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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその三十五
「ウヒャアアアア――――――!?」
「うぉー!!自分が同じ立場に成ると怖えええ――――――!!」
「おいおいおい、俺たち空飛んでるぞおおお――――――!?」
『大丈夫、私の加護で浮かんでるだけよ。』
防衛体を倒した今、ティアマトの頭部と相対する為に柏木達は月女神アルテミスの加護で竜体より空中へと浮かび上がる。
月という空に浮かぶ天体を司る彼女からすれば人間を浮遊させるぐらい造作のないこと。
平和の概念に加え、伊耶那美命、霧のタカオとイオナに拘束された状態で瞳のみが柏木とフェルを射抜く。
視線にさらされていない筈の白木でさえ背に冷たいものが流れ、今直ぐにこの場から逃げたい衝動に駆られる。
ならば直接目と目が合う柏木とフェルは、
人類種の天敵と化した彼女と相対した人類最後のマスターとデミサーヴァントは如何ほどのものであるか。
「これが神…!!」
柏木達を空へと上がる前にアルテミスは柏木達に告げた。
『伊耶那美命から連絡があったわ。呪力を九割五分まで貯め終え、残り五分よ。』
しかしその五分、即ち5パーセントを貯め言霊を行使するために一時伊耶那美命はティアマトの拘束を解く必要があるという。
『その時間、約六十秒。』
その時間、拘束を解かれたティアマトを凌ぎ柏木とフェルが天沼矛を突き立てる機会を掴む必要がある。
『拘束解除まで後10秒!!』
月女神が時を告げる。
『8、7…5、4、3、2、1。拘束解除!!』
ティアマトの戒めが解かれ、それと同時に竜体の上にいた者達も退避する。
しかし退避した者達は消耗が激しく戦闘は不可能。
『AAAAaaaa――――――!!』
ティアマトが吠えたその瞬間武士達の攻撃が殺到する。
「為朝の弓、五人張!!」
為朝を宿す智の剛弓が唸り、
「南無八幡大菩薩……願わくば、この矢を届けたまえ!」
大百足を殺した弓が
「此度……この頼光、鬼になります。」
大江山の鬼を殺した刃が振るわれ竜体を傷つける。
それを鬱陶しげに首を動かし払うティアマト、巨竜の動きはそれだけで凶器となる。
ましてやそれがティアマトならば尚更である。
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「「智(トモ)さん!!」」
「っ、ここまで…。柏木さん、フェルさん。後は…頼みます。」
智が力尽き弾き飛ばされ、
「もはやここまでか…。」
「またしても、敗れるとは……。」
秀郷と頼光始め、二十八騎の武士もまた吹き飛ばされる。。
ここまで十五秒。
残り四十五秒。
ティアマトの表皮が爆ぜる。
「撃って撃って撃ちまくれ!!」
ふそうの艦橋で藤堂は叫ぶ。
ふそうの斥力砲が、カグヤの艦載機のディルフィルド魚雷が、深海棲艦の航空機と艦砲射撃がティアマトを穿つ。
しかしティアマトより反撃の火線が走りふそうとカグヤのシールド制御系統が完全にいかれ多数の重軽傷者が発生、
深海棲艦達の艦体がえぐり取られ戦闘不能に陥る、
ここまでもう十五秒。
残り三十秒。
ティアマトは夜海の津波を引き起こす。
その高さ数十メートル、先に東日本を襲ったものの比ではない。
飲まれんとする者達を、艦艇を対州要塞姫が守り抜く。
その身は元来人を守るために生まれし要塞なれば守ることこそが彼女の生涯。
「させぬ、させぬさせぬさせぬぞ。もう妾の前で人を死なせたりするものか!!」
だが先の防衛体との戦闘で消耗したその身体、加え津波は単なる自然災害ではなく死そのもの。
対州要塞姫、その身体を死が蝕む。
しかし全員を守り抜き……対州要塞姫は堕ちる。
その姿に柏木は拳を握りしめ、手より血を流す。
その間十秒、残り二十秒。
祟りとしてのティアマトは本来の意識に反しその首を己を止められる天沼矛を持つ柏木達に向け口より閃光を放つ。
その速度に人間が反応できる筈もなく…。
「え?」
「だい…じょうぶ…ですか柏木…さん。」
「五月雨…ちゃん…?」
「後は…頼んだわよ…。」
「え…ムラクモサン…?」
「あははは…私としたことがこんなので退場とは…無事ですかのぉ白木氏。」
「おい、おい何でだ。漣、唯の記録係の俺をどうして守った!?」
五月雨、叢雲、漣は柏木達の盾となった。
玉のようなその肌は焼け爛れ、服は燃え尽き艤装はボロボロと崩れ落ち三人は落下していく。
ティアマトが再度閃光を放つ。
間に合う者など…。
「私がみんなを守るんだからあぁ――!!」
吹雪が閃光にその身を晒す。
266: 635 :2021/04/19(月) 00:11:45 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
「!フブキチャン、ダメ―――っ!!」
「フェルさん、必ずティアマトを止めてあげて下さい!!」
吹雪は笑いながら閃光に消えた。
光が消えるとボロ雑巾の様な姿となった吹雪は先の三人と同様海面に落ちて行く。
フェルは手を伸ばすが吹雪には届かない。
ここまで七秒、残り十三秒。
ティアマトの魔力炉心が活性化する。
それを艦内で怪我人の救護が行われているふそうが確認する。
「ティアマト周辺に空間異常を検知!!」
「ちょっと!これ大和さんのより威力は低いけどディルフィルドゲート砲じゃない!?」
その照準は、
「柏木さん!逃げてえええ!!」
ニーラ叫ぶ。
残り七秒。
ああ、今度こそ終わったな。
柏木は目の前に形成された輝く亜空間境界面を見てそう思う。
思えば遠くに来たものだ。
異星人とファーストコンタクトをして、艦娘達と出会い、宇宙に飛び出して、
日本の大臣になって、日本が星間国家になって、宇宙怪獣と戦って、
日本が戦争に巻き込まれて、
今は神々英霊達と共に戦っている。
得難き人生だったと思う。
柏木はフェルの手を取る。
「マサトサン…。」
「フェル…今までありがとな。」
二人は手を繋ぎ輝く空間に目をやる。
空間が一際輝き、柏木の身体はこの世から姿を消す。
筈だった。
「させないのです!!」
電だ。
オルテナウスの盾を構えると柏木達の前に立ち全身全霊を以て柏木達を守る。
267: 635 :2021/04/19(月) 00:13:01 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
加護とシールドの劣化が予想以上に早い!
電は焦る。
現在身に付ける陸戦装備(オルテナウス)は人工の艤装とも言うべきもの拡張性はともかく能力そのものは電本来の艤装に劣る。
限界はすぐに来るだろう。
電は決意する。それでも守り抜いてみせる。
そしてついに限界が来た。
柏木とフェルの目の前で電は肌が焼け爛れ、髪は燃え尽き、オルテナウスは砕け溶けていく。
肉が剥がれ、骨が露出し、眼球が潰れ、内臓が溢れる。
艦娘として人としての姿形を失いゆく電に柏木とフェルはもういいやめろと悲鳴を上げる。
それでも電は盾を離さない。
それでも、そんな姿になってもなお、電はみんなを助けたいのだ。
提督も大和も姉妹も柏木もフェルも
中枢棲姫も戦艦棲姫も対州要塞姫も
伊耶那美命も天照大神もアルテミスもオリオンも
ティアマトでさえも。
誰かを大切に思うその心こそが電を支えていた。
愛欲や損得に基くものではない純粋な想い。
電はみんな(衆生/隣人)を遍く想う。
嗚呼、誰か…誰か、電にみんなを助けられる力を…!!
268: 635 :2021/04/19(月) 00:14:04 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2021年04月19日 10:05