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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその四十一(現代ゲート編) 



雨こそ降らないが生憎にも曇る空の下、アナスタシア達を乗せた儀装馬車は皇居正門を抜け宮殿南車寄へと到着した。
多くの騎馬達が周辺を守る中、駐日全権大使となるアナスタシアに続き深海の長・撫子が馬車より姿を現す。
それを画面の前で見る者達は英霊のドレス姿を想像したが彼女らの装いは些か異なっていた。

両名とロングスカートの軍衣、神崎島鎮守府の軍の制服だ。
彼女らが神崎島鎮守府の軍籍を有していることに他ならない。
旭日大綬章の大綬に加え、極東戦争・欧州大戦終結記念章も身につけている。
他にも彼女らは対馬解放記念章や欧州東部戦線従軍章や英米露、ティ連諸国の勲章なども保有しているが此度は着用していない。

そして馬車を降りた二人は侍従に案内され皇居宮殿の中へと入っていく。




信任状捧呈式、それが行われる正殿松の間。
松の間へ通されたアナスタシアはそこで待つ方の下へと歩みを進める。

そこに居られるのは今上の天子、アナスタシアはその前で敬礼を行う。
それをにこやかに受けられる陛下。

日本にとっては明治の御代より実に百三十年振り、皇統では四代経てのロシア帝室ロマノフ家直系との再びの邂逅。
その歴史的事象をカメラは捉え、公共放送のアナウンサーはその事実を全世界へと伝える。



アナスタシアは傍らに立つ侍従の持つ書状盆より信任状を重々しく受け取ると今上陛下へと信任状を捧呈する。

公共放送のアナウンサーは向こう側のティエルクマスカ銀河連合、銀河連合日本そして神崎島鎮守府の信任状であると解説する。
しかしながらそれは表向きのもの、実際はもっと凄まじい代物だ。
現在向こう側の現世に在る貴き方々の信任を保証するものでもある。

アナスタシアより捧呈された信任状を受け取ると陛下は側に侍る日本国内閣総理大臣の持つ書状盆へと信任状を入れる。
これを以て彼女は全権大使として正式に承認された。



『ニコラヴェナ大使、駐日全権大使として認証』



テロップが流れる。
渋谷のモニターを見ながら、ラーメン屋のテレビを見ながら、自宅のパソコンで某動画共有サイトを見ながら。
日本中いや世界中の人々がその光景を見守る。
正式な駐日大使の着任を以てこの世界と向こう側の日本に正式な交流が生まれた。

全ての人々が世界が変わるのを感じた。
宇宙国家との交流どの様な未来が始まるのかと人々は胸を高鳴らせ或いは戦々恐々とする。
彼らの中にあるのは超科学で生み出された薔薇色の未来都市かそれとも超科学で滅ぼされた文明の残骸が横たわる黙示録か。


答えはそのどちらでもない。

421: 635 :2021/05/31(月) 23:59:10 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp




『Aa――――――。』





その瞬間、日本中に響き渡る謡。
画面を通し世界中の人間もそれを聞く。
画面の中の侍従や政府の人間たち、そして日本中の人間が周囲を見回し困惑する。
しかしそんな中、陛下とアナスタシアは目を合わせクスリ笑い、総理大臣始め事情を知る高官達は来たかと溜息をつく。


「彼の方がいらっしゃいましたか。」

「はい、もう直到着されるようです。オリュンポスの方々も御一緒に。」


異常な事態により周囲の人間は動けず儀式が中断する中で陛下とアナスタシアはそんな話をする。
今上陛下の何かワクワクした様な御様子に困惑する侍従に対し、アナスタシアは父より聞いた明治帝や先代、先々代に良く似ていらっしゃると呟く。


「陛下、御出迎えに行かれては?」


諦めた様な表情をする総理、信任状捧呈式はこの状況ではもうアナスタシアの退場まで持って行けないだろう。
まあ実質捧呈した時点で式は終わっているようなものだが。

総理はもう行くところまで行こうと腹を括る。
その一言に陛下は玉座を離れ松の間を後にし、総理とアナスタシアも続く。
突然の陛下の行動に呆然と見送った侍従や政府関係者も慌てて後を追う。




陛下を先頭に正殿より長和殿へと続く回廊を行く。
今上陛下達が南車寄に続く長和殿の玄関に姿を現し周囲がざわつく、加え。


「上皇陛下!?」


今では公式な場に出ることが少なくなった上皇陛下御夫妻が御姿を現す。
側には撫子もいる。
やんごとなき方らは暫し親子の会話を暫し楽しまれると連れ立ち再び歩き始めた。


その御二人、ワクワクした様子の父子の背中を見てアナスタシアと撫子は互いに目線を交わすと肩を竦めた。




皇居宮殿南車寄、その場にいる何も知らぬ政府関係者や宮内庁職員、報道機関関係者は呆然としている。
向こう側の全ての人員、銀河連合の日本人やイゼイラ人、ダストール人始め妖精に乙女の姿へと転じた神馬達、そして艦娘達が儀装馬車に向き頭を垂れ片膝を付く。
それは主君を迎える騎士や武者達の如き姿、それは二人の人物へと向けられる。

それは神々しい光を纏う二人の艦娘。



紅白の上代の巫女の如き聖き衣に太陽を模した冠。


柔らかな光を帯びる白き神代の絹衣。



太陽の如き目映い光輝を纏う乙女と母が如き暖かき光輝を纏う乙女が二人。
何が起きたの分からずこの世界の者たちはただぼんやりと二人を見つめていた。

422: 635 :2021/05/31(月) 23:59:51 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ!

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最終更新:2021年06月09日 00:35