682: ホワイトベアー :2021/08/19(木) 22:10:47 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日本連合ルート閑話 『アフガニスタン陥落』

西暦2021年 8月13日 日本国 東京都

「米軍の撤退からわずか1ヶ月程度でアフガニスタンの半分がタリバンの支配下に落ちたか・・・アフガニスタン政府と軍の様子はどうだ?」

「アフガニスタン政府ですが、アメリカ合衆国の軍事支援削減にともない政府および政府軍の士気は崩壊。現在では大統領を含めた主要閣僚は亡命の準備に移っているようです。おそらくタリバン主力がカブールに接近すれば無条件降伏しかねないというのが大本営参謀部の見解です」

バイデン政権が2021年5月より開始した駐留米軍の正式な撤兵と連動して強まったタリバンの攻勢と米軍の航空支援を含めた軍事支援の弱体化によりアフガニスタン政府軍は各地でタリバンに敗北を重ねて行き8月に入る頃にはアフガニスタン全土のうち85%がタリバンの支配下に落ちていた

「また、アメリカ合衆国ですが緊急措置として米軍兵士3000名をアフガニスタンに緊急増派する予定で調整を進めているようです。しかし、未確認ですがアリゾナ州とカリフォルニア州の間で難民を巡り州軍どうしによる銃撃戦を含めた小競り合いがあったらしく、アフガニスタンに長期間関わっていられる余裕は米国にはないというのが参謀部の見解となっております。少なくない確率で同盟国を無視してでも米国民のアフガン撤退を最優先にする可能性があります。」

アフガニスタン政府軍の劣勢に対してアメリカは政府軍への支援を強化するのではなく、大使館の封鎖からの職員対比と米軍撤退の加速を決定。撤退支援の為に3千名の増派を発表していたが、バイデン大統領はあくまでも現地に駐在する米国や同盟国の要員のほか、駐留米軍に協力したアフガン人の「安全で秩序だった退避」の支援が目的であり米軍増派はあくまでも安全な退避のための一時的な措置で、アフガン駐留米軍を撤収する自らの方針に揺らぎがないことを強調ていた。

こうした米軍の姿勢はただでさえ低いアフガニスタン政府やアフガニスタン政府軍の士気をへし折るには十分であり、アフガニスタン政府内ではすでに無条件降伏すら選択肢にしてタリバンとの交渉を初めてしまっていた。

「つまり、米国は対して役に立たないと言うことか・・・いや。そんな状態でありながら3千も増派することができる事を称賛するべきかな? 現地の日本人の状況は?」

「日本国外務省で確認が取れているだけでも38名、うち大使館および国際機関関係者が18名、マスコミ関係者6名、NGO団体構成員14名がアフガニスタンで活動しております。幸い大使館関係者およびNGO団体、それに一部のマスコミ関係者の合わせて34名と連絡が取れておりカブール国際空港に避難しておりますが、4名とは連絡がついておりません。また、カブール国際空港ですが米英軍による警護こそありますが、タリバンがカブールに本格的な侵攻を実施した場合は大量の市民が流れ込む事が予想されており安全とは言い難い状態です」

「連絡の取れないマスゴミ関係者はこのさい無視しても構わんが、カブール国際空港に避難している日本人は無傷で本土に撤収させなければ今度は我々があの帝国の墓場にどっぷりと浸かることになるぞ。内陸国への侵攻など財務上の悪夢でしなかないし、何より戦力が足りない」

少なくとも神崎元帥の復帰までは戦争を起こすことは何としても避けなければならない。日本連合軍20世紀列島日本占領軍総司令官に抜擢された神崎元帥に代わって日本連合軍総司令官になってしまった男は顔をしかめた。

683: ホワイトベアー :2021/08/19(木) 22:12:59 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
何せ今の21世紀列島日本進駐軍は予算・戦力ともに列島日本を含めた東アジア・東南アジアで中国を封じ込めるには十分な戦力を有していたが、中東に大軍を送り込めるほどの余分な戦力は有しておらず、もし介入するなら本国群に増援を要求しなければならない状態であった。そして各世界線の本国もアフガニスタンなんて遠い辺境の面倒事に進んで首を突っ込み予算をドブに投げ捨てたいと言う変人が首脳部を占める国家はおらず、日本統治理事会でも非介入派が主流となっていた。(一部過激派はアフガニスタン全土の地図を書き換えさせてやろうと主張している)

「兵站上でも悪夢だよ。これまで行ってきたレバノン、韓国ヘ報復は戦艦を含めた水上打撃部隊による砲撃と航空部隊による空爆で済んだが、アフガニスタンは内陸国だ。もしやるなら陸上部隊を送り込まなければならない。
うちの複合飛行船があるから多少楽ではあるが、もしアフガニスタンに本格的に侵攻をかけるなら最低でもイランかパキスタンに軍事通行権を、欲を言えば軍の駐留を認めさせる必要がある」

「理事会からも再々アフガニスタンへの過剰な介入は避けるようにという支持も飛んできてます。総司令官、やはりここは日本人の安全な撤退の為に自衛隊のアフガニスタンへの派遣の許可するのが一番かと」

「許可か」

「はい、あくまでも許可です。日本連合軍の派遣には理事会の承認が必要ですが、自衛隊の派遣なら占領軍の総司令官の許可と総理大臣が承認さいすれば理事会にかけずに送り込むことができます。幸い、自衛隊には我々がレンドリースした自動人形が3個連隊規模おりますので最悪の場合の犠牲者も出ないと参謀部は考えております」

参謀部に務めている軍人の言葉に総司令官は数秒考える。

「・・・わかった。日本連合軍大本営は日本国国民の安全な撤退の為にアフガニスタへの自衛隊の派遣を許可すると首相官邸に連絡を入れてくれ。」




西暦2021年8月14日、日本連合軍大本営からの『許可』を受けた日本国政府はただちに自衛隊に邦人の安全な国外退避の支援を命令。同命令を遂行するために航空自衛隊からは採用されたばかりの戦略輸送機3機が、陸上自衛隊からは試験的に運用されていた自動人形で編成される2個普通科連隊がアフガニスタンに派遣されることが記者会見にて発表される運びとなった。

そして同部隊は途中でアメリカ軍からの支援を受けてカブール国際空港に到着。米英軍と協力して同空港の警備に参加。幸い自衛隊が到着するまでカブール国際空港での騒動は避けられ、アフガニスタンにいた日本人は連絡が取れなかった4名を除いて全員が自衛隊の輸送機に乗り無事に日本に帰国する事ができた。

陸上自衛隊の普通科部隊は日本人の帰国後もしばらくカブール国際空港に残り米英軍とともに同空港の警備を実施。米英を含めた西側大使館要員の退避を確認した後に帰国することになる。

その後、アフガニスタンでは復活したタリバンと同じく復活した北部同盟との間で内戦が継続することになるが、その頃には米国は国内の内戦回避に、日本連合は米国に代わりインド太平洋地域での中国封じ込めに注力していき、欧州ではEUの崩壊という大事件が発生してしまった為に西側諸国ではアフガニスタンは忘れ去られていく。再び、基盤を意味するかの組織が復活するまで・・・

684: ホワイトベアー :2021/08/19(木) 22:13:35 HOST:163-139-151-176.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
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最終更新:2021年08月22日 14:29