178: ひゅうが :2021/02/23(火) 23:35:40 HOST:p185191-ipngn200303kouchi.kochi.ocn.ne.jp
間話――息抜き(嶋ハン苛め的な意味で)
「どーすんだよこれ!」
「いやどうしようもないわ…」
「しかしまぁ何で転生者が技術分野と外交分野に偏って生まれたのかねぇ…」
「遠い目してる場合じゃないぞ」
「左様。事態は危急存亡の秋を迎えているのだよ!」
「発音がゼー〇っぽいのって格好いいね」
「ありがとう。実は練習してきたんだ」
「嗤えばいいと思うよ」
「とはいえやりすぎたんだよなぁ…」
転生者たちが頭を抱えるのも当然だった
この世界の日本は、やりすぎていたのだ
辛亥革命の初期からの干渉にはじまり、技術特許を先取りする形での高度成長期の現出
そしてショック療法としての第1次世界大戦派兵
これだけならよかった
だが、ついつい戦後日本の感覚で北米市場を荒らしまわったり、造船立国を掲げて同じく米国の造船業界を壊滅させたりするのは、あまりに「冷戦的」な感覚でありすぎた
救いなのは、そうした創業者たちがすでに世代交代の時期を迎えていたところにある別の世界の記憶を持つ連中がやってきたことだったのだが…
「ニューファンドランド沖海戦、どうしてあんな結果に…」
「艦隊決戦に全てを賭けてましたからね両軍ともに」
「というか1920年代に世界最大の大艦隊を保有させるのを米国に許したからでしょう」
「左様。おかげで連中、戦艦の砲撃を成立させるために海軍はもとより航空隊をも最適化しやがった」
「感心してる場合じゃないですよ。そんなのがやってくるんですから」
そうはいうがな嶋田――といったのは山本五十六海相である
こいつ、「今度はご一緒だな」と日本海海戦後にニカっと笑う程度には場になじんでいる人たらしである
「早いところ比島を攻略しないと我が国の海上交通路は断たれる。極秘裏に仏印政府に接触しているの、たぶんバレてるぞ」
「仕掛けたのお前だろ!」
まぁまぁ嶋田さん、と横から入ったのは、辻と呼ばれる悪魔――もとい蔵相であった
横には何か疾風の勇人とかいわれそうな顔した部下もついてきている
彼もネームドであるが肩身が狭そうだ
いわゆる「史実」からの転生者組は総じてこんな有様である
まぁしょうがない。
現在の状況を作り出したのは彼らだったのだから
「仕方ないだろ。英国は本土決戦の構えだがもしもチャーチル卿が暗殺されでもしたら和平の機運が高まりかねん。
そうなればわが帝国は単独であの米国を相手にせざるを得ないんだぞ」
だからわが軍特製の空母群も叩き売ったんだ、と山本と辻は実にいい笑顔である
お代はペルシャ湾岸の新油田の権利らしい
今度は大西洋の拠点などないのに…
とぼそっと危ないことを言う天皇の代理人たる内閣総理大臣 嶋田繁太郎は実はかなりブチ切れていた
こうなれば、米国はとことんやって封印する程度しなければ…
―――こんなノリで大日本帝国は動き出す
最終更新:2021年02月28日 22:06