797: ナイ神父Mk-2 :2021/08/05(木) 00:09:21 HOST:p286103-ipngn2001akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱スパロボ 未来編小ネタ

鉄血のオルフェンズ編 その10

彼等への上りは…

エドモントン戦の後、クーデリアの護衛ミッションを完遂した鉄華団団長であるオルガの姿は故郷の火星近くに浮かぶ宇宙港の中に有った。既に地球以遠の圏外圏の中心的な存在と成って居た火星の民間宇宙港の中には商売のチャンス或いは仕事を求めてやって来る木星や土星、地球軌道のコロニー所属の人間であふれており以前では考えられない程の盛況ぶりを見せている。そんな賑やかな港湾部を少し超えた先には商業向けに用意された艦艇の係留区域が続いていた其処に足を踏み入れたオルガはとある艦艇の前で足を止める。

「コイツみたいだな、ビスケットデータ照合は有ってるか?」

「みたいだね艦級は確か…」

「グワンザン級この地域では火星連合正規軍の一部とここだけに下ろした特別製だね」

「あんたは確か紹介状に有った…」

「アルゼブラから派遣されたメイザースと言いますアルゼブラからは艦内要員として派遣されました。」

そう言ってオルガに話しかけて来たのは鉄華団のメンバーより少し年上に見える男だった。アルゼブラの紹介には人類とは別種の異星人であることが記載されていたが添付された資料にしろその姿は周辺にも良くいる様な人間にしか見えず既にオルガが邂逅して居る人種の様な人外染みた部分を持つ様子もない人間で有った。

「ああ、宜しく頼む。他の面子にゃこの後会ってもらうが…見ての通り家はまだ小さい企業だ。若しかしたら契約外の仕事を頼むかも知れねぇがその時は申請してくれりゃ給料なりに反映するぜ」

「元々、フリーでの運送業をやって居たし、アルゼブラからも事前説明を受けてる。そこは問題無いよ」

「家の艦の隣に有るのが元々あんたの運用してた船か…」

「ヨーツンヘイム級貨客船…まあ、連合の地域じゃ良く流通してる船だねこっちに関しては輸送業とかで活用できるかと思ってさ」

その言葉に合わせて設置されているグワンザン級の横に目を向ければ特徴的な箱型の船体の船が停泊しているのが見えた大きさはグワザンよりも小型では有るが複数個所に搬入用と思われる格納庫入口が確認され船の上部には自衛用と思われる単装砲が装備されている。

「有難く使わせて貰う。こっちも規模拡大に合わせて船の数が足りてねぇのは事実だ。」

「邪魔に成らないなら持ってきた甲斐があったよ。」

そう言うと徐に手を差し伸べて来たメイザースの手をオルガが握り返す事で正式に鉄華団加入の契約を確認している。こういったアルゼブラからの人員の紹介の他、火星に未だ残る孤児の保護や貧民層からの人員の募集を行いその言った人員へと農場、ハーフメタル鉱山採掘などの仕事に回すことによって勢力の拡大と基盤の強化を行っている。又、本業である傭兵業に関しても火星の国家元首であるクーデリアへの護衛を任された事によって一躍有名となりその名前とガンダムフレームの存在は火星だけでなく圏外圏、地球圏を問わず広がっていく事ととなる。

798: ナイ神父Mk-2 :2021/08/05(木) 00:11:24 HOST:p286103-ipngn2001akita.akita.ocn.ne.jp
鉄華団が勇名を馳せる一方で既存の勢力の多くは火星独立に際しての事件に於いて大幅にその勢力を減らす事と成った組織も複数存在していた。その一つが圏外圏に於いて権勢を振るっていたテイワズである。本来で有ればクーデリア側に付いた事で勢力を拡大できる筈だった彼等が権勢を落とした理由はクーデリアの地球行きの最中に起きたテイワズ内でのジャスレイ派の粛清が有った為である。

組織の実質的なNo2であり金融、商業等の内政面に多くのシンパを抱えてた人物の粛清とそれに関係した同派閥の人員への対処はテイワズの企業としての規模を大きく減少させていた。そして、その状況に更に加速させたのがテイワズが弱体化した事に寄る木星圏での治安の悪化で有った。火星や地球圏が火星連合や連合の勢力下に成った事でデブリ帯や暗礁宙域に於ける海賊や違法組織の狩り出しが激増した事で大小の組織は抵抗の為に同盟を結び圧の強い火星~地球圏を逃れ勢力の弱った木星へと流れ込んできたのである。そうした組織がテイワズを引きずり降ろそうとする木星圏の諸勢力と結びつく事によって後方面においてもその勢力は安定し、戦力面に於いても勢いを増している。

又、こうした組織の拡大の陰には粛清時に逃した旧ジャスレイ派の人間の存在も影響しておりテイワズから手に入れた内情、或いはノウハウが周辺組織へと拡散。対抗組織がその勢力を伸ばす一助となっておりジャスレイ粛清後に正式にテイワズトップに就いた名瀬の頭を悩ませていた。

「今月に入ってもう3件か…」

「戦力事態は対した事無いけど、回数と数は厄介だよ」

「そうだな、戦力は確実にこっちが勝ってるんだが立て続けに戦力が減った所を突いて来てやがる。彼方此方から護衛戦力を寄越す様に要請が来ちゃいるが絶対的な戦力が足りねぇ…」

マクマードから受け継いだ歳星の執務室にて端末に齎される情報を確認する名瀬は疲れた顔で情報を持ってきたアミダに対して同意するエドモントンでの戦いの後、公式にテイワズの代表に名瀬が就任して以降より木星圏に於ける勢力争いは加速度的に激化しており、最早抗争と言える規模までに発展していた。

799: ナイ神父Mk-2 :2021/08/05(木) 00:11:54 HOST:p286103-ipngn2001akita.akita.ocn.ne.jp

抗争が加速するその現在に於いても勢力のトップは依然テイワズそしてその武力の要であるタービンズであると言えた。だが、各地で中~小規模の勢力組織が乱立し多くが反テイワズを掲げて行動を起こしてる現在の五月雨式の襲撃は勢力圏各所に配置したテイワズの戦力の対応能力を飽和させ少しずつのその勢いと防衛力を削り取って居たのである。

「メンフィス公社の連中に木星に残っていたギャラルホルンを取り込まれたのが痛かったな…」

「スキタイ運輸、嵐の大洋船団そのどれにしたって戦力を増やし続けてるのは不味いよ」

『代表、例の一団が…』

「そうかこの時間だったか部屋まで通してくれ」

「今日は予定なんてなかった筈じゃ?」

「すまん、急に入った予定なんだ…」

通信への返答に驚いたアミダに対して名瀬はそう返答する。その後間もなく案内されてきたのは最近見る様になった火星や既存の木星或いはギャラルホルン等とも違う制服をまとった軍人然とした集団で有った。その中の隊長格と思われる人間が集団の中から一歩踏み出すと名瀬を見据えて話始める。

「土星コロニー群、ナーストレンド防衛隊です。通称はニーズヘッグと群内では呼称されております。」

「土星って確かあそこは厄祭戦で航路に重力異常を起こして放棄されて以降無人の筈じゃ…」

「…俺も完全に都市伝説の類だと思って信じて居なかったが以前から噂だけは有ったんだ。厄祭戦の後間もなくギャラルホルンに逆らってギャラルホルンの管理領域から逃げ出した連中が居たって物だが…」

「それが我々の先祖に当たる集団です。以降僅かですが圏外圏に居られなくなった人間が流れ付く事に寄って少しずつ集団を維持して来ました。」

「そんなのがなんで家なんかに?」

「この世界へと転移以降は我々は連合より支援を受けて人類圏への復帰を目指して準備を行ってきていたのですが木星での航路の不安定に伴い計画も不透明に成りました。そこで連合とも協議を行い航路開通の前段階として木星圏の動乱の解決の為に此処まで遣って来たのです。」

「成る程、そちらさんからすればコレから外に出ていく前に目の前の厄介事を片付けておきたいと…」

「そうなります。」

「わかった下には俺が直接伝えて受け入れ準備を行うコレから頼んだぞ。」

その後、テイワズでは公式に木星圏へと進出してきた土星からの新興勢力との協力を公表、コレに寄って戦力的に余裕のできたタービンズ等のテイワズの実働戦力は広域に展開して戦力を集約し敵対勢力との戦闘を開始する。後に木星抗争と呼ばれるこの戦いはこれ以降加速度的にその戦いを激化させそれに対して技術を欲した地球圏の一部国家が介入し戦局は泥沼の様相を呈していく。

800: ナイ神父Mk-2 :2021/08/05(木) 00:12:27 HOST:p286103-ipngn2001akita.akita.ocn.ne.jp
王の帰還とその正体

エドモントンに於ける決戦以降、様々な問題行為や危険行為が明らかに成ったギャラルホルンはその活動を経済圏によって完全に停止させられ、その後の会議にてその解体が決定。セブンスターズもその特権を失った他、警察局や軍事局も各勢力に分割吸収される事が明示された。そして、ギャラルホルンが保管していたガンダムフレームに関しては火星連合がギャラルホルン本部を地球連合が買収として接収される事になる。火星軍へと身を置く事を決めたマクギリスとガエリオはガンダムフレーム引き渡し為、保管区画を訪れて居たが保管庫内部はお世辞にも褒められた状況では無かったと言える。

「酷い有様だな…」

「全くだ、古い機体だからと動かさないのは仕方がないがまさか売り払って置いてあるのはダミーなんてのも有るなんてな…」

ガエリオのその言葉が示すように20機以上有った筈のギャラルホルン管理のガンダムフレームの内の何割かはゲイレール或いはグレイズのフレームにガンダムタイプのフレームを被せた物と成っており本来の機体は行方不明と言う機体もあり悪ければ偽物すら無く空の倉庫と言う事態も有ったのである。

そして、保管庫内の一通りの機体の確認を終えた二人は本部最奥に設置されているゲートの前に居た。他のフレーム安置場所と比べてもしっかりとした設備が設けられた一角にたどり着いていた。

「漸く此処迄来ることが出来た…」

「ギャラルホルンの象徴な以上迂闊に動かせないのは知っていたが、まさか本当に動かせなかったなんてな…本当の主が来るまで動かせないなんて伝承も強ち間違いじゃ無かった訳か…」

「その通りだガエリオ、このバエルは象徴として厄祭戦以降動かされた事は記録上無かった。その為、アグニカ・カイエルを失って以降は厄祭戦間もなくの式典等でもレプリカが使われ本物は本部の安置区画に於かれていたという事だ。」

「阿頼耶識システムを禁忌とした結果か…」

「しかし、仕方がない面もある。」

「まあ、人類を救うためだったとは言え非人道的な処置には変わりないからな…」

「あれから私も再度伝承や解放された機密データを解析してみたのだが…如何にもそれだけでは無かったらしい」

「なんだと?」

その言葉に対してガエリオは思わず振り返る。それに対してもマクギリスは振り向く事は無く淡々と作業は続けているが同時にその続きを話し始めた。

「不思議に思わなかったか?ツインリアクターシステムが他の量産機に乗せられて居なかった理由を…」

「そりゃ、高コストだからじゃないのか?それを制御する為にかなり高度な演算システムを載せていると聞いたが…」

「戦後であればそうだな、しかし戦時中すらガンダムフレーム以外には載せられていないというのも不思議な話だろ?」

「たしかに…そうだな…」

「…そんな中で一つガンダムフレームと同じ機構を持つ兵器が存在している。MAだ。」

「馬鹿な、ガンダムフレームとMAが同じ!?」

「少なくとも同じ製造設備や技術で作られた兄弟機と言える。」

マクギリスのその言葉は阿頼耶識がガンダムを動かす為の技術だったという事実以来の衝撃をガエリオに与えていた。その言葉に作業の手を止めていた事にも気が付かず居たほどと言う事がその衝撃を物語っている。

「ガンダムを作れるという事は即ちMAを作れるという事だからこそギャラルホルンはガンダムフレームを管理してきた訳だが…」

「おい、それが事実ならガンダムフレームが各地に拡散したって事は…」

「何れ第二第三の新しいMAが生まれる可能性も存在するという事だな…」

マクギリスのその言葉が示す様にその後、経済圏を始めとした各勢力では各地に流れているガンダムフレームを確保しようとする行動が見られその後の経済圏間の紛争に於いては大型リアクターを装備した新しいMAが作られる事に成る。そして、その行動は今後の全面衝突が齎す被害の大きさを如実に示している物でもあったのである。そして、それに対抗する為、火星連合はガンダムフレームの再稼働を発表厄祭戦の再現が如き一幕も見られている。

801: ナイ神父Mk-2 :2021/08/05(木) 00:13:02 HOST:p286103-ipngn2001akita.akita.ocn.ne.jp
以上です。WIKIへの転載は自由です。何とか鉄血ネタの続き書けました・・・
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最終更新:2023年10月10日 22:54