368: ホワイトベアー :2021/04/24(土) 23:32:55 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日米枢軸ルート 小ネタ 日本における自動人形の発展

自動人形の原型は冷戦末期にまでさかのぼることができる。当時の日本では景気の発展とそれに合わせた求人数の増加、人件費の高騰による労働力の確保が問題となりはじめており、そこに目をつけたグリター・スタジオ社が労働力コストの低下と生産速度向上のために開発を開始したフレーム型ロボットが今、日本で運用されている自動人形の祖先であった。

この時開発されていた自動人形はLD-001(※1)と名付けられたモノであり、4時間以内のケーブル充電で6時間の以上の内臓バッテリーでの駆動が可能で、作業内容に沿った部品およびAIシステムのソフトウェア交換をかのとしたことによる高い汎用性、ほぼ全ての重労働が可能な高い耐久性を兼ね備えたものであった。しかし、一台でスーパーカーとほぼ同額のコストが必要なほど高価であったことや運用コストも当初予定していたものから3.8倍ほど高額化してしまったこと、さらにそこまで高価格化していながらAIの性能不足により十分な性能を発揮できなかった事など様々な困難にあい、現在の技術では完成は不可能だとして開発計画の延長と、機能を制限することで安価化を図った改良型であるLD-002と呼ばれる後継モデルを発表。このモデルはLD-001の特徴である汎用性の高さを犠牲にすることで生産・運用コストを削減したたいモデルであり、複雑な構造を排除することで耐久性はもちろん稼働時間の延長もあわせて施されていた。

発表からしばらくの間グリター・スタジオ社はLD-002型の販売に注力していき、LD-001の事は一部の社員以外の記憶から忘れ去れつつあった。だが、グリター・スタジオ社の社長のほぼ独断でLD-001の開発は継続されており、少なくない予算が依然として投下されていた。

LD-002型の販売から約2年後にはグリター・スタジオ社は当時の帝国軍は人手不足によって機甲戦力の整備に苦労していることに着目し、従来の車両に少しの改造を施すことで無人自律兵器化可能なオプションの開発を開始した。当時の帝国軍は冷戦終結による予算削減の煽りを受け、高価な新型戦闘車両の開発が軒並み凍結されてしまっており、グリター・スタジオ社はそこに目を付けた形だ。。

グリター・スタジオ社の開発チームは複数の車種を同一のプラットフォームで運用するとができる高い汎用性を備えたシステムの開発をおこなう事で軍需産業に殴り込みをかけるつもりであり、開発が継続されていたLD-001の開発データをもとにした試作人形を作成。もともとLD-001型は高い汎用性と柔軟かつ簡易な作業変更システムを目玉としたロボットであり、自動運転システムとマッチングさせることも容易で比較的安価な開発費で高性能な自動運転システムの開発に成功する(※3)。

しかし、あくまでのLD-001型は民間用の作業用ロボットでしかなく、軍の求める環境水準でのテストには耐久力不足であり、開発チームは車両操作性向上を図るためにLD-001の構造をより人間に近づけた改造型であるTD-001を開発。同素体を用いたテストにより必要なデータを早々に取得することで、予定よりはるかに早い期間と安い予算で自動運転システムを完成させ、軍に納入することができた。

このシステムは人手不足に悩む帝国陸海軍にとってはまさに救世主であり、帝国陸軍および海軍海兵隊の機甲戦力を拡大させるために国防総省は半年ほどのテストを行うと早々に全面的な採用と戦闘車両への同システムの導入を決定。グリター・スタジオ社は莫大な利益を得ることに成功した。

369: ホワイトベアー :2021/04/24(土) 23:33:38 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
しかし、グリター・スタジオ社の経営陣と開発チームはこの程度の自動運転システムでは満足することができず、今回の開発で得られたデータをもとに自律AI開発計画を指導させ、その実験素体としてTD-001のさらなる改良も開始させる。この研究は技術研究開発本部の支援もあり、軍より貸し出された最新の設備や工作機器をしようすることができ、わずか1年という短い期間で構造強度とソフトウェアの互換性を改善、さらにAI性能向上が図られたほか応力負荷の増加と各種センサーシステムの搭載することで機動性と動作正確性が大幅な向上が行われた新型のTD-001C型が開発された。この開発ではトライ&エラーが繰り返され、それで得られたデータをもとにコードやパラメータの調整が行われており搭載されているAIは当初のLD-001と比べ物にならないほど向上していた。

自動人形の発達は財界や軍から日に日に注目を集め、特に軍関係者からは熱い視線がグリター・スタジオ社に向けられていた。
というのも当時の日本軍は上気した通り好景気による兵士の成りて不足に頭を悩ませていた。
その解決策として彼らはグリター・スタジオ社と技術研究開発本部の研究する自動人形が一定の技術水準に達することができれば歩兵に代わる新たな兵種足りうると考えていたのだ。
特に海兵隊本部はこの考えが強く、自動人形の研究支援のために特別予算を組んで資金援助を実施した他、富士演習場などの軍事施設をテスト場所として提供するなどの1企業に与えるにしては過剰なまでの支援を与えていった。

陸軍からの支援を受けたグリター・スタジオ社は大量生産を見越してそれまで外部に発注していたコンピューター部品の製造を自社で行うために複数の中小企業を買収、統合する。
この時に会社名をグリター・スタジオ社からItou.optimistic.plannersに改名され、組織の改変も行われていった。

軍部からの莫大な援助を受け開発された肝心のTD-001Cの軍用仕様であるCAD-001はその構造が精密であったことから故障が頻発、軍から採用が見送られるほどであった。しかし、IOPの開発チームは自動人形のコンセプトを変更せず、自律システムと信頼性の改善に努めていく。
だが、もともとCAD-001は最大限まで改良されており、これ以上の劇的な性能向上は見込めないものでこれ以上の発展は見込めないものであった。こうしてIOPにおける自動人形の発展は停滞することになる。

1986年、IOP社はある二人の若いロシア系科学者を莫大な金と身の安全を保障するすることで雇用することに成功する。この二人よりもたらされた革新的な理論と軍より提供される最新の設備・技術、莫大な予算により初の実用化された歩兵型戦闘ロボットであるCAD-003を開発する。

370: ホワイトベアー :2021/04/24(土) 23:34:57 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp

チタン合金で守られ、最大で連続28時間の作戦活動を可能としたCAD-003は高い耐久性と信頼性、そして低いランニングコストと低い取得コストから帝国軍やアメリカ合衆国軍、満州軍などのハワイ条約機構加盟国軍にて採用されていった。
しかし依然として自律能力が低く人間の兵士が最前線で支持を出さなければならなかったことから全面的に採用されることはなく、あくまでも平和維持活動部隊や停戦監視部隊など危険性の高い部隊に配備されるにとどまってしまう。
余談であるが、当時のIOPは全ての需要を満たすだけの生産能力を有しておらず、アメリカ合衆国向けの機体はカモミール社の子会社であるLron Blood社が生産を担当し、後に世界を二分する自動人形企業となる。

閑話休題

これらの部隊に配備された自動人形から得られた実戦データはIOPの開発チームにとって千金の価値を有するモノで、彼らは獲得したノウハウを反映したAIのさらなる向上を開始した。
同時にIOPは民間市場向けの新型自動人形であるXAD-009の開発を開始する。
この自動人形はそれまでのIOPが目を向けていなかった第三産業や事務仕事でも人間の代わりとして対応可能な自動人形を目指して開発されていた。
一般社会に受け入れやすいように美しい女性型の外見と疑似感情ソフトウェアを搭載したことによる高いコミュニケーション能力を特徴としており、さらに内臓バッテリーの高性能化と人工筋肉の発展により活動時間の延長とパワーの向上に成功、性能の向上に成功しながらモジュール化された規格で生産する事により従来の自動人形より安価な価格で販売することができる革新的な自動人形であり、後に第二世代自動人形と呼ばれる自動人形の先駆けともいえるものであった。

XAD-009はLAD-009と名前を変更された上で1980年代後半より一般企業・官庁・個人向けに販売されることになるのだが、これは性格や技能、見た目を購入者の要求に沿ってカスタマイズすることを可能としていたことで民間市場では極めて好評を博し販売開始からすぐにそれまでIOPとその前身であるグリター・スタジオ社が創設から販売してきた自動人形の総数を超えるほどの売上を叩き出す。
また、LAD-009は民間市場のみならず国防総省からみても高性能な自動人形であり、IOP社は国防総省よりLD-009を原型としたCAD-003の後継となる新型軍用自動人形の開発が命じられた。

371: ホワイトベアー :2021/04/24(土) 23:35:28 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
この時、IOP社が国防総省より受けた要求仕様は

1.自動人形のみで編成された部隊で作戦行動が可能
2.地形や気象を問わず、一回の充電で72時間以上の連続作戦稼働時間を有する
3.単一プラットフォームにて複数の兵種を兼ね備えること
4.戦場で運用可能なように高い整備性と信頼性を有する
5.大量に配備が可能にするため、安価であること

と当時の要求では見たこともないほど高いもので、開発チームと経営陣は軍からの無茶に頭を痛める事になる。されど、IOPが今まで軍から受けてきた資金などの援助もある。
無理であるなどと言えるはずもなかったIOPは全社を挙げて軍より依頼された軍用自動人形の開発を開始する。

軍の要求仕様に対してIOPが用意した答えは以下のとおりであった。

1.自動人形のみで編成された部隊で作戦行動が可能
→自動人形間をつなぐ通信ネットワークシステムを構築することで自動人形一体のあたりの演算能力を向上させ、作戦遂行能力を向上しさらに指揮統制の簡易化を図る。

2.地形や気象を問わず、一回の充電で72時間以上の連続作戦稼働時間を有する
→軍より提供された新型の全個固体電池を導入することで対応する。および予備のバッテリーを常時携帯させる。

3.単一プラットフォームにて複数の兵種を兼ね備えること
→コードの作成と書き込みにより特定の武器の使用能力を向上させる新システムを導入する。

4.戦場で運用可能なように高い整備性と信頼性を有する
→大量の予備パーツをストック可能なように生産コストを下げる

5.高い生存性の確保
→通信妨害や通信機器の不調などの遠因で何らかの原因で人間の指揮下から外れた場合でも限定的な集団自律行動能力と自己保全能力で拠点への帰還を行う。

6.大量に配備が可能にするため、安価であること
→民間市場向けのLAD-009と規格を統一することで生産コストの削減をはかる。

軍の要求仕様に対してIOPの回答は一部はごり押しであったものの、それでもCAD-009と名づけられた自動人形は革新的な技術を大きく盛り込んだ意欲的な軍用自動人形であり、軍部は研究が開始される前から大きな期待のもとに12万体の先行発注とさらなる財政支援を表明するほどであった。

このCAD-009はそれまでの軍用自動人形とは比べ物にならないほどの高性能を示し、軍内にいた反自動人形派閥を縮小に追い込むことになる。
009シリーズの成功を受けたIOPは日本のみならずその他のハワイ条約機構加盟国でも009シリーズの販売を開始。ハワイ条約機構の自動人形市場をほぼ独占する事に成功した。さらに、同盟国といえど軍用自動人形の拡散に危機感を覚えた一部の軍人や政治家からの支援を取付、各国に自動人形を供給しながら、次世代の自動人形の開発を進めていく。

IOP社自動人形開発チームはCAD-009の開発終了から時をおかずさらなるモジュール構造の改良を開始した。
自動人形の安全プログラムをより円滑に制御する為に戦闘用プログラムやソフトウェアを火力制御コアと名づけられた専用の部品に直接インストールすることでパッケージングを行い、民生用自動人形の軍用化改修、または軍用自動人形の武装解除をより容易にできるよう改修が行われる。
また、CAD-009が抱えていた人間の指揮官による指揮がなければ作戦遂行能力がおちるという問題を解決するため、自動人形に作戦指揮能力を付与する為の研究も推し進められていく。

1986年、IOPは軍事用自動人形と民生用自動人形のモジュール統一化を完成させたほか、作戦指揮用のソフトウェアがインストールされている指揮モジュールが新規に開発に成功する。これによりIOPはこれまでのように用途ごとに多種多様な自動人形軍用を開発する必要がなくなり、IOPの自動人形は軍用に開発されたものを除き011シリーズと輸出用自動人形である012シリーズに集約される事になる。

011シリーズは軍用仕様のCAD-011/A1/A2/A3の三種類と警察仕様のPAD-011A1/Sの二種類、民生用のLAD-011A/Bの二種類の計7種類が主なバリエーションとして存在していた。

012シリーズは011シリーズの輸出を議会に禁止されたIOPが009シリーズの後継として諸外国に販売するために開発した自動人形で、Lron Blood社のSTシリーズに海外市場をじわりじわりと奪われていらIOP社が市場を取り戻すために投入した新型自動人形であった。
この人形は011シリーズの設計をもとにしつつ、連続作戦活動時間の短縮と指揮モジュールの削除、一部ソフトウェアの低性能化など輸出が許可されるギリギリまで性能をデチューンした所謂モンキーモデルで、011シリーズと同様に軍仕様・警察仕様・民生用の三種類に大まかに分類され、各国の内情に合わせて様々なバリエーションが製作され、ハワイ条約機構加盟国に輸出されている。

372: ホワイトベアー :2021/04/24(土) 23:36:00 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp

※1
Labor Dollの略

※2
大日本帝国が史実米国防総省国防高等研究計画局をモデルとして創設した行政機関。

※3
LD-001の開発費用は別科目計上されている為、書類上は激安になっている。

※4
詳細は日米枢軸ルート 大日本帝国 アンドロイド設定を参照ください

373: ホワイトベアー :2021/04/24(土) 23:36:51 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になりますWIKIへの転載はOKです。

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最終更新:2025年04月03日 22:42