596: 加賀 :2021/08/01(日) 21:02:38 HOST:softbank126241224183.bbtec.net



「フハハハハハ!! ヴァァァァァカモノガァァァァァァ!! 瑞雲は世界一ィィィィィィィィィ!!」
「瑞雲は良いぞ」
「駄目だ……手がつけられないぞ」
「瑞雲馬鹿と瑞雲馬鹿が手を組んで瑞雲アホになったぞ」
「やめたって下さい……」
「それよりロンドン軍縮はどうします?」
「史実と同じで良いだろう。断る理由とか無いしな」
「ついでに橋本君は随伴員に含まれているからな」
「えっ? 何でですか?」
『バッカ。チャタレイ夫人の小説を買ってきてもらうためだろうが』
「……バカばっか……」




 1930年1月21日、イギリス首相ラムゼイ・マクドナルドの提唱によりイギリスのロンドンにて各国を集めて海軍の軍縮会議が開催された。会議に関しては史実通りの内容で纏められ後の10月2日には正式に条約が批准される事になるが我等橋本とネルソン、ガングート、伊勢と共にはロンドンにいた。というのも橋本は軍縮の随伴員に含まれているのであった。

「何と、東郷閣下は調印に賛成とな……」
「如何にも」

 橋本は古賀からくれた東郷の書状(調印賛成の旨を記載している)を若槻に見せていた。

「宜しい。ならば早々と妥協が出来そうだ」

 荒れると踏んでいた若槻は嬉しそうな表情をするのである。なお、日本側も早々とアメリカの要望である0.025割を削る事に同意したのでアメリカ側からも好感があったようであり会議は終始アメリカが主導権を握っていたのである。
 そして会議も終盤に入ってきた3月の下旬、その日はたまたま会議も無く閉会日であり橋本はネルソンらと共にロンドンの散策に出ていたのだ。

「相変わらずメシは不味いな……」
「それがイギリスですもんね……」
「我がソ連でもあのような不味い物は無かったな……一応は……」
「ムムム……舌が橋本の料理で満足しているから我が故郷の料理が不味く感じるとは……」
『いや、元々不味いから』

 四人はフィッシュ&チップスを頼んだがあまりの不味さに紅茶で無理矢理に腹に流し込み散策をする。

「そういえば土産を頼まれていたな……」
「確か全員、チャタレイ夫人の小説を御所望でしたね……」
「家族に怒られるぞ皆……」
「チャタレイ夫人のは面白いからな!!」

 やはりそういうのは誰もが欲しいと思っているようである。それはさておき、二人は近くの書店で頼まれていた小説を購入しつつ立ち読みに耽るのであった。(ちなみに伊勢がコナン・ドイルのを見つけたので四人して立ち読みに突入してしまい店主に怒られてしまう)
 それはさておき、条約が批准されはしたが海軍内部ではこの過程において条約に賛成する条約派と反対する艦隊派という対立構造が生まれたのである。
 だが素早く艦隊派に釘を刺したのが二人いた。東郷元帥と宮様だった。二人は批准された日にそれぞれ賛成と内外に告げていたのだ。

「今は耐え忍ぶ時であり、我が海軍は技術力の向上、兵器の向上を目指すべきである」
「目先の事に囚われては國を滅ぼす原因にもなる。先の世界大戦にて戦争は総力戦に移行した。我が海軍も総力戦に備えるべきである」

597: 加賀 :2021/08/01(日) 21:27:15 HOST:softbank126241224183.bbtec.net
流石に艦隊派も二大巨頭にそう言われては何も言えなかったのである。だが兵器の向上や技術力の向上は急務だったのも正しいのだ。

「宮様達が言ってくれたので非常に助かりました。改装の向上にも弾みはつくでしょう」
「やはり『伊勢』型の三連装砲かね?」
「はい。史実の『大和』型と同じく故障が頻発していますので……」

 百武の言葉に頷いたのは新規参加組の福田啓二造船中佐と牧野茂造船中尉であった。

「それと藤本君はどうかね?」
「はい、念のため検査してみたら脳溢血の発生手前だったらしいので緊急入院してます」

 藤本喜久雄造船大佐も憑依者が憑依していたが史実の急死の件もあったので直ぐに検査したところ、史実と同じく脳溢血のなりかけ手前の事だったのでそのまま入院する事になったのである。なあ、これで藤本造船大佐の死亡フラグは一応ながら消滅した。

「藤本君の事は分かった。それと三連装砲だが……」
「このまま搭載させます。平時の段階で故障とかしていたら改良も出来ますし故障の原因も掴めます」
「だろうな。まぁ『伊勢』型には耐えてもらうしかあるまい」

 なお、この後も頻繁に『伊勢』型の三連装砲は故障が発生しその都度故障原因を解明していった。これがあった事により後に三連装砲搭載として建造された『大和』型は故障する確率は非常に少なく、ソロモン・キャンペーンに早期に投入する事が出来たのである。

「『大和』型についても現在計画中です。模型もありますがどうしますか?」
「出来たら見せてくれ」
「分かりました」

 そして陸軍も陸軍で兵器の開発と配備を急がせていた。

「そうか、91式榴弾砲は89式10サンチ榴弾砲になるか」
「はい。史実の90式野砲も88式野砲として採用配備されてますしノモンハンまでには……いけるかもしれません」

 畑や山田らはそう話していた。陸軍もせっつかせる事で兵器開発を促進させていた。そのおかげで90式野砲は88式野砲として91式榴弾砲は89式10サンチ榴弾砲になって採用配備されていたのだ。

「機動化も急がせませんとな……」
「無茶な事はするなよ?」
「無論です」

 畑の言葉に山田らは頷くのであった。

598: 加賀 :2021/08/01(日) 21:28:52 HOST:softbank126241224183.bbtec.net
  • チャタレイ夫人の本入手
  • 軍縮締結
  • 二大巨頭軍縮賛成
  • 藤本喜久雄少将の死亡フラグ暫定回避
  • 陸軍、兵器開発促進

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最終更新:2021年08月02日 11:40