47: 弥次郎 :2021/09/01(水) 18:35:22 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
「目標はパリ、一点のみ。しかるに結果は出るであろう」
- パリ攻略を目指す第一軍を率いるアレクサンダー・フォン・クルック将軍の訓示。
「圧倒的な進撃をした我が軍であったが、それが薄氷の上を突っ走るような、我が軍の足がとられるか前に進めるかの危ういところだった」
- 第一軍の支援を担当した第二軍指揮官カール・フォン・ビューロウ大将の述懐より。
「号外!号外!我がドイツ軍はフランスのパリを一気に陥落させたよ!」
- パリ陥落後、ドイツ首都ベルリンでの光景。予想もしない大戦果に無邪気に国民は喜んでいた、この時は。
「これで戦争の終結も近いだろう」
- パリの制圧と安定の報告を聞いて、ヴィルヘルム二世。あとはこのままフランスと外交で決着をつける---はずだった。
「なにをやっているんだ、アドルフ?」
「せっかくパリにいるのだからな、少しスケッチをしておこうと思うんだ。色も付けるつもりだ」
「写真の方が手っ取り早いっていうのは野暮だな」
「写真は高価だからな……」
- パリに駐留した若き日のアドルフ・ヒトラー、パリの各所をスケッチあるいは絵画に収める。のちにパリの全盛期を写した貴重な資料となる。
「ジャガイモ野郎どもに決して、決して、決して降伏してなるものか!」
- パリ陥落後、生き延びたフランス政府首脳部の一人の日記より。
「ドイツがパリを制圧。そして、各方面でもフランス軍を撃破…」
「想定されたものだ。いささか以上にフランスが弱すぎるが」
「ただ、ドイツが勝ちすぎるのも問題ですな」
「……ドイツの背後には米合がいる、か」
「このままドイツが強大なままでは米合が欧州にどっかり居座りかねない。それはよろしくないでしょう。
あの連中は閉じ込めておかねば…」
「イギリスも同じ意見でしょう。ならば…」
「ああ、参戦はやはり確定だな」
- 日本大陸にて夢幻会。予てより準備していた通り、同盟国の英国とともにドイツに宣戦布告することに。
「やはり日英が来たか」
「ここからが本番というわけだ」
- ドイツ側にいた米合の観戦武官、本国から日英参戦の連絡を受けて。彼らの最大の目的は日英の戦力の脅威度や装備などの情報を得ることであった。
48: 弥次郎 :2021/09/01(水) 18:36:01 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
「ありったけの衛生兵と医者と医薬品が必要だ。
カエル食いどもは自国の首都を毒ガスと死体と疫病で埋める気だ」
- パリ駐留部隊より後方の参謀本部へと届けられた報告の一節。
「腐臭がひどいな、パリから一応は成れているんだろ?」
「そうだ。でもパリの街中や中を流れる川が死体だらけなせいだってよ……」
「聞いたか?前線視察していたクルック将軍が疫病で後送されたって……」
「マジかよ?後方からの支援物資が足りなくて現状が改善されないから、抗議のための辞表だって聞いたけど…」
- 長引くパリをめぐる煉獄は、階級に関係なく等しく人間を飲み込んでいった。
「存外に、やるっ!」
- 「レッドバロン」ことマンフレート・フォン・リヒトホーフェン。パリ上空での制空権の奪い合いの中で。この時、悲劇が起こっていたとは知らず……
「はぁ?カエル食いどもの艦隊が動いた?」
「はい。すでに出航寸前とのこと……」
「……また余計なことをッ!」
「どうする?」
「今から止めに入っても間に合わんだろう。ならば、クラウツ共に始末させるか」
「あの狂犬ぶりだからな、艦隊で邪魔をしようものなら攻撃されるかもしれん……」
「情報は逐次流してやれ」
「では、そのように」
- ドッガーバンク海戦後、制海権の維持に努める方針を無視してフランス艦隊が出撃。そして、この報はイギリスの諜報網でドイツにもたらされることに。
「以上の作戦行動を持ちまして、我が海軍は消滅いたしました、皇帝陛下」
「---そうか。卿らの海軍の献身は、全ドイツ帝国民が永久にたたえることとなろう」
- 「ヘルゴラント沖海戦」にてドイツ海軍の残存艦艇がフランス艦隊を撃滅後、ヴィルヘルム二世への報告。
「なるほど。では、貴国の艦隊は見事にドイツ艦隊にしてやられたと?」
「すでに主力艦隊の撃滅と潜水艦の駆逐によって制海権を握った状態。これ以上の反抗は起こりえない。
なればこそ、艦隊の展開による威圧と、小規模な偵察艦隊による包囲で最低限で最大の効果を狙うことになっていたはずですが?」
「だが、ドイツ海軍の残存がいる限り、いつ反攻に出来るかもわからんのだ!
ジャガイモ野郎どもに一片の油断や温情など与えるべきではない!」
「だからといって、我々に無断で出撃し、艦隊を消滅させ、挙句に艦隊戦力やその水兵までも要求するのは理にかなっておりませんな」
「ドイツを倒した後に殺されたいのか、カエル食い?(意訳)」
「(検閲済み)!(見せられないよ!)!(放送禁止用語)!」
- 他方の日英仏陣営。フランス艦隊の無断出撃と壊滅は戦中・戦後のことも含め、看過できないことだった。
「ドイツ軍に味方をした裏切り者はフランス人にあらず」
- 戦後になってのフランスにて。日英の力でパリを奪還したものの、その後のフランスの行動はあり得た未来の先取りそのものだった。
49: 弥次郎 :2021/09/01(水) 18:37:01 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
以上wiki転載はご自由に。
淡々と展開されるSSの陰でこんなことがあったよ、という感じで…
最終更新:2021年09月06日 10:56