667: 加賀 :2021/08/04(水) 20:46:41 HOST:om126194085063.10.openmobile.ne.jp
「やった、原油が出たぞ!?」
1931年12月、奉天から少し離れた地域に日本の出光商会やスタンダード・オイルに所属する社員達が油田堀りの掘削機から大量に溢れ出る原油を見て喜び、それを見た夢幻会派閥の陸軍士官がコッソリと報告した。
「遼河油田発見」と……。
「遼河油田発見は喜ばしい事です」
報告を受けた岡村ら陸軍は元より古賀らもにこやかだった。
「だがまぁスタンダード・オイル側に三割持っていかれるのは仕方ないがな」
「まぁ彼等の協力無しには出来ませんでしたからね」
地中深くに眠る遼河油田の石油の採掘には日本だけではなく
アメリカの会社ーースタンダード・オイルも協力していた。なお、日本側もスタンダード・オイル側が提示した条件ーー採掘量の三割をスタンダード・オイル側にを受け入れた事で
アメリカ側の日本人の印象も多少変わったのである。
「この油田は是が非でも守らねばならん」
「海上護衛総隊の輸送路もやり易く……南方路のも見直しになりそうですね」
「そう安易に決めるのはやめておこう。何かあっては遅い」
「確かに……」
「まぁ原油もさておき……牧野さん?」
「はい」
近藤に促された牧野は大型の艦船模型を机に置いた。それは前後に三連装砲を五基搭載した『あの戦艦』だった。
「これは……『大和』じゃないか」
「はい。ただしこれはただの46サンチ砲搭載の『大和』ではありません」
「とすると……?」
「はい。45口径51サンチ砲を搭載予定とする『大和』型戦艦です!!」
『ッ!?』
牧野の発言の
夢幻会メンバーらはざわつき出すがそれを制したのは百武である。
「騒ぐのは良いがまずは牧野君の説明を終えてから騒ごう。牧野君、説明を頼むよ」
「はい、それでは説明をします」
そう言って牧野は説明を始める。
「全長330m、最大排水量12万トン、主砲51サンチ砲9門……これは皆さんもよく御存じ、あの超弩級戦艦をモチーフに設計しました」
「しかしだね牧野君。あれは旅順にドックを作ったが今から作るのかね?」
「いえ、もうすぐ完成する呉、佐世保、大神の三工廠の超大型ドックで建造します」
「何!? 大神は前々から作っていたのは分かるが呉と佐世保は史実以上の拡張をすると?」
「はい。既に宮様や東郷閣下らの協力で予算は確保しています」
なお、この予算の影響は『千鳥』型以降の水雷艇建造停止も若干関与していたりする。
「後は陸軍の予算を少しがめたりと……」
「……まさか予備役にした艦隊派があっさりと予備役を受け入れたのも……」
「それもあります」
668: 加賀 :2021/08/04(水) 20:47:15 HOST:om126194085063.10.openmobile.ne.jp
ニヤリと笑う牧野に橋本は溜め息を吐きながら完治した腹をさ擦りながら思う。
(俺は出汁に使われたわけね……)
まぁそれが出来なければあの衝号作戦もやっていないだろう。
「今回も40ミリを上手く手に入れたら40ミリを載せるよう設計しています」
「成る程……まぁ40ミリに関しては陸海軍の急務だからな。急がせよう」
「しかし……資材はあるのか?」
「この構想に関しては憑依してきた第一次世界大戦……その時から少しずつ備蓄はしています」
「……まさか『肥前』や『石見』とかが解体したのって……」
「その通り。微々たるものだが資材は資材だ」
そこへ口を挟んできたのがニヤニヤしている古賀である。やはり戦艦屋の古賀が介入しているのは間違いなかったのだ。
「他にも廃船の駆逐艦等も特に無ければ解体していたのはそれだな」
「oh……」
大艦巨砲主義者の真骨頂であろう。
「それで三隻建造か? 四隻ではなく?」
「本来なら四隻としたいところですが……空母の建造もありますから三隻と特殊になります」
「む……」
「成る程……それならば仕方ないね」
「おい牧野、航空戦艦用にも考えとけよ」
「貴方は瑞雲を載せたいだけでしょう松田さん……」
目を輝かす松田に牧野は溜め息を吐いた。
「問題は航空屋の連中がどう動くかだな……」
「どうせブーゲンヴィル島上空で戦死するのとMO作戦で失敗するアホが文句言うのは目に見えてますね」
「まぁそのための量産『雲龍』型なんですけどね……」
「まぁそれはさておき……防御とかは『紀伊』のをか?」
「それもそうですが……」
「装甲なら余に任せろ!!」
襖をバァンと開けて入ってきたのはネルソンである。なお、既に飲んでるのか頬は紅い。
「クラスA装甲ーー均質装甲は余が関与したぞ!!」
「そ、そうか」
「ならば褒めてやる事を許してやろう!!」
何故かネルソンを撫でる橋本である。ネルソン本人は御満悦なので問題は無いだろう。
「砲弾に関しては全艦艇共通しているが大重量砲弾を開発中だ。開戦までには間に合うだろう」
「約9年はありますからね……」
「まっ、兎に角はこの戦艦を作りますか」
近藤が締め括るように言い、橋本達も頷くのであった。
669: 加賀 :2021/08/04(水) 20:53:24 HOST:om126194085063.10.openmobile.ne.jp
- 遼河油田、日米で堀り当てる
- 牧野の独壇場
- 余ォォォォォォォ
次回
だーれが風を見たでしょう。僕も貴女も見やしない。けれど木の葉を震わせて風は通り抜けていく。
僕は美しい飛行機を作りたいと思っています。
美しい夢だ。
君の10年を力を尽くして生きなさい
最終更新:2021年08月07日 19:21