490: モントゴメリー :2021/10/29(金) 21:24:27 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
MAS7.5㎜小銃Mle1950
口径:7.5㎜
全長:1100㎜
重量:約3.6㎏
総弾数:10発(着脱式箱型弾倉)
有効射程(狙撃型除く):約800m
【概要】
フランス連邦共和国(FFR)で第二次世界大戦後に制式採用された小銃。連邦制になってから初めて制式化された兵器でもある。
『世界最後のボルト・アクション式小銃』として有名であるが、優れた整備性と量産性、そして信頼性により黎明期~混乱期のFFRを支え続けた名銃である。
21世紀現在でも狙撃銃や選抜射手用銃として現役であるばかりでなく、フランス国内軍の主力装備となっている。
兵士たちからはMAS50と呼ばれ絶大な信頼を寄せられている。
【計画】
発足当初のFFRは、端的に言えば行き詰まっていた。
前大戦の傷跡は未だ癒えていないどころか、「将軍たちの叛乱」により首都パリですら荒廃していた。
経済に至っては「フランス経済はクーデターで死んだ。今はゾンビである」とBCの新聞に書かれる始末だ。
当然、軍の再建も進んでいない。
叛乱に参加したとはいえ正規軍、それも精鋭部隊である第一スパッヒ連隊が2世代前のグラース銃を装備していたという事実が事態の深刻さを物語っている。
戦時中に採用した新式小銃であるMAS40はあるにはあったが、未だ混乱激しいエストシナ植民地に送られ本国にはほとんど配備されていなかった。
正直どこから手を付けていいかわからないほどの惨状であるが、ジョルジュ=ビドー初代大統領は決断を下した。
「まずは小銃を更新する」と
独立国家としての気概を示すには軍の再建が不可欠。そして、軍の根幹は歩兵とその装備であるという判断からだ。
また、FFR体制初の制式装備としても小銃は中々良い選択肢であった。
この様な流れで新式小銃の開発は決定されたが、やはり前途は多難であった。
まず始めに突撃銃は候補から外された。
あのような「簡易軽機関銃」を全兵士へ供給するなど今のFFRの国力では不可能だ。
ましては、突撃銃用の新規格弾薬(OCUで言うところのアリサカ・クルツ弾)に更新するなど夢のまた夢である。
では自動小銃か?確かにこれならば既存の弾薬が使用できる。
だが、これもまた難しい。
製造コストそのもの(ボルト・アクション式小銃の約5倍)も厳しいが、一番の問題は弾薬消費量である。
自動小銃はその発射速度に比例して弾薬をボルト・アクション式小銃の数倍も消費する。
(一説には8倍から10倍)
FFRには如何に既存品とは言っても、その膨大な量の弾薬を供給することすら難事であった。
生産自体は何とかなるかもしれないが、それを「消費地」まで輸送できる保証は無かった。
消費地、すなわち「戦場」と想定される地域はエストシナ植民地及びアフリカ州である。
共にインフラは劣悪であり、兵站線はいつ切れるかわからないほど細い。
上記の理由により突撃銃や自動小銃への更新は断念された。
しかし、MAS40をただ量産し続けるというのも芸が無い。
よって、MAS40の基本構造(ボルト・アクション式)はそのままに各所を改良した新式小銃を開発することとなった。
このようにしてMAS50の計画は定まったのである。
……BCがOCUでも採用していない新機軸(ブルパップ方式)の突撃銃を採用したという報せに悔し涙を流しながら。
491: モントゴメリー :2021/10/29(金) 21:25:00 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
【構造】
基本的にはMAS40を踏襲しつつ、試作自動小銃(MAS45と仮称された)の要素を取り込んでいる。
弾薬は、MAS40と同じリムレスの7.5x54mm弾を使用する。もちろん、機関銃との互換性もある。
ボルト閉鎖機構もMAS40と同じく、ロッキングラグをボルトフェイス側ではなくボルト本体の後方に配置する方式を採用している。薬室側にラグの噛合部を切るモーゼル系と比較して薬室内にボルトが入り込む設計ではないためボルトの移動距離も短く、より速射性がある構造となっている。
ただし全く同じという訳ではなく、部品点数を減らし生産性と整備性を高める努力がなされている。
装弾方式は弾倉式で、ダブルカラムの10連発箱型弾倉を引き金のすぐ前方に装備する。これはレバーでの脱着が可能であり素早い再装填が可能である。
また、MAS40と同じ5発入り挿弾子を使って装填することも可能だ。
銃剣はMAS40の特徴であった刺突専門のスパイク型から一般的なナイフ形に変更された。
これは汎用性を求めた結果であるが、OCUの新型銃剣の影響も多分にある。
MAS50の最大の特徴は量産性の追求した結果である部品の規格化だ。
これにより銃同士の部品交換が確実に可能となった。これは、産業革命以降フランスが生み出した工業製品では初の快挙である。
(日蘭両国では第二次世界大戦前には導入されていたが…)
これにより生産性が大幅に向上したばかりでなく、戦場での稼働率も改善された。
492: モントゴメリー :2021/10/29(金) 21:25:47 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
【運用】
MAS50は生産され次第、順次各部隊に配備された。
なお、エストシナ植民地のMAS40は回収するのが理想であるが、そんな余裕は無かったので並行配備され続けた。
弾薬は共通なので致命的な問題は発生しなかったが、やはり前線では多少の問題が発生したという。
アフリカ州の黄土でも、エストシナ植民地の泥の中でもMAS50は確実に動作した。
これにより、現場の将兵から絶大な信頼を勝ち取ったのである。
アフリカ州ではBCとの国境紛争でも使用されたが、一番必要とされたのは「治安維持」任務である。
同化政策に反発する現地住民たちの武装蜂起が頻発したのだ。
彼らはどこからか入手した銃火器(一応OCUやソ連製もあるにはあったが、圧倒的に英国製兵器で占められていた)で武装していた。
ひどい時にはFFR正規軍を火力で優越するという冗談のような状況も度々見られた。
(正規軍からしたら悪夢である)
MAS50はこのような「前線」からの要請に応じ配備されていった。
運用方法としては、フルサイズの小銃弾という特性を活かした長距離射撃が基本方針とされた。
兵士たちは距離500mから800mを想定戦場とし、訓練された。
これにより突撃銃の主戦場(距離300mから500m)を回避しようとしたのだ。
しかし、アフリカ州では序盤からこの想定は崩壊した。
基本的に市内の掃討戦となったために戦闘距離が下手したら数十m単位になったのである。
もちろん、FFR上層部もボルト・アクション式小銃だけで戦えるとは思っていなかったので各種対策はしている。
各分隊には短機関銃や散弾銃を配備していたし、21世紀現在まで続く伝統である「機関銃・迫撃砲の強化」の源流はここである。
しかし、現場で兵士たちがそれらの支援を受けられない場面も多数発生した。
そこで兵士たちは自助努力を始めた。「速射」である。
英国軍が第一次世界大戦で実施した「一分間15発射撃」を模倣してボルト・アクション小銃で速射を試みたのである。
「Rosbif(イギリス人)に負けてたまるか」という気概から、それは『一分間20発射撃』と呼ばれるようになった。
軍上層部は彼らの努力を「エラン・ヴィタールの精華」と称賛したが、兵站担当者らは「何のためにボルト・アクション式にしたのか忘れたのか⁉」と弾薬消費量を想像し顔を青くした。
しかし、彼らの心配は杞憂であった。
いかに「暗黒の30年」の夜の中と言っても、流石にこの頃には小銃弾の生産は軌道に乗っていた。
また(後世から見れば甚だ不完全ながら)アフリカ州全体を含むFFR各領土への兵站システムの構築も終了していた。
そして最も重要なことであるが、現在の戦闘は「治安維持」と「国境警備」である。
つまり彼らが当初恐れた「国家総力戦」と比べれば動員される将兵の数はケタが1つや2つ少ないものとなり、弾薬消費量もそれに比例した。
なので『一分間20発射撃』を行っても問題は無かったのである。
兵士たちは存分に研鑽に励み、一分間20発という数字は「努力目標」から「達成目標」となり、いつしか「最低ライン」となった。
現役兵士ならば一分間30発は当たり前、40発も珍しいものではなく50発を達成した者までいる。
(「戦場伝説」の類だが、一分間60発を成し遂げたという話もある)
その真価が世界に示されたのは
アメリカ共産動乱においてであった。
義勇軍としてテキサス側で参戦したFFR軍は、合衆国軍に対して互角以上の戦闘を繰り広げたのである。
突撃銃装備の部隊に対しては有効射程の優越で対抗し、いまだガーランドを装備する部隊には『一分間20発射撃』を駆使し射撃速度で優越したのである。
(無論、軽機関銃や迫撃砲などと連携した『ユニット』として戦ったのであるが)
MAS50は間違いなくテキサス共和国独立の一端を担ったのである。
1980年代には流石に新規突撃銃に歩兵銃としての役割を譲ったが、現場将兵たちは皆一様にMAS50を手放すことを拒んだ。
そして21世紀現代でも狙撃銃としてのみならず、選抜射手用銃として各分隊に1丁は配備されている。
またフランス国内軍の主力装備としても活用されており、製造ラインはいまだ稼働中である。
国内軍の装備として、FFR各都市の役所や郵便局、駅や大規模商業施設には最低でも中隊規模で保管されている。
また、自費購入して自宅に常備している家庭もかなりの割合で存在する。
493: モントゴメリー :2021/10/29(金) 21:26:22 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
【『通過儀礼』としての役割】
MAS50は「暗黒の30年」を象徴するものとしてFFR国民の胸に刻まれている。
そして時代が下るに従い、FFR国教において重要な役割を果たすようになった。
FFR国民は、前線や銃後、男女の別なく成人は『一分間20発射撃』を習得している。
いわばFFR国教における『通過儀礼』なのである。
この『一分間20発射撃』を習得して、初めて大人として認められるのであり、正式に「Notre Commandant(我らが指揮官)」の戦力に加わるのである。
(先天性障碍者などへの特例は各種整備されている)
全国一律ではなく立射や伏射、命中率の規定など各地域の特色も見て取れる。
494: モントゴメリー :2021/10/29(金) 21:27:29 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
取り合えず、エラン・ヴィタールが最低限回復しましたので新作を投稿させていただきます。
観測されているのは海軍ばかりじゃないか、とFFR陸軍からクレームが来ましたので陸軍の根幹、歩兵装備でございます。
…本文中にも書いた通り、ガチで黎明期のFFRは何もかもがたりませんので。
とにかく小銃だけでも更新しないといけません。
でも突撃銃なんて量産する国力はありません。自動小銃ですら無理です。
でも、MAS40をただ作り続けるのも芸がありません。
そこで、MAS40の基本構造をそのままに生産性と整備性を向上させたのがこのMAS50です。
(あと、若干ながら軽い)
発射速度はエラン・ヴィタールで補います(色々キメた目)
『一分間20発射撃』については、史実イギリス軍の教練にあった『一分間15発射撃』が元ネタですね。
WW1では10名の歩兵がドイツ軍の突撃を粉砕したとか。
(ドイツ軍の記録には「機関銃で撃たれた」と記されている)
…Rosbif(イギリス人)に出来て、我らフランス人にできないことはないのだ!!
1分間で40発撃った兵もいるそうだから、エラン・ヴィタールと新規小銃が合わされば1分間50発だって出来るはずです。
ちなみに、M1ガーランドの発射速度が最大32発/分、持続16発/分なので互角以上の勝負ができます。
技術の壁をエラン・ヴィタールで突破するのです。
最終更新:2021年10月31日 11:41