21: 名無しさん :2021/04/24(土) 06:32:34 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp
“大津波世界”と“令和世界”日本が融合するヤツの投下します。

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「何だあれは……」

ISS(国際宇宙ステーション)
地上から400キロに位置するこの宇宙の実験室は、ある突然の出来事によって混乱に包まれていた。

「どこかのデカイ……宇宙ステーション」

それは、自身の後方10キロに出現した巨大な宇宙ステーションによるものだった。

「長い方で、数百メートル前後か…?」

規模、全長共にISSの3倍近い300メートル前後の巨体。
軌道傾斜角51.64°、平均速度7.7km/s、つまりISSと同じ軌道をとりながらぴったりと後方に着いてきている。
10キロ先というと凄く離れているように思えるが、宇宙空間においてはほぼ至近距離だと言える。

「なんでこんな近くに……」

「おい、ありゃセントリフュージじゃないか!?」

光学カメラで謎の宇宙ステーションを観測していた者が、回転するドーナツ型の構造部を発見し声を上げる。

セントリフュージとはいわゆる人工重力発生区画であり、SFなどでよく見る遠心力で擬似的に重力を再現する仕組みだ。
ここISSでも近い将来に、技術検証試験として似たようなモノが増設される予定ではあるが……そんな最新の宇宙船設備が、目の前に現れた不明ステーションには既に搭載されているのだ。
驚くのも無理はないと言える。

「何か……何か所属の解るモノでも付いてないか」

カメラをズームしたり、色々な場所へ向けてみたりとしてみるものの、これといって分かりやすい情報は見つからない。
しかしその過程で、この不明ステーションは膨張式外壁などのISSよりも少し進んだ技術と発想で構成されていることが充分に理解できたのだった。

そんな中、日本人クルーがポツリと漏らす。

「日英共同宇宙ステーション“門出(かどで)”」

「知っているのか!?」

「いや、違う……あぁいや、違わないが……知らないが、知っている……記憶が混乱して…」

「おいおい、大丈夫か?……とりあえず、地上の管制センターに問い合わせるか。」


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「明確な領海侵犯、侵略行為であることは明らかです!即刻撃沈するべきではありませんか!」

「待て、早まるな。今は様子を窺いながら命令を待つんだ。」


済州島近海

世宗大王級駆逐艦「西厓柳成龍」を旗艦に駆逐艦3隻と潜水艦1隻の計5隻から構成されている大韓民国海軍第7機動戦団 第73機動戦隊は、今現在、おそらく日本海軍所属であろう艦隊と睨み合っていた。


奇妙なのが、その日本艦隊を構成している艦そのものである。

英の45型駆逐艦や米のコンステレーション級LCSにに似た雰囲気の船体、もがみ型FFMにも見えるがそれよりも遥かに大きい200メートル前後の推定巡洋艦が1隻。
インディペンデンス級LCSを彷彿とさせる外見の170メートル前後の推定駆逐艦が2隻。
計3隻の水上戦隊だ。

それら全てが十六条旭日旗を掲げており、おそらく日本の船であると予想できるが、日本がこのような艦を新造・配備したという話は聞いたことが無い。

無線でのやり取りも、お互いがお互いの領海侵犯について責める事に終始した。

侵略行為かとも思うが、そうであればとっくに撃ってきている筈だろうし、尚且つ今の時期唐突にそんな事をする意図が不明に過ぎる


「済州作戦基地との連絡がつかないのですよ!日本海軍に攻撃されたに違いない!」

「だからこそだ。もし日本人が戦争を挑んでくるとしても、政府間で何かしらの動きがある筈だ。今はトップ同士ホットラインでやり取りしている所だろうから、政府の指示を待て。」


血気逸る部下を押し留めながら、唯一冷静沈着かつ賢明な指揮官は、政府が一刻も早く何らかの判断を下すことを祈ったのだった。

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最終更新:2021年04月24日 15:39