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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです 幕間 静かな星 中編二
暫し時間が経ったターフの上に不満げなトウカイテイオーが仁王立ちをする。
「なんで僕じゃなくてスペちゃんとスズカなのさ…。しかも乗るのスズカじゃなくてスペちゃんだし…。」
ジト目で見つめる先にはスペシャルウィークとサイレンススズカの姿があった。
スペシャルウィークの側には彼が、サイレンススズカの側には電がいる。
スペシャルウィークはアハハと笑う。
「まあまあテイオーちゃん。ご希望なんだからしょうがないのです。」
そんなテイオーを嗜める電。
苦笑しながら彼は言葉を発する。
「ごめんね。あの天皇賞で僕とスペシャルウィークを押してくれたサイレンススズカと本気で戦ってみたいんだ。」
「いや自分で乗ればいいじゃない?」
「挑戦してみたいんだ。あれ程の速さを魅せたサイレンススズカと力を引き出した騎手のあの子に…。」
憧れに挑戦する少年の様な瞳をする彼に何も言えねえとテイオーがスズカに目をやれば苦笑していた。
「じゃあ嫌がらせで二つ条件。」
「なんだい?」
「一つは今度僕の指定する子に乗って電を乗せた僕とレースすること、そして…。」
ニシシと笑うとテイオーはちょいちょいとコースの外を向いてへ手招きした。
「テイオーお連れしましたわよ。」
「ありがとマックイーン。」
彼も視線をそちらへ向けると芦毛の少女に連れられた金髪の女性と長い黒髪の女性の乗る鹿毛の二頭の馬の姿に目を見張る。
二頭とも彼はよく知っているとも。突然のことに彼は唖然となる。
「この二頭ともレース。シンボリルドルフとディープインパクトし・か・も…アーサー王と源頼光が騎手の二頭が相手だあ!!」
「大人気ないのです…。」
「スペちゃん大丈夫?」
「が、がんばりましゅ!」
呆れる電に緊張するスペシャルウィークと心配するサイレンススズカ。
「ククク、アハハハハハ!!」
彼は童心に帰った様に笑い出した。
597: 635 :2021/09/16(木) 07:11:55 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
サイレンススズカ、スペシャルウィーク、シンボリルドルフ、ディープインパクト。
彼はスペシャルウィークに乗り前を見据える。
その視線先には勝利しか見てない。
馬の姿となった四頭の名馬を前に人の姿のトウカイテイオーが立つ。
「芝二四〇〇、天気は晴れ、馬場状態良。準備はいい?」
テイオーの言葉に全員が頷く。
テイオーはその姿に満足気に頷き返すと親指に乗せた。
コインは高い金属音と共に天高く弾かれる。
弾かれ宙を舞うコイン、大地に落ち一瞬。
テイオーの栗毛のポニーテールを四つの風が靡かせる。
髪を抑えテイオーが振り向くと手で日差しを遮りもう既に小さくなった四頭を彼女は見送った。
「おー…行った行った。さてはて異次元の逃亡者、絶対の皇帝、英雄に彼の乗る日本総大将…一体誰が勝つのやら…。」
そこへ芦毛の少女、メジロマックイーンが話しかける。
「テイオー良かったのですの?」
「ま、僕は皆とレースの機会は幾らでもあるし今回は譲るさ。今度は君に乗った彼と勝負してもらうよ。」
テイオーはマックイーンへ向け笑顔を浮かべたが突如として無表情になると柵の外の人物を見る。
その視線の先にはPVMCGで空中に幾つもゼルモニターを浮かべカメラを造成する芦毛の美女。
加え牧場から借りてきた机と椅子を拵えてマイクまで置いて実況席らしきものまで作っている。
そこにはどっから連れてきたのか柏木と私の夢はサイレンススズカですの言葉で有名なアナウンサーの方。
「所でゴールドシップ、何してるの?」
「おうテイオー!せっかくだからワク生で配信してやってるゼ☆」
『さあ四頭一斉にスタート、私の夢貴方の夢、一体どの夢が勝利するのか。おっと集団は第一コーナーに差し掛かった!
夢にまで見たダービー馬とグランプリホースとの対決するサイレンススズカが先頭。
一馬身程後方日本総大将スペシャルウィークがサイレンススズカに喰らい付く。
そのすぐ後ろでは皇帝シンボリルドルフと英雄ディープインパクトの両雄が火花を散らしております!
実況は私、『私の夢はサイレンススズカです』。解説はティ連・神崎島担当大臣柏木真人氏でお送りします。』
『彼の乗ったスペシャルウィークは気合も十分。期待したいものです。』
「ゴールドシップ何してるんですの!?」
「ちょっと待って何してんの!?柏木さんともかく実況どっから連れてきた!?」
「二人共タイミング良く牧場の近くに旅行に来てたから簀巻きにして拉致ってきたゼ☆ついでに実況の人はスズカ達のレース実況したくね?って言ったらそりゃ一発よ。」
『テイオーちゃん俺に対する扱いとか酷くね!?』
『さあ集団は第二コーナーを抜け直線へ、ここまで全ての馬が五馬身以内。この先第三コーナーには場所が違えど大欅が待っているぞ!』
ゴールドシップの言葉に焦ったテイオーとマックイーンがPVMCGでワクワク動画見ればこの場を映した映像にコメントが流れていく。
【あの緑のメンコの栗毛の馬が異次元の逃亡者ってマジ?】
【皇帝とか英雄とか日本総大将とか聞き捨てならぬ言葉が】
【配信主がゴルシだと!?】
【というか実況の声!】
「うわあい…。」
「全くゴールドシップは我が孫ながら…。」
頭を抱えるテイオーとマックイーン、その姿をカメラが映す。
598: 635 :2021/09/16(木) 07:13:58 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
【銀の髪の子がゴルシが孫って?】
【テイオーってことは?まさか二人は!!】
【ま・て・や!!】
カメラを自分に向けゴールドシップがワク生に映る。
レース状況は小さくなりながらもワク生画面に映り続ける。
「おハロー!あたしがゴールドシップ。あのポニテがトウカイテイオー御本馬、芦毛の方はゴルシちゃんのお祖父様ダゾ☆」
「ああうん。僕がトウカイテイオー。」
「私の名はメジロマックイーンそこのバ鹿孫の先祖ですわ。後ゴールドシップ私は今は女性なのですからお祖母様でしょう!!
あ、今コースで競ってるのはサイレンススズカ、スペシャルウィーク、シンボリルドルフ、ディープインパクトです。」
「マックちゃん、バ鹿孫は酷くね?後お祖母様ってツッコムとこそこ?」
【ゴルシ本人!?というか本馬!?ぱかチューブじゃねえんだぞ!?】
【このレースどういう組み合わせだよ!?】
【世代も時代も違う夢のレースじゃねえか!?】
【ああああああ録画してねえ!!】
【何で俺のPC録画機能ねえんだよ!?】
【何故に競走馬まで復活!?】
【ウマ娘!ウマ娘なのか!?】
【ウマ娘とはなんぞや?】
【馬擬人化アニメやぞ。ゲームも配信予定、第二期鋭意制作中の】
【つまり馬版艦これ?】
【現実化まったなしやな】
「ついでに競馬板のスレやツブヤイターにも燃料投下スッゾコラー!!」
「このバ鹿娘は!!何やってるんですの!?」
「ああ!ツブヤイターが落ちた!?競馬系スレも落ちてる!?ワク生の再生数もコメントも激増中!?ワケワカンナイヨー!!」
トウカイテイオーの叫びが北海道の空に木霊した。
【この間の全ティエルクマスカ銀河共和連合の総力を結集したバルス祭りにも耐えたツブヤイター落ちたぞ!?】
【ワイ常駐する競馬スレ落ちて困惑】
【避難スレも立てた途端に板が幾つも鯖ごとまとめて落ちてワロタwww】
【そんな中耐えきるワク動の鯖は凄いンゴねえ】
【ワク動の鯖はトーラルシステム使ってるからな】
【ええ(困惑)】
【無駄に洗練された無駄のない無駄な超科学の使い方】
『さあ間もなく第三コーナの大欅、依然としてサイレンススズカが先頭!サイレンススズカ始め馬達が大欅の影へ…!!』
【どうなるどうなる!?】
【抜けろ!抜けろ!大欅を今度こそ!!】
【沈黙の日曜日再びはやめてくれよ!!】
【沈黙の日曜日って何?】
【あの悲劇しらんとはニワカか?しょうがねえあの時見ていた俺が説明してやろう】
【競馬ファンおじさんツンデレ乙】
『ッ!!抜けた!大欅を抜けたぞサイレンススズカ!大欅を抜け依然先頭を維持!!皆さんご覧でしょうか!
サイレンススズカ沈黙の日曜日を超えました!!』
実況は傘寿を超えたとは思えない声で叫ぶ。
画面はコメントで埋め尽くされる。
【おおおおおおお!!】
【おおおおおおお!!】
【やったあああああ!!】
【行ったあああああああ!!】
【おめえええええええええ!!】
599: 635 :2021/09/16(木) 07:21:08 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
『しかしここまでも全馬五馬身以内、まだまだ分かりませんよ!』
『さあ全馬第四コーナーを超え最後の直線!っ!?皇帝始動ぉっ!!シンボリルドルフここで勝負を掛けた!!サイレンススズカに並んだ!!
英雄ディープインパクトも負けじと喰らいつく!!
日本総大将スペシャルウィークもいつの間にかサイレンススズカの内側に!全馬横一直線に並んでいるぞ!!』
『ホント最後の最後まで分かりませんね!』
【スズカいっけえええええ!!】
【ディープうううううううううう!!】
【ルドルフ最強を示せええええええ!!】
【スペちゃあああああああん!!】
『四頭もつれ合いながらゴオぉぉぉぉぉル!!!』
【誰が勝った?】
【分からん】
【写真判定?】
【ぽいぽい】
【ドキドキするなあ】
『…確定しました…!!』
【キタ━━(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!】
【キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!】
【キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!】
【逃亡者か皇帝か英雄化それとも日本総大将?】
『一着はサイレンススズカ!!サイレンススズカです!!沈黙の日曜日より二十年、並み居る名馬を抑えサイレンススズカ。本日という日曜日を栄光の日としました!!』
『まさしく栄光の日曜日ですね。いやあこの場で私なんかが解説しているのが世の解説員の皆様に申し訳ないくらいの最高のレースでした。』
走りきったスペシャルウィークは段々とスピードを落とし止まる。
何度も激しい息をするスペシャルウィークの首を彼は撫でる。
「ありがとう。スペシャルウィーク…。」
『ハアハアどう致しまして…でもスズカさんには負けちゃいました…。』
「しょうがないよ。サイレンススズカはやっぱり強かったから…。」
彼はサイレンススズカへと目をやると実況が耳に入り耳を疑った。
『二着はスペシャルウィーク!日本総大将、騎手と共に皇帝と英雄を超えました!』
「…勝った?シンボリルドルフとディープに勝った…?」
『おめでとうございます!!』
彼の目尻より涙が溢れる。
「…っ!でも負けは負けだ…スペシャルウィーク、今度はサイレンススズカに勝とう…。」
『はいっ!』
600: 635 :2021/09/16(木) 07:21:53 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2021年09月16日 17:30