587: 635 :2021/03/03(水) 22:40:00 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです二十八・丙
柏木とフェルは儀式を終えた。
「………。」
「………。」
「……え?」
しかし何も起こらない。
「ワタシじゃ、イゼイラ人じゃダメなんデスカ…?」
フェルは泣きそうになった。
そんな彼女の目の前に鳥が降り立ち、咥えていた枝をフェルに差し出す。
「ハトサン…?」
空を見上げ姫迦が呟く。
「あ、お空に虹…。」
全員が見上げれば大きな虹の橋が空に架かる。
東京の街角で幼い少女が道行く人々に絵を描いた紙を差し出す。
「大和さん達を助ける為に神様にお願いををお願いします!」
紙には少女が描いたであろう人物が描かれている。
拙いが懸命に描いたのだと思わせる絵、それは艦娘大和が描かれている。
しかし道行く人々はその絵を受け取ることなく足早に歩き去って行く。
少女は日本と戦艦大和が大変な状況で自分にも何か出来ることはないかと懸命に考えた。
それは少女が以前大和に助けられたことがあったからだ。
その恩返しを少しでもしたいと少女は考え、家族と共に見ていた物語を思い出した。
神様と一緒に旅をした絵師が神様を助ける為に懸命に絵を描いて人々に神様への感謝の心を思い出させた話。
自分もそうなるのだと鼻息を荒くした、自分はこの世界であの絵師の一番弟子になるのだと。
しかし現実は非情だった。
多くの者は受け取らず、受け取った者の中には少女が心込めて描いた絵をその場で捨ててしまうものもいた。
少女は泣きそうになり手伝ってくれた両親や賛同してくれた人々は心配そうな顔をしている。
「何しけたツラしてんでィ!」
「え?」
涙で滲む目を上げると緑の少年、否妖精がいた。
「オイラの弟子を名乗りたいならこの程度で諦めてちゃ名乗る資格なんてないぜェ?その絵貸してみなァ!」
妖精は少女から大和の絵を奪い大きな声を上げそれをバラ撒く。
「さァさァ皆さん急いでるとこ申し訳ねェがこいつを見てくれェ!
オイラの一番弟子が心を込めて描いた伊耶那美の母ァちゃんと一緒に日本を救おうと頑張ってる艦娘大和の御尊容だよォ!」
その声に道行く人々は足を止め絵を拾い上げた。
「大和だけじゃねェ!金剛に宿ったオイラの相棒も頑張ってるぜェ!
だけどあいつらだけじゃ足りないのか状況は一向に改善しねェし、大和や伊耶那美の母ァちゃんも未だ復活しねェって状況だァ。」
588: 635 :2021/03/03(水) 22:41:06 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
妖精は辺りの人々を見回し空を見上げる。
すると空に虹と共に幻が浮かぶ。
対馬で奮戦する聯合艦隊、儀式を行う柏木達、
そして禍々しい対州要塞姫、その姫の目からは血の涙が流れている。
「どこぞの悪さのせいで対馬の姫さんは泣きっぱなし。」
「これじゃァあの世と繋がって日本は一生盆暮れ正月、死んだやつらが年がら年中出てきて騒いでオチオチ飯も食ってられねェ。」
「あの世の空気で草木は枯れて、動物も育たないってきたもんだァ。」
「そんな世の中はみんな嫌だろう?」
「わたしそんな世の中イヤ!!」
大きな声が響く。
大勢の人々の中から絵を描いた少女より更に幼い少女が歩み出る。
「そうだろ!そうだろ!それらなどうだィここは一つみんなで力を合わせて大和と伊耶那美の母ァちゃんの手助けといかないかィ?」
「うんする!……でもわたし巫女のおねえさんみたいにお歌も歌えないし踊りでも出来ない…。」
少女は顔を暗くする。
少女の中では神様の手助けをするとは祭祀のようなことだと思っているのだろう。
「そんな大層なこと出来なくても問題ねェ!なァに空に向かって手ェ合わせて心の中で感謝の気持ちを伝えるだけでェ!」
「それならわたしにもできる!」
妖精は手を合わせ、少女も手を合わせる。
「ほらァ!お前も手ェ合わせるんだよ!オイラの一番弟子がみんなに手本示さなくてどうするんだよォ!!」
「は、はい!」
大和の絵を描いた少女も手を合わせる、すると…。
「年がら年中神頼み、艦娘頼みってのも申し訳ねェ…。」
「たまには苦労を労って少しは肩代わりしてやろうじゃねェか。」
大勢の人々が手を合わせていた。
「みんなの気持ちが届いたら、この世に戻って姫さんの涙を止めて…。」
人々から昇る光が空を覆う。
「あの世の穴だって閉じてくれらァ!!アマ公!お前もしくじるんじゃねえぞォ!」
「あ…。」
全員が虹を見上げる中誰かがその存在に気づいた。それは水面に立つ女性。
所々修繕されてはいるがボロボロの艤装を背負い、いつもは束ねている髪を解き風に靡かせる。
「ヤマトサン…!!」
「畜生!帰ってこないのかと脅かせやがって…!」
皆が涙を流す。
589: 635 :2021/03/03(水) 22:42:20 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「幽霊?」
そんな中、大和の側に居る者に気づく、それは対州要塞姫の大人の姿に似た女性と銀の髪をし青いセーラー服を着た少女。
そして大和の足元の水面が波打ち始め何かが浮上する。
「なんだありゃ!?」
完全に姿を現し、空中で静止した"ソレ"。
三つ、いやそれ以上に別れ錆つき海洋生物に覆われた船体、その中央部は完全に吹き飛んでいる。
ボロボロの艦橋を始め、主砲塔や高角砲、それらが元あった位置に浮かぶ。
それは南の海に眠っている筈の、
「あれは…戦艦大和…?」
「あれ?光が…空に…。」
日本中から集まった小さな光が空に溢れ、戦艦大和を集まる光が覆う。
それは古い古い信仰の形、素朴な祈りの光。
船体が古い殻を脱ぎ捨てる。
足りない部分は光が補い新たな船体が形作られていく。
光が集まり、一際大きな光を放つとその場にいる全員とこの場を見る者の目が眩み、声が聞こえる。
『今一度、母として立ちましょう…。』
艦は遠く大マゼランを目指した"方舟"の如く蘇える。。
船体はかつての姿を取り戻しながらも各部が分割され内部機関を露出させる。
船体後部艦底には重力式空間振動波エンジンと航法用ディルフィルド機関が置かれたドーム型推進機関が置かれ、
艦尾には斥力推進機関が存在する。
大きく上下に割れた船体の間にはディルフィルド機関や縮退炉、超重力砲のレンズが見え、
艦首側を見れば上下に分割された船体は龍の顎の如く。
甲板上にはブラスタービーム、ディスラプタービームを発射し、超高速斥力砲としても使用可能な46センチ砲三連装三基に加え、
同様の15.5センチ三連装副砲二基、実弾ゼル給弾式対応の高角砲が置かれている。
そして外からは見えないがVLSも各部に内蔵されている。
艦橋はかつての姿に近いが通常レーダー、霊子レーダーに加え、
質量感知センサー・亜空間航行制御モジュール群・兵装自動制御モジュール群を搭載し、船体下部にも艦橋を有する。
船体周辺には勾玉が浮かび、船体後部には船体を囲むように浮かぶ四本の神剣が虫の羽のように後方に広がる。
艦橋の後方の空中に炎を纏う神鏡が鎮座する。
船体を構成するは白き神代の眞鋼、空の果てと霧の舟の業も使われたそれを何人たりとも傷つけることは敵わない。
そして白き芳容には神であることを示す赤き印が隈取の如く浮かび上がり、
艦首正面から見ると上下に別れた船体の奥、亜空間次元反転縮退砲専用のディルフィルド機関が菊花の如く広がり、艦首には桜花紋が掲げられる。
そして翻るは旭日旗、我こそ最後を示すZ旗、
『非ハ理ニ勝タズ、理ハ法ニ勝タズ、法ハ権ニ勝タズ、権ハ天ニ勝タズ』
本来の意味で用いられる旗。
それが映像として全世界へと流れる。
流しているのは誰なのか…。
そして映像は艦首に立つ人物を映し出す。
白い、いや純白と言っても良い神代の服を纏い腰に神剣を下げた艦娘大和にしか見えない人物。
だがその纏う気は神威とでも呼ぶべきもの。
590: 635 :2021/03/03(水) 22:43:40 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
遠き欧州のドイツ、カメラの前で神の怒りと詐称した者が恐怖に駆られる。
対馬で起きている事実を見た、ただそれだけで。
何故、"オリーブを加えた鳩"が異星人の元へ来る。
何故、戦艦大和の復活に"虹"が架かる。
これではまるで…!
そして叫んだ、お前は誰だと。
レンズに映っていることも気にせず。
「ああ、名乗りましょうとも…。」
その声を聞いたか聞かずか女は剣を引き抜き掲げると名乗りを上げる。
「我こそは、戦艦大和が御霊にして神世七代最後の一柱…。」
その手に持つは片割れが携えた日ノ本最高の神剣、名は天之尾羽張。
「伊邪那美なるぞ!!我が子らを悲しませる不埒な輩は…。」
そして大和、いや伊耶那美命が天之尾羽張を構える。
「我が御佩刀を以て退けてくれようぞ…!!」
百歳、千歳を超え、遠き歴史の彼方に消えた神話さえも覆し、
慈母・伊耶那美大神、ここに復活…顕現す。
591: 635 :2021/03/03(水) 22:44:44 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
598: 635 :2021/03/03(水) 23:15:48 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
間違えていましたね。
転載時に題を
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです二十八・乙
から
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです二十八・丙
に変更お願いします。
最終更新:2021年03月05日 18:05