410: 弥次郎 :2021/06/01(火) 22:34:01 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
憂鬱SRW GATE 自衛隊(ry編SS「ポイントブレイカー」
『ああ、もう……数が多すぎる!』
日企連のリンクス「永」はうんざりするほどの数の敵機を屠りながら叫んだ。
彼の操るネクスト「ANX-N88 レーリオーネ」はその高い近接格闘能力と機動力で作戦開始からすでに数千ものデモンゴーレムらを屠っていた。
付随する専用プラットフォーム「カラベルグ」の火力も十全に使いつつ、もはや蝗害と言っていい大集団を蹴散らす。
ヴォルクルスに追従する集団の一つが突如として分裂し、破壊活動を行いはじめたのが昨日のこと。そして、今日はその大集団を試験も兼ねて駆除していた。
現在のところ、テストは順調そのものだ。発揮されるスペックは、そして新機軸の武装プラットフォームは極めて有効に働いている。
ネクストが単独で飛行できることから必要性が薄いかに思われたこれは、しかし、火力運搬役という意味では極めて優秀であった。
おかげで本体のレーリオーネは軽量機として近接格闘戦に特化させながらも、決して火力負けしない状態をキープしていた。
というより、武装が単純に少ないことでネクストの全長を軽く超えるKPツインビームジャベリンが煌めくたび、破壊がなされていく。
ダブルドライブということもあって通常の二倍以上のパワーで振り回されるそれは、まさにオーバーキル。
殊更、音速を軽く飛び越えるネクストが使うのであるのだから、威力に関しては推して測るべしか。
永自身、ダブルドライブを採用したネクストがここまで追従してくれるスペックを発揮しているのはうれしい限りだ。
次世代のネクストのスタンダードがこれとなれば、より戦力的は向上し、高度化するリンクスの要求にも応えられるネクストが誕生することだろう。
さらなる強敵や外敵が想定される状況であるがゆえに、戦力というのはいくらあっても足りないモノ。
焦りはある。だが、余計な焦りが失敗を生むことをよく理解している。先達がそういうのならば、後進たる自分はそれに従うのみだ。
(しかし……流石に疲れが出てきたかな)
長時間ともなれば流石にパイロットの疲労は避けえない。
人為的な肉体改造や機械化により、集中力を意図的に長くすることはたやすい。加えて、リンクスも長時間の戦闘に合わせた訓練を積んでいる。
それこそ、長時間に及び複雑な戦闘を継続してもパフォーマンスを維持できるように投薬や栄養補給、排せつなども自動化されているのだから猶更。
しかれども、永が漏らしたように、すでに当初の予定以上の数を蹴散らしても、敵は減る気配が見えない。
無論のこと、当初確認されていた数よりはだいぶ減ってはいる。だが、その場で生成されるデモンゴーレムは尽きぬとばかりに押し寄せてくるのだ。
『甘い…!』
言葉と共に、「カラベルグ」のKPビームラムを展開させつつ鋭くターンを描いた。
同時に、PAの干渉によって通常よりも大きく伸びたKPビームの刃が旋回に合わせ、敵機をまとめて切り裂く。
ぐるりと360°の回転を形作るだけで、デモンゴーレムらは面白いように分断され、形を失う。まさに圧巻である。
それで止まることなく、次の瞬間にはカラベルグを操作した永の乗る「レーリオーネ」は迫ってきていたスナピルを腕部のビームガンで瞬時に叩き落す。
破壊を見るまでもなく、その場にグレネードの置き土産を落とすと、QBの連発でその場を離脱する。
『オペレーター、目標数まであとどれくらい?』
『すでに目標は達成済みです。ですが、あとからあとから増援が湧いて出ています!』
411: 弥次郎 :2021/06/01(火) 22:34:44 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
後方での爆発を気にすることなくオペレーターに問いかければ、悲鳴のような返答が返ってくる。
レーダー画面を意識すれば、なるほど、周囲から次々と造成されて押し寄せてくるのが確認できる。
光学画像で見ればおぞけが立ちそうなほどだ。なんというか、飽和しているのだ。視界いっぱいに。
光学カメラの映像が統合されて脳内で処理されるリンクスだからこそ、なおのこと広い範囲いっぱいの敵機に軽く嫌悪感を覚える。
(蓮コラよりかはましだけど……)
自分はそういった嫌悪感を自力で抑え込めるし、何ならば脳内に埋め込んだナノマシンによる伝達物質のコントロールで感じないことも可能だ。
一瞬で嫌悪感を押し殺し、次の戦闘行動の流れを一瞬で組み立て、敵集団目がけて吶喊する。
(……あっ)
だが、そこであっと気が付いた。そういえばこのことを平成世界のパイロットたちは教えられているだろうか、と。
このこと、つまり、圧倒的多数を相手にした時の心理的な平衡の維持の必要性とその実践方法についてだ。
これまでのカリキュラムはあくまでも少数から中規模の集団を相手にすることを前提としていた。それは後衛や予備戦力として控えるという都合上だった。
スパルタ式で操縦を教え込み、パイロットとして鍛えてはいるが、所詮は素人に毛が生えた程度だ。極度の機体をするのは間違っている。
しかし、ひょっとしなくてもこういった事態に陥った際に、敵の数の多さに「?み込まれる」こともありうるかもしれない。
こういった精神面での慣熟というのは技量や肉体面での慣熟よりも時間がかかるのが常だ。
(とりあえず、報告しておかないと……あと、他の人にも事前に伝えておくかな)
時間がないということは、カウンセリングと合わせた慣れを生むための訓練だろうか。
肉体的にはともかく、精神的には相当きつい訓練になるだろう。精神に支障をきたさない程度にきつくやるのだろうか。
(頑張っておくれ…誰もが通る道だし)
同情しつつも、永は蹂躙を続行することにしたのだった。
【メカニック紹介】
ANX-N88 レーリオーネ
《諸元》
製造・設計:企業連合共同開発機構
生産体制:性能実証機
操縦方式:試作型第五世代型AMS 補助電脳並列処理
機種区分:アーマードコア・ネクスト
カテゴリー:軽量二脚
装甲材:ナノマシン装甲
動力機関:コジマ機関(ダブルドライブ)
特殊機関:テスラドライブ
防御機構:プライマルアーマー
特殊装備:エジェクションポッド
FCSおよびOS:ANX-OS
武装:
KPビームガン
KPツインビームジャベリン
脚部KPビームエッジ
独立型火力支援プラットフォーム「カラベルグ」
装甲材:ナノマシン装甲
動力機関:コジマ機関(シングルドライブ)
防御機構:プライマルアーマー
武装:
KPビームガトリングキャノン
グレネードランチャー
KPビームラム
その他オプションを追加することで爆装も可能
412: 弥次郎 :2021/06/01(火) 22:35:36 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
概要:
企業連共同開発機構で推進された次世代ネクストの開発研究において生み出された実証機の一つ。
本機はダブルドライブの採用などの次世代ネクストの基本的技術の投入のほか、独立支援飛行ユニットの試験的採用という面を持っている。
MSにおけるSFSの例に出すまでもなく、機動兵器の運用において、その作戦行動を補助するための補助戦力というのは黎明期から研究されていた。
アーマードコアという機動兵器においても輸送機や輸送ヘリなど相応の補助戦力の研究開発は大いに進められていた。
一方で、ネクストというのはその性質やスペック上、補助戦力が追従できないあるいはほとんど不要なほどの能力を有していた。
即ち、長距離侵攻ならばV.O.B.で事足り、さらに後継機のV.O.B.Ⅱでは火力も補えてしまったのである。
そこで考案されたのが、V.O.B.と同様にネクストに近い性質の高級補助戦力の開発という物であった。
類似例としてはV.S.C.というのもあるが、こちらは武器弾薬のデリバリーという面を持っている。
他方、「カラベルグ」においては、SFS、それもネクストの武装と機関をそのまま流用した戦闘プラットフォームとして開発された。
プラットフォーム上に乗るネクストはあくまでも火器管制や近接格闘戦に主眼を置き、大火力の多くをネクストの代わりに運搬するという形をとる。
また、サーフボードのような造形のこれには大型のKPビームラム、すなわち格闘兵装としての能力を持たせており、突撃だけでも強力な一撃をもたらす。
これらの組み合わせにより重火力と高機動の両立を実現することができるようになったのである。
無論、これの今後の発展などについては今回の運用試験の評価や今後の機動兵器のドクトリンによることになるのだが。
武装解説:
腕部に内蔵されたKP式のビームガン。ビームサーベルも兼ねている。
ダブルドライブの採用により、単発の威力はシングルの比ではない。
ネクストの全長を超える大型のポールウェポン。両端に大型のビーム刃の発生機構を備えている。
脚部に内蔵されたビームガンを兼ねる格闘兵装。
推進翼に内蔵されたガトリング。ガトリングキャノンの名の通り、大口径且つ殲滅力に優れる。
有澤印、以上。
カラベルグのメインウェポン。コジマ粒子を用いたKPビーム刃をPAの干渉によって引き延ばし、変幻自在に繰り出せるようにしたもの。
突撃や旋回に合わせての斬撃、出力を増大させてのシールドとしての応用など、使い道は極めて多岐に及ぶ。
413: 弥次郎 :2021/06/01(火) 22:36:18 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
LOFが悪いよLOFがー。
タイトルの意味が分かった方は中々にMCUもしくは洋画をたしなんでおられる方ですな。
最終更新:2023年10月15日 00:48