551: リラックス :2021/10/17(日) 17:38:58 HOST:softbank126002191158.bbtec.net
さて、投稿だ。

天の涙世界における漆黒のステイヤー~東京優駿~

ライスシャワーは見事、クラシック三冠の緒戦である皐月賞を制し、「最も速い者」の称号を得た。

しかし、他の馬のお株を奪うような走り方をしたのが不味かったのか、続く東京優駿にて

「ライスシャワーが立ち上がった!?
おおっと立ち上がったライスシャワー「キャーっ!?」!!
出ない出ない! 大観衆からどよめき~!
ライスシャワーが、ゲートを出ませんでした!! 」

と、ゲート開放直前に突然立ち上がってしまい、スタートダッシュで大きく出遅れるというハプニングを起こしてしまう。

ゲートレポートを担当していた女性解説者の悲鳴がマイクに入ってしまう(実際に放映されてしまう)程の大事件であり、転生者は謎の変顔をする芦毛の馬の姿を幻視した(※1)というが、それはさておき。

基本的に逃げ馬の出遅れというのは致命的とされている。

このライスシャワーの突然の奇行にビビッたか、他の馬がかなりの好スタートを決めた中では特に。

しかし、この世界の彼は間違いなくクリフジの血を引いていた(※2)。というか、ある意味では祖母すらも超えていた。

当時の騎手の証言によると「600メートル地点で(二番手の)ヒノデゲキテツに並んでおり、800メートル地点で(例によって先頭を大逃げしていた)ウララカビヨリの後ろにピッタリとつけていた」とのこと。

うん、訳が分からない。

後から振り返って映像を見ても訳が分からないのだから、当時同じレースに出ていた他の出走馬や騎手からすると堪ったものではなく、ほぼ全馬が動揺して自分の走りを見失い、散々な結果となってしまう。

え?レースの結果?例によってウララカビヨリが風除けにされて、ライスシャワーが逃げながら足を溜めて差し切るという「お前の中の馬、漆黒のステイヤーなんだよね?実は異次元の逃亡者でした!とか言わないよね?」と転生者が疑う走りで制覇しました。

ギリギリまで食い下がったヒノデゲキテツですら3馬身差を付けられるという、結果からすると圧勝なのだが、「競馬に絶対は無いと言いますが、ちょっと手心を加えていただけませんかね」とファンから言われるような波乱のレースとなってしまった。

この年の東京優駿出走馬は、このレースがトラウマになったのか黒鹿毛の馬を見るだけで軽く固まったり、ライスシャワーが近づくと怯えたりするようになったという。

ちなみに、

(違うんだ。何故か一瞬意識が飛んで、気づいたらゲートが開いて出遅れていたんだ!)

一体何があったのか、例の転生者が本馬に尋ねたところ、このような返答が返って来た模様。

体調に異常でもあるのではないか、と診察も行われたが取り敢えず異常はなく。

東京優駿という一大レースを前にしたことによる極度の緊張によるものでは?ということで取り敢えず決着となった。

ついでに、皐月賞だけなら兎も角として、東京優駿でも終盤まで牝馬(ウララカビヨリ)の後ろにピッタリとつけて走った(特に東京優駿では、見方によってはウララカビヨリのケツを追いかけて猛ダッシュを決めたようにしか見えないということもあり)ことにより、

「牝馬のケツを追いかけると速い」「助兵衛馬」という非常に不名誉な評価がついてしまい、非常に憮然とすることになるのは余談である(※3)。

552: リラックス :2021/10/17(日) 17:39:33 HOST:softbank126002191158.bbtec.net
更に余談、別世界

中央トレセン学校

「うーん、アレは何だったんだろう…」

ライスシャワーは今朝見た夢に悩んでいた。

「ライスちゃん、どうしたの?」

「悩み事なら相談に乗りますが…」

「あ、ウララちゃん、ブルボンさん。えーとね、今朝、日本ダービーに出る夢を見たんだけど…」

「日本ダービーって言うと、ブルボンさんが勝ったレースだよね?」

「懐かしいですね。それがどうしたのですか?」

「それがね、夢の中のライスはライスじゃなかったの…」

「うん?ライスちゃんがライスちゃんじゃない?」

?マークを多数浮かべて首を傾げるハルウララ。

「えーとね、夢の中のライスは見たことない、大きな四本足の動物さんで、背中にヒトを乗せてたの。
同じ動物さんが周りにたくさんいて、日本ダービーのゲートの中にいたんだ。
それで、ライス、びっくりしちゃって…立ち上がって周りを見回そうとしたらゲートが開いて周りの動物さん達が走り出しちゃって…
どうしようどうしよう、って思ってたら目が覚めたの」

「ふむ、見たことのない四足歩行の動物ですか…」

「うん、ロバさんでもラクダさんでもなくて… でも、ヒトを乗せて走るのが速そうな動物さんだったな」

ライスシャワーが夢で見た動物の正体が別世界の『馬』という動物であり、更に言うなら彼女達の元ネタであるということを知るのは、神が気まぐれを起こすもう少し先のことである。

※1、この世界の転生者は2011年までの知識しかない設定の為、ゴールドシップを知っていたとしてもデビュー直後までの知識であり、その伝説のほとんどを知らない。

※2、この世界における彼の祖母であるクリフジは東京優駿にてスタート時点で横を向いて(当時のスタート方式はバリヤー式といって、スタートラインにロープを張って馬を出さないようにするだけの簡単なものだった)おり、スタートで大きく出遅れ、それでも勝利するという史実と同様の訳の分からないことをしている。
ファンの中にはこのことを知っていた者も多く、「クリフジの血筋か」「お茶目な競走馬」と個性というか愛嬌というか、好意的に捕らえるのが主流となった。

※3、ウララカビヨリは実際美しい馬だった模様。この件を受けて関係者は「ウチの娘が欲しけりゃダービー取って来い!」と、受け入れたいのか拒絶したいのか分からないことを言った模様。


554: リラックス :2021/10/17(日) 17:40:36 HOST:softbank126002191158.bbtec.net
以上、ダービー馬となったは良いがあらぬ風評被害を受けるライスシャワーでした。

ライスシャワー「甚だ遺憾である」

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最終更新:2021年10月21日 12:52