986: 635 :2021/08/20(金) 17:34:30 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行九冊目前編sideエス



何処かの戦艦の甲板。


「ええ…ありがとう…これで何を聞かれても大丈夫ね。」

「加賀とはさっき会ったきたわ。あっちの自分が名前継いだ子と一緒で航空母艦になってるからひどく驚いてたけど…。」

「…こっちの私だってあんな最後でも心残りはあれど後悔はない筈よ。」

「えっ、会えて良かったって?それはこっちも同じよ。フフ、じゃあまた来るわね…ありがとう…長門。」





『フゥ、取り敢えずFFRとの戦争は回避に出来そうデス…。』

『ああ、土壇場でリシュリューが戦艦リシュリューに戻ったってニュースがFFRで流れて動員が解除されたからな。』

『FFRの方はリシュリューがいればどうにかなるけど私達は私達で日本とティ連の方どうにかしなきゃダメよ?』


どうにもあいつ、物書きな友人はファーダリシュリュー達と上手くやったらしい。
弟の運転する別の車に乗るファーダ柏木やフリンゼとファーダ陸奥らの会話をゼルモニター越しに聞きながらそんなことを考える。
ちなみに僕はケラー大見の運転する車の助手席に乗車している。

さて僕ら、ファーダナヨとファーダ陸奥そして僕はファーダ柏木の手引で佐世保にあるこの世界のオランダ、蘭帝系の企業の有するホテルへ行こうとしている。
我々の世界で佐世保といえば軍港と某オランダテーマパークであるがこの世界でも軍港、そして蘭帝関連なアレコレで有名な街だそうな。

そしてそのホテルはその蘭帝関連のホテルの中でも特に格式が高いものだそうだ。
この辺はファーダ白木からの受け売りなのであるが。
そしてその格式故にこのホテルでの出来事は全ては薔薇の下にある。
まあつまる所やんごとなき方やおエラいさんが泊まったり、内緒話するにはもってこいの場所だ。

そして現在このホテルには今回の騒動への対応の為に二藤部総理やサイヴァル議長、マリヘイル議長らが宿泊予定だ。
例の女神騒動に創造主騒動への対応の為だ。
その為にエラく警備が厳重である、まあ原因は僕らにある訳なのだが。
そこへファーダナヨがファーダ柏木との会話へ加わる。


『そうですよフェルや。まあ妾も陸奥もかような振るわねばならぬのはアレでありますが…柏木やもっとこう良い案は無かったのですか?』

『すみません、ナヨクァラグヤ陛下。リシュリューさんという前例がありますので陛下はもとより陸奥さんも復活した存在として扱われる可能性が高いのです。
ですからそう振る舞って貰った方が話が早いかと。』

『面倒臭いわねえ…。』


今更ながらファーダ柏木は世に言われる銀河級アサルトバカという呼称もよく分かる。
ファーダリシュリューの存在から創造主ナヨクァラグヤの復活と思われ血眼になってファーダナヨを探しているティエルクマスカ、
ファーダ金剛が向こう(我らが指揮官の隣に)に行ってるので「何故?」という不安に思う日本人、
(゚∀゚)神のヨカーンとネ申キタ――(゚∀゚)――!!とお祭り騒ぎで手も付けられない人物らもいる現状。
ついでにハワイ沖に所属不明の超大型戦艦こと戦艦陸奥が出現消失しているという謎な状況。
後、最近日本がイゼイラに構い過ぎて蘭帝の目のハイライトがオフになってきてるとか…。
最早火事どころか延焼して手の付けられない山火事の様な様相を呈している。

そこでファーダ柏木がそれ以上の衝撃で吹き飛ばせば良いと考えた。
最早世界災害級の火災が収まらないなら電子励起爆薬でまるごと吹き飛ばすというか、
侵食弾頭で可燃物ごと火災を分子レベルまで分解するが如き所業。
ため息が出る。


『あのバカの考えに色々考えて付き合ってたら精神が持たないぜ?』

「昔からあいつはアレだったからな…。」

「ケラー白木。こちらでもファーダ柏木はやはりファーダ、突撃ドゥスですか…。」

『こっちでもってことがそっちでも?』

「それはもう、突如として出現した正体不明の国に自ら軍艦に乗って直接乗り込んで交渉に挑む様な御人は並行宇宙でもそうそうはいないでしょう。」

『何やってんだそっちの柏木は…。』

「三つ子の魂百までと言うが平行世界でも変わらんのか…。」

「ええ…先代エルバイラの侍従もしておられますが…。」

『ちょっとまってオーちゃん!?それから平行宇宙の俺何をしてんの!?』

『柏木やそなたは立派に昭和帝の侍従もしておるのですから心配することなどありませんよ?』

『そうそう、フェルさんの方が海軍予備役士官とか現役大臣とか瑞雲狂でカレー狂とか属性過多だから。』

『私は私で何やってるデスカ!?』

987: 635 :2021/08/20(金) 17:35:45 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



二藤部内閣総理大臣やイゼイラのサイヴァル議長にティ連のマリヘイル議長他ティ連や蘭帝の首脳が宿泊予定のホテルの入り口は異様な空気に包まれていた。
警備に動員された陸軍歩兵やティ連ロボットスーツ部隊に蘭帝の部隊という凄まじい陣容である。
兵器も装甲車や戦車だけでなく中には専用のホースローダーならぬタイガーローダーとでも言うべきものを纏い戦場の花形に返り咲いた剣牙虎達の姿もある。

しかしその場の全員が困惑した様子であった。それもその筈ホテルの正面玄関には例の突撃バカの要請により赤いカーペットが敷かれているからだ。
加え来るのがティ連、日本にとって最重要人物と伝えられ全員が儀仗モードである。
これがイゼイラの旧皇終生議員始め、各国王侯貴族や高官が来るならば理解できる。
だが柏木は要人二名ホテルに宿泊する予定としか伝えていない。
加えるならば各国首脳、国家元首級の扱いも要請し、意味が分からない。
そこへ二台の日本製最高級自動車がホテルの玄関前へと滑り込み整列した者達が捧げ銃を行う。


前の車両より帝国陸軍の正装を纏った左官に加えて海軍のものに似たものを纏うイゼイラ人とイゼイラ…ヤルバーンの正装を纏うイゼイラ人が降りてくると後方の車両のドアを開ける。
ホテルと反対側のドアよりティ連特務大佐の位を持つ柏木真人ティ連担当大臣、加え妻である日本や蘭帝でも大人気のフリンゼ、柏木迦具夜ことフェルフェリア・カシワギ(ヤーマ)・ナァカァラが姿を現す。
蘭帝でも大人気なのはやはり地球世界に正式に関わる以前に初めての外遊先として真っ先に日本と関係の深い蘭帝の皇帝陛下の元を訪れたからであろう。
その柏木とフェルが車両のホテル側のドアを開け中の人物が姿を現す。

最初に降りてきた人物を見てティ連の者達は冷や汗を流し体を硬直させる。
興奮でブラスターライフルを持つ手が震え、歯をカチカチを鳴らす。
記録装置を持つ広域情報省職員も手に持つ装置を落とし呆然と見つめる。
それもその筈だ。彼らが敬愛してやまない人物が表立ち姿を現したからだ。


「ナヨクァラグヤ陛下、段差がありますのでお気をつけ下さい。」

「あいわかった。柏木、くるしゅうないぞ。」


先導する柏木大臣が放ったその人物の名にその場にいるティ連、特にイゼイラ人達はテレビ越しに見たFFR国民の熱狂と涙の感情に納得する。
ああ、彼らもこんな気持ちだったのかと、その場にいるイゼイラ国民全てが涙を流す。
古き聖イゼイラ大皇国の皇帝だけが袖を通すことを許される服を纏い、創造主ナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサがそこにいた。
その姿は記録映像に残っている通りのまさにそのまま、ではない。
多くの記録が残ってる女帝の頃ではなく聖地ヤルマルティアにいた頃の年代の姿だ。


次にフェルに促され降りてくる人物。
先のナヨ帝とは違い良くいる地球人女性であるがその胸にはイゼイラ人の子供が抱えられているが如何なることか。


「ありがとうフェルさん。」

「イエイエどういたしましてムツサン。」


ムツ、ムツという名前なのかとその場の地球人全員が思う。
何か艦娘の戦艦陸奥に容姿も服装も似ている気がするが…。
そんなことを考えているとイゼイラ人の子供が自分を抱く話掛けた。


「ギソウ出さないの?」

「あらあら?姫ちゃん、いつもみたいに艤装に乗りたいの?」


イゼイラ人の子供がうんと元気よく返事をすると女性のその背中、何もない筈の空間から何かが浮かび上がり、折りたたまれていたかの様に巨大な機械が展開される。
船の船体を模したかの様な機械には戦艦の主砲塔の様なものが鎮座する。
それは女性を囲む様に背中の艦艇の機関部の様な部分から伸びるアームに接続されている。
そしてイゼイラ人の子供は女性の腕から這い出ると巨大な機械の主砲塔部へと腰掛ける。

988: 635 :2021/08/20(金) 17:36:20 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


「陸奥だ…間違いない!戦艦陸奥だ…!」


誰かが静かに声を上げる。
ざわめきが広がり報道機関の者もあっけに取られ言葉を紡ぐのも、カメラを向けるのも忘れてしまう。


「確かに記念艦の長門の艦体によく似てる…。」
「ネメシス=フローティアの姉妹が帰って来たのか…?」


この大日本帝国において復讐の女神とその姉妹艦の名は軽くはない。
いや、鉄血の交わりを持つ蘭帝やOCU同盟はもとよりFFR始め敵対していた(現在も仮想敵国であるが)各国においてさえも畏怖と尊敬の念を持たれる存在だ。
その女神達の一隻がここに存在する、その事実は何よりも重い。
だが誰もが疑問を持つ。


彼女は何故、いつからいるのか?


戦艦リシュリューの所にいる金剛やリシュリューは事前にその存在は先の騒ぎで認知されていた。
しかし彼らの視点では陸奥は突如としてこの場にいるのだ。
そんな人々の疑問を他所に捧げ銃をされる中を陸奥とナヨクァラグヤは親しげに話ながら歩いていく。


「姫迦や陸奥の艤装の乗り心地はどうです?」

「うん!駆逐艦のお姉ちゃん達のギソウより乗りやすいよ!それに高い!」

「クスクス。曲がりなりにも私は戦艦だもの当然よ。」


そんな話を聞きながらこの場にいる者、そして達は陸奥とナヨクァラグヤ帝が知り合いなのとか全員が驚いていたりするが声は掛けられない。
そもそも女神(創造主)の会話に入る勇気のある者などいる筈もなく彼らの前を通り過ぎるとホテルの中へ消えた。


「戦艦陸奥だった…。」

「もう一人は創造主ナヨクァラグヤ、デス…間違いありまセン…。」


日本の報道機関の記者とイゼイラの広域情報省スタッフは呟き、互いの声にハッとする。
そして互いに向き合うと頷き動き出す。
この事実を伝えなければ、その使命感だけだ。


「おい!!どこかの局で映像撮ったやついるか!?」

「ダレか!!記録機器動かしてた方ハ!?」


しかしここにいる報道機関、広域情報省スタッフ、ボランティアの映像記録員の全員が突然の衝撃にカメラを向けるの忘れたり記録機器を落としたりして記録が残ってなかったり。
だが記者が身振り手振りで興奮を伝え、広域情報省スタッフや映像記録員がそんな記者の様子を真似て頑張って伝えたりしていた。

989: 635 :2021/08/20(金) 17:37:08 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


そんな様子を見守る四人組。
白木は手元の造成したイゼイラ製記録機器を弄る。


「なあ、一応俺の撮った映像を生で官邸に送ってるの記録も残してるんだが…。」

「白木、記者やティ連の広域情報関係者を集めて流した方がいいんじゃないか?」

「僕もケラー大見に同意です。」

「でも兄さんもう少し落ち着いてからの方がいいかも?」


そんな時、戦艦金剛乗員の『僕』のPVMCGが鳴る。
『私』からの短文通信、メッセージアプリを立ち上げ読むと頭を抱えた。


「どうした?」

「アイツやらかしやがった…。」

「えっ!?アインビル兄さんが!?」


驚く『僕』の弟、ちなみにアインビルとは『私』の本名で『僕』はエストレェルという話には全く関係ないが。
『僕』は無言で『私』からのメッセージを見せる。


【自分が提案してファーダリシュリューが自らの艤装から造った剣あげようとしたら聖剣扱いで事が大きくなってファーダが授与式典開くことになったナウ】

「「「………。」」」

「「何やってんだよ!?」」

「FFRの国民性考えれば大事になるの分かってんだろ!?」

「いやいやいやアインビルさん更にリシュリューの神格化進めてどうすんだよ!?」


なお弟くんFFRの国民性云々は分からぬがこっちの『私』が生きてた頃みたいにやらかしたのかと懐かしげに遠い目をしていた。

990: 635 :2021/08/20(金) 17:37:51 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
後編は八時半か九時過ぎくらいに投下します。

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最終更新:2021年08月22日 14:25