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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその四十(現代ゲート編) 



信任状捧呈式の為の馬列、それはいつもとは違う。
目の前の光景にに人々は息を呑む。

事故がないように配置されシールドを展開する空中に浮かぶヴァルメはまるで神殿の柱の如く佇む。
そして人々の目に入る者の多くが纏うは典礼用の優雅な装飾されたロボットスーツ否、ここでは儀礼用の鎧と称するべきであろう。
ソレを纏うの者達が列を成す、だがそれはヒトだけではない。

青い肌の鳥人、鱗と滑らかな肌を持つ蛇人、猫科の肉食獣の様な獣人、笹穂の様な耳を持つ者…それらは地球科学を凌駕する文明を持つ異星の者達である。
完全にヒトならざる者、ヒトに似た者、艦の艤装を纏う者…それらはこの世界では消え去った筈の幻想そのものである。
それらが行軍する。

それは魔法とでも呼ぶべき過去の幻想か魔法と見分けがつかなくなった未来の科学か。
答えははその両方である、だ。
彼らの纏う鎧を形作るは異星の数百年先を行く科学と神代の呪法なのだから。



斎宮の群行の如き馬列。
先導を務めるは右手に戈、左手に楯を持ち黒い衣を纏った鬼、深海棲艦である戦艦棲姫。
巨大なまさに鬼の如き艤装に加え幾人もの文字通りの鬼姫達を従え戈と楯を打ち鳴らし人を守護する鬼、
護法童子の如く道を祓い清め魑魅魍魎共を追い立てる。


続くは貴人を守る衛士を率いる騎士と武士。

騎士は白銀のフルプレートアーマーを纏い、獅子の意匠を持つフルフェイスの兜を被る。
彼女こそはかの古きブリテンの伝説に謳われし偉大なるやがて来たる王。
極東戦争では世界の危機に顕現し、欧州大戦においては伝説通りにブリテンの危機に駆けつけた。
その時に新たなる伝説、新たなる円卓の騎士が生まれたがそれはまたの機会に語るとしよう。

その手に掲げる重馬槍、無論かの最果ての槍。
現代まで残る数少ない神器の一つにしてかのブリテンの伝説を示す大英帝国にしてみれば唯一無二の至宝とでもいうべきもの。
しかし、ブリテンに彼女から贈られ存在するのは影打ちや分御霊とでも言うべきもの。
一年の大半は神崎島にある。


そして武士は紫苑の大鎧を纏い星兜に加え目から下を覆う真蛇の面を模した面頬を付ける。
その正体は時は平安、源氏の統領である。
未だ神秘が色濃く残り魑魅魍魎が跋扈する時代の化物殺し。
彼の対馬決戦においては鎮西八郎下二八騎の一騎として降り、オリオンによる神弓射やティアマトとの戦いで活躍。
戦後は島の機械化騎兵達を率いている。

その腰に下げるは彼の鬼殺しの太刀、童子切安綱である。
他に源氏重代の太刀も所持しておりそれらは一部婦女子からは熱い視線が注がれている。
そして二人の乗る馬は無論伝説に名を残す名馬である、ドゥン・スタリオンと京極。


二人共顔を隠しているため伝説の英雄であるとは知らず沿道の人々は声援が送る。
その声に答えつつ二人はPVMCGの機能で小声で会話を行う。


「(こちらの東の都(みやこ)は随分とまあ厄を溜め込んでおりますね…。)」

「(それはそうでしょう長きに渡る疫病に加え家に閉じ籠もるのですから。唯でさえ都市とは穢を溜め込みやすいものそれが東京程ともなれば…。)」

「(然様かと。それに都の結界も悪い方に働いてる様子、京の都を思いだします。)」


二人に率いられるのは騎士や武士の鎧に似たロボットスーツを纏い、ホースローダーを装着した馬に乗る機械化騎兵達。
手には本来の意味でのカービン型のブラスターライフルを装備する。
巨大な機械の弓を持つ者もおり、その弓は巨大な矢を戦車砲にすら匹敵する初速で撃ち出し複合装甲すら撃ち抜く。
さきの欧州大戦では偵察、対戦車戦等八面六臂の活躍を見せ、ティエルクマスカ防衛総省でも新しく部隊が創設された程だ。

衛士達が騎乗する馬。
その軍馬達は日本在来馬の流れを組んだ神崎島在来馬を品種改良されたものである。
体高140センチ以上150センチを超えるものもいた平安期の馬の直系とも言える馬を神崎島が長年に渡り品種改良したものだ。
品種改良されたそれらはサラブレッドに匹敵する体躯と日本在来馬に良く見られるガッシリとした骨格を持つ。

なおしれっとウラヌス号も混じってて知る者を驚かせていたりする。

223: 635 :2021/05/20(木) 19:49:00 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



「なんだありゃ!?」

「デカイ!!」


続き、腰に日本刀を装備した桜色の重機動甲冑『王武』に率いられた王武に加えて、
むせるとこちら側でも話題のオリーブドラブのコマンドトルーパーの部隊が現れる。
創作では小さいされる四メートル弱のサイズも機動兵器を実際に目にすると圧倒される。
しかし全高はトレーラーヘッドの車両よりも大きいが国道の高さ制限内で運用出来るほどコンパクトとも言える。
そしてその王武を見て何かを思い出しむせる(物理的な意味で)ものもいる。



東京都八王子市の片隅、お上の事情やら仕事で色々あって嫁と子連れて実家で両親と暮らすことになったとある会社員。
最近は艦こ○やグランドなオーダーを有するアーケード部門で働いており此度の騒動にも巻き込まれてたりする。

"何故か"近所に高校時代の友人二名も越して来たのでよく飲みに行けるのでトータルで収支プラスかなと思う今日この頃。
家を出ていた妹も一緒に信任状捧呈式を見る中、むせる最低野郎と共に画面に映る機動兵器を見て飲んでいた緑茶でむせた。


「!?ガヴォ!?ゴッホ!ゴッホ!!」

「ちょっと!兄ちゃん汚い!?ああもう母ちゃん、雑巾!」


画面の隅に何やら友人と話す自分に似た人物を見た気がするがそれどころではない。
どう見ても昔やったことある現在勤め先の作品に出てくるのにしか見えない機動兵器を見て画面にかぶりつく。


「アレ、現代的にな上桜色だけど魔装機兵の『神威』じゃねえか!?」

「真人!テレビ見えないでしょ!!」

「痛てっ!?」



二種の機動兵器に続くは大使を乗せた馬車と護衛の艦娘達、その後方には先の列と同じくロボットスーツを纏う者や騎馬達が続く。
此度はやはり騎乗し艤装を装備しながらもいつもと違う装いである。日本の艦娘は大鎧風の、欧州艦娘達は騎士鎧風の装いしている。
艦娘達の乗る馬達もやはりホースローダーを装備している。
それも機神の神鋼(アマダン)を解析して作られた最新素材霊鉄(ミスリル)が使用されている。

艦娘達の騎乗する馬達は先の軍馬にそれに匹敵する体躯を持つがそれ以上に人々の目を引くのは身に纏う光輝。
当然だろうソレらは元来、天の草原を住処とする神馬天斑駒、とある理由により大地に降りた。
その名は各馬毎に様々な色を有することに由来する。

それらを御する艦娘達の乗馬の腕も並のものではない。
当たり前だろう彼女達は騎乗の才を持つ者もいる数多の英霊をその身に抱える身であり、
電などに至っては源氏の棟梁から直接指導を受けている源氏の武者の身なのだから。

艦娘とその騎馬達を見て人々は思う。
その姿をどこで見たことがある、と。




人混みの最前列、父に肩車された一人の幼い少年が目を輝かせる。
大きく開かれたどんぐりの様な少年の瞳一杯に映る大きなロボットに騎士やお侍さん。
少年から見れば彼ら彼女らは全員がテレビの中から出てきたヒーローにしか見えない。

少年は両親、祖父母家族と一緒に今回の信任状捧呈式を見に来た。
久々の家族でのお出掛けということもあり父の肩の上ではしゃぐ少年を母親が嗜める。
しかしその程度で少年の興奮は収まらない。

その時、父親の背中に後ろの人がよろけてぶつかる。
なんてことはない衝撃であったが肩車し重心が高く、少年がはしゃいでいたために父親はバランスを崩した。
放り出される少年、システムはヴァルメの張ったシールドに接触し地面に落下するのが危険と判断しシールドを一部解除した。
『放り出された方が安全』だと判断したからだ。

224: 635 :2021/05/20(木) 19:49:54 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


少年が車道に放り出され、家族が悲鳴を上げると、




一陣の風が吹いた。




少年は柔らかなものの上に優しく跨がらされ、目の前が茶色一色が染まる。
キョトンと周囲を見回すと父親に肩車されたより高い視点と唖然とする家族の姿。
唖然とする家族の視線の先、自分の背中に目を向ける。


「もう大丈夫なのです。」


にこりと笑う自分より年上のお姉さんのお侍さん。
鎧を着てその背中には少年より大きな鉞を背負う。
自分が跨っているのはお姉さんのお侍さんが乗るお馬さんだった。

馬はスキップをしながら少年の家族に近づき、馬に乗るお侍さんから少年は母親へと手渡される。
母親に抱かれた少年は馬を見る。
鹿にも似た茶色の毛に顔の流れ星のような白い毛がよく似合う。
足は白い靴下を履いてるが右前足だけ履き忘れているのに少年が気づいた。
それを少年が「へんなのー」とそれを指摘すると馬は少々怒ったように嘶く。


「電さん、行きますよ。」

「赤城さん!了解なのです!」


声をする方に目を向けるとお姉さんのお侍さんより年上の長い黒い髪のお侍さん。
少年より大きな弓を持ち、腰には刀を佩いている。
そしてお姉さんのお侍さんの乗る馬によく似た馬に乗っている。
額に白い星があり左後ろ足だけ白い靴下を履いている。
家族かなと少年が言うと周囲がざわめき出す。
お姉さんのお侍さんは少年に別れを告げると長い黒い髪のお侍さんの方へと馬の方向を変える。


「テイオーさん、行くのです!」


お姉さんのお侍さんが馬に声を掛けると馬は一声嘶くと軽やかに駆け出した。
少年は手を振りお侍さんを見送る。




「あれはまさか…。」

「だとするとあっちの人が乗ってたのは…。」

「あの二頭の姿は間違いない。」


周囲がざわめく中一人の小さな声が酷く全員の耳に聞こえた。


「だけどあの二頭、メスだったような…。」

225: 635 :2021/05/20(木) 19:50:52 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp






護衛される儀装馬車の中、遣ゲート日本全権大使深海磨鎖鬼…撫子、駐日大使を務めるアナスタシアに加え金剛や大和の姿もある。
彼女達は沿道からの声援に手を振る。

馬車の中の金剛と大和の姿が急にブレる。
すると金剛は紅白の、大和は純白の衣へと姿を変える。


「皆元気があって宜しいことです。ね、母様。」

「貴女は逆に元気が良すぎです。脱走が多いと金剛が嘆いてましたよ。」


金剛を娘の如く扱う大和は金剛を半目で睨む。
金剛は母と呼んだ大和の言葉に目を逸らし口笛を吹く。
まあまあと撫子は二人を宥める。


「伊耶那美命様も天照大神様も本日はハレの日なのですから。」


そう大和と金剛の身を借りてはいるがこの二人いや、この二柱は伊耶那美命と天照大神。
しかしと撫子は言葉を続ける。


「何故急にこちらに降りられることになられたのですか?」

「ヘスティア神より卜が下りました。」

「「!!」」


伊耶那美命は告げた、ヘスティアから近い将来を示す神託が下ったと。
その言葉に息を飲む撫子とアナスタシア。

例え神であろうとも完全に未来を見通すことは敵わない。
神託の神であるあのアポロンですら、だ。
それは災厄の箱に封じた故か、可能性を残す為か。
どちらにしてもそれが出来ればあのような世界が生まれることはなかっただろう。

そしてヘスティアがなぜ神託を下せるか。
それは彼女が神と人を繋ぐ祭壇の女神であるからに他ならない。
アポロンの領域、彼のデルフォイの場での神託すらヘスティアの助力が必要なのだ。
即ち、極めて限定的ではあるがヘスティアは他の神々の権能を代行可能、ということだ。


伊耶那美命はヘスティアの言葉を謡う。


「『アイギスはその鎧を失い流れ着き。』」

「『悪しき小さきヘカトンケイルは敗れ去りオリエントの果てへと流れ着き遠き月へと渡る。』」

「『小さきヘカトンケイルはガイアより遥かに遠き月の影で嗤い続ける。』」

「『千の星霜を経て己を分かちガイアへ戻る。』」

「『それは再びコスモスにならんとする為なり。』」


聞き終えた撫子とアナスタシアは一息吐く。
そしてアナスタシアは伊耶那美命へと問う。


「伊耶那美命様…今度はギリシャ神話の存在が敵になると…?」


伊耶那美命は分からないと首を振る。
神託は伝えるものの主観に酷く依存し、曖昧なものだ。
大まかな流れこそ分かるが聞く人物によりどうとでも取れる内容だ。
ギリシャ神話の存在に当てはめているが違う可能性もある、ということだ。


「どちらにしても一筋縄ではいかなそうですな…。」


撫子の呟きは馬の蹄の音に消えた。

226: 635 :2021/05/20(木) 19:51:25 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2021年05月24日 23:50