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現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件セカンドシーズン?特別番外編 ウマ娘とその関係者達が、超大陸世界にやって来たようです その14
『スタミナ切れと誤認させて後続を掛からせた上で、逃げ差しを決める』
南坂が考案し、ツインターボが実践したこの策は、後続のウマ娘達に対して戦略的な奇襲となった。
普段から後先考えない全力で走る為、この様な搦め手を行ってくると思わなかった事もあり、見事に炸裂。終盤で使用すべきスタミナと脚を消耗してしまっていた。
その一方で、足を溜める事に成功したツインターボは、後続を一気に突き放しつつメジロパーマーへ猛追を開始。
その様子を、殊更悔しい表情で見るウマ娘が居た。ライスシャワーだ。
ライス(やられたっ!!)
今考えると、ここまでのレースでその予兆はあった。予選では全力で戦うも惜敗。準決勝では逃げではなく先行という搦め手で戦うも、決勝進出が精一杯。
だから、この決勝では再び全力で走る作戦に戻した。そう判断していた。だが、実態は全く違っていた。
全ては決勝で勝利する為に張り巡らせた罠。『ツインターボは全力で走る以外勝利する事が出来ない』と周りに思い込ませる為の作戦だったのだ。
その作戦にまんまと引っかかった事を、内心歯噛みするライスシャワー。かつてオールカマーでまんまとしてやられたというのに、また繰り返してしまったのだから。
だが、最早スタミナはともかく脚の力が残っていない。諦める気は全くないが、最早追い縋る事も出来ずに引き離されて行く事に、ただただ悔しさを滲ませる事しか出来なかった。
その一方で、僅かながらこの策から免れたウマ娘達も居る。エアグルーヴ・チハタンバンジャイ・そしてトウカイテイオーだ。
この様な展開になると予想していたトウカイテイオーを除く二人は、エアグルーヴとチハタンバンジャイは試合前のツインターボとトウカイテイオーが並々ならぬ覇気を見せていた事から、
他のウマ娘達以上にこの二人を注視。その結果、ツインターボがスピードを落としているがバテていない事に気付き、辛くも策を回避出来たのだ。
グルーヴ(意外な伏兵だ)
一見いつも通りに大逃げしつつメジロパーマーを追跡していると見せかけながら、その実スリップストリームでスタミナを温存しつつメジロパーマーにプレッシャーをかけ、失速したと見せかけて
後続を軒並み掛からせている。この様な『器用な戦い方』をするウマ娘では無かった筈だが、やはりこの戦いはいつもと違う。
だが、こちらもまだスタミナも脚も残している。ここからが正念場。『女帝』としての底力を見せてやる!
グルーヴ「勝つのは、私だ!!」
もう一方のチハタンバンジャイも、このレース展開には驚きを隠せなかった。
チハタンバンジャイ(以下チハタン)(まさかツインターボさんが、この様な搦め手を使ってくるなんて)
身体的には、他のウマ娘に勝る要素を特に持ち合わせていない彼女。そんな彼女の武器は、徹底したデータ分析だ。過去の有力ウマ娘達の走りを徹底的に研究し、それに合わせた走りをする。
今回の決勝に臨むにあたってここまでのレースの映像をチェックしていたのだが、ツインターボの準決勝での走りに強い違和感を感じていた。
その程度の奇策では、彼女の性質的に勝つのは不可能に近い。だが、それでも敢えてその走りを選択した。普通の者達なら
「普通に逃げては勝てない為に奇策に走ったが、敢え無く失敗した」
と判断するだろう。だがもし、この走りすら「決勝で勝利する為の策の一環」だとしたら・・・?
だから敢えてツインターボを注視した。そして、自身の勘が正しかったと確信。それに対応した走りに変える。
勿論データだけでは勝利は覚束ない。身体的な特訓も重ねて来た。親友でもあるサンシキチヌやヨンシキチト、先輩でもあるハチキュウイゴウやシセイホリ達の協力の元、ひたすら体を鍛え続けた。
チハタン「彼女も、そのブレーンたるトレーナーも、大したものです。ですが、私も負けません!!」
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両者とも、内側を回りつつ集団との差を一気に詰める。先頭集団の中には今からでも内を狙おうとする者も居るが、もう遅い。内側を走るのに必要なパワーは、走り慣らされた芝とは訳が違う。
第4コーナーに差し掛かる前に遂にビワハヤヒデ達と並び、追撃を掛けようとするエアグルーヴとチハタンバンジャイ。だが突然、右後ろから『聞こえて来る筈が無い』足音が近づいて来た。
内側を走る二人だが、辛うじて一人分位なら差せるスペースは有る。だが、内ラチギリギリを走りながら抜くなんて芸当は、余程のフィジカルを持ったウマ娘でなければ不可能だ。
二人の後ろに居たのはヒシアマゾン、そして・・・トウカイテイオーだ。
その間にも、迫りつつある足音は外側に出る気が無いのか、そのまま内ラチギリギリに突っ込んでくる。ビワハヤヒデを抜くと同時にそのウマ娘が姿を現す。
一見会長とと見間違えそうな威圧と覇気を感じたが、栄光を示す純白の勝負服が会長とは違うと誇示する。
グルーヴ(そうか、テイオーはもう其処まで来てたか)
チハタン(そんな!?一歩間違えたら大事故になりかねない内ラチギリギリを、猛スピードで駆け抜けるなんて)
驚愕する二人。だが、彼女達も誇り高きウマ娘。彼女達のプライドが、負ける訳にはいかないと叫んでいる!
二人「「勝負だ(です)!トウカイテイオー!!」」
赤坂「ツインターボが再加速開始!第4コーナーで後続を一気に突き放しメジロパーマーに並んだ!続いて内側からエアグルーヴとチハタンバンジャイが差し、更にその内側からトウカイテイオーが猛追しています!!」
細井「トウカイテイオーはこの展開を読んでいたみたいですね。見事な追い込みです」
赤坂「これが天才のみが成せる業なのか!トウカイテイオー!並ぶ先頭二人にエアグルーヴとチハタンバンジャイ!トウカイテイオーとの差は1バ身も無い!ビワハヤヒデもその後ろで追い縋る!」
エアグルーヴとチハタンバンジャイよりも更に内側を、スピードを上げながら走るトウカイテイオー。この時の彼女は内側に身体を傾けて遠心力のみで自らを支えていた。
当然ながら、それは誰にでも出来る芸当では無い。慣らされていない芝を踏み締める力を殺さずに足首の関節を曲げ、身体の角度と遠心力の絶妙なバランスを保つ。
皇帝を超える帝王にしか出来ない、それこそがトウカイテイオーが描いた『絶対の走り』なのだ。
赤坂「エアグルーヴとチハタンバンジャイが落ちているのか!?いや、これはトウカイテイオーが更に上がってきている!トウカイテイオーは止まらない!メジロパーマーとツインターボの隣に並ぶ!」
赤坂「残り400!阪神最後の直線を制するのは、果たして誰なのか!!」
実況にも熱が入り、観客達も大盛り上がりを見せている最後のデッドヒートだが、メジロパーマーは既に、両隣の二人しか見えていなかった。
彼女は理解していた。この二人に勝てたのは、運ではなく実力だった。どちらも相手を油断させる為に手を抜く様なウマ娘では無い。だが、だからこそ二人は諦めなかった。
きっと血を吐く様な猛特訓を繰り返して来たんだろう。幾つもの靴を履き潰してきたんだろう。では私はどうだったか。
この二人に負けないだけの努力。それを、私はしてこれただろうか。私は・・・・・。
その様な思いが頭を過る。ここまででスタミナを消耗し過ぎた事もあり、最早この二人を振り切るだけの力は、彼女には残されていなかった。
パーマー「・・・くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
赤坂「メジロパーマー無念!じりじりと落ちていく!さぁ誰がこのレースの展開を予測出来たでしょうか!残り300m!先頭で栄冠を争っているのはツインターボとトウカイテイオーだ!!」
阻む物が無くなり、隣を走るライバルを視認する二人。どちらも驚きはしなかった。
「あのツインターボだから」
「あのトウカイテイオーだから」
信じ合った強敵(とも)が、今この瞬間に隣を走っている。あとは、隣にいるライバルを抜き去ってゴールするのみ!
二人「「勝負だぁぁッ!!」」
赤坂「残り200m!二人の前に立ちはだかるのは最後の上り坂!心臓破りのこの上り坂を制して栄冠を手にするのはどちらなのか!!」
最後の攻防が、今始まる。
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以上です。またもやいい所ですが、キリがいいという事もあるのでここで一旦切る事に(ヲイ)
ターボ師匠の策略を回避出来たのは、トウカイテイオーを除いてエアグルーヴとチハタンバンジャイの二人だけでした。残りは軒並み掛からされて脱落です。
ライスシャワーは特に悔しいでしょうね。オールカマーに続いて、再び策に嵌められた訳ですから。いくらスタミナが有っても、脚の筋肉を消耗しては追い上げは不可能ですからね。
勝負も残り200m。次回は心臓破りの上り坂の攻防を経て、最後の戦いとゴールシーンまで描ければと思います。お楽しみに。
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最終更新:2021年09月06日 10:35