436: 弥次郎 :2021/10/25(月) 19:22:02 HOST:softbank126066071234.bbtec.net

日本大陸SS 漆黒アメリカルート 「Sneaking in the Hex」




 フランスの地方勢力の一斉蜂起のきっかけとなった「ヴァントーズの反乱」。
そしてそれを契機とした列強各国---日英加米連伊独---によるフランスの分割。
これらをもって、フランスという国家は、その残滓を欧州大陸に残すばかりとなったのである。
さながら、フランス革命の二番煎じというべきであろうか?既にフランスに国外からの征服を跳ねのける力はなく、また列強はフランスに忖度などしなかった。
俎板の鯉となり果てたフランスはおいしく分割されることしか許されておらず、その采配は、列強の思うが儘であったのだ。

 英国は自国の安全保障の観点から北部フランス-ブルターニュ、ノルマンディー、オー=ド=フランスまで-を抑えた。
この際には抜かりなくブレスト軍港の設備や残存艦艇もごっそり差し押さえるなどしており、完全に英仏間の海峡を抑える行動に出ていた。

 そして、英国と共にフランスを分割したカナダおよび米連はフランス西海岸-ナント、ボルドーなど-を中心とした地域を抑え、完全に大西洋への出口を封鎖した。
これはイギリスやカナダなどにとっては死活事項で、大西洋の制海権の維持のほか、フランス難民を抑え込むためという意味合いが存在していたのだ。
大西洋側を米連やカナダに任せたのも、米合が直接フランスに乗り込む隙を作らせないためだったという説もある。

 さらに北も西も抑えられたところに追い打ちをかけたのはイタリアだった。すなわち、未回収のイタリアの解決である。
コルシカ島の制圧はもちろんのこと、オクシタニーやプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュールらを自国に組み込んだのだ。
これによりフランスは地中海への出口を完全に喪失。イタリアもまた、フランスからの難民の流入を阻止するため、これらの地域の本国化を急速に進めた。

 とどめが、一応の敗戦国であるドイツであった。いや、この場合、フランスをスケープゴートとしたからセーフといえるだろうか?
ともあれ、ドイツは独仏間に存在した領土問題および戦後の安全保障の観点などから、他の列強に倣いフランス分割に参加することとなったのである。
 彼らが欲したのは、当初は敗戦国であるとのことからアルザス=ロレーヌ地方などを中心とした地域だけであったのだが、そうもいっていられなくなった。
そう、フランス政府の事実上の崩壊による無政府状態で、大量の難民の発生や匪賊が多く発生したのである。
彼らは生きる糧や生活圏を求め、あるいはその日の糧を求めて倫理や法規などを無視した行いを行い始めたのだ。
それが欧州に広がることを懸念した戦勝国の許可の元、ドイツはなんとフランスの切り取りをより進めることとなったのだ。
結果、アルザス=ロレーヌ地方に加え、フランシュ・コンテ、ブルゴーニュ地方の半ばまでも抑えることとなったのだ。

 その他、ごたごたとした戦線整理や国境の策定が行われたが、おおむね列強による対仏包囲網は完成。
 これにより、大量の難民や匪賊などはフランス中央、それこそパリを中心としたエリアに封じられることとなったのである。

437: 弥次郎 :2021/10/25(月) 19:23:03 HOST:softbank126066071234.bbtec.net

 さて、斯くしてフランスは分割を受けたのであるが、それだけで列強が満足したかと言われると、そうではなかった。
 フランス領内、いや、残ったフランスの中心に残っているあらゆるものが求められることになったのである。
言うまでもないことであるが、フランスのパリというのは一国の首都。これまでの歴史の積み重ねが残り続けている土地だ。
列強に言わせれば、当代のフランス政府に罪はあったかもしれないが、フランスの遺産に罪はないのである。

 嗚呼、はっきり言ってしまおう。
 列強は文化保存などの名目でハゲタカとなったのである。
 フランスは、美術・芸術の国でもある。そしてそれらの価値は戦災やフランスの無政府化などをもって跳ね上がり、青天井となったのである。
無論のこと、各国が分割支配した地域から回収された物品も多い。ドイツなど、パリから戦災を避けるために美術品などを可能な限り逃がしたほどだった。
しかし、全てが持ち出せたわけではない。彫刻や建造物などはどうやっても動かせない。あるいは、時間的な余裕などがなくそのままになったものもある。
あるいは、終戦に伴ってフランスに返却されたものも存在しているのだから、残り続けているだろう。
 だが、今のフランスは国家という体裁をなしていない。それゆえに所有権だとかその手の権利は薄れて久しく、フランスに維持する能力など存在しない。
そういった建前と実態が合わさった時、その手の遺産---フランスという伽藍の堂に残された過去の歴史の産物---は収奪の対象となったのだ。

 無論のこと、国家が主導して泥棒としゃれこんだわけではない。民間の企業やその手の冒険家---トレジャーハンターらを嗾けたというわけである。
 彼らの仕事は主に二つ。
一つはフランス国内に存在する自国籍のヒト・モノ・カネの回収。自国民の救助、形を問わない資産、あるいは貴金属類の回収など。
もう一つが、フランスで所有者のいない美術品や芸術品などを集め、保護し、自国へと持ち帰ることにある。
治安というものが崩壊しているどころではないこのフランス内部での活動は困難を極めるものがある。
しかして、そのリターンはとてつもなく大きかった。
表になることはなくとも、報酬は弾まれるし、とにかく一攫千金というものが望めたゆえだ。

 当然、フランスの残滓たるヌーベルフランスも抗議を入れた。
 だが、残念ながら抗議以上のすることはかなうこともなかった。何しろ、物理的に旧フランス領を包囲し、現地を活動範囲としているのは列強なのだから。
 また、列強各国は建前を守るためにも、対価ありとはいえフランスに回収された物品の一部を返還しているのだから、むしろ温情とさえ言えた。
対価のレートを定める権利がどちらの側かはいうまでもない。しかし、所詮はヌーベルフランスは持たざる者であり、列強各国は持つ者なのだった。

 このトレジャーハンターたちの活動はWWWの終結と、その後のフランスおよびヌーベルフランスの掃討が完了されるまで続くこととなったのである。
 中にはNOC(ノンオフィシャルカバー)が含まれ、フランス内部の諜報活動に従事したとされるが、公式では否定されている。
 海賊が再び跋扈した時代と言い、このトレジャーハンターの時代と言い、奇妙な歴史は紡がれ続けていくようであった。

438: 弥次郎 :2021/10/25(月) 19:24:03 HOST:softbank126066071234.bbtec.net

以上、wiki転載はご自由に。
亡国の悲哀…

439: 名無しさん :2021/10/25(月) 19:29:31 HOST:i58-95-36-70.s42.a037.ap.plala.or.jp
乙です
ローグミッションですか・・・。

440: 弥次郎 :2021/10/25(月) 19:37:17 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
436
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板の鯉となり果てたフランスはおいしく分割される今年から許されておらず、


板の鯉となり果てたフランスはおいしく分割されることしか許されておらず、

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これはイギリスやカナダなどにとっては死活事項で、大西洋の制海権の維持のほか、フランス難民を抑え込むためという意味合いが存在していたのだ。


これはイギリスやカナダなどにとっては死活事項で、大西洋の制海権の維持のほか、フランス難民を抑え込むためという意味合いが存在していたのだ。
大西洋側を米連やカナダに任せたのも、米合が直接フランスに乗り込む隙を作らせないためだったという説もある。

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最終更新:2021年10月26日 17:28