34: 名無しさん :2021/04/26(月) 00:33:26 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp
「……了解しました、ではそのように。」


駆逐艦「西厓柳成龍」にて、指揮官はついに待っていた政府からの指示を受けることとなった。
その内容は大方の予想通り、日本軍とおぼしき艦隊を敵と認め、これを撃破しろとのこと。

「司令…!」

既に睨み合いが始まってから半日が経過している。
時折激発しそうになる部下を抑えながら待つ12時間だった。
しかし、肝心な所で“逃げ”に入るきらいのある我が国の政府にしては判断が早い気もする。
本当に宣戦布告でもされたのだろうか、いや、それなら上がそう言ってくる筈だ。
私の知らない所で何かあったのだろうか。


「日本艦隊を攻撃、排除し海域の安全を確保する。総員配置に着け」

と、考えていても始まらない。
思考を切り替えて戦闘配置の命令を出す。
部下達は、半ば喜色ある雰囲気でそれに応じる。

「距離を取り、全艦のSSMで攻撃する」

楽観はできない。
何しろ、我々は相手の性能を何一つ知らないのだから。
とはいえ、いくら新造艦だろうと一応我が国と同じ西側諸国である日本の船だ。我々の船とそう解離したものでは無いと思われる。

「相手が防空艦の場合生半可な攻撃では迎撃されてしまう。全弾発射し、攻撃が失敗した場合は速やかに後退する。」

艦隊はゆっくりと日本艦隊より距離を取り始め、日本艦隊はそれを観察しているかのように大きな動きは見せない。

やがて、適切な距離まで離れた艦隊は照準レーダーを起動する。
これで日本艦隊にも気が付かれる筈だ。とはいえ対応する時間は与えない。
即座に攻撃の命令を下す。

「撃て!」

李舜臣級駆逐艦3隻から8発ずつの24発と、我が艦から16発の計40発のSSMが連続発射され、盛大な噴射炎を上げて日本艦隊へと飛翔していく。
距離を取ったとはいえミサイルの射程からすれば大分短く、対応する時間はほぼ無い。
最低でも作戦続行不能にする程度の損害は与えられる筈だ。


しかし、その予想は唐突に裏切られた。

「レーダーが……ECMです!」

部下の悲鳴に似た報告。
ミサイルを発射し終わった頃、瞬時に対水上レーダーが使い物にならなくなる。
おまけに僚艦との通信も封じられてしまった。

「ECCM!」

「駄目です!即座に追随されます!」

電子妨害に対する対抗手段を実施するも悉くが封じられ、艦隊は実質的に目を封じられることとなる。
同時に、発射されたミサイル群もその全てが目標を見失ったのか、海面に激突するか軌道を逸れてどこかに行ってしまった。

「くっ…最大速力!離脱する!発光信号で僚艦に通信を───」





次の瞬間、第73機動戦団の駆逐艦4隻に対し、日本艦隊から放たれた8発の超音速SSMが飛来。
CIWSの迎撃を高い運動性で潜り抜け、各艦に2発づつが突入。
明らかに艦形を認識しているかのように、艦橋部と速射砲の根元に着弾し炸裂。

特に、速射砲基部に着弾したミサイルの爆発が弾薬庫の装薬に引火し、ジェット噴射のような火柱が破口より噴出する。
その十数秒後、耐えきれなくなった砲弾弾頭が誘爆。
艦前方を叩き折られた駆逐艦達は、速やかに海中へと没していった。



それを見届けた日本艦隊は仕上げとばかりに対潜ミサイルを使い、特筆することもないまま残った潜水艦を容易く撃沈した後、済州島の方向へと進路を向け海域を去っていった。

35: 名無しさん :2021/04/26(月) 00:36:08 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp
中国東北部、遼東半島基部。

知らぬ間に日本に占拠された遼東半島。
現地の人民解放軍部隊は訳が分からないまま、とはいえ何もしない訳にもいかず連絡の途絶えた大連市へと向かう。

その途上で日本軍の小規模部隊と小競り合いになり、その殆どで劣勢となっていた。
始めは戦車、航空機を全面に立てて追い立てようとしたものの、戦闘が開始されたと共に始まったECMは人民解放軍の通信、索敵を瞬時に遮断。
部隊が混乱している隙に、日本軍の物と思われる小型無人機が来襲し、中国軍の車輌や陣地に攻撃を始めたのだった。

戦車は即座に撃破され、後方に布陣していた指揮車輌や通信設備までもが比較的短時間で破壊されていった。

特に、その無人機は部隊後方を射程に納めると、真っ先に部隊指揮官が詰めていた指揮車輌を攻撃し前線部隊を“斬首”してしまっていた。

歩兵による攻勢も、日本軍歩兵部隊の歩兵としては異常な程の高い火力に押され、即座に逃げ帰る羽目となっており、中国軍の攻撃は開始数時間で完全に頓挫したのだった。

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最終更新:2021年04月30日 10:44