292: 635 :2021/04/20(火) 00:26:19 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその三十六
柏木とフェルは人としての形を失う電の姿に絶望する。
親しい人をこんな酷い形で失う経験などありはしない。
電子の海でも悲しみの声が出る。
それを嘲笑い、艦娘が死んだと喜ぶ聞こえるがその者達は分からない。
現実は創作より最低であるが、時に創作以上にご都合主義なのだと、
『電、勝利が私達を呼んでいるわ!倒れるにはまだ早いわよ!!』
その刹那電を巨大な稲妻が貫き、光の柱が立ち上りディルフィルドゲート砲を弾く。
そして光の柱より巨大な影が姿を現す。
その姿に柏木は、フェルはこの場を見守る者達な驚愕の声を上げる。
「ウソ…。」
「あれは…!」
戦艦大和の甲板に叩き付けられた智と源頼光は神崎の手で手当をされていた。
その際に服が破れていた二人は赤い顔をしていた。なお頼光はマッマの方である。
なお神崎提督、煩悩退散とブツブツと呟き続ていた。どうでもいいが。
大きな稲光を見て頼光は涙ぐむ。
「あの子は…二十八騎の中にいないと思ったら…!」
「いや為朝様降ろしてる私がいうのもアレですが他のがぼっけもん過ぎましたし。」
智はツッコミを入れる。
他のが大体濃かったからしゃあない。
『全機構問題無し、行けるわね?電。』
『はい!』
頼光の滲む目には仁王立ちする紅き大武者が映る。
胸に輝く竜胆、肩には源の一文字。
清和源氏の武者の大鎧が一騎。
その鎧を纏う者は叫ぶ。
『ゴオオオォォォルデンなのです!!』
「”摂津式大具足・熊野”。金時、貴方はあの子に駆逐艦電に力を貸しているのですね…。」
293: 635 :2021/04/20(火) 00:27:03 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
電の願いに応えた者。
艦娘熊野に降りる熊野権現、その一柱たる速玉之男神即ち薬師如来。
その縁、薬師如来を持念仏としこの場にいる源頼光が四天王坂田金時。
電は足柄山の金太郎をその身に降ろした。
そしてもう一人。
『電、この騒ぎ企んだ馬鹿どもに教えてやりなさい!私達は絶対に負けないって!!』
『足柄さん、分かったのです!』
重巡足柄、彼女は今坂田金時の摂津式大具足と一体化している。
彼女もまた先の戦闘で艤装を喪失、己が艦内神社である足柄神社にて必勝の祈願を行っていた。
そして此度坂田金時がこの危機に縁深い己に降りようとするのを彼女は感じ取った。
当然だろう彼女は金時が幼少期を過ごした御山の名を冠する艦娘。
しかし彼女は己に降りるより電の危機を救うことを願う。
電はあのスラバヤ沖海戦の折、彼女の隷下であり足柄自身も敵兵救助にも参加しているので関係も深い。
足柄は勝利にひどく拘りを持つがその本質は情の深い女性。
故に金時の降りると共に本来ならば顕現出来るはずもない大いなる器たるその大具足。
己が身を大具足の器とし電を助ける為にここにいる。
足りない、まだ足りない。
怪力乱神の大金剛たる摂津式大具足を纏うは思う。
あの二人を送り届けティアマトを助けるためには力が足りない!
大具足は片腕を空高く掲げ、その躯体に柔らかな光が降り注ぐ。
天使の梯子、そう呼ばれる光景の中を何かが降りてくる。
否、何かが天より降ろされる。
大具足の腕はソレを掴む。
「あれは、まさか!!」
「ああ、貴方も彼女(電)に力を貸してくれるのですね…。」
柏木は驚愕の声を上げ、アルトリアは古い友人に出会ったような顔をし涙を拭う。
電が纏う大具足にも驚いたがその腕に握られているソレ、柏木が知る『盾』よりも巨大だ。
大具足は二人の方を向く。
『柏木さん、フェルさん。』
「デンチャン大丈夫なんデスカ…?」
『大丈夫なのです!今の電は足柄山の金太郎さんなのです!!』
フェルの心配に電は大具足で力瘤を作る動作をして答える。
そして柏木は疑問を呈する。
「電ちゃんその姿とその『盾』は?」
『柏木さん聞きたいことあるでしょうが時間がないのです。』
電の言葉に頷く柏木、そして電は二人に大具足の肩にに乗るように言うと二人は左肩に乗る。
さらに電がオリオンとアルトリアを呼ぶと二人は反対に立つ。
しかし電に武者の戦い方なぞ分からぬ、故に。
294: 635 :2021/04/20(火) 00:27:48 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
『吶喊あるのみなのです!!』
『行きなさい電!勝利を掴むのよ!!』
盾を構えティアマトに向け突進する。
盾はティアマトの攻撃を全て弾き電は詠唱を開始する。
『真名、開帳――――。』
「ヤッパ、リシールダーサンノ…」
だがそれはフェルの知る『盾』の詠唱ではない。
電は『盾』ではない、この皇國の四方を守る『城』そのものなのだ。
『其は全ての疵、全ての怨恨を癒やす我らが故郷、我こそは…それを守る黒鐵の城なり!』
「エッ!?」
白亜の城ではなく、菊花紋を持つ黒鐵、軍艦色の日ノ本の城が現出する。
それこそは電の心象風景、電の誇りそのもの、攻めるのではなく守る力。
攻撃を全ていなすと大具足はティアマトの眼前まで来ると盾を投げつけ怯ませるとその両手をティアマトの口に突っ込む。
発気揚々、これは竜と足柄山の金太郎の大一番の真剣勝負。
『オリオンさん!アルテミス様!』
「いくぜ!アルテミス!」
『分かったわ!ダーリン!』
電の叫びにオリオンは己に施された、アルテミスは自身の加護を大具足へと与える。
剛力無双の機体がさらなる剛力を得る。
大具足は腰を落とし腕に力を込めるとギガスにも等しい怪力を持つはずのティアマトの口を抉開ける。
『どおおおぉぉぉりゃあぁぁ!!』
どう考えても女の子の出して良い声ではないしかし、
現在の電は女の子である前に現代に蘇った清和源氏の武者。
そして、まだだ、まだ電達のターンは終わらない。
『アルトリアさん!!』
「分かっています…嵐の錨、風の剣よ…!」
アルトリアの持つロンゴミニアドと天叢雲剣が風を纏う。
それは全てを吹き飛ばす北米ではトルネードとも呼ばれる竜の顎。
その暴風がティアマトの口の中に殺到し口を開いた状態で固定する。
それはかつて神代の昔、古き主神が最古の太母を打ち取る為に行った戦術。
それによりティアマトを動けなくする。
295: 635 :2021/04/20(火) 00:29:58 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
『二人共、行っけええええぇぇぇぇ!!』
電の叫びを受け柏木とフェルは手を繋ぎ空に踏み出す。
この場にいる者の、この場にいない者のその背中を幾つもの声が押す。
空を駆けティアマトの頭部、その場所に柏木とフェルは立つ。
全ての因果にケリを付ける時が来た。
二人は天沼矛を掲げる。
今この時祝詞はいらないありったけの想いを込めるだけだ。
そして二人は天沼矛をティアマトに突き立てると、
意識が闇に飲まれた。
波の音が聞こえる…。
「ココは…。」
「まさか…ティアマト神の心象世界?でもこの光景は…。」
柏木とフェル、二人の目の前には一面に何処までも鏡のような水面が広がる。
296: 635 :2021/04/20(火) 00:30:57 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2021年04月24日 15:19