553: 635 :2021/11/21(日) 22:19:50 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその六十四



「さて、参りましょうかヴェルデオ。」

「ファーダナヨクァラグヤ、分かりました。フリンゼ、号令を。」


ヤルバーンの艦橋、ナヨの言葉にに答えるヴェルデオ、創造主、フリンゼの名で呼ぶのはナヨがやめさせた、神に列せられているのは否定しなかったが。
そしてフェルはヴェルデオの言葉に頷く。


「行きまショウ!我らがそして始祖ナヨクァラグヤが求めた伝説の地、我らの血を分けた同胞が築き上げた発達課程文明、
奇跡とそして…希望に愛された伝説の國ヤルマルティアへ…!」


フェルの言葉と共にヤルバーンは光を纏いシールドを展開すると降下を開始した。
目的地は、日本国伊豆諸島大島近海。




「昨日の見たか?」

「凄かった…!」


その日、相模湾に面したある朝の町。
ある小学校のある教室、その生徒達は皆眠そうな顔をしていたが皆目を輝かせ興奮に満ちていた。
特に男子などはその傾向が強い、皆昨晩の対馬決戦の放送を見ていたからだ。
無論、凄惨な光景を幾つも見て腹の中の物を吐き出す子もいた、だがそれ以上に子供たちの中で輝くものがあった。
皆の胸の内に希望と期待が溢れている。

小学生ともならば世の分別が付き始める齢、物語が架空のものであると知り始める頃。
少年達は変身ベルトを買って貰っても、テレビの中の巨大ロボの玩具を得ても彼らヒーローにはなれない、彼らは存在しないことを誰もが知る。
少女達も不思議な力で変身して事件を解決していくヒロインは存在せず、魔法のステッキやコンパクトを貰っても変身出来ないことなどなどとうの昔に認識している。
だけども…。



『貴様ら余の、ローマの子らの邪魔はさせぬものと知れ!』

『聖槍、抜錨!最果てより光を放て……其は空を裂き、地を繋ぐ! 嵐の錨!』



まるで物語の様に不思議な力を持つ彼女達は怪物達を相手に不思議な力を振るっていた。



『ゴオオオォォォルデンなのです!!』



まるで物語の中から出てきたような人型に変形する飛行機、機械仕掛けの龍や巨人。
物語の彼らと同じ様にただ悲しみを終わらせる為だけに姿を現した。

夢も希望も少ない世の中でも、いや少ないからこそその光は輝く。
神様も仏様も物語のヒーローもヒロインもいないかもしれない。いや皆それっぽいのいるが…。
それでもテレビの向こう側の彼ら彼女らの様に何処かの世界で誰かの未来のために戦う…そんな存在は確かにいるのだ。
そして空想だったものがまた一つ。


「あ、あれは!?」

「宇宙船だ!!」

「昨日のと違う!!」


子供たちは目を輝かせそれを見上げる。
希望を求めてこの国へとやって来たそれ、子供たちの目には未来への希望に映る。

554: 635 :2021/11/21(日) 22:21:43 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

イゼイラ星間共和国首都サント・イゼイラ、その中央に立つイゼイラの行政の中心イゼイラタワー、その一室。


「ヤルバーンはそろそろハルマに着いた頃だろうか?」


部屋の主は窓より主星ボダールの浮かぶ空を見上げる。
その空の果てには敬愛すべきフリンゼ・フェルフェリアを乗せたヤルバーンが希望を求めて伝説の地へと向かっている筈であった。
ヤルマルティア、創造主ナヨクァラグヤが求めた希望の地、そしてフリンゼに流れる血の故郷。

現在のイゼイラには、いやティエルクマスカ連合には希望が必要だった。
トーラルに頼り過ぎた故の発達過程の欠如、精神の未成熟なまま文明の頂点に至ってしまった故の文明としての行き詰まり、発症者の止まらず新型すら発生した精死病。
唯一残された希望は存在は確実視されている伝説上の存在である発達過程文明ヤルマルティアのみ。
そこに精死病の治療と発達過程、その二つを求めヤルバーンはヤルマルティアの存在するハルマへと向かったのだ。

一度目の出発はエルバイラとエルバルレの生存の発見、そしてヂラールとの衝突で延期となった。
そして再度の出発では新型の精死病によりフリンゼが乗ることに議会で猛反対を受けたが議長の強権を以て乗せた。
すべては希望を得る為だ。フリンゼの血はヤルマルティアとの関係を築く上で上手く働くだろう。
そして、


「イゼイラを、ティエルクマスカを存在を許されないもしもの世界にするものか…!!」


イゼイラに流れ着いた一人のハルマ人の少女より齎された情報、並行宇宙論にすら切り捨てられた世界。
ティエルクマスカがその様な世界になるなど断じて容認出来ない。
しかし、それを為せるのもこの宇宙のハルマがハルマ人の少女の知るハルマでなければだが…。


「ファーダサイヴァル議長!!」

「何事かね?」


執務室へイゼイラ政府スタッフが駆け込んでくる。


「ヤルバーンがヤルマルティアと思われる地域国家との接触に成功したと緊急通信が!!」

「本当かね!?」

「はい!該当国家はヤルマルティアと断定出来る証拠も取得、これより交渉に入り結果は追って報告すると!」

「っ…!!」


希望は繋がれた。サイヴァルは目尻が熱くなり執務室の天井を見上げる。


「そしてもう二つ、いえこちらの方がご報告したいことです…心して聞いて下さい。」

「…何かね?」


サイヴァルは目を拭うとスタッフに尋ねる。悪いことかと身構えるがソレ以上のことであった。


「ヤルマルティアに並行宇宙のティエルクマスカ、それも精死病の治療手段を確立したティエルクマスカが接触していました。
精死病になっていたヤルバーン乗員も治療されたとのことです…!!」

「!!…ああっ!!創造主ナヨクァラグヤよ…!!」


希望を齎した良き因果に感謝するサイヴァル。


「ファーダ議長、これで喜んでいては身が持ちませんよ…!」

「…ズッ…?これ以上に何があるというのだね?」


鼻をすすりスタッフに疑問を返す。返すスタッフの言葉は全てのイゼイラ人、否全てのティエルクマスカ国民に希望の灯を灯すものだった。


「ヤルマルティア人は…イゼイラ人の…我々と同じ血を引いておりました…我々の…我々の同胞達が発達過程文明を築き上げていたのです!!」

555: 635 :2021/11/21(日) 22:26:39 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

ハワイ沖ゲート、こちら側のそれの表面ががさざ波を立てた水面の様には揺らめきめた。
それを警備中の米海軍の駆逐艦乗り達は見つめる。
何度かこちらと向こうの艦艇が同じハワイ間で行ったり来たりし、医療物資のやり取りで定期便も出来たり慣れたものだ。


「そういや今度の艦艇は何処のだ?」

「あー、神崎島のだな。鎮守府の外務大臣を乗せて日本へ向かうらしい。」

「ほぅ、クラスは?」

「えーとだな…霧の…?」


その瞬間ゲートの表面が水飛沫を上げた水面の様に爆ぜ、海水がその衝撃で巻き上がり霧を生む。
その中青い光を纏う青い影が霧に浮かぶ。
それを目的の艦艇であると推定し米駆逐艦はいつもどおりの周波数と鍵で通信を送る。


「貴艦、所属と目的、艦名を報告されたし!」


暫しスピーカーよりノイズが流れた後、女性の声が流れる。


『こちら神崎島鎮守府所属、鎮守府政府外務大臣の日本への移送任務の為にゲートを通過するわ。』


そして姿を現したのは、


「あれは…タカオクラスか…?」

『こちら艦名は霧の重巡洋艦タカオ型。』


「霧…。」

「あれが地球の制海権を奪ったという…か…。」


しかしその艦体は蒼く、そして蒼白い光がまるで紋章の様に艦体を覆う。
そして艦首に立つ青い髪の女性は堂々とその名を名乗る。



『私の名はタカオ、霧の重巡洋艦タカオよ。』



「あの…。」

「ん?」

「なんか艦艇多くないですか?(汗)」

「あ…?」

「金剛型ぽいのや他にも…(汗)」

「あ、追加の申請が届いてました。」

「何だ?」

「『申請者:霧の艦隊大戦艦コンゴウ、ゲート通過理由:観光目的の訪日』。」

「「「「………。」」」」


艦橋を沈黙が覆う。
そこへスピーカーからタカオのすまなそうな声が流れる。


『ごめんなさい。皆暇持て余してて、ゲート開いて戦争前(二つの意味で)の日本が見れるって観光で着いてきちゃって…。』

556: 635 :2021/11/21(日) 22:28:43 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp




霧の重巡タカオの甲板上でタカオとマリヘイルが話している。


「でも私も楽しみだから彼女達の気持ちも分かるわ。燃やされる前の法隆寺見れるのですもの。」

「ブルータス、お前もか…と、通信?」


ゼルモニターを造成し見るとタカオの目の色が変わる。


「どうしたの?ケラータカオ?」


何も言わずにモニターを見せるとマリヘイルも真剣な顔になる。


「ケラー、米国領海抜けたら最大速度で日本に向かって頂戴。」

「アイアイマム。」


タカオはマリヘイルに応えると踵を返し移動した。
マリヘイルは溜息を吐くと海に目をやる。海鳥が飛び水面が陽光を反射し煌めく。
造成されたままにされたモニター、海に浮かぶ島の上に二重構造となっている六角板状の巨大な物体が映る。
その光景は何年も前にマリヘイルが見た光景に似ていた。


「こちらのフリンゼが日本の血を引いている………か……。こちらの日本人もイゼイラの血を引いてる…謂わば発達過程文明としてのイゼイラ…、
そしてそれはティエルクマスカにとっては…。」


呟くとマリヘイルはこちらの地球の空を見上げる。
そこには長年見慣れたティ連本部の人工恒星ゼス000もイゼイラの恒星セタールも主星ボダールもなくかといって故郷パーミラヘイムのシャトーもない。
神崎島から見える敬愛すべき母、創造主アマテラスの化身たる恒星、太陽の並行存在が優しく全てを照らし空に浮かぶ。
見上げたその星の輝きはまるで天より遍く全てを照らす希望の光のようで…。

557: 635 :2021/11/21(日) 22:29:15 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

565: 635 :2021/11/22(月) 07:03:56 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
563
誤字ご指摘ありがとうございます。


すみません。転載される際には>>555の


「そいうや今度の艦艇は何処のだ?」

「あー、神崎島のだな。鎮守府の外務大臣を乗せて日本へ向かうらしい。」

「ほぅ、クラスは?」

「えーとだな…霧の…?」


のところを


「そういや今度の艦艇は何処のだ?」

「あー、神崎島のだな。鎮守府の外務大臣を乗せて日本へ向かうらしい。」

「ほぅ、クラスは?」

「えーとだな…霧の…?」


に入れ替えお願いします。

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最終更新:2021年11月25日 12:42