689: 第三帝国 :2021/08/14(土) 17:47:11 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――外伝「イゼイラ訪問記Ⅱ」


ーーーーーーデロニカ・クラージェ 艦橋

イゼイラに到着したその日。
何時もの男が何時ものごとくネタに走っていた。


「イゼイラか・・・なにもかもみな、懐かしい」

その男の名は今や地球でもっとも知られている。
ある時はクソゲー売りのサバゲーマーにしてオタク。

またある時は宇宙人を押し倒したスケベ野郎。
その名はスパイダっー・・・ごほごほ、ではなくネタに走らねば済まない男。
もとい柏木真人、銀河突撃馬鹿が艦長の座席に座ってそれっぽくシリアスな台詞を呟いていた。

日本人の大半は恐らく知っているであろう某戦艦のネタである。
わざわざPVMCGで作成した制帽、それと金色の錨が描かれた黒い上着を上から羽織っている。

「艦長っ・・・!」

柏木のネタ振りに対して遊び心に理解がある吹雪が敬礼する。
見た目こそ芋っぽい田舎の女子中学生だが軍人なので仕草はしっかりしている。
だが、こうした遊びやおふざけに対して全力で取り組む辺り、流石海上自衛隊の御先祖様である。

「アハハハハ!!
 何だかよく分かんないけど、余裕だね大使は!」

シャルリは元ネタは分からないが、
シレイラ号事件で勇者のごとく振る舞った柏木が演じる道化に大爆笑している。


「マサトさん・・・」

対して元ネタを把握しているフェルは「何時かやると思ってた」と呆れ気味である。

690: 第三帝国 :2021/08/14(土) 17:47:53 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
「あははは。
 ほら、フェル、お約束だよ、お約束ネタ。
 いやー、まさか俺が本物の宇宙船のブリッジでできるなんてなー」

「さっきのマサトさんはドウ見ても『修学旅行で木刀を買って大騒ぎする男子中学生』デすよ」

ジト目で未来の旦那をそう切り捨てた。
「これは男のロマンで~」と旦那が訴えるが冷ややかなで目で見ている。

だが、言いつつもフェル自身、数日前のシレイラ号事件でブローニングM2重機関銃をぶっ放して以降。
人知に及ばぬ宇宙的啓蒙を得たのか偉大なるブローニングを称えるテッポーキ〇になり――――脳裏に瞳を宿した結果。

「ガーグとこのゲームの設定よく似ているデスヨ!」と血を継承する狩人なゲームにドハマりし、
ゼル造成シミュレータシステムで再現されたヤーナムの街を夫婦仲良く駆け回る未来が確定していた。

      • 並行世界では同じ狩人でも装備がエロい方の狩人に夢中になっていたのに、どうしてこうなった?

なお、以下は余談だが。
フェルは死刈り機・・・もとい回転ノコギリに魅了され、装備は官憲服。
対して柏木は「手には車輪と大砲、頭に黄金三角コーンを被った短パン姿」と完全にネタ装備でキメていたのを記す。

「それよりも、ホラ、あれを見てくだサい」

そんな未来の自分を予測できていないフェルが壁面モニターを操作し、地上で蠢くある生き物を拡大して写し出した。

「あ、これヴァズラー!
 赤城さんが『食べてみたい』って言っていた蟹さんだ!」

「本当ダ!」

「おうぅ!?マジでデカいなー!」

蟹と海老を足したようなメチャデカい甲殻動物に地球人3人は大興奮である。
が、揃って目つきは「珍しい生物」ではなく「食べると絶対旨そうな奴」として見ている。
完全に水族館で銀色に輝く鰯の大群を見て「寿司か刺身にしたら美味そう」という感想を抱くノリである。

「あの大きななら、赤城さんなら1人で食べちゃいそう」
「ウン、ソウカモ」

吹雪がとある空母艦娘の名前を口にした。

「あははは、流石にそれは・・・」

柏木は「腹ペコキャラ」として有名すぎる赤城を知っている。
だが、あれは漫画的誇張に過ぎない、そう考えていたから2人の語り口を否定したが・・・。

691: 第三帝国 :2021/08/14(土) 17:48:39 HOST:58x4x169x209.ap58.ftth.ucom.ne.jp
「本当ですよ、柏木さん!
 赤城さんはとっても大食いで、鎮守府でも最強なんですよ!」

手の甲を見せつける謎の動作をする吹雪。
冗談のようさ仕草だが、表情は逆に真剣で真顔である。

「ま、まじか・・・」

柏木、これにはビビる。
二次元な存在がガチな三次元に浸透しつつあり、
それが当たり前の日常となりつつあるとはいえ例えるならばダ○クソウル、
主に毒の森に出没する蟹のようなモンスターを単独で食べきれるとは想定外の事実であった。

「しっかし、こういう珍しい動植物とか、陛下が見たら喜びそうだな・・・」

柏木が何気なく呟く。

「陛下が、デスカ?」

「うん、陛下は生物学者でもあるんだ。
 正確にはたしか・・・そう、魚類学者なんだ。
 学者先生として論文も書いているし、新種の魚だって見つけた事があるんだ。
 うーむ、それを考えるとヴァズラーみたいな甲殻類じゃなくて魚類の方が喜ぶかもな」

歴史や政治を齧っている人間ならある程度知っている常識を柏木が口にする。
だがしかし、異星人達からすれば「あの」ファーダ・カシワギの博識ぶりを改めて知る。

そして唯のゲーム屋のオッサンに対して尊敬を込めた眼差しで見ており、
フェルに至っては「マサトサン・・・カッコいい///」と改めて惚れ直してたりしていた。

「ア、アノ・・・普段住ンデイル都市ハドチラデショウカ。
 ズット地上ヲ見テイテモ人ノ気配ヲ感ジ取レマセン、ハイ」

吹雪と一緒に惑星イゼイラの景色を楽しんでいた駆逐棲姫が質問する。

「ウフフ、良い質問デスね~実は地上に住んでいないのデすよ」

「地上に人の気配がない」という観察眼の鋭さに舌を巻きつつ、
気分はもう戦争・・・ではなく、先生気分でフェルが答えを提示する。

「大昔は地上に住んでいましたケド、
 今はあの空中大陸で国民の大半が住んでいるデスよ」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

モニターに映し出された巨大な空中都市。
これに地球人3人は仲良くスペースキャットと化しており、
揃って脳内ではどこぞの大帝のような笑い声が延々と響いていた。

(凄いけど・・・こんだけ凄い科学力があるにも関わらず、
 どうして『物理的な弾丸を発射する装置である』銃の概念がなかったんだ?)

色々場慣れしたため一足早く衝撃から回復した柏木が脳内でひらめきを得る。
シレイラ号事件でフェルも含めて揃って「その手があったか!」と驚いていたが、
イゼイラ人にとって「地球的な銃は過去の代物、ロストテクノロジーだった」としても表現し難い違和感を覚える。

(思えばフェルは芸大卒な俺なんかよりもずっと頭が良い。
 だけど「人類文明に必要不可欠な概念」について所々穴が開いていた。
 文化文明歴史の違い、星の違いなんかじゃ説明できない、何故なら同じ物理法則の下で生きる同じ人類なんだから。
 何というか、そう例えるならばチート装備にも関わらず、キャラのレベルが根本的に釣り合っていないような・・・気がする)

イゼイラ、否。
ティエルクマスカ銀河星間共和連合が抱える問題の核心を柏木は知らず発見した。

「すっごーい!、ラ〇ュタは本当にあったんだ!」

もっとも、そんなシリアスな思考はおのぼりさん丸出しな艦娘。
しばふ村の村民の反応を前に強制終了を強いられ、柏木はフェルと共に大笑いしたのであった。



おわり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2021年08月17日 11:02