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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行七冊目
どうしたものか…。
戦艦リシュリュー艦長が職務を拝命した時に拝領したという剣を差し出されファーダリシュリューは困っている訳であるがどういうことか…。
ファーダの側にいる艦魂リシュリューがファーダに耳打ちし、ファーダは頷いている。
あの剣、リシュリュー刀とやらを差し出すということにどの様な意味があるのかと考えればケラージョルジュがファーダコンゴウに小声で語り掛ける。
「(艦長が我らが指揮官に返上されたあのリシュリュー刀は職務に着任の記念であると同時に我らが指揮官の艦長という大役を担う者の証でもあるのです。)」
成程、つまりあの剣をファーダに差し出すということは戦艦リシュリュー艦長の職務と戦艦リシュリューの指揮権をファーダ、いや『Notre Commandant』に返上すると同義であろう。
しかしケラー、ファーダコンゴウにも敬語なのか…。
「(当たり前だろ?我らが指揮官と同じく戦艦にして女神であらせれれるのならば例え国も宗教も違えど敬意を払うのは人間として当然のことだろ?)」
この世界でそれが当たり前なのかと問えば各国で多少の違いはあれど各個人の信じるものが害を成すものでなければそれを最大限尊重するのは当然という返事。
まあなんとも羨ましい限りである。
我々の世界の中東やアフリカ、欧州で猛威を振るうヒャッハー教や欧米のSJW教、日本の憲法9条教や平和主義教にこの世界の人々の爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
後、女神扱いで「ワタシはそんなキャラじゃナイネー…」とファーダコンゴウが地味にダメージ受けている。
そんな中、ファーダリシュリューが差し出された剣を抱えながらフゥと溜息を吐く。
ファーダの溜息を聞き頭を垂れた艦長達の身体がビクリと強ばる。
「艦長…先に申しておきますが今回の件に関しては私、艦娘リシュリューも『Notre Commandant』と貴方達が呼ぶ戦艦リシュリューも怒ってはいません。
しかしながら剣と指揮権は私が一時的に預かりましょう。そうすれば貴方方も心安いでしょう。」
ファーダの言葉に安堵の息をつく艦長達。
艦長に返還しないのかと私が疑問を抱けばその疑問にファーダコンゴウが小さな声で私に言う。
「(FFRの体制考えれば現在の最高指揮官は我らが指揮官の名代として振る舞っているリシュリューダヨ。)」
この状況下で剣を返せば『Notre Commandant』が剣を預かる意味も価値もないと思っている艦長達が解釈してしまう危険性もあるとファーダは言う。
一時的にファーダリシュリューが指揮権を預かる方が万事丸く収まると…。
ファーダリシュリューは装甲服のスカートのベルトに剣を留める為の金具を造成するとそこに艦長のリシュリュー刀を帯刀する。
その姿を見て感極まり咽び泣く艦長ら。
ケラージョルジュも感化されたのか涙を流す。
ああ、『Notre Commandant』自らが戦艦リシュリューの指揮を取るという事実が彼らをそうさせているのか。
これでFFR大統領のリシュリュー刀でも預かった日には如何なることになるのか…。
暫くし艦長達の涙が落ち着きファーダが艦長達に立つよう命ずる。
すると艦長らは先程までの様子と打って変わり、打てば響く軍楽隊の楽器の如く即座に立ち上がりファーダの前に一列に整列、
一部の隙きもない見事な敬礼を披露し私は感嘆の声を上げ、ファーダリシュリュー、コンゴウは「美事」と拍手を起こる。
我々の艦長らへの反応を艦魂のリシュリューは我が事の様に喜び、まるで我が子の自慢をする母の様な表情を見せる。
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そしてファーダリシュリューからお褒めの言葉を頂いた艦長らは我々の方を初めて認識したのか驚いた顔を見せた。
艦長は何か失態をした己を責める様な顔をし腰の辺りを弄るが何かに気付いた様子で溜息をつく。
ふむ、あの様子ではあの艦長のリシュリュー刀は彼の拠り所であった様子、このままでの話し合いは少々精神的に宜しくないやもしれない。
ついでに他の者も我々に驚愕しそれどころでない様子。
その為に一芝居打つべきか…。
ゼルクォートでメッセージアプリを立ち上げファーダリシュリューにメッセージを送る。
ワタシ:ファーダ。
リシュリュー:何かしら?
ワタシ:リシュリュー刀のない艦長の精神状態と彼らの様子を見るにこのままでは話し合いに支障が出るかと愚考します。
金剛:確かにネー
リシュリュー:ではどうするべきと?
ワタシ:はい、一芝居打ちましょう。Notre Commandantの名代として艦長にリシュリュー刀の代替えの剣を直接お与え下さい。
リシュリュー:エ”ッ!?
ワタシ:さらに主君から直接与える様な演出も過剰なくらい行えばさらに良いです。
彼らの思考を麻痺させ私とファーダコンゴウの存在を許容させることが出来るかと…。
金剛:それは良い考えデース!
リシュリュー:ちょっと金剛まで!?
そこへ艦魂リシュリューも話に加わりファーダリシュリューへと懇願する。
『艦娘リシュリュー、私からもお願いするわ。あの子達の献身に対して私は今も昔もあの子達が操るこの鋼の体を以てしか応える事ができないの…。』
己の名と姿で彼らに少しでも報えるのならばと悲しげな顔で彼女は言う。
リシュリュー:もう…そんな顔されたら断れる訳ないじゃない…。はあ、貴方も言い出しっぺなんだから手伝いなさいね?
ワタシ:勿論です。ファーダリシュリュー。
溜息をつきながら私にメッセージを送るファーダ。
無論発案者なのだから当然だ。
話の切っ掛けとして私がファーダに上奏するような形が良いだろうか?
彼らに分かりやすいように翻訳機を使わず己の肉声の方が良いだろう。
私はファーダリシュリューの前で膝を地に着け頭をたれ、右手を右胸に当てるイゼイラの最大級の敬礼を行うとイゼイラ人独特の発声でフランス語を発する。
「Notre Commandant。」
すると艦長始め戦艦リシュリューの乗員たちが驚いた表情でこちらを向き、ファーダリシュリューは私の言葉に誂うように楽しげに答えた。
「何かしら『我が副官』?」
ちょっ、ファーダ!?
『我が副官』という呼び名は何なんですか!?
周囲のFFR軍人の驚愕の雰囲気と絶句した様な呟きが聞こえるんですが!?
咄嗟に顔を上げるとファーダリシュリューは可笑しそうな表情をしている。
してやられた…ファーダリシュリューは己の悪戯が成功した童女の様に笑みを浮かべていた。
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短いですが以上になります。
次回は艦長の反応の予定。
最終更新:2021年07月23日 10:28