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現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件セカンドシーズン?特別番外編 ウマ娘とその関係者達が、超大陸世界にやって来たようです その16


阪神競バ場最後の攻防地点となる、ゴール前200m地点。ここには高低差1.8mにもなる急坂が待ち構えている。二人は勢いよく駆け上がり始めた。
因みに実際のコースではどの位の傾斜かというと、以下の様な形となる↓

ttps://www.jra.go.jp/facilities/race/hanshin/course/

この急勾配という悪魔の手で数多くの馬やUMA・或いはウマ娘達がここで失速し、涙を呑んできた。故に、観客の大半は

「さしものツインターボも、この坂で失速するだろう」

と判断していた。
だが、南坂はこの上り坂に勝機を見出していた。


~回想~


マチタン「凄い!まず間違いなく、大半のウマ娘達が引っ掛かるよね。その策!」

南坂「はい。ですが、懸念もあります」

イクノ「懸念?」

南坂「昨日の夜に沖野さんから聞いたのですが、今回のテイオーさんは、最初からターボさんをライバルとして想定していたのだとか」

ネイチャ「最初から!?」

南坂「はい。そうなると、テイオーさんの事です。この策を見破った上で、追い込みをかけて来る物と思われます」

イクノ「確かに・・・。それに対して、何か策は?」

南坂「もう一か所、勝負すべき場所を設けます。ゴール前の急勾配の地点です」

マチタン「何でそこに?」

南坂「この坂こそ、テイオーさんの力が大きく削がれる地点でもあるからです。その一方で、ターボさんがここでヨレる事無く走る事が出来れば、仮にテイオーさんがターボさんを追い抜いても、少しの差なら挽回して勝利する事も出来ます」

ネイチャ「でも、ターボにとってもかなりキツイわよ?」

南坂「だからこそ、今まで高山トレーニング用のマスクを着けさせ続けてきた訳です。一度の呼吸での酸素と二酸化炭素の交換効率を上げる。その結果、ヨレる事無く坂を駆け上がる事を可能とする。それが、もう一つの勝負ポイントの要となります」


~回想終わり~


そう、今までの特訓の成果が今ここに結実していた。寧ろ苦しそうにしているのはトウカイテイオーの方だった。


赤坂「今日のツインターボのエンジンは絶好調!若干苦しいのはトウカイテイオーの方か!しかしトウカイテイオーも、帝王の意地を見せ横に並び続けている!」


坂道を駆け上がる二人に観客は大歓声を上げ、チームメイト達も必死に応援する中、滝の様に汗を流しながらも体に鞭打ちながら走るトウカイテイオーは、並んで走っているツインターボを見る。
走るのに比べて呼吸回数が明らかに少なく、視線も前を向いて微動だにしていない。既に意識は殆ど無く、勝利への執念がその足を動かし続けているのだ。


テイオー「そっか・・・凄いよ、ターボ師匠は」


自分の限界を超えて走り続ける事がどれだけ凄い事か。そして最後まで諦めない姿をまたも見せ付けるツインターボ。
その彼女に報いるべく、テイオーも持てる全てを出し切り優勝する為、残り100mできっちりスタミナが無くなる様にペースをアップ。ツインターボはそれに付いて行こうとせず、少しずつ離されていく。

364: 194 :2021/09/05(日) 14:45:59 HOST:ai126151107086.55.access-internet.ne.jp
赤坂「トウカイテイオーがジワジワと上がっている!ツインターボは付いて行けないか!坂を上り切ったラスト100m!このままトウカイテイオーが勝利してしまうのか!」


少しずつ差が付いて行く中で二人は坂を登り切り、最後の直線へ。トウカイテイオーの足色は衰える事無く、スタンドの前を駆け抜けて行く。
一方のツインターボは、視界が端の方から白く掠れ、トウカイテイオーの背中を茫然と眺めている。


「相手はあのトウカイテイオーだ、負けても責める人は居ない」

「寧ろここまで、本当に良く頑張った」

「二位でも凄い成績だよ」


そんな声が、スタンドから聞こえて来る。
観客達は思った。ここまでよくやったと。だが。


南坂「ターボさんッ!」

トリー「お姉ちゃんッ!」


そんな在り来たりな言葉で終わらせたくない。そんな感情を誰よりも大きな声で張り上げ、ツインターボの背中を押したのは南坂とトリプルターボだった。
二人の言葉に、ツインターボは再び意識を取り戻す。


マチタン「ターボ走って!まだ抜けるよ!」

イクノ「走って下さい!ツインターボ!」

ネイチャ「アンタ、テイオーに勝つって言ってたでしょ!」

南坂「全てを出し切って下さい!」


聞こえる・・・カノープスの皆の言葉が・・・。


カナ「まだや!まだワンチャン有る!最後まで諦めるな!ターボ!!」


カナの応援が・・・。そして・・・。


トリー「走って!お姉ちゃんッ!私が叶えられなかった、ファン達の夢を!叶えて!ツインターボォォォォッ!!」


トリーが涙を流しながら、必死に応援している・・・。
そうだ、誓ったんだ。かつてのトリーが叶えられなかった、ファン達の夢を。同じ名前を持つターボが、代わりに叶えると。誰よりも大切な姪を、泣き顔のままで終わらせない!
カノープスの皆は、最後まで特訓に付き合ってくれた。ターボの我儘を、トレーナーは沢山聞いてくれて、此処まで走らせてくれた。
カナは時にやさしく時に厳しく、ターボを叱咤激励してくれた。そして・・・トリーはターボが夢を叶えてくれると信じてくれた。
もう残りは少ない。最後はどう走れって言ってたか。


6人「「「「「「考えるな!走れぇぇぇ!!」」」」」」

365: 194 :2021/09/05(日) 14:46:31 HOST:ai126151107086.55.access-internet.ne.jp
了解!
もうここからは、作戦も何も関係ない。一番走りやすい体制で、一番慣れている呼吸で、誰よりも好きなポジションを奪う為に、全てを出し尽くして走り抜く!
残された最後の力を振り絞るツインターボ。ここまでの積み重ねで僅かに余力はあるが、精々がガソリン一・二滴程しか無い。
だが、それで十分。皆の、ファン達の応援を背に受けて走り抜く!
ターボエンジンが、三度咆哮する!


ターボ「絶対に・・・・・勝つんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

赤坂「何と!ツインターボが三度加速!トウカイテイオーに猛然と食らい付く!諦めない!ツインターボは諦めない!これが諦めないという事だぁぁぁ!!」


チームメンバー達やトレーナー・親友と大切な姪の想いを胸に、ツインターボは再びトウカイテイオーの横に並ぶ。

一方のトウカイテイオーは驚愕していた。まさか、まだこちらを追い上げる力が残されていたというのか。ツインターボには、一体どれだけの力が、いや、どれだけの可能性がその小さな体に秘められているというのか。
だが、だからと言って勝ちを譲る気は全くない。スピカの皆やトレーナーにキタちゃんとダイヤちゃん、そして会長の声が僕にも聞こえている。
だから、僕も最後まで諦めない。皆の想いに答える為にも、僕は勝つ!

ターボははっきりと感じ取っていた。トウカイテイオーが最後の気力を振り絞って勝とうとしている事を。最後まで諦めないという事を。
そう。それでこそ、ターボの終生のライバル・トウカイテイオー。ターボが全てを賭けて勝負するのに相応しい相手だ。


赤坂「残り50m!両者一歩も譲らない!完全に横一線に並んでいる!」

ターボ「ターボが、勝つんだぁぁぁ!!」

テイオー「絶対は、僕だぁぁ!!」

赤坂「残り20!今二人が並んでッ!?」


その時、二人の真後ろから強烈な追い風が。その風に、二人は煽られる。


赤坂「あぁっ!?ツインターボが倒れながらゴール!ド派手に転がっているッ!!」

細井「だ、大丈夫でしょうか!?トップスピード状態で転んだら!?」


ウマ娘のトップスピードは、最高で70㎞/hにも達する。馬とほぼ同じスピードだ。そんな速度で転倒しては、ただでは済まない。


テイオー「ターボ師匠!!」


ほぼ同時にゴールしたトウカイテイオーが、慌てて彼女を抱えてコース端に退避させる。
カノープスのメンバー達とトリー達も、直ぐに駆け付ける。
そして、彼女が転倒したと同時に行動を起こした人物が居た。フェルだ。


フェル(キグルミ中)「マサトサン、姫迦ちゃんヲお願いシマス!!」

柏木(キグルミ中)「え!?フェ、フェルッ!?」


彼女はキグルミシステムを解除すると同時にコース内に跳躍。華麗に着地すると、急いでテイオーの下に駆け付ける。


赤坂「あ、あれは!?フェ、フェルフェリア大臣では!?」

細井「え、えーと・・・お忍びで観戦に来ていた、といった所でしょうか?」

366: 194 :2021/09/05(日) 14:47:05 HOST:ai126151107086.55.access-internet.ne.jp
フェルのまさかの登場に観客達や赤坂さん達も驚く。勿論、カノープスやスピカの面々もだ。


テイオー「え!?あ、あのー・・・」

フェル「大丈夫デス、何か有ってモ必ず助けマスカラ!」


そう言って、PVMCGでターボの容態をチェックするフェル。パッと見た感じでは、ただ単に目をグルグル回して気絶しているだけだが、あのスピードで転倒したのだ。
体の何処に損傷なり何なりが出ているか分からない。周りがハラハラしながら見守る中、出て来た結論は・・・


フェル「えっ!?」

トリー「え!?ま、まさかとんでもない大怪我を!?」


青褪めながら、フェルに問いただすトリー。だが・・・
返ってきた答えは、予想外の物だった。


フェル「・・・・・ドコも、怪我とかが無いデス」

トリー「・・・・・・・え?」

フェル「どうやら、ただ単ニ気絶してイルダケの様デス・・・」

カナ「・・・な、何でや?」

フェル「多分デスガ・・・恐らくこの服(勝負服)ガ、転倒時の衝撃の大半を吸収したんジャナイカト・・・」


予想外の診断結果に、思わず力が抜けるカノープスの面々達。トリーに至っては、ホッとして思わず膝を付く有様だ。
そうこうしている内に担架が到着。彼女を医務室へと運ぶ事に。


南坂「トリーさん、貴女はカナさんと共に観客席に残って下さい」

トリー「え?で、でも」

南坂「ターボさんが心配なのはわかりますが、ここは我々に任せて。ターボさんとの夢の結末、その目で見届けて下さい」

トリー「・・・わかりました」


後を南坂達に任せ、観客席へと戻るトリーとカナ。
一方、レースの結果が徐々に出始めていた。


赤坂「たった今情報が入りました。転倒したツインターボですが、怪我等は無し。気絶しているだけのようです。情報によると、勝負服が転倒時の衝撃の大半を吸収したのだろうとの事です」

細井「不幸中の幸いでしたね。一時はどうなるかと思いましたが」

赤坂「さぁ最終的な着順が出始めています。五着はメジロパーマー。最後の坂の勝負で力を使い果たしたか、エアグルーヴが四着。坂での戦いを辛うじて制したチハタンバンジャイが三着となっています」

赤坂「一方、一着と二着はまだ出ておりません。それだけ差が殆ど無い激戦だった訳ですが、果たして一着は。栄光を手にしたのはどちらのウマ娘なのか?」


「奇跡は起きないから奇跡」


とあるキャラが言ったとされるこのセリフ。
ある意味真理だろうが、言葉が足りない。だから、敢えてこう言い換えよう。


「奇跡は起きる物ではない。必要となる物を積み上げた者が、その手で起こす物である」


と。

367: 194 :2021/09/05(日) 14:48:48 HOST:ai126151107086.55.access-internet.ne.jp
以上です。一気にゴールシーンまで書き上げました。
ツインターボとトウカイテイオーの着順ですが、次回に持ち越しです(ヲイ)。エアグルーヴを躱して三着に滑り込んだチハタンバンジャイをはじめとする、全ウマ娘の最終的な着順も、次回に纏めて発表します。
取り敢えず今後の展開ですが、ターボ視点とテイオー視点を一回ずつ描いた後、エンディングと相成ります。もう少しだけお付き合い頂けたら幸いです。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2021年09月06日 10:37