152 名前:194[sage] 投稿日:2021/08/24(火) 20:50:30 ID:ai126146075177.53.access-internet.ne.jp [4/9]
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件セカンドシーズン?特別番外編 ウマ娘とその関係者達が、超大陸世界にやって来たようです その13


赤坂「スタートしました。出遅れは無し、全員幸先のいいスタートです。早速先頭集団を置き去りにしてひた走る二人のウマ娘の姿が見えます。先頭はメジロパーマー、そのすぐ後ろにツインターボがぴったりとくっついて付いて行っています」

赤坂「二人から五バ身程離れて先頭集団、セイウンスカイ・アグネスタキオンにミホノブルボン。ギンシャリボーイ・ライスシャワー・ビワハヤヒデと続きます」

赤坂「半バ身程離れて中段はアオイベアキャットにテイエムオペラオー。キュウヨンツーにクルトエイチ・チョクセンリーダーの順」

赤坂「後方集団はナリタタイシンを先頭にエアグルーヴとチハタンバンジャイ。トウカイテイオーにヒシアマゾンという順になっています」


序盤の隊列がほぼ決まりだすと同時に、お約束の「アレ」が始まる。


みなみ「ツインターボは再び大逃げに戻ったな。だが相手は一度負けたメジロパーマー、同じ逃げじゃ逃げ切れないぞ」

ますお「どうした急に?」

みなみ「メジロパーマーとツインターボでは体格が違う。それはそのままスタミナ・パワー・スピード、ウマ娘に必要な全ての要素の差となって表れる」

みなみ「更にメジロパーマーは、今トーナメントで最高のコンディションを保ち続けているし、今日もキレがいい」

みなみ「それに先行ウマ娘が勝ちやすいと言われている阪神だというのに、現時点で出遅れているトウカイテイオーでは抜けないかもしれないな」

キタ「テイオーさんが差し勝ちます!」

ダイヤ「そうです!マックイーンさんが出ないなら、テイオーさんが勝ちます!!」

二人「「ご、ごめん!!」」

カナ「・・・やれやれ、戦況分析が甘いのう。みなみさん」

みなみ「え?どういう事?」

カナ「ターボは闇雲に逃げに走ってる訳ではあらへん。ちゃんと考えて走っとる。まずはターボが付けているポジションや」

ますお「ポジション?」

カナ「ターボはメジロパーマーの真後ろ1メートルに付けて、スリップストリームでスタミナを温存しつつメジロパーマーにプレッシャーをかけとる」

みなみ「・・・あっ!!」

カナ「しかもターボがすぐ真後ろに付ける事で、メジロパーマーの脚のペースに乱れが生じとる」

ますお「脚のペースの乱れ?」

カナ「メジロパーマーと比べてターボの歩幅は短い。その為テンポがワンテンポ早く、その音をずっと聞かされたらそのペースに合わせてしまいかねない」

カナ「せやが、もしペースをターボの歩幅に合わせてしもたら、間違い無く最後までスタミナが持たへん。ならば意識して一定のペースを保たんといかん」

カナ「これが意外に大変で、間違いなく心身共に消耗は避けられへん。・・・ウチもどんな作戦で行ってるかは知らへんが、見た目以上にレースを有利に運んどるで。ターボは」

153 名前:194[sage] 投稿日:2021/08/24(火) 20:51:00 ID:ai126146075177.53.access-internet.ne.jp [5/9]
カナの正確な戦況分析に、思わず息をのむキタサトコンビにますおとみなみ。普段の陽気でネタに走りがちな性格の為に思わず忘れがちだが、彼女もれっきとした転生者。
しかもその前世が、トリプルターボと何度も死闘を繰り広げたUMA・カナリハヤイネン。デビューから引退まで、12年もの間大逃げ一筋で戦い続けて来た猛者なのだ。異名だけ見ても

  • 浪速のツインターボ※デビュー後・トリプルターボと戦う前
  • 大逃げTKコンビ・トリプルターボの終生のライバル※トリプルターボと対戦後
  • 令和の大逃げの大御所※トリプルターボ引退後

と、中々に個性的な物を貰ったりしている。
話が逸れたが、再び本編に戻ろう。


みなみ「・・・なるほど。だけど、この態勢のままで最後まで行く訳にもいかないし、この後どうするかな?」

カナ「・・・あくまで経験と勘やが、恐らく第3~第4コーナー近辺で何か仕掛けてくるやろ。それ以降だと、間に合わん可能性が高いからの。そこでどんな策を仕掛けてくるかで、その後の展開が変わるで」


そして、カナが言った通りメジロパーマーは苦戦を強いられていた。


メジロパーマー(以下パーマー)(あーもう!滅茶苦茶走り辛い!)


ダイタクヘリオスと走っている時とは全く違うテンポに、思わずイラついた思いを頭に浮かべるメジロパーマー。
それに対してツインターボは、今までの特訓の成果と作戦の効果をその身で実感していた。準決勝前の一時期を除いて練習時に付けていた重めの蹄鉄のおかげで、スタミナだけでなく脚を上げやすくなってる。
そして高山トレーニング用のマスクで呼吸効率を改善した結果、全身に十分な酸素が回り続けており、周りの様子をはっきりと認識出来ている。
メジロパーマーが、脚のペースを一定に保つのにえらく苦労している様子も、手に取る様に分かる程だ。
だが、ここからが正念場だという事を再三南坂は念押ししており、カノープス全員で勝つと決めたツインターボは、意を決してある行動に出た。


パーマー(ん?ツインターボの足音が小さくなってる・・・!?)


一瞬またスピードを上げ過ぎたかと思ったが、ペースは一定の筈。なのにツインターボの足音がどんどん後ろに下がっていく。
まだ第3コーナー少し前、こんな所で脚を溜める逃げウマ娘なんて居ない。ならば答えは一つ。


パーマー「よっしゃ!私のスタミナ勝ち!」


ツインターボのスタミナが先に尽きて下がっていき、単独で第3コーナーに差し掛かると、観客達は私の方を見て大盛り上がりしている。
コンディションも絶好調。準決勝ではあのトウカイテイオーにも勝てた。だから私は、このレースで優勝したい。逃げ方を教えてくれて、レースに向けての特訓も嫌な顔一つ見せずに付き合ってくれた
ヘリオスに、最高の恩返しがしたい。その為にも、このレースの優勝トロフィーを勝ち取るんだ!
第3コーナーを超えて第4コーナーに差し掛かっても、誰も追い付いて来ない。どれだけ離れてるかを見る余裕は無いが、ビワハヤヒデ達が後方で潰し合ってるなら、それはそれで好都合。このまま単独で逃げ切る。
そう思っていたのだが・・・・。

右後方から足音が近づいている事に気付くメジロパーマー。常に最高速を出している関係上内側を開けるしかない私と違い、後ろの娘達はそこを突ける。それは想定済みだったが、何やら様子がおかしい。
この足音・・・聞いた事が有るような・・・?そう考えている最中も、その足音は少しずつ近づいてきている。第4コーナーから抜け出すに連れて少しずつ真後ろ、そして左後ろに移動しながら近くなってきている。
そして遂にすぐ真横まで近づき、私の視界の端から上がって来た姿を見て驚愕する。蛍光色の大きなパーカーに風に靡く蒼いツインテール。


パーマー「ツインターボッ!?」


信じられない事に、一度落ちたのに再びここまで上がってきたのだ。一体何が起こったのか!?

154 名前:194[sage] 投稿日:2021/08/24(火) 20:51:30 ID:ai126146075177.53.access-internet.ne.jp [6/9]
少し時を巻き戻す。
第3コーナーへと差し掛かる直前に、突如スピードが落ちていくターボ。メジロパーマーとの距離が離れていくのを見て、殆どの者が「ツインターボが逆噴射した」と判断した。
それは後続のウマ娘達の大半も同じであり、ここぞとばかりにペースを上げる。だが・・・・・内側を走るツインターボを追いかけるも、何故か距離は一向に縮まらない。


トリー「お姉ちゃん!?・・・・・って、これは!!」

カナ「・・・そうか!考えおったな!!」

みなみ「え!?ど、どういう事!?」

トリー「お姉ちゃんは、スタミナ切れなんて起こしてません!」

ますお「え!?で、でも現に減速して」

カナ「それは別の理由での減速や!コーナー内側の経済コースを確実に走ると共に脚を溜める事と、もう一つ」

ダイヤ「もう一つ?」

カナ「スタミナが切れたと、後続に誤認させる事や!」

キタ「ええ!?」

トリー「つまりお姉ちゃんは・・・後続を掛からせた上で、逃げ差しを決める気です!!」


ほぼ同じ時、実況の方も思わぬ事態に驚愕していた。


赤坂「先頭を走るメジロパーマー、ツインターボを引き離して第4コーナーへ!今日は早めの逆噴射でツインターボが沈み・・・・・沈まない!?これはどういう事か!?」

細井「・・・そうか。ツインターボはこれを狙って、敢えて減速を!」

赤坂「どういう事ですか!?」

細井「減速した理由は二つ。一つは、コーナー内側を確実に走る事。もう一つは、スタミナが切れたと誤認させる為です!」

赤坂「ええ!?という事は・・・!!」

細井「ツインターボは、後続全員を掛からせて逃げ差しをする気です!!」


奇しくも全く同じ結論に至ったトリー達と解説の細井女史。そして後続のビワハヤヒデ達は、最初は内側と外側の差と認識し速度を上げても追い抜けない。そのまま第4コーナーに差し掛かり、
既に全速力で走っている事に気付いて初めて、罠に嵌められた事に驚愕する。

155 名前:194[sage] 投稿日:2021/08/24(火) 20:52:01 ID:ai126146075177.53.access-internet.ne.jp [7/9]
~回想中~


ネイチャ「減速はするけど抜かせない?いったいどういう事よ?」

南坂「今回の策ですが、これは相手の思い込みが成功の秘訣となります」

マチタン「思い込み?」

南坂「イクノさん。今までターボさんは、どの様な戦い方をしてきましたか?」

イクノ「え?・・・・・常に全力でゴールまで走り続ける、いわゆる大逃げですが?」

南坂「・・・では、そんなターボさんが失速したら、どう判断しますか?」

イクノ「スタミナが切れて・・・・・あっ!!」

南坂「・・・そういう事です」


そう言って、ニヤリとする南坂。


南坂「今回の作戦ではズバリ、皆さんが抱いているターボさんのイメージを逆手に取ります。スタミナが切れたと誤認させて後続を掛からせた上で、温存した脚で逃げ差しを決める。その為の特訓を行います」


~回想終わり~


実馬の方で「中央競馬最後の個性派」と称された様に、勝っても負けても注目されてきたツインターボ。大逃げで走り、「勝つ時は圧勝、負ける時は大惨敗」と言われたその走りのイメージは極めて強く、
常に全力で走り、負ける時はスタミナ切れからの逆噴射というのが相場だった。
だが、南坂はその先入観を突く事を選択。更に効果を上げる為に、一見苦し紛れの策と誤認する様に内側を走る様にし、実際は内側のコースを相手に走らせずにしつつ、脚を温存する。
もしこれをするのがサイレンススズカやマルゼンスキー、もしくはセイウンスカイだったならば、ここまで上手くはいかなかっただろう。彼女達の場合なら、再加速の為に脚を溜めているという発想に至るからだ。
だが、これまでいつも全力で戦い、多くの戦いで逆噴射を起こして負けて来たツインターボを知る者は、誰もが普通に失速したと判断したのだ。
南坂が用意した勝つ為の秘策。それはツインターボのみが可能とする『後続全員を掛からせる』という作戦だったのだ。
レースは、大きく動こうとしていた。

156 名前:194[sage] 投稿日:2021/08/24(火) 20:52:33 ID:ai126146075177.53.access-internet.ne.jp [8/9]
以上です。南坂トレーナーの渾身の策が発動しました。
その結果、3番手以降の大半のウマ娘が見事に掛からされてスタミナと足を消耗。そのまま一気に置いて行かれる事になります。
しかし、僅かに掛からなかったウマ娘もおり、その数名が懸命の追い上げを開始します。うち一名は、誰だかお分かりとは思いますが(汗)
レースも物語もいよいよ終盤。出来るだけ早い内にお送り出来たらと思います。それでは。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2021年08月26日 17:49