日本を統一することは明らかでした。言うなれば、STRPGの後半戦、消化試合に近い様相を呈していました。
危険要素の一つでもある明智光秀も転生者の一人でしたし、彼自身は織田信長に心酔しており本能寺の変が起こる危険性は全くありませんでした。

では、転生者たちは何に恐怖していたのでしょうか。
それは、この大陸日本の大きさにです。
史実と同じような幕末を迎えてしまった場合、欧米列強が大陸日本を史実日本と同じように扱うとは考えられませんでした。清国のように蚕食され、植民地に転落する可能性も十分にありえました。
転生者たちは、毛利家や島津家との戦いでもなく、織田政権の今後の統治方法でもなく、数百年後に織田政権が倒れた後の心配をしていたのです。平成を知り、明治から昭和を体験した彼らにとって、敵とは西国大名や東国大名ではなく、想像上の肥大化した未来の欧米列強だったのです。
織田政権の興隆はもはや確立しているのだから、そのあとの心配をして何が悪いのか、と転生者たちは開き直っていました。

894: ROM専5年高崎線 :2021/02/23(火) 22:55:33 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
19世紀の欧米列強に対抗するには、この織田政権300年が重要であると転生者たちは考えていました。そして、転生者たちは織田政権のグランドデザインを描ける立場にありましたし、織田信長に直接進言できる者も一人や二人ではありませんでした。

転生者たちの中で最大の権力を持っていたのは明智光秀です。彼は丹波国の支配者であり、畿内の大名たちの旗頭でもあり、朝廷との折衝役でもあり、織田軍の忍びや草の統率者でもありました。1582年の時点では、明智軍は遊軍として他の軍団の救援や補助として戦うことが多かったですが、光秀は強大な軍団を率いる有能な武将でした。光秀は様々な権限や権力、武力を有し、織田政権内でナンバー2の地位を占めていました。
もっとも、織田政権自体は織田信長のワンマン経営でしたし、光秀も信長の指示に完璧に従い、権力を振るうことはほとんどありませんでした。現代において、イエスマンのことを金柑頭と言うのも、光秀のあだ名とその追従ぶりを由来としているのは有名です。
だからこそ、光秀が珍しく進言する場合、信長は注意深く話を聞き、いくつかは受け入れ、いくつかは却下しました。ちなみに、却下したものの、光秀が何回も提案してくるので渋々受け入れることもあったそうです。

895: ROM専5年高崎線 :2021/02/23(火) 22:56:46 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
信長が渋々受け入れた提案の一つは、本能寺の大規模な改築です。
光秀は、本能寺の周囲を破却し、広大な軍事施設を建築ました。
改築後の本能寺は、伽藍より防衛設備の方が広い始末で、敷地内で最も大きい建物は兵士たちのため宿舎でした。この改築事業は、「改築するより新築する方が早かった」だとか「京を差配しているのが明智自身なのに、誰から襲われることを想定しているのか」と言われ、他の武将たちからは大変不評でした。京の都の治安維持を担っているのは明智軍でしたし、その周りの畿内を管理しているのは光秀でしたから、本能寺を攻撃できるのは明智軍の他にいなかったのです。また、織田信長の京での宿泊所にすぎない本能寺を軍事施設化することに軍事的、戦略的な意味はありませんでした。
周りの武将や公家たちからは、「自身の謀反を恐れている」などと中傷されました。また、故郷に帰って療養したらどうかと勧められるのは一度や二度ではありませんでした。本能寺の住職などは、なにか悩みがあるのではないかと光秀を訪ねるほどで、彼らの間では光秀は狐憑きであるというのが「定説」でした。

896: ROM専5年高崎線 :2021/02/23(火) 22:57:31 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
やや話が逸れましたが、明智光秀を筆頭とする転生者たちは彼らが描いたグランドデザインを信長に認めさせるだけの権力を持っていましたし、それだけの信頼を今までの戦いによって獲得していました。また、信長は合理的な人物だったので、家臣からの提案が道理に沿っているものであったなら、提案を採用するだけの器量を持っていました。

転生者たちは喧々諤々の会議を経て、次の項目を織田政権のグランドデザインとして提言しました。

1.諸法度の制定による法治主義の確立
2.社会基盤の整備(貨幣鋳造や河川付け替え・街道整備などの公共事業)
3.農業改革による食料の増産
4.科学技術の発展
5.織田軍の整理(海軍の設立を含む)
6.南方への進出
7.北方への進出

織田信長は、この提言を採用し、織田政権の基本方針とします。そして、この方針が成功をおさめ、織田政権による太平の世を実現したからこそ、「20世紀は日本の世紀」と呼ばれるようになったのです。

897: ROM専5年高崎線 :2021/02/23(火) 22:58:33 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
■補足
ここから織田幕府を使って、テキトーに日本の領地を広げます。
テキトーな時期に日本版鉄血演説が大問題となり、廃藩置県にいたります。鉄血演説の要旨は「現在のプロイセンの国境(日本で言う所の藩境)は適切ではない。ドイツ統一は武器と兵士によって達成される」というものです。薩摩藩(島津家)あるいは長州藩(毛利家)が「日ノ本の統一は、演説や多数決ではなく、鉄と血によってなされる」と発言したことで幕末の動乱期を迎えます。
なぜなら、この発言は武力による強制でしか日本の統一はできないという宣言であり、失言です。これをきっかけに大小の内乱から明治政府を打ち立てます。
日清戦争の後、朝鮮半島を勢力圏として押さえ、日露戦争の後、満州利権にアメリカ、ロシアを参加させます。第一次世界大戦へ積極参戦し、ロシア帝国を満州に脱出させ、イギリスやアメリカ、ロシアを無理やり呉越同舟の状況にさせます。
世界恐慌をきっかけに日本とアメリカは敵対し、一心不乱の大戦争を行います。このとき、日本とアメリカの戦争遂行能力は互角とします(それこそが日本大陸が発案された理由だからです!)。

898: ROM専5年高崎線 :2021/02/23(火) 23:04:56 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
以上です。駄文を投稿してしましたが、読んでもらえたら嬉しいです。

951: ROM専5年高崎線 :2021/02/24(水) 23:22:53 HOST:119-175-141-77.rev.home.ne.jp
お返事や感想ありがとうございます。
色々と不可解な点があると思いますが、私の作中世界では、光秀に憑依した転生者は被害妄想の激しい人物だと考えて下さい(ぶっちゃけ「俺には未来の知識がある!」と確信している人ってSAN値0ですよね?)。
彼は本能寺と信長の組み合わせを極度に恐れています。しかし、それ以外では有能な人物であったため重用された、ということでお願いします。
本能寺の改築も道楽の一種と見られたという感じです。「京にも自分が設計した城を建てたかったけど、寺で我慢したんだなあ」って周辺は納得します。まあ、そんな趣味に金を使うな!と不満を持ちますが、光秀が本能寺の改築を何度も訴え、それに辟易した信長が許可したため改築を行ったということで。

提督たちの憂鬱は、盤面をひっくり返すことによって軍事的・戦略的に有利なアメリカを打倒する物語だと個人的に思っています。
それに対して、大陸日本は正々堂々と?苛烈な消耗戦を行うための設定だと考えています。

江戸時代ではフィリピンや北海道へ進出する予定です。日本大陸の開発に人手をとられて、外部への進出は不可能だったということでお願いします。
ちなみにハワイへは進出しません。日米間で消耗戦を行うためには、ハワイはアメリカ領である必要があるからです(ハワイが日本領だった場合、両洋に戦力を分散させたアメリカは大陸日本の全力攻撃に耐えられない気がします)。
幕末の動乱によって日本は内政に注力し、19世紀中頃のイギリスやフランスのハワイへの干渉や、19世紀末のアメリカのハワイ併合を静観せざるを得なかったという感じにする予定です。

次回は、大陸日本の江戸時代を書く予定です。

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最終更新:2021年02月28日 20:01