19: 635 :2021/04/09(金) 23:52:55 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその三十三
「柏木と高校時代徹夜で映画見てた時でこんなの見たな…。」
陸上自衛隊の大見健一等陸佐がボソリと零す。
大冒険活劇、そう呼ばれても可笑しくない光景が眼前に広がる。
巨大ロボットが怪光線を放ち、大怪獣が暴れ、空中軍艦が飛翔する。
陸自の基地の会議室に設置された銀幕に映る映像を見ればそう思うのも無理はないだろう。
しかしこの映像を渡された時の向こうの突撃バカ、銀河連合日本の加盟する星間国家連合の軍事トップの言葉が全てを否定する。
これはフィクションではない、特撮でもなければ、合成でもない。
実際にあった戦争、そのノンフィクション記録映画だと。
そしてこの映画は日本の全自衛官と政府関係者が見ている筈であった。
自分達が置かれている、或いは置かれうる現実を認識する為に。
銀幕に出演する人物達。
空自の多川がスーパーロボットクロスオーバーに出てきそうなロボットに乗り込み、
海自の藤堂が宇宙戦艦(向こうは護衛艦と言ってたが)の指揮を取る。
自分に似た人物は銀幕の中で最先任軍曹の様なカッコして異星人守りながらインベーダー(侵略者)と戦っていた。
それだけでもお腹一杯な上に対馬で新しく深海棲艦発生し変色海域と化し、艦娘の大和や金剛に伊耶那美だの天照大御神だのが降臨。
ファンタジーなのかSFなのかハッキリしろと言いたい。
ついでにアレだ自分も暇な時してるゲームのネロ帝に女神アルテミスとオリオン。
しかもアルテミスに至っては汎人類史側の機神のようである。
そして敵であるどう見てもビーストなあの大怪獣はガチでメソポタミア神話の原初神だと言う。
あっちの世界は実は発表されてない異聞帯かイベント海域なんかなのではと若い自衛官は噂する。
そして銀幕の中ではスーパーロボットの手に乗せられた自分たちが陸戦用装備に身を包む艦娘や異星人にサーヴァント?と共に例のビーストの身体に降り立つ所だった。
この戦いが向こう側の世界の日本を変えさせたのか…。
『これは世界を救う戦いである』
銀幕の向こうに見た戦艦扶桑の誓約、いつでもどこでもスマホの画面で騎士王の原型が言うその言葉がが酷く重々しく感じた。
「覚悟はしてたがなあ…。」
「ここまで怨霊が視界を埋め尽くしているといっそ感心するな!」
眼前の光景、ティアマトの背を埋め尽くす人型、
荒ぶるティアマトの御霊と化した取り込まれ人の怨霊の数に辟易する柏木に白木が答える。
百や二百では足らず中には大怨霊と言っても差し支えないのもいるそれら、
それ自体が冥府の存在であり生者にとって害悪である者達をどのように突破すべきか。
『aAAAA――――――!!』
悩み考え込んだ柏木、その一瞬をついて怨霊が柏木に迫る。
しかしロボットスーツを着込んだ大見が割り込み小銃に付けた銃剣を怨霊に突き立て、怨霊は空気に溶けて消えた。
怨霊を貫いた銃剣は薄っすらと光を帯びている。
「オーちゃん!?いつの間にそんなこと出来るようになったんだ!?」
「俺の力じゃないどうやら神様達の加護は俺にも聞いてるみたいだな…。」
柏木の問いに大見は答えるが視線は怨霊達から外さない。
怨霊達の中から巨大な獅子が姿を現す。
大怨霊と言っても差し支えのない圧を放つソレ。
「柏木、行け。今回の件をどうにか出来るのはお前とフェルさんだけだ。」
「だけどオーちゃん一人じゃ「ならば余が共に残ろう。」」
「私も残りましょう…。」
声に向けばネロと加賀に宿る菊理媛命の姿。
ネロは剣を抜き、菊理媛命は加賀の影響か弓を手に持っている。
そして菊理媛命は言う、自らの力と鳴弦で怨霊達の動きを止めるその間に駆け抜けろと。
しかし柏木の足で駆け抜けられるのかという白木の問いに柏木は無言であるものを造成して答える。
神崎島で手に入れた愛車、共に様々な場所あのサルカスも共に駆け抜けたケッテンクラート。
柏木がケッテンクラートに飛び乗りキーを回すと換装された日本製の水冷エンジンが唸りを上げる。
柏木はフェルと白木に乗れと無言で荷台を指差す。
20: 635 :2021/04/09(金) 23:53:50 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「ネロさん、加賀さん、菊理媛様…オーちゃんを頼みます!」
白木と対州要塞姫を抱えたフェルを乗せると柏木はアクセルを吹かすと幾人かの艦娘を残し他の者と共に走り出す。
柏木達を追おうとする怨霊達は菊理媛命の鳴弦で止められた上、ネロに追うことを出来なくさせられる。
それはネロという存在が本来持ち得ぬ現代の人々に謳われた故に得た絶対皇帝圏。
黄金の劇場が広がるとネロは怨霊達を睨み付け啖呵を切る。
「貴様ら余の、ローマの子らの邪魔はさせぬものと知れ!」
それを見る大見と菊理媛(加賀)。
「ネロさん宝具使えたんですか…。」
「宝具じゃないわね。制限とかないし。」
「マジすっか。」
ケッテンクラートを走らせる柏木、しかし共にいるのは既に両手の指より少ない。
フェル、白木、対州要塞姫、纏った吹雪、叢雲、五月雨、漣。
残りの始まりの五隻の内、電は最初の対馬戦に参加し艤装を喪失しこの場にはいない。
柏木を含めても僅か三名の人、一つの要塞、そして四隻の艦、その他の者達は柏木達を行かせる為に残った。
『フェルに柏木や、ここは妾に任せなさい。』
『私も残るから心配するんじゃないよ。』
獅子の身体に鷲の頭と翼を持った怨霊の所にはナヨと洩岩の神職の姿を借りた夜海門大神が残り。
『マサトのおっちゃんもお姉ちゃんも行って!私もお姉ちゃんの妹、こいつくらい食い止めて見せる!』
『わたくしが付き添いましょう。』
男の上半身を持つ蠍の姿の怨霊はメルと熊野いや家都御子神が食い止めた。
『こいつ!落ちろ!!』
『フェル、行ケ!』
翼を持つ雄牛に姿を似せた怨霊を相手に多川とシエが乗る旭竜は揉み合いながら落下していった。
『行きなさい子らよ。此度の全てに決着をつけるのです!!』
そしてなお迫る怨霊を天照大御神と残りの艦娘達が押し留めている。
そして頭部を目前に柏木達は足止めをされた。
「ガハッ!?」
吹雪が吹き飛ばされティアマトの竜体の上に倒れる。
既に叢雲や五月雨、漣も倒れ、
ティアマトの現在の身体にその力の大半を奪われながらも姫級である筈の対州要塞姫も気絶しその艤装も火花を放つ。
「なんでティアマトの頭脳体がここにいるんだ…?」
柏木は呟く。
目の前に立つティアマトの頭脳体にも似た存在、ソレはティアマトの防衛本能の一部である。
僅か綻んだ伊耶那美命び縛りにより起きたティアマトの身じろぎにより叢雲と五月雨が吹き飛ばされ
それにより生じた隙間より現れ出たティアマトの防衛体の手により漣と吹雪、対州要塞姫は倒れた。
本体ではないとはいえ紛れもなく神である。
だが例え神を目の前にしようとも絶対にたどり着かなければならない。
多くの犠牲を払い、多くの願いを託されここにいるのだから。
しかし吹雪達は倒れ、対州要塞姫も膝をついた状況で抗えるのか。
ティアマトの防衛体の視線が柏木を射抜きこちらへと歩みを始めた。
白木の端末を通しその異様な雰囲気が世界へと流れる。
柏木はロボットスーツを纏いM2重機関銃を造成しながら冷や汗を流した。
21: 635 :2021/04/09(金) 23:54:53 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「クソ効いてねぇえええ!!」
「ロボットスーツ用の携行型対装甲斥力砲のAPDFSすら弾くなよ!?」
「重力子ブラスターも意味ないデス!」
ティアマト防衛体に重機関銃、装弾筒付翼安定徹甲弾、重力子ブラスター等柏木達が扱える兵器を撃ち込むが時間稼ぎにすらならない。
それらの弾幕を疎ましく思ったのかその手に輝きを生み出す。
巨竜形態のティアマト本体放つより低出力とはいえ人を相手にするには過大過ぎる重粒子の奔流が柏木達に放たれる。
しかし柏木達に届くことは無かった。
「対州要塞姫!?」
「タイシュウチャン!?」
「妾は、妾はこの戦いから逃げるわけにはいかないのじゃ!!」
重粒子線と柏木達の間に目覚めた対州要塞姫が割って入りさらにその身から溢れ出る光が柏木達を守る。
その艤装は超柏木達を守る為にさらに火花を放ちながらも耐える。
「対馬の民の悲痛な声と願いにより図らずしも誕生した妾であるがティアマト神を喚びだしてしまったのは事実!」
「この国を穢し、此度の騒乱に日ノ本の罪無き多くの魂を達を巻き込んだ妾の罪は決して消えないのじゃ!」
対州要塞姫は悲痛な叫びを上げる。
「だがそんな妾をそなた達は許し受け入れてくれ、共に戦うことも許してくれた。」
「だからこそ、そなた達を信じられる。柏木よこの世に安寧を齎す為、そなた達は必ずや成功させなくてはならぬ!」
対州要塞姫は柏木達を守り抜いた。
しかし姫は倒れ伏し、その身より生命の深紅(あか)が広がる。
柏木達は駆け寄り柏木と白木は対州要塞姫を起こし、フェルは柏木達を庇いティアマトの前に立ちふさがる。
電子の海に悲鳴が上がる。
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
対州ちゃん!?
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
フェルさん無茶や!!
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
くそ都合のいいこと起きてくれよ…
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
クソ!誰か誰でもいいフェルさん達助けに来てくれ!!
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
ティアマト相手だ。賢王おらんのか!?
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
カルデアは何処にありや 何処にありや。全世界は知らんと欲す
何処にありや 何処にありや。全世界は知らんと欲す
イシュタル様、エレ様、アレス様、クィリヌス様は何処におられるのか!?
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
いやアレスなら可能性が…
名前:名無しのうちう人サン 投稿日:~
流石現実というクソゲー、クソゲー過ぎる
22: 635 :2021/04/09(金) 23:55:40 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
だが現実という名の最低の物語は時として創作すら凌駕する。
「システム、重力アンカーロック!全力砲撃体勢へ移行なのです!!」
『ソードバレル展開砲身励起。神剣弾頭装填、種別対神竜種弾頭。』
金属を叩きつける様な甲高い音と共にティアマト防衛体の半身が吹き飛ぶ。
呆然とする柏木達の前に防衛体を吹き飛ばした人物が姿を現す。
それは艤装を失い本土に残った筈の特型駆逐艦・暁型四番艦と深海棲艦の長。
「電ちゃんに深海提督…?その姿は…?」
巨大な砲を装備し機械の甲冑とでも言うべきものを纏った電と黒い鎧を纏った深海磨鎖鬼。
電の機械の甲冑はヤル研謹製の艦娘陸戦用装備、MS少女とかその辺好きな連中が開発した代物であるが。
決定稿のデザインが最近のアレであった。
「もう大丈夫なのです!」
アーマードシールダーもとい陸戦装備を纏った電は自信満々に言った。
23: 635 :2021/04/09(金) 23:56:28 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2021年04月14日 19:39