611: 635 :2021/10/19(火) 17:56:53 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその五十九
ゲート側の柏木家の居間は異様な雰囲気に包まれていた。
「お…お父ちゃん…(汗)。」
「お義父さん…(汗)。」
山咲恵美と突撃バカの妻柏木玲奈の見つめる先では柏木父、柏木真男は見事な土下座をしていた。
その対象はメッチャ困惑して大見にこれどうすんだという視線を向ける。
「あー真男さん。この方に土下座とかする必要は…(汗)。」
「健君!息子の不始末に護衛の方々を巻き込んでしまった以上家長の自分が責任を取らなければ!」
柏木父の言動にどないしよと土下座対象は天井見上げ木の目の数を数え現実逃避する。
豊穣を示す双角と星の内海を映す瞳を持ち、見た目異星人なヒメちゃんをその膝に乗せ尾でこの世界の柏木の子をあやしてる、少しヘタった座布団に座る一柱。
その名をティアマトといった。
説明に来ただけなのにもうカオスである。
顔を埋め大声で涙を流し続けるマシュを抱きしめるアデーレ、その姿を他の者たち特にマックイーン達神崎島の者らは優しく見守っている。
対してヤルバーンの者達は皆驚いたり困惑している。
「ケラーマックイーン。彼女、ケラーアデーレデシタカ?彼女は…その…マシュサンの知人なのデス?」
友人であるマシュのことである、意を決しフェルがマックイーンに尋ねる。
「彼女が私の知るマシュ・キリエライトであるならばイエスと言えますわ。…所で彼女、マシュさんについて、特に異聞帯(ロストベルト)についてはご存知で?」
異聞帯(ロストベルト)、その言葉を聞きヤルバーンの者達は一様に苦い顔をする。
その表情を見てマックイーンは冠位指定(グランドオーダー)についてマシュが知り得る範囲であるが大体把握しているのだろうと確信する。
異聞帯の人間の有り様はティ連からすれば到底容認出来る様なものではないからだ。
「彼女、アデーレはその異聞帯の一つ星間都市山脈オリュンポスの人間ですわ。」
「同じ昨日を惰性で生きるより人として…例え終わりが来ようとも今日とは違う明日を望んダ…。」
フェルの言葉にマックイーンは頷く。
二度と会えないと分かっていながら別れを選んだ者と再び会えた。
その喜びは如何なるほどか…事故で別れた家族再会しと新たな家族を得たフェルは、いやこの場にいる近しい者を大切にするイゼイラ人達には痛い程に分かる。
いやイゼイラ人だけでなくカイラス人やダストール人もだ。
フェルは、ヤルバーンの者達はマシュを優しく見つめる。
「マシュサン…希望を得たのデスネ…。」
フェルは一言呟くとマシュへと近づく。
この星、ハルマへと来て色んな意味で感情を揺さぶられたが今はマシュを祝福せねばなるまい。
例え故郷でなかったとしても会いたい人に会えたのだ。
それはイゼイラ人として当然の感情。
「マシュサン、その人を紹介して貰えマセンカ?」
「グスッ…フェルさん?あ…!」
フェルが近くにいるのに気づき、次いで周りの者が自分を優しく見ているのに気づくとと顔を赤くしアデーレから離れる。
612: 635 :2021/10/19(火) 17:57:53 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「えと、あのこの方はアデーレさんで。私の知人の…。」
「マシュさん、私達友人じゃないのですか?」
「あ…。と、友達のアデーレさん…です…。」
アデーレの言葉にわたわた顔を赤くしながら紹介をするマシュの様子に皆はさらに笑みを深くする。
そしてフェルは自己紹介を右手を縦に差し出す。地球式の握手、マックイーンらはそれにヤルバーンが地球の知識を持っていることを確信する。
「初めましてケラーアデーレ、ワタシの名前はフェルフェリア・ヤーマ・ナァカァラ。マシュサンの上司兼友人デス。」
「お初お目に掛かります、『フリンゼ』フェルフェリア。」
フリンゼ、イゼイラの言葉で陛下を示すその呼称をアデーレが知ることにマシュは驚くがヴェルデオ始めヤルバーン上層部は銀河連合日本とイゼイラの繋がりを強く意識する。
皆の意識がアデーレとフェルに向かうその間、浜風は密かにこのヤルバーンでは探知不能な艦娘同士の通信を使っていた。
そして浜風はマックイーンに近づくと耳打ちする。
「(先程両日本政府と連絡がつきました。先んじてあの件についてヤルバーンに直接問うようにと…。)」
「(これだけの年月差で来た理由はアレしか考えられませんものね…。)」
「(そうです。恐らくはナヨさんの体験した世界の様に精死病は根絶されているだろうというのがこちらのティ連本部の考えですからね。)」
マックイーンは靴音を響かせフェル達の下へと近寄る。
「もう宜しいでしょうか?」
「ア、ハイ大丈夫デス。」
「えっとマックイーンさんでしたか?私も大丈夫です。」
マックイーンの言葉にアデーレは頷き、フェル達も了承を示す。
そしてアデーレや浜風、アインビルにエストレェルはマックイーン側に立つとフェルとマシュはヤルバーン側へと移動する。
アデーレが離れる際、マシュが名残惜しそうな表情をしていた。
「先程、この宇宙の日本政府と銀河連合日本政府と連絡が付きました。」
マックイーンの言葉にヤルバーン側がざわつく。
「貴方方イゼイラ人がナヨクァラグヤ帝以来千年振りに再びこの星を来訪した理由を問うようにと…。」
マックイーンの前半の日本とのコンタクトの言葉に喜び後半の言葉に来たかとヴェルデオらは思うと同時に日本側は理由を既に予想しているのではないかとも考える。
ヴェルデオは口を開く。
「…ケラーマックイーン、我々としても解答させて頂きたいのですが…それは我々にとって機密に属する事柄です。」
故に答えることは出来ないと語るヴェルデオ、その反応を予想していたマックイーンでしょうねと言う。
「それはそれで構いませんわ。私達の予想を聞いて頂ければ…。」
『精死病』、その言葉が出てくることをヤルバーンの者達は予想しそして期待しているその病を治療する方法があることを。
だがその予想はナナメ上方向の銀河の彼方にディルフィルドジャンプした。
「貴方方が来訪した理由それは…。」
「日本、いえ聖地ヤルマルティア、その民の多くがイゼイラ人の血を引くという事実…!
即ちヤルマルティアが発達過程文明としてのイゼイラでもあるとも言えるからですわね!
そしてそのことを何らかの、それこそ日本に来訪した現状維持派の記録か何かから知ったのでしょう!!」
マックイーンはビシッと音が出そうな感じでヤルバーン側を指差し、
ドヤァと言わんばかりのマックイーンの様子。
613: 635 :2021/10/19(火) 17:59:06 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「「「「…………。」」」」
「あら?皆さん反応薄いですわね…?」
予想と違う反応にマックイーンは首を傾げる。
そしてイゼイラの血を引く者が作り上げた発達過程文明としてのイゼイラたるヤルマルティア、
その言葉でヤルバーン側の機能停止していた脳味噌の隅々までその言葉が染み込んだところで。
「「「「はああああああああっ!?」」」」
「ひゃうっ!?」
ヤルバーン側全員驚愕の絶叫。
マックイーンは驚き耳を倒し尻尾を逆立て、アデーレや浜風は仰け反り、アインビルやエストレェルはもしかして違うのかと驚いている。
そしてヤルバーン側に詰め寄られるマックイーン。
「ケラー!ヤルマルティア人がイゼイラ人の血を引いてるってどういうこと一体全体ダ!?」
「イヤイヤイヤ、ヤルマルティアガ発達過程文明トシテノイゼイラッテドウイウコトダ!?」
「ケラーマックイーン、どういうことです!!説明して頂けますか!!」
「皆さんお顔が近い!近いですわ!?三密ですわよ!?」
猫なゼルエに爬虫類なシエに鳥系のヴェルデオの顔がおうまさんのマックイーンの顔に近い。
「…という訳でしてかのエルバイラの日記にも記されているディスカールに向かう際の大事故において奇跡的に多くの者が生存、ナヨクァラグヤ帝と同様に日本に流れ着いたのです。」
フムフムとメモを鉛筆でノートに取るフェルさん達ヤルバーン組。
座るのは木の天板にスチールパイブ組み合わせた学校でお馴染みの机と椅子(大量生産品)。
発達過程文明の生み出した筆記具や専用機械(鉛筆削り)に感銘受けていたり。
そんなフェルさん達の視線の先では浜風がハイクァーンで造成した黒板がある。
そこにアインビルが白いチョークで事故→日本へ→子供作る→現代日本人とか色々書いて教鞭をとっている。
アインビルは大学で講義もしているのでこの辺の説明はお手のものだとか。マシュがピッと挙手し質問をする。
「はい、マシュさん。」
「先生、質問です。何故ナヨクァラグヤ帝を迎えに行った方々は日本に流れ着いた方を連れて帰らなかったのでしょうか?」
「恐らくですが日本に来た者達の中には現状維持派が相当数入り込んでいたので生存者達の存在が疎ましかったのでしょう。
実際我々が調査中に発見した漂着したイゼイラ人と思しき人物の日記にもそれらしい記述が存在しました…こんな感じでよろしいでしょうか?」
「はい、ありがとうございます。」
質問を終え席に着くマシュ。
「しかし…精死病の治療手段と発達過程文明求めてヤルマルティアくだりまでやって来て、
そのヤルマルティアがイゼイラの血を引き発達過程文明であるイゼイラとも言える存在だとは予想出来なかったぜ…。」
「ゼルエッ!!」
「おっと!!」
説明を聞き終えゼルエがボソッとヤルバーンの来訪目的を呟きシエが咎める。
そして恐る恐るフェルやヴェルデオがマックイーンやアインビル達の方を向くと彼女達は苦笑いを浮かべている。
そしてマックイーンは疑問を問う。
614: 635 :2021/10/19(火) 18:00:43 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「フェルさん、ヴェルデオ司令。貴女方の目的は私達の世界のヤルバーンと同じなので私達にとっては驚くことではありません。
ですが…一つ聞きたいことがあります。何故ヤルバーンの来訪が当初の計画より五年以上遅れたのですか?計画では既に地球に到着していた筈…。」
それが銀河連合日本側の予想を狂わせた。
並行宇宙のヤルバーンと目的が同じ、その言葉にフェルらは互いの顔を見て頷きフェルが口を開く。
「ケラーマックイーン、ワタシ達の計画が遅延した原因。それはヂラールと呼ばれる忌まわしき生体兵器が原因なのデスヨ。」
ヂラール、その名にマックイーンは眉をピクリと動かし浜風達も互いの顔を見る。
「惑星サルカス…ドゥランテ訪問団遭難事件、そしてヂラールによるサルカス戦役ですか…。」
「!!、貴女方の世界でも!?」
「ええ直接ではないですが貴女方も見た対馬での戦い、そこからの極東戦争と欧州大戦の遠因となった事件ですから…。」
出発間際に発生した空間交通法第七条によるティ連防衛総省の艦艇のサルカス世界への到達、
そこから起きたサルカス戦役と戦後復興により年単位で時間が取られたそうだ。
フェルはフェルで父と母が生存していたのでサルカスに渡らなければならなかったりしたとか。。
そして突撃バカ、銀河連合日本の柏木達が経験した以上にこちらのサルカス戦役は最悪な戦況であったらしい。
空間交通法第七条によりふそうの様な艦艇が現地にはいた。
しかしナヨによるバーデル級のハイクァーンの修復、ハイラ人も運用出来るホースローダーや造成の容易な地球製兵器とそれを操るナヨも存在しない。
また、現地のハイラ王国への介入についても生体兵器と判断出来るようなニーラの様な人物が現地におらず、
暫くの間、ヂラールが半知性体と認識された為にティ連本部でも介入の是非について判断が割れその間に被害が拡大。
極めつけは火力と機動兵器でヂラールの物量に対する切り札となった艦娘と妖精が存在しなかったことであろう。
銀河連合日本側のサルカス戦役を聞きもっと早く地球に着いていればというIFを想像し苦い顔をするフェル達。
たらればを想像しても意味はないが考えてしまい全員沈黙する。
「んーあー……あ…ここ…どこだ?」
沈黙の中に声が聞こえ全員がそちらを向く。
一升瓶抱えた柏木真人が起き上がりキョロキョロと周囲を見渡していた。
マックイーンと目が合い、マックイーンは溜息を吐く。
「えーとメジロマックイーン…さん?それにあんた方、どちらさん?」
フェル達の方を見ると柏木は困惑の声を上げるその姿にマックイーンは額を押さえ頭痛を感じた。
「柏木さん、とりあえずその『ゴクゴクですわ!原液レモン味』的なのの一升瓶を置いて下さいまし…それから…。」
指をパチンと鳴らすマックイーン、
すると柏木の背後にエストレェルが現れる。
「へ?な、なんで注射器らしきもん持ってるんですかー!?」
「すみませんケラー柏木。サッサと体内のエチルアルコールを分解して貰わねばならないので…失礼ですがナノマシンを投与させて頂きます。
後これは地球で言う注射器的なのですが子供が使用しても安全な物なので御安心を。」
ブスリ。
「ワケワカンナイヨー!!」
615: 635 :2021/10/19(火) 18:06:57 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。
転載はご自由にどうぞ。
次回、イゼイラの現状を銀河連合日本とゲート日本が把握しイゼイラの影で蠢くもの、ヘスティアの神託で多頭多腕の怪物の名を示されたもの片鱗を見つけます。
最終更新:2021年10月21日 12:47