101: 635 :2021/05/15(土) 00:10:11 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです ネタ 時には昔の話でも



月明かりの東京のとあるマンションの一室。
まあぶっちゃけると突撃バカとホエホエフリンゼ、二人の愛の結晶であるみんな(八百万の神々)のアイドルヒメチャンの自宅である。

そんな柏木家は本日空気が違っていた。
胡座にヒメちゃん座らせ冷えたビール片手にテレビ見る柏木の横でフェルさんが洗濯物畳む典型的日本人の光景が柏木家の常である。
それが本日は胡蝶楽や春の海が流れてきそうな空気が漂い、柏木とフェルは背筋を伸ばし正座をしている。


「(いつから家は平安時代になったのか…)」


柏木の目の前の人物達は普通の服装であるが狩衣や十二単を来ているように思えてくるから不思議である。
しかしそんな眼前の光景を照らすのは雅な月明りや灯明ではない。
文明の利器である電灯、それが照らすのは…。


「お久しゅうございます。ナヨ…いえ、今はナヨクァラグヤ様でしたね…。」

「妾はナヨクァラグヤ本人ではなく写し身、ですが昔のようにナヨとお呼びください…源氏の棟梁、源頼光様…。」

「我らもまたかつて生きた者の影法師が神仏のお力で妖精として再び生を頂いた者…私も昔のように頼光と…。」


創造主の写し身ナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサと源頼光の二名に加え。


「カーッ!頼光サンにナヨサンも姉妹も同然なのにかたっ苦しいこと言ってるんだ。千年振りに知人に会えたってだけでいいじゃねえか?」


金髪の偉丈夫、坂田金時が頭を掻きながらそんなことを言う。
そんな金時を見てナヨと頼光はキョトンとすると互いに目を合わせ笑い出す。
その様子に金時は不貞腐れつつ本題を切り出す。


「頼光サン、さっさと要件話そうぜ。」

「そうですね金時…。」

「やはりその左手のことで?」

「ええ、ナヨそのとおりです…。」


此度は何故三人が柏木家に集まってるのかと言えば。


「頼光、まずは御結婚おめでとうと申すべきでしょうか…。」


頼光の左手の薬指に輝くものを見つつナヨは言う。


「ありがとう、ナヨ。」

「それで要件とは結婚式に出席して欲しい、ということでしょうか?」


最初から出席するつもりと言うナヨに違う違うと金時は手を振る。


「あーつまりな…。」

「金時、そこから先は私から話しましょう。」


当事者なのだからと言うと頼光は金時を制する。


「ナヨ、この現世において我ら源氏の一族郎党はほぼおりません。故に親類、いえ知己として構いません。
婚姻の儀にて親族の席にて出席して頂きたいのです。」

102: 635 :2021/05/15(土) 00:10:44 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



神崎提督と源頼光の婚姻、本来であれば国とまでは行かなくとも無駄に豪華な知人総出を上げて慶事として行われるべきことであろう。
だが対馬の悲劇から一年も経たずに大々的に行うのは如何なものかという意見は根強い。
しかしながら源氏の棟梁の血を入れるのは必須ともいえ、故に式は行われる必要があった。

神崎島にて親類縁者を集め密やかに行われることとなったが一つ問題があった。

頼光側の親類縁者が少ないのだ。
縁者といえば源為朝を宿す浅間智ら源家の末の神崎浅間八幡関係者、息子の坂田金時そしてその金時を宿す電に大具足の器となった足柄、
少し苦しいが電の姉妹達(特型)や藤原秀郷くらいであろうか。

他に天照大神や八幡神の垂迹繋がりから阿弥陀如来、熊野権現も名前が上がるがそれらは寧ろ婚姻するものに誓われる側である。

そんな中で知人、いや友人が一人いた、いや一柱と言うべきか。
ナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサ、千年前に京の都を訪れた異星人、その写し身である。



「構いませぬよ。友としていえ親類として参加致しましょう。」


ナヨは頼光に肯と答える。
面白い因果にクスクスとナヨは笑う。
1000年の昔にはナヨが婚姻する際には頼光が出席するという約束をしたが自分が頼光の婚姻の儀に参加するとは…。


「えーとナヨ様に頼光さん、御二人は知人なので?」


恐る恐るといった様子で柏木は話を切り出す。
柏木は頼光に頼まれこの場をセッティングしたがナヨと頼光、二人にどんな関係があるのかは知らない。
フェルも疑問に思っていたのかコクコクと頷く。
二人は互いに目配せをすると語りだす。
柏木はPVMCGで記録端末を作り出すと足元に置いた。


「そうですね…あれは千年の昔のことです…。」


ナヨと頼光、二人の記憶は千年の昔、平安と呼ばれた都市へと飛ぶ。



千年の昔、頼光は源氏の棟梁として宮中に出仕、当時の帝の客人であったナヨの護衛をしていた。
ナヨの方も女性である頼光が護衛をしてくれることに安堵していたが男性の服を纏い男性として扱われ、男性として振る舞う頼光に疑問を抱いていた。
そもそもティ連技術のセンサを誤魔化すことなどこの時代にはできはしない。
そんなある日ナヨは頼光に疑問をぶつけてみた。


「頼光様は何故女性であらせられるのに男性として振る舞われているのですか?」


頼光は目を白黒させ記憶がフラッシュバックする。
自分であることをを禁じられ源氏の棟梁『源頼光』であることを強制された自分。
女であること母であることを禁じられ、男であること父であることを強制された自分。
人ではない自分、人であらねばならない自分。
混濁する記憶に頼光はガタガタと震えだす。

ナヨはハッとする。
様々な知識を持ち自身も優秀な科学者であるが故に気づいた。
頼光がある種の自己マインドコントロール、己を強固に抑圧していることに。

ナヨは頼光を抱きしめる。
暫し頼光は藻掻くが少しするとその暖かさに落ちついた。


「頼光様、話したくなければ構いません。貴女に何があったのですか?」


その優しい言葉にポツリポツリと頼光は己が素性を話しだした。
相手が異星人いや頼光の認識で言えば天女という己と同じ人外であったことも影響しているだろう。

103: 635 :2021/05/15(土) 00:12:26 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



ナヨは頼光の境遇を聞きただただ抱きしめた。
己の境遇に重なるのだ、危機的予測を疎み危機感を持たない現状維持派により閑職に追いやられた自分の境遇と。
ナヨも自分の境遇を話し出す。
頼光から見れば天の国での話だが下界である現世の自分と酷く似通った話。

ナヨが話終えると今度は頼光がナヨを抱きしめる。
するとナヨが泣き出しつられて頼光も泣き出した。
ワンワンと童女の様に泣く二人。

男として武士として求められた武家の半神半魔の女、皇女でありながら望まぬ仕事をさせられて来た異星人の女。
この時二人は断金の友いやそれ以上、親類家族とも言える存在となった。
互いの酷い表情を見ると笑いながら泣きあった。

その後二人はそれぞれの前では己をさらけ出し幸せな日々を過ごしていた。
しかし、ついに別れの時はやって来た。


京の都の空を覆う天浮舟。
それらはナヨを連れ戻しに来た天の国、イゼイラの現状維持派の軍勢。

ナヨを連れ戻させはしないと頼光や金時らも奮戦しようとするもスタン兵器と化学兵器により無力化された。
せめて書いた資料だけでもと言うナヨを強引に浮舟に乗せるイゼイラの兵士達。

地に伏せた頼光は連れ去られるナヨに手を伸ばすが届かない。
如何に神秘殺しといわれ、頑強であろうともその肉体は人の子、千年の先さえ超える科学の前には無力であった。

大江山で失われた大具足さえあれば抗えるものを…頼光は姉妹とも言える友を助けられぬ悔しさに涙を流す。
そしてハッチは閉じられ浮舟は天へと飛び去った…。



「そしてその後、せめてもの慰めにと私はナヨが残した形見とも言えるナヨの書いた文と書を纏め大切に保管しましたとさ…。」


頼光が話を締めくくる。
ポカーンとする柏木とフェル。
無理もない日本とイゼイラ最新の研究を元にした真伝竹取物語のさらに裏側の話なんぞ聞けるなんて思ってなかったのだから。
そして柏木は記録端末のスイッチを切る。


「いやあコレまた歴史が動くぞ…。」

「ワタシもそう思いマス…。」


柏木とフェルのボヤキに頼光とナヨは言う。


「御二人共、歴史等というあやふやなものは容易に変化し、捻じ曲げられていくものです。」

「頼光の言う通りです。イゼイラでは現状維持派の所業は隠され、日本では頼光の存在は捻じ曲げれました。」


ナヨと頼光の背後にちょっと鬼が見えた気がしてヒエーと柏木とフェルは互いを抱きしめ合う。
ヤレヤレといった感じで金時はどうにかなったと呟く。


「しっかしアレかねえ。ナヨサンを源氏の棟梁の頼光サンの義姉妹とでもすると旧イゼイラ皇帝家は清和源氏の一つになるのかねえ。」

「あら、妾も武士でしょうか?それもいいかもしれませぬ。」

「ナヨサン本気かよ!?」

「さあ…。」


金時の言葉にはぐらかすようにクスクスと笑うナヨであった。

104: 635 :2021/05/15(土) 00:13:10 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2021年05月19日 16:58