730: 弥次郎 :2021/07/13(火) 22:42:59 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
憂鬱SRW 融合惑星 パトレイバー世界編SS「WXⅢ」9-1
事件勃発から12時間と経たぬうちに、東京の都心は隔離された。
B.O.W.の拡散が著しく、また、東京に出入りしようとする人々への汚染の影響が未知数ということもあり、連合はそれを決定したのだった。
主要な道路はすべて封鎖、殊更都心やB.O.W.の出没があった地域への道路は悉くが封鎖されている。検問所と検疫所を設置し、高速道路上を拠点に変えていく。
また、空気感染や動物を媒介した感染を警戒するにあたり、特にB.O.W.の活動がみられた地域では隔離ドームの設置が急がれていた。
それだけでなく、地価の上下水道、電気、ガス、その他鉄道や道路なども封鎖や隔離の対象となり、徹底した遮断がされた。
まさしくネズミ一匹通さぬという絶対防御の構えだ。この手のバイオハザードというのは媒介動物を選ばないことが考えられるため、ごく当然のものだ。
関東日本政府はいきなりの連合の行動に困惑こそしたものの、それがバイオハザードへの対処ということもあって追認せざるを得なかった。
何しろ、実際のB.O.W.が活動した、というか暴れたことによって多くの犠牲者が出ており、尚且つ汚染が広がったという事実があったためだ。
それに対して迅速な対応をしたのは連合であるし、関東日本政府にできたのはごくわずかだ。
無論、働きが無駄だったとか、何もしなかったというわけではないのだが、今回の件でできることなど限られていた。
故にこその追認。そして、可能な限りでの、関東政府国内への対応を行うこと。それが選べたことであった。
しかして、この封鎖が関東日本政府の動きも制限してしまっていることは確かであった。
何しろ、外と内が隔離され、出入りが制限されている状態なのだから。
また、東京都心では得られないモノ、食糧や水などの生活に不可欠な消費物資のことを考えると、なおのこと制限が大きい。
一応連合の管轄下で物資の搬入は許されている。だが、時間はかかるし、やはり検疫というものを経なければならない。
そもそも、東京湾という広大なエリアとそこに展開する船舶による輸送なども封鎖されているために、動きが制限されているのだ。
同様の理由により、関東日本政府領内にある主要な空港も事実上閉鎖。他国との行き来は船舶のみになっている状態だ。
つまり、バイオハザード拡散の阻止と引き換えに、関東日本政府は国家としての機能の多くを制限されている状態に他ならない。
さらに、これらが急速に行われたということは、市民や民間への説明などもそこそこに行われたということであった。
そも、この世界の住人はバイオハザードというものを今一理解していない。
大半の人々にとってみれば、何の理由かもわからず移動の制限やらインフラの封鎖やらが決定され、実行に移されたようにしか見えないのである。
故にこそ反発もあるし、そもそもなぜこうなったのか説明されても理解されず、混乱するという有様になったのである。
その混乱、経済的損失、あるいは物的損失。それらは、積み重なっていくことで、コラテラル・ダメージというには大きいものとなりつつあった。
731: 弥次郎 :2021/07/13(火) 22:43:40 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
だが、連合はこの程度では止まりはしない。
余計な雑音を封じている間にすべてを解決しなくてはならないのだから。
まず行ったのは関係者の洗い出しと指名手配、そして捜索だった。特に大学の関係者及び研究所の職員は任意という名の強制連行を行った。
判明しているだけでも大々的な規模でのプロジェクトである以上、一つの大学や研究所だけで行えることではない。
スポンサーがおり、協力者がおり、あるいは指示した人間がいるはずなのだ。殊更、明らかにB.O.W.を目指して培養されていたことが分かったのだから。
結果として、なんと自衛隊内部にいた石原一佐とその派閥が捜査線上に上がるという事態に見舞われた。
国外の事情、とりわけ融合惑星のことについて知っており、尚且つ異星生命体であるBETAについて情報を得ることができた人間だったのだ。
そして、彼らはB.O.W.としての活用を考え、研究用にユージアから提供されたBETAの細胞を中抜きし、私的に研究に使ったことが分かった。
そして、この研究には政府の一部、すなわち国防族やら財務、内務、文部科学といった各省庁や完了までもかかわっていることが判明。
民間からも資金や物資の提供あるいは研究員の派遣などが行われ、それが国に露見しないようにと大掛かりな偽装を施して行われたことが判明した。
実際、その規模は大きかった。特定の集団の誰か、というわけではなく、誰もかれもが少しずつ関与していたのだ。
その実態を知っている知っていないの差こそあれども、関東日本政府の政府やその麾下の組織などかなりの広い範囲の人々がかかわっていたのだ。
さらに、○○大学や東都生物医学研究所だけでなく、他の研究所においても同様の研究が進行していることが判明。
密かに設置されたそこからは、東京湾に廃液が流出するというあるまじき欠陥があり、これが東京湾の汚染原因と判明した。
これに対して連合は判明した時点で即座に鎮圧及び対応部隊を派遣。研究所の制圧と封鎖・隔離を実施することになった。
そして、そこに関わった人間も次々と尋問や事情聴取にかけることとなった。それこそ、メモリースキャニング解析さえも積極的に使って。
さらに、メモリースキャニング解析に関係者を片っ端から欠けていく中で判明したのが、国外勢力の介入であった。
なんとこのBETAの細胞を用いたB.O.W.の開発計画というのは、米軍までもがかかわっていた、というのだ。
元々、ユージア・日本・米国の間ではBETAの細胞を研究に用いることはあっても、それをそれ以外の用途に使うことは禁じる協定が結ばれていた。
それが事実上黙認されていたのも、γ世界の人々にも地球外生命体、殊更侵略や害意を持つ生命体について知ってもらうためのものだった。
だが、石原一佐やその協力者であった米軍のマイケル・パッケンジー大佐は協定を破り、βブリットのようなB.O.W.を生み出すことを画策したのだった。
732: 弥次郎 :2021/07/13(火) 22:44:44 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
斯くして、国内だけの問題ではないと発覚した時点で連合はすぐさまユージアと
アメリカにも連絡を飛ばし、事実関係の調査を依頼した。
両国にとってもまさしく寝耳に水の事態であった。
殊更、
アメリカにとってはそうであろう。まさか自国の国軍大佐が、本国の監視から逃れて同盟国で違法な研究に手を染めているとは。
まして、それが政府や軍の指示を一切無視した、まさしく文民統制にあるまじき行為であることにも衝撃が走った。
即座に関係者、殊更マイケル・パッケンジー大佐の部下や関係のあった軍人は軒並み事情聴取を行うことになった。
そして、彼が本国にいる間に行ったいくつかの行動や、日本に派遣されている間にやったことを一つ一つ明らかにしていった。
結果から言えば、真っ黒であったのだ。なんと彼は米国の医薬品メーカーや民間の研究機関にまで声をかけて回り、出資や人員の融通を受けていたのだった。
幸いにして実物に関わっていることはなく、また、BETAの細胞などの実物は持ち込みは確認されなかったのだが、関係者が現地にいることも判明した。
さらにさらに、米国政府と米軍のSAN値を下げたのが、マーシャル諸島にある米軍基地に日本からの研究成果の持ち込みが予定されているということであった。
日程などから鑑みて、すでにそこにB.O.W.が持ち込まれて研究されている可能性は十分に在り得る話であった。
何しろ、本国からも遠い遠隔地だ。それゆえに軍としてのチェックも甘く、民間船の出入りもやろうと思えば可能。
尚且つ、くだんのマイケル大佐の根回しでB.O.W.研究のための人員や物資が運び込まれているということも判明したのであった。
米国は即座に逮捕と現場の差し押さえを実行に移そうとしたのだが、これを制したのが連合であった。
すでにB.O.W.が存在する可能性が高く、また、B.O.W.に対する理解の甘さから漏洩などのリスクが十分にあった。
そこにB.O.W.を相手取るための装備品や訓練などが充実しているとは言えない米軍を投入するというのは危険だと忠告したのだ。
そして、それらに備えているのが連合である、ということも。
斯くして、連合は最終的な滅菌・滅却措置---すなわち、マーシャル諸島を消し飛ばせるだけの戦力としてMSやMAなどの派遣を決定。
さらに、B.O.W.を相手取ることを前提として、軍事利用されているハンターといったB.O.W.の投入も決定した。
関東日本政府内部の洗い出しや関係者の身柄の拘束、B.O.W.や変異体の始末などを行いつつも、連合はそれだけの膨大な戦力を動かした。
そこに、慈悲などというものはかけらも存在していない。過去の壮絶な経験から、連合はこの手のB.O.W.に対して容赦していないのだ。
既に実害は出ているというのに、それを知らぬとばかりに拡散しようとする行為を見過ごすほど連合は甘くはない。
運命の時は、すぐそこにまで迫っていた。
733: 弥次郎 :2021/07/13(火) 22:45:31 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
次回より、マーシャル諸島制圧戦に移ります。
まあ、島が一つ二つ消えるかもですが、これもまたコラテラル・ダメージというものなのだ。致し方ない犠牲というものだ。
734: 弥次郎 :2021/07/13(火) 22:46:56 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
730 修正
×事件勃発から12時間と建たぬうちに、東京の都心は隔離された。
〇事件勃発から12時間と経たぬうちに、東京の都心は隔離された。
最終更新:2023年07月09日 21:36