613: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:31:56 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
この作品はGATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりと憂鬱のクロスものです。
原作の平成日本とは繋がりません。
色々破茶けてます。
こんなの無いだろ、なオリ設定もあります。
笑い飛ばす程度に読んでください。
当作中には、『提督たちの憂鬱』本編に登場していない作者オリジナルの転生者が登場します。
また、当方のネタ『
夢幻会皇族・華族会議』の
登場人物設定が含まれます。
陸軍の編制・人事等には、『提督たちの憂鬱』本編を反映しつつ、不明な箇所は個人的に設定しています。
earth様の設定する本編憂鬱世界に押し付けるものでは決して無く、あくまで当方のネタSS内の設定として使用します。
これらの独自設定により、『提督たちの憂鬱』本編の設定とは乖離する可能性があります。
以上の事を留意してお読みください。
決して、"押し付ける設定と勝手に勘違いして非難する"事の無い様、お願い致します。
GATEネタ GATE 皇軍 彼の地にて、斯く戦えり 第17話 陸軍三長官会議
1945年12月15日夜 特地日本占領域内 アルヌス司令部庁舎
「やっと終わった・・・」
そう言って、伊丹は身体を伸ばしながら、廊下を歩く。
戦闘後に残った弾薬を返納して、銃を整備して武器庫に収め、案の定廃銃となった栗林の小銃に関する始末書等の処理、
車両の整備を行い、さらには報告書を書いて提出し、参考人招致とその後の行動についての指示を受けているうちに、すっかり日は暮れてしまった。
「さっさと土曜カレーを食って寝る・・・か」
そう言いながら、忘れ物確認のために自分が使っているデスクに戻る。
1945年12月15日は土曜日である。
海軍では、洋上で曜日感覚を狂わせないため、週末に余った食材を処理するため、調理と片付けが簡単だから等の様々理由から週末の土曜日にカレーを食べている。
陸軍の特地派遣部隊もまた、地球とは違う現地の時間間隔(1年が389.3日)や地球と部分的に情報が隔絶した状況であること等から、海軍に習い陸軍でも土曜日にカレーを食べる習慣が導入されていた。
なお、土曜日にカレーと聞いて多くの読者は違和感を感じたであろうが、実は本来、カレーは土曜日に食べられていた。
金曜日はカレーの日というのは、海上自衛隊が週休二日制を昭和の終わりから平成の初めにかけて導入したことから、土曜日に食べられていたカレーが金曜日に移ったのだ。
そのため、日本海軍では土曜日にカレーを食べていたのだ。
そういうわけで、特別地域派遣部隊でも、土曜日の食事はカレーであった。
614: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:32:28 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
海軍カレーに知名度は負けるが、陸軍もまたカレーは絶品メニューである。
今日のカレーはなんだろうかと考えながら伊丹は机を確認すると、郵便物が置かれていた。
「葉書と電報、か・・・」
差出人は梨紗と太郎閣下、そして魔王閣下だった。
皆、伊丹のオタク仲間である。
名前ももちろんハンドルネームだ。
梨紗のほうは、近況報告に類する葉書、そして、単刀直入に「金を貸してほしい」という電報だった。
最初は、「セイカツヒ フソク シキュウ ソウキン コウ」と来て、次にガス代、水道代、電気代、とどめに電報代金が着払いで来ていた。
いくらなんでも酷過ぎるだろうと呆れ、参考人招致後に一度顔を出すこととした。
そして、太郎閣下と魔王閣下からの電報には「カタログ モトム」とあった。
両名とも忙しい身の上で、カタログを買う時間がないので、時々伊丹に購入を頼むことが有るので、今回もそれであろう。
特地の気候で暮らしていると気づかないが、日本はもう冬であり、しかも年末である。
悲劇の夏の同人誌即売会中止から半年、夏が中止したことによる代替で冬に開催される同人誌即売会は、その分盛況になることが期待された。
絶対に冬の同人誌即売会には出るぞと意気込む伊丹の耳に、ラッパの音が聞こえてくる。
「『新兵さんは辛いんだね~また寝て泣くのかね~』・・・消灯ラッパか」
発電施設も一から作らなければならない特地では節電節水が推奨され、厳しく制限されている。
そのため、消灯ラッパがなると、容赦なく直ちにブレーカーから電源を切られていく。
食堂もとっくに閉まっただろうと、仕方なしにギンバイ(糧食どろb・・・ゲフンゲフン接収)した缶詰を開けて、月明かりの部屋の中で食べることとする。
そのとき、廊下のほうから戸を叩く音が聞こえた。
すわ幽霊かと驚いた伊丹が思わす振り返ると、扉にはレレイがたたずんでいた。
「こんな時間に、どうした?」
「イタミ。キャンプまで送って・・・疲れた」
聞くとレレイは今まで翻訳作業と通訳をしていて、ようやく解放されたという。
杖を投げ出すと女の子座りでしゃがみ込んでしまった。
もう動けないのだろう。
レレイの住むキャンプは、軍事上の防諜・被害拡散防止の関係上、日本軍陣地から一定の距離を離れた場所にあり、車が必要だ。
しかも軍隊は戦う巨大官僚組織なため、車一つ動かすだけでも書類が要る。
そのため、伊丹は空き部屋のベットにレレイの寝床をしつらえることとした。
「今度、柳田にレレイの部屋をお願いしとくか・・・」
伊丹はそう言って、すっかり寝てしまったレレイを背負って空き部屋に運んだ。
翌朝、レレイを枕に寝ている伊丹が発見され、憲兵の栗林にしょっ引かれそうになる騒動が起きたのはまた別の話である。
615: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:33:00 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
1945年12月15日 日本 東京 市ヶ谷陸軍参謀本部地下会議室
日本陸軍では、陸軍大臣、参謀総長、陸軍教育総監の三職を総じて、「陸軍三長官」と称している。
大正中期から、この三長官が合意の上、陸軍部内重要事を決めるという慣例が成立し、俗にこれを三長官会議と称した。
かつて、嶋田が総理・海相・軍令部総長の三職を兼任していた頃、細かい業務を軍令部次長や夢幻会派の将官たちに任せていた。
同じように、陸軍三長官に加え、総理大臣まで就任し、異例の四職兼任をしている永田も、細かい業務を信頼できる次官らに任せていた。
もっとも夢幻会としては、固定観念という心配は有るが、原作知識という予備知識を持つ人間たちを中心に行動したいという事情が有ったが。
そんなわけで陸軍三長官の各次官は全員転生者で構成されていた。
この日、各次官らは参謀本部の地下に設けられた会議室で三長官会議を行っていた。
「歴史の、いや、原作の修正力なのか。
ピニャ殿下と渡りが付いた。
まぁ、どうせバカ皇子がぶち壊すんだろうがな」
陸軍次官の田中新一中将がそう言う。
史実では盧溝橋事件で不拡大派の反対を押し切って増援を送り、対米開戦を強硬に主張、民間船舶の徴用に際して暴力沙汰を起こすなどの問題が多い人物であった。
この世界では転生者となり、史実の失敗をしないように動いている。
「とはいえ、一気に帝国の首都を落として連中を捕縛しても、顔もおおよそでしか知らんから取り逃がすと事だしな。
あのバカ皇子は、責任能力皆無ですぐに逃げ出すから、取り逃がして国民党みたいなことをされたら面倒この上ない。
この間にじっくりと情報を集めて、来るべき首都攻略戦に備えられるから、メリットが無いわけでもないぞ」
そう言うのは河辺虎四郎中将に替わり、新たに参謀次長に就任した牟田口廉也中将である。
彼の言う通り、いくら原作を読んでいるとはいえ、所詮は小説の挿絵や漫画、アニメでしかモルトやゾルザルの顔を知らない。
そのため、確実に当人と分かる顔写真ないし似顔絵等を手に入れる必要があった。
また、都市の情報も、漫画等で大まかな地図を知っている者もいるが、現実がそうとは限らず、細かい部分の情報も必要であった。
「そうだな。それに非公式であるが、休戦状態だ。この間に戦力の再編と人事の一新をしないとな」
教育本部長の花谷正中将がそう言った。
史実では満州事変の首謀者の一人で、インパール作戦時に批判を受けた将官の一人に数えられた人物である。
また、陸大卒のキャリアに鼻をかけ、暴力沙汰や自決強要、行軍の小休止毎に自分専用の防空壕を掘らせる等、人格面にも問題あり、部下の中にはこれが原因で自殺者や精神疾患者が出ていた。
この世界では転生者となり、史実の救いようがない悪評から、真面目一辺倒で通し、数少ない常識派として名を連ねていた。
「長いこと椅子に座り過ぎたからなぁ・・・」
牟田口の言葉に、皆が一様に感慨に耽る。
616: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:33:35 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
以前から頑迷な問題児を追放するなどして、陸軍の健全化と派閥の強化を図ってきた。
第二次大戦時からは、戦時体制を盤石なものとするため、要職を夢幻会派で牛耳っていたが、もう5年以上が経った。
これ以上の要職の独占は人事の硬直化を招き、下の者たちのやる気を低下させる。
そのため、人事の一新が必要であった。
「寺内の長老には予備役に移ってもらおう。
なんだかんだで陸士11期生。杉山さんよりも先輩で、もはや長老だ。
それに史実の寿命もある。最後の花道も十分歩いただろう」
まず挙げられたのは陸軍では長老と呼ばれるようになった寺内寿一である。
彼は夢幻会の現役の陸軍メンバーの中で一番上の先輩であり、杉山より先輩であった。
また、史実では1946年に南方の気候と収容所の環境から病死しており、史実で病死した年月日が近くなっている伏見宮博恭王も最近病気がちということもあり、大事を取る必要があった。
「後任はどうする?」
「それなんだが・・・朝香大将宮殿下に行ってもらおうと思うんだが・・・・・」
「殿下にか?
たしかに事故の影響で転生者だが、同じ転生者ならば東條とかが良いのではないか?」
史実で北白川宮成久王が交通事故死した時に同乗者であった朝香宮鳩彦王は、成久王と同じく転生者となっていた。
彼は陸軍士官学校20期生で比較的若い方であるが、この当時、皇族ということもあり、大将にまで昇進していた。
「東條はダメだ。
影が薄いが、何気にアイツは常勝将軍と呼ばれるようになっている。
陸相や参謀総長に丁度良い人材だから、閉門で万が一が有る特地には送れん。
本当は皇族も送りたくないが、現地に残る日本人の心の拠所として皇族の出馬は必要だ」
皇族を異世界に連れ出すことで島流しの異世界で人心を安定させる。
某異世界架空戦記小説で出された事例を基に、今回のゲート騒動で夢幻会が現地に派遣している軍が閉門後も日本人の意識を喪失させないためにとっている方策だ。
何せ原作の設定上、門は一度締めなければならないし、日本に敵対的な国の破壊工作を受ける可能性は0ではない。
つまり、特地と銀座との連絡が通じる期間は未定であるし、閉門は確定事項なのだ。
その万が一の時のための皇族の出馬であった。
既に昭和天皇の長弟、秩父宮雍仁親王、
明治天皇の孫にあたり、北白川宮成久王の甥にあたる竹田宮恒徳王が現地に派遣されており、
朝香宮鳩彦王の派遣は皇族3人目となる。
ちなみに、鳩彦王の夫人が明治天皇の娘であることから、鳩彦王は明治天皇の義息にあたり、またも皇室直系に近い続柄の皇族の派遣であった。
これは、直系に近い続柄の皇族を派遣することで、より人心の安定を盤石とすることを狙ってのことであった。
617: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:34:08 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
「それに、閉門後の生活を考えると、こちら側に心残りが多い奴はそうそう送れない。
そういう意味でも、朝香大将宮殿下ほど都合の良い人物はいない」
朝香宮鳩彦王殿下は1933年に妻を亡くしており、子供たちも全員成人している。
跡継ぎについても孫の世代も誕生していることもあり、断絶の恐れは少ない。
転生者という事、史実では1981年まで存命であった事も加味すると、これほど適した人物はいなかったのだ。
また、これは、指揮官に限ったことだけではなかった。
全員とはいかないが、下士官や一兵卒に至るまでが、閉門後に備えて、家族等の心残りが少ない人選で選ばれていた。
「分かった。
とりあえず、その方向で進めていこう。
次は特地派遣軍の再編だ」
特地派遣軍は、初手が帝国及び連合諸王国軍との戦闘であることから、師団編制を含め、通常編制より大幅に強化されていたが、既に小康状態に入っており、現在の編制は過剰戦力となっていた。
また、門のすぐ近くに主力が居るとはいえ、補給線を考慮すると、現状のままで支えるのは負担が大きかった。
補給の負担を減らすためにも、編制を改める必要が有った。
「近衛第1師団と第2師団は本土に復員する。
予定していた近衛第2師団との合流による中央即応集団化を早期に行わなければならない」
「なんだかんだで遅れていたからな・・・」
近衛師団は、一般の歩兵師団と違って、最精鋭かつ最古参の部隊として天皇と宮城を警衛する「禁闕守護」の責を果たし、また儀仗部隊として「鳳輦供奉」の任にもあたる名誉ある師団である。
そのため、常に最新の装備が充実され、日本陸軍で特に機械化等が進んでいた師団であった。
ゆえに、日米開戦となる太平洋戦争では、軍事的にも、予算的にも1個でも師団を必要としており、
史実では日中戦争で派遣されなかった際、日露戦争以来派遣が無く、「おもちゃの兵隊」と揶揄され、近衛師団の士気に悪影響を与えたことから、
宮城守護の近衛第1師団と外征の近衛第2師団に分かれ、近衛第2師団は上海を始め、中国大陸で勇猛に戦った。
1945年現在、ようやく治安維持が終わり、平時という事もあって、近衛第1師団と合流再編し、元の近衛師団となるため、復員が決まった。
そのため、先の銀座事件の時は、この復員による凱旋パレードであったのだ。
なお、近衛師団の再編では、史実の陸上自衛隊の中央即応集団のような緊急時に即応できる師団となることが予定されていた。
ちなみに、特地への派遣に近衛第2師団ではなく近衛第1師団が派遣されたのは、上述の「おもちゃの兵隊」という揶揄されのように、
留守番組である近衛第1師団の面々の指揮を考慮し、なおかつ、特地も帝都の一部である(と建前をつくる)事から、「禁闕守護」の一環としての派遣であった。
また、近衛第3師団は特地のアルヌスの門周辺を守護し、なおかつ、現地に派遣される皇族の警護を目的として編制されていた。
「第2師団も復員するのは良いが、現地の戦力は大丈夫なのか?」
「アルヌスに近衛第3師団、イタリカに第16師団、デュマ山脈に第31師団を張り付けるから大丈夫だ。
残りは現地の捜索連隊と挺身騎兵連隊の他に、通常の騎兵連隊も新設し、特地騎兵集団を編制させて、広範囲の治安維持を行うつもりだ」
618: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:34:41 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
帝国軍並びに連合諸王国軍との戦闘の結果、多くの軍用動物が鹵獲されていた。
その中でも特に多いのが馬であった。
騎兵が扱うだけでなく、あらゆる部隊の指揮官、将たちもまた馬に乗っており、彼らが戦死、あるいは捕虜となったことで主を失った馬は多くいた。
動物愛護と聞くと戦後になってからの印象を受けるかもしれないが、実は19世紀から20世紀前半において当時の列強ではその概念が普及していた。
イギリスでは動物虐待法が児童福祉法よりも早く制定され、その罪も前者のほうが大きかったとされている。
つまり下手に動物の扱い方を間違えれば、「野蛮人」のレッテルを貼られ、ドイツ等の枢軸圏から攻撃されかねないのだ。
もっとも、日本側からしたら、人種差別・奴隷制度上等の枢軸圏に対して「お前らが言うな!」と言いたくなるが、残念ながらこれが彼らの常識なのだ。
そのため、彼ら枢軸圏が動物愛護の観点から攻撃できないよう、軍用動物については可能な限り保護していたが、かと言って、タダ飯を喰らわせる余裕は日本軍には無かった。
幸いにして、これらは軍用動物であるため、鹵獲兵器の一つとして、運用されることとなっていた。
各軍用動物は防疫検査を行った後、戦傷や元来の性質から騎馬に適さない馬、ゾウやロバ等の馬以外の軍用動物は輓獣として牽引に使用され、特地での開発や輸送に用いられており、
残る騎馬に適した選りすぐりの馬は、日本に研究等のために移送する分を除き、騎兵連隊を新設し、広範囲にわたる特地の治安維持に用いる予定であった。
もっとも、この騎兵連隊の拡充に、夢幻会は乾いた笑みを浮かべていた。
史実では機関銃と塹壕戦の登場により、騎兵はオワコン扱いされ、日露戦争後は夢幻会の介入で史実以上に拡大せず、縮小傾向にあった。
史実では抗議の自殺もあり、なかなか進まなかったが、夢幻会はポストの優遇で対応した。
騎兵連隊が無くなるという事は、その分、騎兵科将校のポストも減るわけだから、彼らが不満を覚えるのも当然である。
そのため、戦車隊や空挺部隊等の史実現代の騎兵の称号を得る部隊において、騎兵科将校にポストを優先することで不満をかわすことにしていた。
そんなわけで、徐々に縮小していた騎兵だが、現在になって拡充しなければならないのは、夢幻会としても複雑であった。
「そういえば、海軍さんからも『特別地域海軍連合特別陸戦隊』なんて仰々しい名前を付けた陸戦隊が出張っていたな」
話を変えようと牟田口が現地の海軍部隊について口にする。
「ああ、戦力も上海海軍特別陸戦隊か、それ以上に充実しているし、はっきり言って、ウチの歩兵師団と遜色がない」
「しかも指揮官は太田実少将ときたもんだ。
海軍も良い陸戦経験になると考えているのだろう」
特地への派遣は、陸路を介しての派遣であるため、海軍では艦艇の派遣は不可能であり、航空隊と陸戦隊の派遣のみにとどまっていた。
とはいえ、貴重な陸戦経験が得られると考えた海軍では陸戦隊育成を目的とし、
太田実を始め、安田陸軍大佐の異名を持つ陸戦の専門家の安田義達、海軍空挺部隊の堀内豊明、山岡部隊の山岡大二等の史実で名を馳せた陸戦隊の面々が名を連ねていた。
なお、航空隊にもエースパイロットが数名居り、現地の海軍側総司令官は胃薬が絶えない生活をしているそうな。
619: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:35:23 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
話は地球側に配備している戦力に変わる。
「北米だが、戦車第1師団から司令部と主力も送るぞ。
現地の第4戦車団等と合流再編して、戦車第1師団を配備する」
第4戦車団は、北米に派遣する機甲戦力として、日本陸軍で特に砲火力が充実してる第12師団隷下で編制された機甲旅団である。
戦車師団より規模は小さいミニ機甲師団であるが、ドイツ軍のアニマル
シリーズを有した機甲師団への対抗のため、質は優秀であった。
「今後は第9師団、第12師団、戦車第1師団の3個師団で当たらせる。
代わって、第24、第25師団は本土に復員させる。
それと本土に残留する戦車第1師団の部隊は対炎龍戦に備えて特地に転用し、現地の戦車部隊と合流再編して第11戦車団を新しく編制する。」
第24師団と第25師団は元々史実のB-29の爆撃を防ぐため、サイパン島やテニアン島、硫黄島防衛を担当していたが、
太平洋戦争後、太平洋一帯が日本海軍のバスタブ状態となり、防衛の価値が急速に低下したため、西海岸へ転出されていた。
「かなり大がかりの再編だな」
「辻のやつが予算を減らせとうるさいんだ。
以前に25個師団から減らせないかと言ってきたからな」
「特地も管理する今となっては25個師団でも足りんぞ・・・」
大蔵省を預かる辻は、軍需に恒久的に人も物も金も費やすのは無理であるとして、削減を主張していた。
このため、本土を含む各方面の細かい戦力の調整を強いられていた。
これが夢幻会の理想である
アメリカ勢力圏のナンバー2か、戦前の状況下、アメリカおよび中印が安定しているならば、削減は出来たであろう。
しかし、異世界もカバーするとなると、25個師団ではどうしても足りなかった。
620: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:35:56 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
独立が予定されている東南アジア諸国が独立し、軍を編制できれば幾分か楽になるだろうが、未だに時期尚早であるし、それでもなお足りないのだ。
さらに・・・
「復興予算がどうしてもかかるからな。それに災害対策もある。特に閉門のな」
原作では、帝国が異世界同士を繋げた「門」を固定した事による反動により、地球と特地双方の世界に地震や異常気象など様々な悪影響を及ぼした。
そして、門を封鎖した際にはさらに反動として、双方の世界全土で震度5相当の地震が起こり、耐震・免震の施されていない建造物の多い地域にはかなりの被害が出ていた。
辻としては、日本を取り巻く環境から、経済的な遅れを防ぐために対策を万全にしておきたく、そのためにも復興予算のために軍事費をある程度抑えておきたかった。
「ところで、復員させる第24、第25師団はどうするんだ?」
「本来なら解体させる予定だったが・・・今の状況だと、再編制の後に、ビルマに転進か、あるいは特地に派遣だろうなぁ」
「やっぱりそうか」
「次官、会議中失礼します!火急の事態発生につき、お伝えしたいことがございます!」
激しいノックと同時に、陸軍省職員の士官が、そう叫ぶ。
ただならぬ事態を察した三人は入室を許可した。
士官は入ってくると、早口に報告した。
「インド西部スーラトで肺ペストの発生が確認されました!
インド総督府は非常事態を宣言!
住民は恐慌状態に陥り、当局の制止を振り切り、スーラトから脱出を図っているとのことです!
当局との間で衝突、加えて、暴動と略奪も多発し、死者も出ているとの情報もあります」
この時、第24、第25師団のビルマ転進、初動戦力として、本土及び東南アジア派遣部隊の中からビルマ方面軍へ2個師団の増派が決定された。
621: ham ◆sneo5SWWRw :2021/04/23(金) 09:36:30 HOST:sp1-79-89-93.msb.spmode.ne.jp
以上です。
今回は編制&擦り合わせ回です。
久しぶりなのに全然進まない・・・これで終わるのかな?(汗)
今回登場したオリジナル転生者は、当方のネタ内でのオリジナルです。
やはりGATEという「史実の原作を知っている人が必要」という特殊な事情だと、転生者が不可欠で、階級的に丁度良い転生者が見つからなかったため、登場させました。
近衛師団は最初、近衛第2師団の凱旋復員でスタートしており、今更変えられないので、本編・戦後編と合わせるため、今回合流して中央即応集団となりました。
騎兵については当方オリジナル設定です。
まぁ、日露戦争で機関銃によってオワコンなのが分かっている以上、拡大するのは予算の無駄だと思われるのは仕方ないですよね。
とはいえ、ポストの不満もあるだろうといううことで、新兵科で騎兵将校のポストを優遇することで対処という形にしました。
インド動乱はこのネタを書き始める前は作中に出る前だったので登場していなかったのですが、
今回本編・戦後編と合わせるため、発生させました。
まぁ、疫病だから、いつ起きても問題ないよね?(起きるほうが問題だが)
今回はここまで。
リアルの関係、そして他にネタを抱えている関係、ホストの関係から、GATEネタはまだ期限未定長期休載になりがちですが、今後もよろしくお願い致します。
最終更新:2025年03月05日 17:08