989 :YVH:2012/02/11(土) 00:52:56
フリードリヒ四世から皇太子ルードヴィッヒへの譲位が四公の耳に届いたのは
皇太子へ譲位が伝えられた二時間後であった。
-新無憂宮、東苑・ノイエ=シュタウフェン公邸-
「これで卿も国舅と呼ばれる身となったな、ヨアヒム殿」
屋敷に集まった四公のうち、ルドルフィン公が屋敷の主に話しかけた。
そんな、どこか他人事めいた発言に、公はむっとなって言い返した。
「叔父上、貴方も人事ではないのですぞ。我が妻は貴方の娘
つまりは、貴方は次代皇帝の義祖父なのですからな」
国舅となる公爵は、叔父で舅にあたる老公爵に、そう言い返した。
「フンッ。分かっておるわ。それにしても、あの酔いどれ
面倒ごとを残してニホンに行こうなどと、ムシの良い事を・・・」
甥で娘婿にあたる公爵の言を聞いて、ルドルフィン公はさも忌々しいとばかりに
この場にいない、至尊の座にある妹婿に毒づいた。
そんな中、ノイエ=ザーリアー公が口を開いた。
「で?我等、四公爵家は如何動くのだ?」
その発言に、今まで黙っていたヴィデルスバッハ公が答えた。
「決まっておる。我等四公家は帝室の藩屏、凡百の貴族どもとは違うのだ。
新皇帝を陰ながら輔弼奉るのが我等の使命」
こうして四公爵家の当主達は、新皇帝と政府首脳部に協力する事を決めた。
【あとがき】
譲位劇の裏側を書いてみました。
995 :YVH:2012/02/11(土) 09:00:33
→989の続き
話の纏まった四公たちは、自分たちの方針を告げるために南苑に居るであろう国務尚書の所に向かった。
-南苑・国務尚書執務室-
執務室を訪れた四公に、リヒテンラーデ侯が訝しげに問いかけた。
「はて?お歴々がお揃いで何用ですかな?」
その問いに、四公の最年長者ルドルフィン公が答えた。
「我ら四公、新皇帝と政府に協力する事を決めたのでな、
そのことを告げに来たまでよ、クラウス」
感謝しろよ、と言わんばかりに老公爵は答えた。
それに、部屋の主は唯でさえ鋭い目をさらに鋭くして答えた。
「ほう?つまりは、お歴々は表の政に介入なさると?」
言外に‘宰相職を望むのか?‘と言う意味を込めて老侯爵は問い返した。
それに対し、皇帝の義兄にあたる老人は顔の前で手を振りながら答えた。
「止してくれ、そんな面倒ごとは御免じゃ。
あくまで我らは、影じゃよ。クラウス」
老公爵の答えに、侯は苦笑しながら答えた。
「・・・まったく、公のものぐさは昔と少しも変わりませんな。
面倒ごとは、すべて我らに押し付ける」
国務尚書の愚痴めいた台詞に、老公は胸を張って答えた。
「当然よ。影が表にしゃしゃり出てきたら、観客どもは興ざめするわ」
その物言いに国務尚書は呆れたが、反論する気も起きないのか、沈黙したままだった。
それでも、四公の協力が得られるとなれば、今後の国政にはプラスになるだろうとは思った。
何しろ、目の前の四名は直接的には強大な力こそ持ってはいないが、
※分家筋のブラウンシュヴァイク公家・リッテンハイム侯家は、かなり纏まった軍事力も持っているし
特に、リッテンハイムは親族に憲兵隊の高官が居る。
その他、色々な事柄を考え合わせて、リヒテンラーデ侯は四公の申し出を受ける事にした。
※まとめウィキ、ヨアヒム・フォン・ノイエ=シュタウフェン参照
【あとがき】
昨夜の続きです。
最終更新:2012年02月13日 21:43